「アイツら、“イシテツ”がいる傍で、女湯覗こうとしたんだってさ」
「バカだね―――」
「でも、俺も理華先生の裸、見たかったよな」
「確かに」
ホテル・ベスト京都内の和風大部屋で、男子生徒たちが会話を交わしている。
彼らは皆、寝間着代わりに長袖の体操着を着用している。
「しかし、退屈だよな―――」
男子生徒の一人がつまらなさそうに嘆息すると、
「せめて、テレビくらい置いてもいいのに。
どうして、わざわざ、テレビも無い部屋を当てがったんだよ?」
別の男子生徒が、同意するかのように愚痴をこぼす。
すると、傍で彼らの会話を黙って傍観していた輝男が口を開く。
「お前ら、もう消灯時間も近いし、明日も明日で忙しいから、さっさと寝ろ」
ため息交じりに言いながら寝床に着こうとすると、輝男以外の男子生徒たちが一斉に腰を上げた。
「退屈過ぎるから、他のヤツらの部屋に行くか」
「あぁ、そうしよう」
彼らはそう言葉を交わすと、一斉に部屋を出ようとする。
ルームメイトのまさかの行動に、輝男は驚き、戸惑いながら立ち上がる。
「おい、お前ら、何、考えてんだ?」
輝男が男子生徒たちを呼び止めようとすると、
「天江、お前、留守番な」
「見回りの先生が来たら、何か適当な言い訳でも言って、その場を繕ってくれ」
ルームメイトたちは輝男にそう言い返し、そのまま部屋を出て行った。
一人、取り残されたかのようにその場で呆然としていた輝男だったが、
「まったく……アイツら、どうなっても知らんぞ」
すぐに呆れ顔を見せて愚痴をこぼすと、そのまま深々と布団に入った。
同じ頃、別の和風の大部屋で、女子生徒たちがババ抜きをしていた。
彼女たちもまた、寝間着代わりに長袖の体操着を着用している。
「今日、祇園に行った時、気付いたんだけどさぁ……
“イシテツ”って、理華先生にかなり気があるみたいよ」
「え――? 嘘――!?」
「先生が舞妓さんや着物姿の京女に扮してた時、ずっと顔、真っ赤だったもん」
「そんなの、余りに綺麗だったから、ついつい見とれてただけよ」
桜月は一緒にババ抜きをしながら女子生徒たちに言葉を返す。
この場にいるルームメイトの何人かは、今日の日中、桜月や輝男たち、そして、理華、石上鉄也と一緒に祇園へと行ったのだ。
「アタシもその場にいたけどさ、あれは絶対、本気で惚れた顔よ。
……あぁ――、ヤダ、ババ、引いちゃった――」
別の女子生徒はそう言うと、桜月の手から運悪くジョーカーを引いた。
すると、部屋のドアが外側から開いた。
桜月たちはゲームを中断して、入口の方を振り向く。
すると、ドアの向こうから男子生徒が四人入って来た。
輝男と同じ部屋に泊まっている男子生徒たちだ。
「よぉ」
「退屈過ぎたから遊びに来ちゃったよ」
「……ったく、こっちはお呼びでも何でもないのに」
女子生徒の一人はため息交じりに言葉を返すも、男子生徒たちがそのまま部屋の中に入るのを許してしまう。
男子生徒四人が部屋の真ん中に腰を下ろすと、別の女子生徒が口を開く。
「天江君はどうしたの? 一緒だったんでしょ?」
「あぁ、アイツ、部屋で留守番させてもらったから」
女子生徒と男子生徒の会話を、桜月は静かに聞き入る。
「ところでさぁ、何して遊ぶ?」
「トランプしてたみたいだけど、ババ抜きでもやるか?」
「悪いけど、さっきまで二回もやってたんだよ」
「じゃあ、せっかく、男子が来たんだから王様ゲームでもやる?」
「おぉ、いいねぇ」
「やろうやろう!」
彼らが徐々に楽しく会話を弾ませていると、突然、桜月が立ち上がった。
「どうしたの、桜月?」
「ごめん、ちょっとトイレ」
急ぐように言いながら、桜月はその場を離れた。
◇ ◇ ◇
明かりの消えた和室の大部屋で、輝男は一人、眠りについている。
すると、部屋のドアが静かに開いた。
何者かが足音も立てず、輝男のもとに静かに歩み寄る。
深い闇の中、安眠のただ中にある輝男を見下ろす。
すると、何者かの柔らかな唇が輝男の頬に触れた。
途端、輝男のまぶたが震え出し、ゆっくりと開いた。
うっすらと目を開けたその先に、一つの柔らかな笑顔が見えた。
次の瞬間、輝男は驚きながら体を起こした。
驚く輝男の前で、桜月がクスッと笑みをこぼす。
「エヘッ、来ちゃった……」
「…ったく、君も悪い子だな……。もう消灯時間だと言うのに……」
「だって、他の男子が天江君だけ残してるって言うから、つい……」
「そんなことより、早く部屋に戻らないとヤバいぞ」
「心配しないで。トイレに行くって言っておいたから。
もし、万一のことがあっても上手く言い訳をするから」
桜月は輝男とそう言葉を交わすと、ジッと彼をまっすぐに見つめる。
輝男はすぐに、桜月が乞うようなまなざしを向けているのに気付いた。
「アイツらだって、いつ戻って来るかわからないから、そう時間はかけられないぞ」
「うん……わかってる……」
そう言葉を返す桜月の頬は、ほんのりと赤みを増している。
輝男はそのまま、桜月とキスを交わす。
闇と静寂に覆われる中、桜月をそっと布団の上に押し倒す。
長袖の体操着を脱がし、その下にある半袖の体操着の上から桜月の胸を揉みしだく。
「あっ、あぁ……」
輝男の愛撫に、桜月は震える声で喘ぐ。
輝男は桜月の胸を揉みながら、彼女とキスをする。
二、三回、唇を重ねた後、互いの舌先を絡ませ合う。
「うぅ……んんっ……ん、ふ……」
絡み合う舌先から、唾液の跳ねる音に混じってかすかなうめき声が漏れる。
輝男は桜月とディープキスを続け、左手で彼女の胸を揉みしだきながら、残った右手を桜月がはいている短パンの内側に忍び込ませる。
輝男の右手の指は、ショーツの上から大事なところを何度もなぞる。
「うぅっ……フゥ――……フゥ―――……」
ディープキスを続ける桜月の口から、艶やかなうめき声と甘ったるい吐息が、輝男の頬にかかる。
やがて、二人はディープキスをやめた。
二人の間をつなぐ唾液の糸が千切れると、輝男は桜月に言葉をかける。
「今日、祇園に行った時、君が見せた舞妓さんと京女の格好……とても綺麗だったよ」
「本当? 先生や黒山さんだって綺麗だったのに」
「あの二人もそうだけど、君もとても似合ってたよ」
桜月とそう言葉を交わしながら、胸を揉み、大事なところを下着越しになぞり続けている。
ひそやかな愛欲と淫行に耽りながら、今日の日中、見学先の祇園で披露した桜月、理華、葵の舞妓姿、着物姿のことを話している。
「ねぇ、あの時の写真、ちゃんと撮ってる?」
「もちろんさ。後で、君のところにもコピーして送っておくよ」
「ありがとう……あぁっ……!」
桜月は感謝の言葉を返すと、突然、ビクンとのけ反り、たまらず声を上げた。
輝男の右手の指が、ついにショーツの中に入り込み、茂みをかき分けながら、桜月の秘裂に達したのだ。
自分の大事なところを行き来する指の動きに、
「あっ、あぁ……あんっ……」
桜月は声を震わせながら、か細く喘ぐ。
輝男は、月の喘ぎを聞き入りながら、彼女の半袖の体操着をめくり上げる。
体操着の下から、形よいCカップバストを覆う白のシンプルなブラジャーが姿を現す。
輝男は右手で桜月の大事なところを荒らしながら、左手で桜月の胸を下着越しに愛撫する。
「うっ、うぅっ……」
声を押し殺しながら身を縮ませ、愛する男のみだらな責めを甘受する桜月。
輝男は左の手のひらを通して、桜月のブラジャーの質感とその下にある柔らかな肉感を同時に堪能する。
と、同時に、右手の指を通して、桜月の中が熱とぬめりを覆ってきているのを感じ取る。
「感じてきてるみたいだね」
「ヤダ、もう、言わないで」
桜月は更に顔を赤らめながら、言葉をかけて来る輝男にソッポを向ける。
羞恥に満ちた形相を背ける桜月に、輝男はクスッと笑みをこぼす。
「じゃあ、もっと気持ちよくさせるから」
そっとささやくように言葉をかけると、桜月の中に入った指の動きを更に小刻みにさせた。
「あぁっ、イヤッ、ハァッ、あっ、うっ……んんっ……」
ヴァギナをかき回される刺激に、桜月はのたうち回りながら、か細く喘ぐ。
本当ならもっと声を上げたいところだが、消灯時間を無視して勝手に他の部屋に入った上、淫行に及んでいるというやましさが、桜月にある種の抑制を強いている。
必死にこらえる桜月を間近に見て、輝男の中で何かがわき上がって来る。
桜月の秘裂に指を激しく出入りさせ、同時にブラジャーのカップをずり上げる。
ブラジャーの下から弾み出た美乳を貪りながら、桜月の中から響く水音を聞き入る。
桜月は、自分の大事なところを指で荒らされ、片手で裸の胸をいいように弄ばされるのを、成すすべなく甘受する。
「イヤ、ヤダ、もう……激しい……」
なおも声を押し殺しながら、羞恥と苦悶の念を輝男に告げる。
しかし、輝男は桜月に言葉を返す代わりに、彼女の裸の胸に顔をうずめる。
そして、間近から、桜月の胸の柔らかく温かい感触を味わう。
と、同時に、右手の指を通して、桜月の中がひどくぬめっていくのを感じ取る。
(大分、濡れて来たな……)
右手の指に絡み付く蜜の感触に、内心、確信めいたつぶやきを発すると、
「ダ、ダメ……もう、ダメ……」
悲哀に満ちたか細い声が輝男の耳に届く。
輝男は顔を上げ、桜月の顔をまっすぐに見つめる。
桜月は弱々しくも恍惚とした顔を赤らめ、乞うようなまなざしを震わせている。
「お願い、早く来て……。もう、耐えられない……」
輝男とまっすぐに向き合いながら、震える声で懇願する。
◇ ◇ ◇
「王様、だ――れだ!?」
明かりが煌々と照っている一室で、男女の喚声がとどろく。
和風の大部屋で、体操着姿の男女生徒、それぞれ四人が、輪を成しながら声を揃えている。
彼らが一斉にくじを引くと、
「やったぁ――! やっと王様役……って言うか、女王様役ね」
当たりくじを引いた女子生徒の一人が嬉しそうに声を上げる。
「じゃあ、王様…じゃなかった、女王様、命令をどうぞ」
男子生徒の一人が言うと、
「女王は命令します。天江君をすぐにこちらに連れて来て、あなたたちはさっさと帰りなさい」
女王役の女子生徒は、喜色満面に男子生徒四人を指差しながら命令を下す。
彼女の今の命令に、男子生徒四人――輝男の同宿者は、一斉に苦い顔を見せる。
彼らの態度に、その場にいた女子生徒たちはクスクスと笑い出す。
「何だよ、結局、天江が目当てかよ」
「俺たちだって、随分と楽しませてやったのに」
「女王様の命令です。早くしなさい」
愚痴をこぼす男子生徒たちに、女王役の女子生徒はせかすように声をかける。
「はいはい、わかりましたよ、女王様」
男子生徒たちは渋々と言った様子で腰を上げ、一旦、部屋を出ようとする。
と、次の瞬間、部屋のドアが外から開かれ、
「お前ら! 消灯時間はとっくに過ぎてるぞ!」
ドアの向こうから、ジャージ姿の石上鉄也が鬼の形相で怒鳴り込んで来た。
石上の一喝に、その場にいた男女生徒たちは皆、血の気が引いたような顔を見せる。
輝男を呼び出す代わりに、“イシテツ”が顔を出して来たと言うわけだ。
◇ ◇ ◇
ルームメイトたちが消灯時間を無視して遊びほうけていた咎で叱責されている頃――
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ……!」
薄明かり一つ無い部屋の真ん中で、桜月は布団の上にうつ伏せになりながら、か細く喘ぎを繰り返す。
彼女の真上では、輝男が腕立て伏せでもするかのように、真上から体を繰り返しぶつけて来る。
輝男の下半身は、既に素裸になっているが、そこから突き出ている陰茎が、やはり素裸になっている桜月の下半身の秘裂に突き刺さっている。
ただし、輝男の陰茎は、厚めのコンドームにピッタリと覆われている。
垂直に抜き差しを繰り返しながら、桜月のヴァギナを存分に味わっている。
「どうだ、桜月?」
荒く息を弾ませながら、桜月に具合をたずねる輝男。
陰茎が自分の中を激しく行き来する動きに、桜月はうつ伏せのまま、身を震わせる。
「輝男君……今日は……いつになく激しい……。でも……とても気持ちいい……」
顔を真っ赤にし、声を震わせながら歓喜の念を伝える。
(桜月の中……キツくなってる……)
輝男は律動を繰り返しながら、桜月のヴァギナが強く収縮していくのを感じ取る。
締め付けを強め、熱と愛液で絡め取ろうとする。
しかし、その身を覆う熱とぬめりは、輝男自身にとっては潤滑油以外の何物でも無い。
剛直を通して感じる桜月自身の熱と潤いに、輝男自身は際限無く充血していく。
「うぅっ、イヤァッ……」
桜月がたまらず苦痛の声を上げる。
自分の中にある輝男自身が、更に固く、大きくなっていくのを痛感したのだ。
輝男は更に激しく腰を振り続け、真上から腰を美尻にぶつける。
肉と肉がぶつかり合う音が二人の耳に流れ込む。
「あぁっ、イヤッ、ダメ……こ、壊れちゃう……!」
四方の肉壁をぶち破らんばかりの動きに、桜月は声を震わせ、イヤイヤと身悶える。
うつ伏せのままでいるが、苦悶の極みにあるのは、輝男の目にもハッキリとわかる。
(桜月には悪いが、なるべく早く片付けないと……
余り、延々とヤっていると、アイツらが戻って来てしまう……)
ルームメイトたちがいつ戻って来るかわからないという不安が、輝男にハイペースな淫行を強いている。
それが桜月に少なからぬ苦痛を強いていることを承知の上で、輝男は桜月の中を蹂躙し続ける。
絶えず狭まるヴァギナと限界まで膨張する剛直の摩擦が、輝男と桜月に刺激と苦痛をもたらす。
「うぅっ……うっ、んんっ……」
桜月は枕に顔をうずめながら、必死に声を殺してうめく。
本当なら悲鳴を上げたいところだが、ひそやかな淫行をバラされたくないために必死に苦痛をこらえている。
しかし、
「あぁ、もっと……もっと強く……!」
うつ伏せになったまま、更なるみだらを求め、震える声で訴える。
絶え間無いみだらな責め苦が、一切の苦痛を麻痺させたようだ。
桜月の今の訴えに煽られてか、輝男は更に強く、小刻みに腰を打ち据える。
パン、パン…という乾いた衝突音が、闇と静寂に包まれた部屋に小さく響く。
剛直が絶えず行き来を繰り返す秘裂からは、蜜のようなものが漏れ出ている。
そして、輝男の股の辺りでは、グツグツと沸騰感が沸き立っている。
(このままじゃ、もうすぐイきそうだ……でも……)
輝男が自らの限界が近付いて来たことを感じ取ると、
「あぁっ、イヤッ、ダ、ダメ……イく……イっちゃう……!」
輝男の真下で、桜月はイヤイヤと身悶えながら絶頂間近であることを訴える。
桜月の今の言葉を聞くと、輝男は何かが吹っ切れたかのように、真上から激しく腰を打ち据える。
「あっ、あっ、あぁっ、あんっ、んんっ、ハァッ……!」
桜月は何度もビクンとのけ反りながら、艶やかな喘ぎを繰り返す。
輝男は桜月の喘ぎを聞き入りながら、彼女の中が自分自身を熱く、そして、強く締め付けていくのを痛感する。
絶え間無い強烈な摩擦と締め付けは、輝男の沸騰感をいたずらに昂らせる。
「さ、桜月……お、俺も……」
汗をにじませ、荒く息を弾ませながら、輝男が桜月に声をかける。
輝男の今の呼びかけに、桜月は枕に顔をうずめたまま、こくんとうなずく。
「う、うん、いいよ……早く……早く、来て……」
声を震わせながら、輝男を痛切に求める桜月。
「さ、桜月……桜月……ああっ……」
何度も愛しい少女の名を呼びながら、裸の腰を激しく打ち据えると、
「あぁっ……イ、イヤァ――――――……」
桜月は痙攣でも起こしたかのように大きくのけ反りながら、絶頂の声を上げた。
桜月の絶頂と共に、輝男自身は桜月の中で勢いよく果てた……
◇ ◇ ◇
十分ほど経った頃――
輝男と桜月は、既に着替え直した状態で布団の上に腰を下ろしている。
輝男の手にぶら下がっているコンドームには、四分の三ほどの容量を白濁が埋め尽くしている。
「随分といっぱい出ちゃたな……」
自らが吐き出した淫欲のしたたりを見て、輝男は深くため息を付く。
「それだけ、思いっきりヤっちゃったってことでしょ?」
桜月は笑みをこぼしながら、輝男に言葉を返す。
そのまま、二人きり、和やかな雰囲気に包まれるかと思ったその刹那、ドアの向こうからノックをする音が聞こえてきた。
「桜月、隠れて」
輝男はすぐに、桜月を布団の中に隠す。
すると、間も無く、何者かが部屋の中に入って来た。
部屋に明かりがともると、輝男は部屋に入って来た者を見て驚く。
「せ、先生……どうしたんですか?」
戸惑うような表情で、濃紺のジャージ姿の石上、そして、黒のジャージを着込んでいる理華と向き合う。
「天江、お前、今まで何してたんだ?」
石上は厳しい表情で輝男をにらみながらたずねる。
「何って……ずっと寝てましたけど……。それが何か?」
「実は、あなたと同室の男子四名が女子部屋に入って、女子たちと消灯時間を無視して遊んでいたの」
「アイツら、そんなことを……」
理華の説明に、輝男は呆れたような調子で言葉を返す。
すると、
「お前、何を呑気に言ってるんだ!?」
すぐに、石上の怒号が雷のように輝男の身に振りかかった。
真正面から叩き付けられる怒号に、輝男は驚き、思わず身をすくめてしまう。
輝男の目の前には、鬼の形相を浮かべながら、石上が仁王立ちしている。
「同室者のお前がいながら、ヤツらが規則違反を犯すのを放置して、一人だけ寝るとは……!」
「僕もやめろと言ったんですが、アイツら、どうしても聞かなくて……」
「今更、そんな言い訳をしても無駄よ。
あの子たち、今、女子たちと一緒に廊下で正座させれているんだから」
「修学旅行一日目にしてとんだ恥さらしが出て来るなんて、我々にとってこれ以上は無い痛恨の極みだ!」
理華と石上の今の言葉に、輝男は気まずい表情を見せながら言葉を失う。
事情はどうあれ、仲間が厳しい処分を受けていることに、否が応にも気分が重くなる。
一方、しっかりと敷かれた布団の中では、
(どうしよう……輝男君、かなり責められてる……。でも、ここからは出られない……)
身を縮ませながら入り込んでいる桜月が、輝男に対する叱責を認めて不安の念にさいなまれている。
何とか輝男を助けたいが、今、自分が出て来たら、輝男共々、ルームメイトたちと同じように処分を受けてしまう。
助けたいけど助けられないもどかしさに、桜月は胸を焦がせずにいられない。
桜月が潜り込んでいる布団のすぐ傍では、理華と石上による叱責が続いている。
「お前は確かに、規則に従って、すぐに就寝したかもしれん。
しかし、規則違反を犯したルームメイトをほったらかした点では、責任は免れんぞ」
「……わかってます……」
厳しい口調で責任を追及する石上に、輝男は覚悟を決めたかのような厳しい表情を見せる。
厳しい表情を崩さず、石上をまっすぐに見ていると、
「石上先生、後は私に任せて、そのまま見回りを続けて下さい」
石上の横にいた理華が、彼にそう言葉をかける。
理華の今の言葉を聞くと、石上はすぐに理華の方を振り向く。
「雨宮先生、色々とご苦労をかけますが、よろしくお願いします」
厳しい表情はそのままに、申し訳なさそうに言葉をかけると、石上はそのまま部屋を出た。
ドアが閉まり、足音が遠のくを耳にすると、理華は輝男とまっすぐに向き合った。
すると、輝男に向かって不敵な笑みを見せる。
「天江君……日向さん、そこにいるんでしょ?」
不敵な笑みで輝男を見据えながら、確信めいた言葉をかける。
理華の今の言葉に、輝男はギクッと驚く。
「な、何、言ってんですか? 日向がそんなことを……」
しどろもどろに、事実とは反する弁明を試みようとするが、
「日向さん、これ以上、隠れても無駄よ。出て来なさい」
理華は、唯一、しっかりと敷かれている布団を見据えながら呼びかける。
間も無くして、布団が内側からめくられ、中から桜月が出て来た。
桜月は恥ずかしそうに顔を赤らめながら、輝男の横で正座をする。
理華は桜月の顔をチラッと見ると、
「その様子だと、相当、激しくヤってたみたいね」
半ばからかうかのように言葉をかける。
理華の今の言葉に、桜月は顔を真っ赤にしながら無言でうつむく。
横にいる輝男も、つられて恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「せ、先生、こんな時に冗談はやめて下さい!」
輝男ははかない反論を試みるが、理華はまったく動ずる気配を見せない。
「二人とも、ルール違反を犯した上に、この私を差し置いて、激しくヤってたなんて……
たっぷりと落とし前を付けてもらうわよ……」
不敵な笑みを浮かべながら、目の前にいる輝男と桜月を鋭く見据える。
「せ、先生……」
「あなたが私の言う通りにしてくれたら……
あなたと日向さんだけは、責任を不問に伏しておくから」
「そんな……」
不敵な笑みを絶やさずに、有無を言わせぬ態度を見せる理華に、輝男と桜月は成すすべがないと言わんばかりに途方に暮れる。