輝男はベッドの淵に腰を下ろしながら、深くため息をついている。
上は長袖の体操着を着用しているが、下は何故か素裸になっている。
彼が見下ろす先には、それぞれ体操着、ジャージを着用している桜月と理華が身を屈めている。
「んんっ、んむっ……んうぅっ……」
理華がかすかなうめき声を漏らしながら、輝男の肉の棒をくわえ、しゃぶり、
「ハァッ、ハァ……んっ、んぅ……」
根元の方に、桜月が舌を這わせ、口に含む。
理華が陰茎から口を離すと、今度は、桜月がすかさず陰茎をくわえ込む。
「んうぅっ、んっ、んんっ……んむっ……」
桜月はかすかなうめき声を漏らしながら、口を前後に動かす。
桜月の口からはみ出た個所を、理華がジックリと舐め回す。
艶やかなうめき声と唾液が跳ねるような小さな音が、狭い密室に響く。
ベッドの横にあるサイドライトだけが、みだらに耽りきる女性教諭と女子生徒にしっかりと光を当てている。
今、輝男たちがいるのは、理華が泊まっている一人用の洋風宿泊室である。
他の教諭、並びに添乗員がすべて男性ということもあって、唯一の女性である理華にこの部屋があてがわれたのだ。
「先生、こんなことマズいですよ」
美人二人のフェラチオを甘受しながらも、輝男が困惑しきった言葉をかける。
すると、理華は陰茎を口から離し、輝男をまっすぐに見上げる。
桜月も行為を一旦、中断し、輝男を見つめる。
「別にマズくないわよ。
多分、他の皆は、あなたと日向さんが、何かやらかして私から厳重注意を受けているのだろうと思ってるから」
「でも、こんなこと、すぐにバレちゃいますよ」
「もし、万一のことがあっても、私の方で上手く処理するから心配しないで。
それより、修学旅行の夜というこのシチュエーションを利用しない手はないじゃない」
担任教室の宿泊室での淫行という事態に困惑する輝男に、理華は平然とした態度で応じる。
「それに、修学旅行の夜に、美人二人にこうしてフェラチオしてもらうなんて……
こんなこと許されるのは、天江君だけよ。
本当は、私一人でもいいんだけど、日向さんもいるし、どうせなら…と思ってね」
理華はそう言いながら、横にいる桜月をチラッと見る。
桜月は顔を真っ赤にしてうつむきながら、何も言い返せない様子だ。
恥じらう桜月を横に、理華はフェラチオを再開する。
首を傾げながら、回転するかのように口を動かし、愛しい教え子のモノをねっとりとしゃぶる。
「んんっ、んうぅ……」
理華のかすかなうめき声が艶を帯びて来ている。
理華の横で、桜月もまた口淫を再開する。
筋を沿うようにして舌を這わせ、根元に口を含む。
「どう、気持ちいい?」
肉の棒を舐め回しながら桜月がたずねると、
「あぁ、とても気持ちいいよ」
輝男がため息交じりに返事をする。
すると、
「んっ、んぐっ……んうぅ……!」
陰茎でふさがれた理華の口元から、息詰まるようなうめき声が漏れる。
輝男は深く嘆息しながら、恍惚の度合いを増す理華の顔と固く大きくなる自分自身を見下ろす。
理華は懸命にしゃぶる水音を漏らしながら、
(輝男君の……ますます固く、大きくなってる……)
自分のフェラチオで輝男自身が充血していくのを痛感する。
しかし、すぐに、またも輝男の陰茎を口から離した。
「ヤダ……もう、こんなに大きくなって……」
桜月は固く突っ立つ唾液まみれの剛直を見ると、羞恥に顔を真っ赤にして、硬直する。
輝男もまた、淫欲にいきり立つ自分自身を見て、深くため息をつく。
すると、二人の目の前で、理華がジャージのズボンを脱ぎ出した。
ズボンの下から、細く引き締まった色白の生脚と、大事なところを覆うピンクのパンティーが姿を現した。
理華はそのままパンティーも脱いで、素裸の下半身をさらす。
「さぁ、天江君、いいわよ。来て……」
艶を帯びた声で求める理華に、輝男は困惑しきった顔を見せる。
「まさか、このままエッチするって言うんですか?」
「ここまで来て、フェラだけで終わらせるつもり?
もし、嫌だと言うのなら……
日向さんが消灯時間を無視して夜這いをかけたことと、あなたが日向さんとエッチしまくったことを先生方に報告するから」
不敵な笑みを浮かべながら、脅しの言葉をかける理華。
あからさまに自分のことを棚に上げる彼女の今の言葉に、輝男と桜月は顔を赤らめながら閉口する。
◇ ◇ ◇
「日向さんも、真面目そうに見えて、結構、悪い娘ね。
修学旅行なのに、コンドームをちゃんと持って来てるなんて」
「……だって、もしかしたらと思いまして……」
理華の言葉に、桜月は羞恥の極みにあるかのように言い返す。
理華の手には、コンドームを収めた小さな一包がある。
桜月が密かに持参して来たコンドームの一部である。
一包を破り、中のコンドームを口にくわえると、フェラチオをする要領で輝男の剛直をゴムで包み込ませる。
準備を終えると、理華は両手を部屋の壁に押し当て、輝男に背中を向ける。
輝男は静かに歩み寄ると、理華の素裸の美尻をつかむ。
「理華さん、行きますよ……」
蚊の羽音のような小声で理華の耳元にささやくと、ゴムに包まれた剛直を理華の中に差し込んだ。
「うっ、うぅっ……!」
既に固く大きくなっている剛直が中に入り込む様に、理華はたまらずうめく。
思わず苦痛に顔をしかめ、身を震わせる。
輝男は理華のうめき声を聞くと、一気に腰をぶつけた。
「あっ、あぁっ……!」
輝男の猛進に、理華はのけ反りながら声を上げた。
理華の今の悲鳴を合図に、輝男は激しく腰をぶつけて来る。
薄明かりのともる静かな個室に、肉と肉の衝突音が響く。
「あっ、あぁ……あっ、ハァッ……」
理華は美貌を赤らめながら、声を押し殺して艶やかに喘ぐ。
教え子との禁断の淫欲に耽りながらも、他の同僚教諭たちに気付かれまいとするなけなしの理性が働いている。
「輝男……君……今日はいつになく、激しく、すごいじゃない……」
声を震わせながら、歓喜の念を言って来る理華。
しかし、輝男は何度も腰を強くぶつけ、荒く息を弾ませるだけで、理華に言葉を返そうとしない。
傍では、桜月がへたり込みながら、愛しい男と担任の性交を傍観している。
(どうしちゃったんだろう。輝男君たら、まるでケダモノのようにガッツリと……)
初めから激しく動く輝男を見て、桜月は思わず訝しがる。
一方の輝男は、肉と肉の衝突音を耳にしながら、
(理華さんには悪いけど、さっさと片付けないと色々と面倒になる……)
あえて強く猛進した狙いを独白する。
輝男もまた、同級生や他の教諭たちが壁を隔ててすぐ近くにいるという危険を強く認識している。
律動を強く繰り返しながら、長袖の体操着を脱ぎ出す。
輝男の体から汗がにじみ出て、熱を帯びて来ているのがハッキリと認められる。
「あぁっ、ヤダ……! 奥に……当たってる……!」
理華は、自分の中、最深部に突き当たる輝男自身に、たまらず声を上げる。
輝男は裸の腰を打ち据えながら、理華の胸元に背後から腕を回す。
そして、器用にファスナーを下ろすと、白地のシンプルなインナーウェアの上から、大きな胸のふくらみを揉み始める。
剛直の猛進と愛撫という二重のみだらな責めに、
「あぁっ、いい……いいわ……」
理華の口から恍惚の念が艶やかに漏れる。
「あ、天江君……今日、祇園に行った時の……私たちの格好……どうだった……?」
背後から激しく犯されながら、今日、日中の出来事についてたずねる。
祇園での着付け店で、桜月、葵と一緒に舞妓、京女に扮した時のことを言っているのだ。
「とてもきれいでしたよ。あの石上先生まで顔を真っ赤にして見とれてましたから……」
狭まる一方のヴァギナを剛直でかき分けながら、理華に言葉を返す輝男。
背後からの手が、服越しに美巨乳を強く揉み続ける中、
「あ、あたしと……日向さんと……黒山さん……どっちが一番、きれいだった……?」
理華は声を震わせながら、輝男に肝心の問いをかける。
「せ、先生も日向も黒山も……皆、きれいでしたよ……」
「もう……誰が一番か…って聞いているのに……あぁんっ……!」
理華はビクンとのけ反りながら、言葉を途切れさせてしまう。
狭まるヴァギナと限界まで膨張する剛直の摩擦に、少なからぬ刺激と苦痛を覚えたのだろう。
「誰が一番なんて決められませんよ。三人とも同じくらいにきれいで素敵だったから……」
「もう、天江君ったら……肝心なところでは煮え切らないんだから……」
輝男の今の言葉に、理華は顔を真っ赤にしてすねる。
それでも、実際のところは満更でもないようだ。
そんな二人を、傍でへたり込んでいる桜月が、やや寂しげに傍観している。
(ヤダ……輝男君と先生、見てたら……何だか体が疼いちゃって)
ケダモノのように激しい淫行を見せ付けられて、切なそうに吐息を漏らす。
そして、自ずと右手で自分の胸を揉みしだき、左手をズボンの中に入り込ませる。
(どうしよう、また輝男君とエッチしたくなっちゃった……)
自分で自分を慰め始めた桜月は、みだらな思慕を心中でわき上がらせる。
桜月が自慰に耽っている傍で、理華はその身をわなわなと震わせている。
背後から激しい抽挿と愛撫に責められながら、
「ああっ、ヤダ……イ、イきそう……」
声を震わせて自らの限界を訴える。
理華の今の哀訴を聞くと、
「せ、先生……俺も……」
輝男が荒く息を弾ませながら、自らの限界を告げて来る。
初めから容赦無い猛進で責められ続け、理華のヴァギナは収縮を強め、熱と潤いを増して来ている。
一方の輝男も、狭まるヴァギナがもたらす強い締め付けに沸騰感が昂っている。
不本意…というか、名残惜しい気持ちを隠さない理華に、輝男は背後からの責めの続行でもって応じる。
輝男の手は、服を着ていてもハッキリとわかる柔らかく大きな肉感を堪能している。
そして、彼自身は、理華の中の狭さ、熱さ、潤みを直に感じ取り、否応なく自らを昂らせる。
肉と肉のぶつかる音と、
「あぁ、あんっ……ハァッ、ハァ……あっ、んんっ、んあっ……」
切なくも艶やかな喘ぎが、密室でみだらな二重奏を成す。
桜月は部屋の片隅でみだらな二重奏を聞きながら、自慰に耽り続けている。
ラストスパートをかける輝男の動きを眺めながら、荒い吐息を繰り返すと、
(先生……もう、イきそう……)
恍惚とした美貌を赤らめ、身を震わせ続ける理華に目線を向け、心の中でつぶやく。
桜月の目には、理華がもうすぐ達してしまうかのように見えている。
すると、輝男は理華の両手首を後ろからつかむと、彼女の腕をグイッと後ろの方へ引っ張った。
手綱を引くかのように理華の体を引っ張ると、小刻みに腰を強くぶつける。
「あぁ……あっ……あ、うぅっ……ハァ……あぁっ……んんっ……!」
体を後ろに引っ張られた理華は、息詰まるような喘ぎを繰り返しながら、恍惚の極みに達した赤ら顔を突き出す。
肉と肉の衝突音と艶やかな喘ぎが、桜月の耳に届く。
桜月は、みだらな二重奏に加えて、自分の中で生じる小さな水音を聞き入る。
左右の手はズボンの中に入り込み、そのままショーツの内側、大事なところで指を抜き差しさせる。
ケダモノの如き淫行が終わりに近づくのを眺めながら、自慰の動きを激しくさせる。
桜月は、自分の指に蜜のようなものが絡み付くのを否が応にも感じ取る。
しかし、彼女の目は、荒く息を弾ませながら背後から担任教師を犯す最愛の男と、教え子に成すすべなく犯されることを甘受する担任の姿をしっかりととらえている。
眼前の淫行が、桜月を容赦なく昂らせ、限界へと追い込もうとしている。
(ダ、ダメ……あたしも……イっちゃう……!)
うっすらと目元に涙をためながら、内心、切なそうな調子で、自らの限界を告げる。
と、次の瞬間、
「あぁっ、イヤ、ダメ……! イ、イく……イくぅ……っ!」
理華は両腕を引っ張られたまま、イヤイヤと身悶えながら限界の時を告げる。
そして、輝男が裸の腰を強くぶつけると、一瞬、痙攣を起こした後、
「あぁっ、イヤッ……あぁ――――――……」
喉を突き出すようにのけ反りながら、絶頂の声を上げ
間もなくして、ギュッと締まり切った蜜壺で、輝男は勢いよく果てた。
密閉された小空間で熱い蜜が暴発し、まとわりつく異様な感触が、輝男の剛直を覆う。
そして、理華と輝男が達して間もなく、
「あっ、あぁっ……イヤッ……!」
桜月はへたり込んだまま、か細く悲鳴を上げながらのけ反った。
紅潮したあどけない美貌から、涙が一すじの流れとなってこぼれていく。
桜月の中からは、蜜のようなものが漏れ出て、ショーツにシミを作らせる。
輝男はまたも体操着を着替え直す。
すると、
「天江君、お疲れ様」
背後から、優しく呼びかける声が聞こえて来た。
輝男が振り返ると、同じく、ジャージに着替え直した理華が笑みを浮かべながら輝男を見つめる。
「余り、長くヤると、他の生徒や先生たちに気付かれるから……
早く終わらせたくて、あんなに激しくシてきたんでしょ?」
笑顔を見せながら問いただす理華に、輝男は気まずそうな顔を赤らめる。
何も言い返そうとしないが、図星を指されたのは明白だ。
「わかってるわよ。天江君の考えていることくらい」
クスッと笑みをこぼしながら声をかける理華の傍で、輝男は壁際の方に目を向ける。
輝男が目を向けた先には、桜月が重くうな垂れたままへたり込んでいた。
「おい、日向、どうしたんだ?」
不安げに表情を曇らせながら、桜月に向かってたずねる。
桜月は真ん前に輝男がいるのに気付くと、ゆっくりと顔を上げる。
憂いと恥じらいが混ざり合った顔を、呆けたかのように赤らめている。
「日向さん、私たちのセックスを見て、我慢できなくてオナニーでもしてたんでしょ?」
理華は桜月の表情を見るなり、半ばからかうかのように言葉をかける。
理華の今の言葉に、桜月は爆発でもしたかのようにボンと顔を紅潮させる。
「先生!」
「ヤダ、もう、そんなにむきにならないで」
困惑と憤りが混ざったかのような輝男の声に、理華は平然と言葉を返す。
しかし、すぐに、輝男と桜月に柔らかな笑みを見せる。
「でも、あなたたち、これでもう放免よ。さぁ、部屋に戻りなさい」
理華が言うと、輝男は桜月の体を起こしながら理華と向き合う。
二人は理華に向かって一礼すると、そのまま理華の宿泊室を出た。
◇ ◇ ◇
「その様子だと、本当にシてたみたいだな……」
「うん……」
自分の部屋に戻る途上、輝男と桜月は言葉少なく会話をする。
「気持ちはわかるけど、エッチなんて、いつでもできるはずだろ?
わざわざ、この修学旅行で危険を冒してまでする必要なんて…」
「修学旅行だからこそヤリたいの」
桜月は、自分をたしなめる輝男の言葉を中途でさえぎり、率直な思いを告げる。
「確かに、あなたとはいつでもヤれる機会はあるけど……
でも、修学旅行という特別な機会だと、いつも以上に気持ちが昂ってくるような気がするの……」
言葉を続ける桜月に、輝男は何も言い返そうとしない。
すると、桜月は横にいる輝男の方を振り向く。
「輝男君はどうなの?
輝男君は、修学旅行では、誰ともエッチしたいとは思わないの?」
自分をまっすぐに見つめながら問いかける桜月に、輝男は神妙な面持ちを見せる。
わずかな沈黙の後、輝男は口を開く。
「……俺も、正直、君と同じ気持ちだよ……
この特別な機会を利用したエッチを存分に堪能したいさ」
輝男の返答を聞くと、桜月はようやく柔らかな笑みを取り戻す。
「じゃあ、また、この旅行中にヤろうね?」
率直に言って来る桜月に、輝男は思わず苦笑いを見せる。
「でも、その時は、ちゃんと考えてくれないと……
他の皆や先生たちの目もあるし……」
「わかってるわ……」
桜月は一言、そう言葉を返すと、輝男とキスをした。
柔らかく温かい唇が輝男の唇に触れる。
一瞬の間、唇を重ね合わせると、
「じゃあ、輝男君、お休み」
「あぁ、お休み」
互いに笑顔を見せながら、就寝のあいさつを交わす。
一人、その場を去り、自分の宿泊室へ戻る桜月の後ろ姿を、輝男は愛しそうに見つめる。
◇ ◇ ◇
快晴の空に、朝陽が高らかと昇っている。
まばゆい陽光を放ちながら、眼下にあるホテル・ベスト京都を見下ろす。
ホテル一階にある大食堂が、制服姿の生徒たちや背広、スーツ姿の教諭たちで賑わっている。
彼らは今、バイキング形式で朝食を取っている。
「ホントにすげぇごちそうだな」
「あぁ、全部、食べちゃいたいくらいだぜ」
着席した男子生徒たちが、皿の上に目一杯に盛り込んだメニューを食べながら歓声を上げる。
その横では、輝男が、ちょうどいい塩梅に盛ったメニューを口にして朝食を進めている。
すると、輝男の隣に座っている男子生徒が、輝男を一瞥しながら言葉をかける。
「俺、この前、文化祭に来てくれた大富小春ちゃんにメールを送ったんだけど……」
男子生徒――D組の加藤が話を切り出すと、
「お前、本当にやったのか?」
輝男は彼の方を振り向くなり、信じられないと言わんばかりに声をかける。
「“この前の文化祭の演劇、君のおかげで大成功を収めたよ。
本当にありがとう。
もしよかったら、今度の日曜日、デートでもしませんか?”
……って、メールを送ったんだ。
そうしたら、昨日の晩、
“もし、また、あんなキモいメールをよこしたら、絶対にガチでぶっ殺す!!!”
……って、返信が来たんだよ」
加藤は朝食を食べるのを忘れて悲嘆に暮れる。
たまたま文化祭に遊びに来た小春が、自分たちの演劇に急遽、参加したことを機に、彼女に惚れて、交際でもしようと図ったのだろう。
その目論見が無惨な形で踏みにじられたことに、彼はひどく落ち込んでいる様子だ。
「だから言っただろ? 紹介してやってもいいけど、その後は自己責任だって」
悲嘆に暮れる同級生に、輝男は呆れ顔でため息をつき、つれない返事をする。
「お前、そんな冷たいことを言わないで、俺と小春ちゃんの間を取り持ってくれよ!
お前、彼女と知り合いみたいだし、仲もいいんだろ?」
「諦めろ。彼女がそんなメールをよこした時点で、もうアウトなんだから」
諦めきれずに詰め寄って来る加藤を適当にあしらうと、
「とにかく、その話はやめだ。せっかくの美味しい朝ご飯が不味くなる」
素っ気ない態度で会話を終え、朝食を再開する。
「何だよ、この薄情者!」
加藤の怒りの声も、輝男には馬耳東風といった様子だ。
そんな彼らのやり取りを、向こうの席で朝食を食べている一人の女子生徒が見つめている。
葵は半ば、面白くなさそうな顔を見せながら、向こうの席の輝男をチラッと見る。
「どうしたの? 黒山さん、何だか、機嫌が悪いけど……」
隣の席で食事をしている桜月が、心配そうに呼びかける。
「別に何でも無いわ」
葵は、素っ気無く返事をしながら朝食を食べる。
すると、
「黒山さん、あなた、昨晩、天江君のところに夜這いをかけられなかったものだから、イライラしてるのね?」
朝食のメニューを載せたトレイを手にしながら、理華が葵に言葉をかける。
そのまま、桜月と葵の真向かいに座る理華は、葵が顔を真っ赤にして言葉を詰まらせているのをすぐに認めた。
「その様子だと、図星のようね」
まるで勝ち誇ったかのような笑みを浮かべながら、葵に向かって言葉を続けると、
「先生、こんな時にそんなことを言うのはやめて下さい」
桜月が顔を赤らめながら、居たたまれないといった様子で理華に言葉を返す。
すると、桜月の横で、葵が勢い良く席を立った。
「雨宮先生、どうして、私にそんなことを……!
そもそも、何故、私が夜這いなどというハレンチなことを……!」
恥じらいと憤りが混ざった形相を赤らめながら、舌鋒鋭く反論を試みる。
しかし、理華は、真正面からの憤りにまったく動ずる気配を見せない。
「あら? じゃあ、黒山さんは、夜這いをかけたいなんて、まったく考えていないわけ?」
「当たり前じゃないですか!
勉学の一環である修学旅行で、そのようなハレンチな所業をしようなどと……!」
「ごめんなさい。まさかとは思ったけど、私のとんだ思い違いだったわね」
怒りの収まらない葵を前に、形ばかりの詫びの言葉をかける理華。
理華の謝罪を聞くと、葵は憮然とした面持ちで朝食を再開する。
何も無かったかのように朝食を食べる理華の傍で、桜月はモソモソと朝食を取る。
(先生ったら、今のはちょっと行き過ぎだけど……
でも、黒山さんの心を見抜いているかのようだったわ……)
黙々と食事を進めながらも、朝のあいさつ代わりにからかいの言葉をかけた理華の思惑を読み取ろうとする。
しかし、すぐに、向こうの席で朝食を食べている輝男を、遠くから見つめる。
(せめて、あと一回くらい、修学旅行中にエッチしたいな……
一生、忘れられないくらいの記念の思い出に……)
愛しい男との愛欲の念を心ひそかに募らせる桜月。
しかし、輝男は、桜月、更には、葵の密かな思いに気付かぬまま、他の皆と同じように朝食を食べている。
波乱づくめの第一夜を経て、修学旅行は二日目の朝を迎える。