いつものように熱気がこもる昼休みの教室。だが、今日は三割増しで暑苦しかった。
その理由は、明日から始まる夏休みとかいうイベントのせいだった。クラスメイト達は、部活が地獄だの、海に遊びに行くだのと楽しそうに話している。
だが俺は、そんな教室に居心地の悪さを感じていた。それもそのはず、今日は友人の大輔がいない。
夏風邪でもひいたのかと心配して連絡を飛ばしたら、「拙者は一足先に極楽で待っているでござる」とふざけた返事が返ってきた。
要はサボりである。
かくして俺はボッチと化してしまった。この教室で一人で飯を食べるのはさすがに惨めだ。
俺は弁当を手に教室を離れた。
「誰もいないよな」
屋上へと続く階段を昇る。屋上は立ち入り禁止ではあるが、それ故に誰もいない。
おまけに開放的だ。校則で決まっているからと今まで考えたこともなかったが、昼飯を食べるにはいい場所だ。
そして、屋上へのドアのノブに手をかけた時だった。
「ねぇ、学校でするのやめない?」
聞きなれた声が、壁をはさんだ向こうから聞こえてきた。
入学以来憧れていた存在。三枝美咲だ。
透き通るようなその声は、遠慮がちながら嫌悪感が隠れているように思えた。
「あ? なんだよ。俺の言うことが聞けねぇってのか」
そこへ高圧的な言葉が返ってくる。それは彼女の兄の声だった。
数日前に会った時の好青年ぶりは鳴りを潜め、まるで奴隷へ命令する主人のような口調。
「そうじゃ、ないよ……ほら、もし見つかったらお兄ちゃんだって大変でしょ?」
そんな兄に怯えるように、三枝は覇気のない声で答えた。
だが煩わしそうに兄は一蹴した。
「うるせぇ。とっとと股開けよ」
「あ……お兄ちゃ──」
どこか諦めるような声とともに、どん、という衝撃音が聞こえた。
それは、三枝の体が壁に押し付けられた音であると容易に想像できた。そのまま、がさがさと衣擦れの音が聞こえ始める。
俺は衝動的にドアノブを回そうとした。
『──内田くんは関わらないでおいて欲しいんだ』
が、一週間前の夕暮れ時に言われた言葉を思い出す。それで体の動きが止まった。
俺は所詮、ただのクラスメイトなのだ。友人でも、ましてや彼氏なんてものでもない。だから俺は、あの二人の間に入れない。
「おい。もっと中締めろ」
威圧的な声。兄が三枝に命令する声だ。
ドアの向こうからは乾いた音が聞こえてきている。それと男の荒い呼吸。
俺は、その変えようのない現実から逃げるように背を向けた。
「……いや」
本当は、そんなのただの言い訳だ。
あの二人が付き合っているならいい。多少なりとも愛情があるのならいい。だが、俺にはそうは見えない。
だったらなんとかしてあげたい。あんな、怯えた声を出させたくない。
結局俺は怖いだけなのだ。憧れていた三枝が、他の誰かのものにされてしまっていることが。
その日はぼうっとしたまま残りの時間を過ごした。
教師の話を右から左に聞き流し、気が付くと夕方のホームルームが終わっていた。
特にやることもないのでそのまま帰ろうと思った、その時。
「──三枝」
そそくさと荷物をまとめて教室から出ていく三枝の姿が視界に入った。
──まさか、また兄に呼び出されて。そんなことを想像してしまう。
気づけば俺は彼女を追いかけていた。
廊下を足早に歩く三枝。すらりと伸びたその体は、屋上への階段に向かっていく。
俺に何ができるわけでもない。ただ、何とかしたいという気持ちだけがあった。
「三枝!」
階段の一段目に彼女の左足がかけられたとき、俺はその右手をつかんで引き留めた。
「う、内田くん? どうしたの?」
驚いた顔で三枝は振り向いた。だがそれに構わず尋ねる。
「なにしてんだ。そっち屋上だろ?」
「あ……忘れ物、取りに行こうと思って」
俺の問いに、三枝はばつの悪そうな顔で答えた。
「昼休みのか?」
俺がそう詰め寄ると、三枝ははっとした顔を見せた。
「見て、たの?」
「直接見てはない。ただ、今日の昼飯屋上で食べようと思ってたら、三枝とお兄さんの声を聞いた」
三枝は「そっか」と気まずそうに呟いた。
「なあ、またお兄さんに呼び出されたのか?」
「え?」
きょとん、とした顔。その反応に、思わず俺も「え」と返してしまった。
三枝はそんな俺の顔が面白かったのか、笑いながら答えた。
「違う違う! ほんとにただ忘れ物取りに来ただけだよ」
その言葉に、完全に予想を外されて唖然としてしまう。だが、それで少し安心した。
「あ……そ、そうだったのか。その、悪い、呼び止めちまって」
「ううん、いいよ。……あ、でも誰かきちゃう前に上、行かない?」
まだホームルームが終わった直後だから、廊下の人通りは少ない。だが、少しもしないうちに生徒であふれるだろう。
俺はああ、と頷いた。
「あ、あったあった」
屋上の床に落ちていた箱を拾い上げ、三枝は呟いた。
「なんだそれ?」
三枝が持っているその箱は、テレビのリモコンくらいの大きさだった。
「ああ……これ、ゴムだよ。私が持ってろ、って言われてるの」
ほら、と見せられる。ネットとかでしか見たことがないが、確かに避妊具というものだった。
三枝がそんなものを持ってるのはちょっとショックだった。いや、兄との関係を考えれば不自然なことではないんだが。
ただまあ、こういうのは男が持ってるもんじゃないのか。
「なぁ、三枝」
「うん?」
ゴムの箱をバッグに仕舞いながら、三枝は俺に振り向いた。
「本当はイヤって思ってるんじゃないか。お兄さんとのこと」
思い切ってそう口にした。彼女と関わるようになってからずっと気になっていたことだ。
今日、兄に迫られている場面に遭遇して、ついに我慢ができなくなった。
「それ、は」
三枝は、俺の視線から逃げるように校庭に目を向けた。橙に染まっていくグラウンドでは、生徒たちが部活の準備を始めていた。
「……うん」
そうして、軽く息を吸い込んでから彼女は短く呟いた。
「やっぱり、そうだったのか」
「わかってたの?」
三枝は不思議そうに俺を見た。
「わかるに決まってる。あんなの、俺じゃなくても誰だって」
威圧的に体を要求する兄の態度。あれは、兄妹でも恋仲でもない。ただの一方的な体だけの関係。
「三枝。誰かに相談したほうがいいって。親御さんならきっとなんとかしてくれるだろ?」
しかし、三枝は首を横に振った。
「それはダメ」
「どうしてだよ」
ずい、と思わず彼女に詰め寄ってしまう。すると三枝は、少し迷ったのちにぽつりと呟いた。
「……脅されてるから」
何かを嚙み殺すような声。それは僅かに震えていた。
「脅されてる、って」
「内田くんはさ、ハメ撮りってわかるかな」
「わかる、けど」
それで大体察してしまった。
「お兄ちゃんにいくつも撮られてるの。顔もちゃんと映ってるやつ。学生証付きのもあったかな」
淡々と語る三枝は、俺にもわかるくらいの作り笑いを浮かべていた。それはあまりにも痛ましくて、とても見ていられない。
「……もし親にバラしたら、それをネットにでもばら撒くってことか?」
恐る恐る口にすると、三枝は短く「そう」とだけ答えた。
ふつふつと怒りが沸いてくるのがわかった。表ではいい顔をして彼女までいるのに、裏では妹を脅して奴隷のように扱う、三枝の兄に。
だが、俺じゃなんにもできない。それが悔しくて仕方なかった。
「三枝、何か俺にできることってないか? 俺ができることなんてたかが知れてるけど、なんかしたいって思うんだ」
それでもそう口にしてしまう。事情を知っているのに何もしないなんて、俺自身が許せないから。
「……じゃあ、さ」
短く言葉を区切ると、三枝はおもむろに俺に近寄ってきた。儚げな笑みを浮かべ、どこか危うい色を孕みながら。
そして、俺の目の前まで来て止まった。もう少し顔を近づければ、キスしてしまいそうな距離。
「──本当のエッチ、教えて」
とん、と俺の胸板に顔を埋めて、三枝はただそれだけ口にした。
押し殺したような声。表情も見えないから、彼女がどんな感情を抱いているのか読み取れない。
「私、乱暴で一方的なセックスしか知らない。だから、教えてくれないかな」
「教える、って……わかんねぇよ。俺、童貞だし」
戸惑う俺に、三枝は顔をあげて言った。
「いいの。内田くんなら、きっと優しくしてくれると思うから」
さしたる確証もなくそう口にして、三枝は笑った。夕日に照らされた微笑は、ほんの僅かな綻びで壊れてしまいそうな印象だった。
三枝自身、本当は俺にそんなことは頼みたくないのかもしれない。半ばヤケになっているだけのようにも思えた。
ただ、そこに切実な色があるのは確かだった。
「……それで、三枝が少しでも楽になるなら」
俺が頷くと、三枝はまた俺の胸に顔を埋めた。そうして、「ありがとう」とだけ呟いた。
かろうじて俺の耳に届くくらいの小さな声。それは少しだけ震えていた。
エアコンの効いた部屋。ベッド、机、PC等、最低限のものだけ置いてある俺の部屋だ。
俺以外だと大輔くらいしか入らない場所に、今は三枝美咲がいる。彼女の家は親がいるからということで、まだ両親が仕事に出ている俺の家にやってきた。
そこで俺たちは、傾いた陽が差し込むベッドに二人で並んで腰かけていた。
「……三枝、ほんとにいいのか?」
しばらく続いていた沈黙を破り、俺はそう問いかけた。
「いいよ。──あ、内田くんはイヤかな。私なんかとエッチするの」
「そんなこと──」
思わず三枝を見る。が、そこで言葉が途切れてしまった。
──三枝は、震えていた。ぎゅ、とスカートを握り、俯いたまま。その体をかたかたと震わせていた。
「三枝……怖いのか?」
「え? ──あっ、いや……」
俺に言われてやっと気づいたのか、三枝ははっとした顔を見せた。そしてそれを誤魔化すように笑って見せた。
「あはは……どうしたんだろうね、初めてでもないのにさ」
「三枝」
必死で取り繕う三枝。見るのもつらいその様子に、俺は彼女の手を握った。
「嘘つくな。そんな、無理したって三枝が辛いだけだろ」
思わず声を荒らげてしまった。三枝の体がびく、と反応する。
彼女はほんのわずかに俺を見たが、また顔を伏せて答えた。
「……そうだね。ごめん、君に気を遣わせちゃって」
「三枝が謝ることじゃないだろ」
「そう? 優しいんだね、内田くんは」
変わらず俯いたままだが、その声はどこか安心した色があった。そうして、すう、と息を吸い込んで三枝は続けた。
「本当はね、ちょっと──いや、すごく怖いの。お兄ちゃん、すごく乱暴だから……。君がそんな人じゃないのはもちろんわかってるんだけど、さ」
「だったら──」
やっぱりやめるか、と。すまなそうにする三枝にそう言おうとしたが、彼女に目で止められた。
「だから、教えてほしいの。本当のエッチは痛くて怖いことじゃないって」
俺を見上げる三枝の顔には、わずかな微笑みが戻っていた。それはさっき見せた作り笑いなんかじゃなく、彼女の本当の笑顔のような気がした。
「三枝……」
そうして、三枝はそれ以上何も言うことはなかった。ただ、そっと瞼を落としただけだった。
それが始まりの合図であることは、童貞の俺でもさすがにわかった。
女の子が軽く顔を上げ、目を閉じる。それは口づけを求めるサイン。
それで俺もやっと覚悟を決める。俺じゃ上手くできないかもしれない。だけど、三枝が恐怖を我慢してそれを乗り越えようとしているのだから、それに応えなくちゃだめだ。
昔読んだラブコメ漫画のワンシーンみたいに、三枝の顎をくい、と上げてみる。そして、そこへゆっくりと自分の唇を近づけていく。
少し近づくだけで、ふわりとした三枝の香りが濃くなっていく。心臓の鼓動を馬鹿みたいに速める、女の子の匂い。
そうして、三枝の紅い唇まであと一ミリほどのところで、俺も目を閉じた。
静かで、だけれど少しだけ荒くなっている三枝の息遣い。それを感じながら、そっと唇を押し付けた。
「ん……っ」
ほんの僅かな声が鼓膜を揺らす。それが、俺と三枝の接吻の音色だった。
三枝の唇は、俺が想像していたよりもずっとずっと柔らかかった。雪のように溶けてしまうんじゃないかと不安になるほど。
だけどそこには彼女の温もりと、ふわりとした弾力がある。そこに加わる、細やかな呼吸と香水のような三枝の匂い。
「ん、は……」
それをもっと堪能していたかった。が、緊張で息を止めてしまっていた。そのせいで唇を離してしまった。
三枝はゆっくりと目を開けると、照れくさそうに微笑んだ。
「きす、しちゃったね……」
はぁ、と甘い吐息をはきながら放たれた言葉に、がちがちに固まってしまう。
そうだ。俺は三枝美咲と唇を合わせたのだ。
「……内田くん?」
「あっ、は、はいっ」
心臓はバクバクで、頭の中はてんてこ舞いでうまく返せない。だけどなんとか言葉を組み立ててみる。
「あ……えっと、その。あんま上手く──ってか、へたくそで、ごめん」
だがそうやって出てきたのは無様な言い訳の言葉だった。ムードもへったくれもないと後悔したが、もう遅い。
「ううん。下手なんて思わないよ」
だが三枝は優しく声をかけてくれる。そして、「それにね」と付け足した。
「私、キスは初めて、なの。だから、上手いとか下手とかわからない」
「あ……そう、だったのか」
それはとても意外だった。キスくらい、もう済ませているものだと──
「あれ? それって……」
「うん。──君が、ファーストキス」
くす、と照れを隠すように三枝は笑った。頬を夕焼けとは違う色で染めて、どこか嬉しそうに。
「ねぇ、もっと──えっちなキスも、教えて?」
そのまま、三枝は再び目を閉じた。だけどさっきとは違うところが一つ。
ほんの僅かに、唇を開けていた。
魅入られた俺の頭は、すぐにその先の行為を想像する。唇だけじゃない、その奥の、濡れたものを絡めあう戯れ。
その誘惑に吸い寄せられるように、顔を近づける。今度は彼女の肩をそっと抱きながら。
「んっ──ぁ……」
唇を塞ぐ。それと同時に、恐る恐る舌を差し込んでみた。
するり、と唇の間をすり抜け、熱い口内に侵入する。少しもしないうちに、くちゅん、と柔らかなものと触れ合った。
「んンっ……」
ぴく、と三枝の体が震える。それは恐怖か、それとも快感か。少なくとも俺にとっては後者だった。
だから、より深く舌を突き入れた。ぬるり、と擦れあう熱い粘膜が、ぞくぞくとした感覚を与えてくる。
「んっ、ぁ……んちゅ──っ、ンぁ、あっ……」
それを続けると、三枝の唇の端から甘い声が漏れ始める。骨を通じて直接脳に伝わってくるみたいなそれは、快楽に染まっているように聞こえた。
だから、よりその行為はエスカレートしていく。ぐちゅぐちゅ、と卑猥な音を立てながら、熱い舌を絡める。
ぞくりとした快感が何度も全身を駆け巡り、三枝の唇に夢中になる。熱くて、濡れていて、柔らかい。女の子の感触全部を閉じ込めたみたいな場所。
「んっ、は──ぁ、んむ……っ、ンっ、んぅ……ぁ、ん」
いつの間にか、三枝のほうも舌を動かしてくれていた。ちゅくん、と唾液の音とともに、二枚の舌が絡まりあう。
たったそれだけで、快感は風船のように膨れ上がった。思わず三枝の体をぎゅ、と抱きしめてしまう。
それでも三枝は舌を俺に絡めてきてくれる。いや、さらに深く、濃厚に。
「んンっ──うちだ、くん……っ、んっ、ぁ、ア──ちゅ、ん……ぅ、んく……」
あっという間に俺たちのディープキスは、淫らな水音が響くほど激しくなっていた。荒い吐息と、口の端からよだれをこぼしながら、ぐちゅぐちゅと。
体の芯から際限なく多幸感が昇ってきて、ずぶずぶと夢中になっていく。三枝も同じなのか、俺の服をぎゅっと掴んでこちらに体を密着させていた。
つい数分前に初めてキスをしたばかりだというのに、俺たちはもうこの快楽に夢中になっていた。
「っは……ぁ、はぁ、は──」
それでもさすがに苦しくなってしまって、仕方なく唇を離した。途端、むわりとした熱気が、接吻の残り香のようにあふれ出す。
さらに、引き抜いたお互いの舌の間を唾液の橋がかかっていた。それだけでもくらりとするほどの光景。
「三枝──っ」
もう我慢できず、彼女をベッドへ押し倒した。とさ、と三枝の華奢な体が布団に受け止められる。
彼女は少しだけ驚いた顔を見せたが、すぐに笑顔を取り戻した。
「あは……押し倒されちゃった」
熱い吐息を含みながら、三枝は呟いた。興奮してくれているとすぐにわかった。
そこには、キスをする前のような恐怖はどこにもなく、期待を込めた瞳があるだけだった。
「脱がすけど、いい、か……?」
俺の問いに、三枝は静かに頷いた。
ごく、と唾を飲み込む。決心して、彼女のブラウスのボタンに手をかけた。
それをひとつずつ外していく。緊張で手が震えてなかなか進まない。
それでも一番下まで外し切り、前立てをそっと掴む。そこで彼女の目を見た。
「いいよ。君の好きなようにして──?」
その一言で、最後の枷が外れた。俺は、蝶が羽を広げるように、彼女のブラウスをはだけさせた。
瞬間、目に入る二つの大きなふくらみ。美しいラインを描くその果実は、水色の下着に守られていた。
シンプルながら花の模様があしらわれたそのブラジャーは、清楚な彼女のイメージにぴったりだった。
「あっ……」
そっと両手でその双丘に触れてみる。ふにゅん、とした感触に受け止められるのと同時に、三枝の体が少しだけ震えた。
たったそれだけのことなのに、俺の心臓はひとつギアを上げた。そのまま、今度は軽く指に力を入れて揉んでみる。
「んっ、ぁ……っ」
軽い刺激なのに、三枝の口から甘い声が漏れる。思わずその顔を見ると、ちょうどこちらを見ていた彼女の目線とぶつかった。
「ん……ねぇ、ブラジャー、脱がさないの?」
「えっ」
不思議そうに俺を見ながら、三枝はそんなことを口にした。
「あ……もしかして着たままが好き?」
「い、いやそういう訳じゃねぇけど……」
正直、俺は今の時点でいっぱいいっぱいだ。なのに、生のおっぱいを揉むなんて気絶してしまうかもしれない。
だが、「本当のエッチを教えて」と言った三枝の期待を裏切るわけにはいかない。
「じゃあ、脱がすぞ」
覚悟を決めて三枝の背中に手を回す。ブラの脱がし方は知っている。彼女もいないクセに、エッチの時に備えて以前ネットで調べたことがあった。
ぷち、と小さな音を立ててその留め具を外す。瞬間、ふるん、とその大きな乳が揺れる。
その光景に息を飲みながらも、肩紐も外した。これで、いつでも三枝の乳房を拝める状態だ。
だが、あと一歩手前なその状況で手が止まってしまう。すると、三枝の片手が俺の頬に触れた。
「ふふ……緊張してる?」
「あっ……いや、その……ああ、正直めちゃくちゃ緊張してる」
情けなくそう答えると、三枝は優しげな笑みのまま続けた。
「無理しないで? 君のペースでしてくれればいいから」
本当、三枝はどこまでも優しい。こんなにテンパってたら愛想尽かされそうなものなのに。
だけど、それでいい加減に決心がついた。三枝はずっと俺に気を遣ってくれている。男の俺がそんなんじゃダメだ。
「いや、大丈夫だ。このまま続けるよ」
自分に言い聞かせるように口にする。
そうして、三枝のブラジャーに手をかけた。彼女の体を隠しているそれを、する、と下にずらす。
晒される、三枝の白い乳房。形のいい膨らみと、その頂点の桃色まで、全て。
「さえぐさ……」
それに吸い込まれるように顔を埋める。そして、はむ、と片方の乳首を口に含んだ。
「ぁん……っ」
ぴく、と震える三枝の体。そのわずかな動きですら、乳肉が揺れる。
それを抑えつけるように、もう片方の乳房を鷲掴みにした。そのまま愛撫を始める。
口に含んだ乳首を舌でぺろぺろと舐めながら、片手でぐにゅぐにゅとそのカタチを歪める。三枝の乳房は、同じ人間であることが嘘みたいなほど柔らかい。
片手じゃ覆いきれないその果実は、簡単に俺の五指を沈み込ませてしまう。だけどそれだけじゃなく、むっちりとした押し返しもある。
「んっ……あっ、ぁん、ン……っ」
AVで見た行為を精一杯真似ているだけだが、三枝は可愛い声を上げてくれる。さらに、舌で舐めている乳首が少しずつ固くなっていた。
それをじゅるる、と軽く吸い上げてみる。
「ふぁっ……!」
それだけで、三枝は大きく体を跳ねさせた。三枝の顔に目をやると、恥ずかしそうにはにかむ彼女と目が合った。
それで一気に我慢がきかなくなって、空いている手を彼女の脚の間に伸ばした。スカートの中に潜り込ませ、さわ、と指を触れさせてみる。
「アんっ!」
三枝は、ひと際大きくその肢体を震わせた。もう一度ソコをさすってやると、びくびくと痙攣しながら嬌声を漏らす。
その反応に、ぞくん、と欲望が湧きあがってくる。もっと、三枝が感じているところを見てみたい、と。
俺は下着の上から秘部を擦りながら、乳房への愛撫を激しくし始めた。乳首を思い切り吸うのと一緒に、ぴちゃぴちゃと勃起したソレを舐める。そして、もう片方の乳首は親指と人差し指でつまんで、こりこりと強い刺激を与えてやる。
「んっ、ぁ、ぁんっ……! アっ、ぁ、はぁ……っ、んン──うちだくん……んぁ、あっ、気持ちいい……っ」
俺の不器用な愛撫で零れる、三枝の喘ぎ声。それは媚薬のように、俺の理性を溶かしていく。
もっと彼女を淫らに狂わせたくて、股布の上をさすっていた右手をその下へと滑り込ませた。それと一緒に、三枝の口から「あ……」と何かを期待するような声が漏れた。
それに応えるように、するすると指を滑らせていく。うっすらと茂る陰毛をかき分け、彼女の一番いやらしいトコロへと。
「ンあっ──!」
そして、ぴと、とソコへ触れた瞬間、三枝が大きく反応した。
三枝の秘裂は、もう愛液で濡れそぼっていた。ぬと、と粘液の感触が指先に伝わってくる。
ちゃんと感じてくれていることに安心するのと同時に、俺で気持ちよくなってくれたことがたまらなく嬉しかった。
「内田くん──もっと、いじって……君の指、おまんこに入れて、めちゃくちゃにシて──」
我慢できなくなったのか、三枝は熱い吐息とともにそう口にした。荒く息を吐き、頬を火照らせたその様子に、俺は一瞬で虜になった。
三枝の言葉に従い、指を蜜穴に突き入れる。──と思ったのだが、初めてのせいで位置がわからない。無駄にくちゅくちゅと指を滑らせてしまう。
「んっ……ぁん──うちだ、くん……焦らさないで……?」
そのせいで、三枝に恨めしそうな目を向けられてしまう。
が、それと同時に偶然指先が入口を捉えた。
「はぁ、ん……っ!」
そのままゆっくりと挿入していく。とても小さい穴なのに、簡単に俺の指を受け入れていく。
ナカは俺が思っていたよりずっとどろどろで、彼女の性欲があふれ出ているようだった。それが潤滑剤になって、飲み込まれるように奥へ進んでいく。
そしてあっという間に、俺の指は根元まで入ってしまった。それを恐る恐る少し動かしてみる。
「ぁんっ……んっ、ン──は、アっ……もっと、激しくシて……?」
興奮が高まってきているのか、三枝は切なそうな声でそう口にした。初めて見る、三枝の淫らに欲情した姿に、心臓の鼓動は爆発しそうなほど速まる。
それに突き動かされるように、指をさらに激しく動かす。ぐちゅ、ぐちゅ、といやらしい水音が響き、聴覚がおかしくなりそうだ。
「ンっ、あ、ぁア……んっ、あっ、きもち、イイ……っ、んぁ、は、ァん──っ、おまんこ、もっといじめてっ……!」
びくん、びくん、といやらしく体を痙攣させながら、三枝は甘い声を上げる。恥じらう余裕もないようで、惚けた顔を俺に晒していた。
そんな彼女をもっと悦ばせようと、抜き差しを繰り返す。愛液も奥からどんどんあふれてきてそれに拍車をかける。
三枝のほうも、俺の指を物欲しそうに締め付けてきていた。そんな膣の感触を生殖器で味わうことを想像すると、それだけで射精してしまいそうだ。
「あ……ぁ、アっ、ん……や、なんか、キちゃう……っ、ん、はぁ──っ、あ、うちだくん……私、あっ、もう……っ!」
それを続けているうち、三枝がさらに激しく体を震わせ始めた。さらに、必死な様子で俺の制服にしがみついてくる。
もしかしてイキそうなのだろうか。そう考えたとき、征服欲みたいなものがぞくぞくとせりあがってきた。
その欲望のまま、ぐちゅぐちゅと彼女のナカを弄り回す。ただ抜き差しを繰り返すんじゃなく、指を折り曲げてみたり。
「んっ、ぁ、アっ、イク……っ、だめ、あっ、ダメ……っ、イっちゃう──!」
そして、彼女の声が一際高まったとき、じゅぶん、と限界まで指を押し入れた。その瞬間、はじける様に彼女の体が跳ねた。
「んぁアっ──!!」
それは一度じゃ終わらず、何度も体を震わせる。びくん、びくん、と快感に体が喘いでいるみたいだった。
「は、ぁ……あ、はぁ、はあ……」
それが収まってきたころ、ゆっくりと指を引き抜いた。見てみると、びっくりするほどどろどろになっていた。
「はぁ……あは──イク、って……こんな感じなんだ」
乱れた息が整いきらないまま、三枝は呟いた。天井をぼうっと見つめたまま、けれどどこか満足そうに。
「三枝、イったことなかったのか?」
「ん……うん。すっごく気持ちいんだね……頭、真っ白になっちゃった」
えへへ、と照れくさそうに三枝は笑った。
「ねぇ、私ばっかり気持ちよくなってるからさ……そろそろソレ、挿れちゃおっか──」
ぴと、と三枝の指が俺の股間に触れる。そこは、ぎちぎちとはち切れそうなほど膨らんでいた。
それで頭の中のスイッチが切り替わった。さっきまでは三枝の淫らな姿に夢中になっていたが、今はもう俺自身が気持ちよくなりたくて仕方がない。
俺は三枝に言われるがまま、ズボンのベルトを外す。ずる、と下着ごと下して、自らの肉棒を露わにした。
「え……」
それを目にした三枝は、唖然とした顔で固まった。
「君のおちんぽ……そんなおっきかったっけ……?」
これから三枝とセックスができると期待しているせいか、俺のものはいつもより二回りほど大きくなっていた。
「あ、その……めちゃくちゃ興奮してるから、かな」
はは、と誤魔化すように笑ったが、三枝は俺の肉棒を見つめたまま惚けている。
「あー、三枝? ゴム、三枝が持ってるやつ使ってもいいか」
「え? あ、う、うん……いいよ」
それでやっと我に返って、三枝は頷いた。
さんきゅ、と返して、ベッドの横においてあった彼女のバックの中を探る。箱を手に取り、中の小袋を一つ取り出した。
その中のゴムを、四苦八苦しながらもつけた。これもいざという時のためにつけ方を調べておいてよかった。
「じゃあ、三枝……こっちも脱がすな」
うん、と頷いたのを確認して、スカートの中に手を入れる。そして、女の子の一番大事な場所を守っている布をするすると脱がしていく。
すると三枝は自ら脚を動かして、片足だけぱんつから足を抜いた。そしてもう片方の脚に水色の下着を引っかける。
「内田くん……ほら、ココ──」
三枝は自分から両足を開くと、見せつけるようにスカートをめくりあげた。
そうして俺の目に晒される、三枝のアソコ。中への入り口を閉ざすように、ぴっちりと綺麗なスジが通っている。
三枝は、それを指で開いて見せた。ソコは愛液がとろとろとあふれてきていて、男のものを欲しがるようにひくついていた。
「君のおちんぽ──ココに入れて、気持ちよくなろ……?」
はぁ、と熱い吐息とともに、三枝は甘ったるい言葉を口にした。その誘惑に逆らう術も、理由もない。
濡れたその場所へ、勃起したものを宛がう。さっき指を入れたから、今度は場所はわかる。
「三枝──挿れる、から……」
「うん……いいよ、そのまま──あっ!」
ずぷ、と先端を突き入れた。途端、しびれるような快感が走る。
そのまま三枝の上に覆いかぶさった。彼女の顔と距離が近い。はぁはぁと荒い吐息を直に感じる。
「ん……っ、もっと奥まで、入れて──」
目を見てそう懇願される。それに抗うことなど誰ができようか。
腰に力を入れてずぶずぶと挿入していく。三枝の膣内は、さっき指を入れていた時以上にどろどろだ。
そして、ひだの一つ一つが侵入したそれをぎちぎちと締め付けてくる。それを擦りながら挿入しているのだからたまらない。
「っ……さえぐさ、全部入った……」
そうして、やっと奥まで挿入し終えた。こつ、と子宮口を押す感覚が心地いい。
「んっ……ぁ、うん──おちんぽ、一番奥まで来て……っ、ん、すご、い……っ」
入れただけで気持ちいいのか、三枝は小刻みに体を震わせている。それが俺の興奮をより一層加速させる。
正直に言ってしまえば、このまま彼女の体を獣のように貪ってしまいたい。だが、そんなことをするわけにはいかない。
セックスは痛くて怖いことじゃないと、三枝に教えないといけないのだから。
「三枝……動いても、いいかな」
「ん……いいよ。君が好きなように動いて?」
甘やかすような声色で、三枝は言った。
暴れだしそうになる欲望を抑えながら、ゆっくりと腰を動かす。ずるる、と浅く引き抜いて、もう一度挿入。
「んっ、ァん……っ」
だが、たった一度の抽送なのに信じられないほどの快楽が全身を襲った。以前に三枝に口や手でしてもらったこともあったが、あれより熱く、焼けるような快感。
それをもう一度繰り返す。抜いて、突き入れる。単純な運動なのに、三枝の膣ひだがぐちゅぐちゅと俺の肉棒を愛撫してくる。
気絶しそうなほどの快感だが、一度味わえばやめられない。俺はできるだけ優しく、だけれど何度も抜き差しを繰り返す。
「んっ、あっ……あン……っ、すごっ……は、ぁんっ、あっ、もっと──もっとシていいよ……っ」
甘い嬌声を漏らしながら、三枝が誘惑してくる。そこに含まれた興奮すらも快楽に変わってしまう。
そうして、三枝の言葉に促されるまま、腰の動きを速める。ぱん、ぱん、と乾いた音を立てながら、三枝の膣内を堪能する。
一突きするたび、違った形の快楽が生殖器全体を包んでぞくりとする。それを何度も味わっているのだからたまらない。
「んっ、あっ、あんっ……! おちんぽ──おっきいっ……アっ、んあ、は……っ、や、ぁ、あっ──もっといっぱい突いて……!」
俺が奥まで突き入れるのと同時に、押し上げられるように三枝の口から甘い声が漏れる。その顔は熱く火照り、快楽で緩みきっていた。
「三枝……っ、かわいい、な……」
淫らでありながら可憐なその様子に、自然とそう言葉が漏れる。
「えっ……ん、ぁ……や、ダメ、そんなこと、いわないで……っ、んっ、は、っあんっ……!」
だが、何のひねりもない俺の言葉に、三枝はわかりやすいくらい照れた様子だった。しかも、それと一緒に中の締まりがさらによくなる。
それでまた激しく腰を動かしてしまう。お互いの肌と肌が熱くぶつかり、漏れ出した液の音まで混ざり始める。
ぱちゅんぱちゅんとその卑猥な音とともに、射精欲も同時に昇ってくる。
「あっ、ぅあ……っ! んっ、あんっ……すご、あっ──すご、い……っ、私、あっ、わたし、イっちゃうっ……!」
絶頂が近いのは三枝も同じようで、その言葉と一緒に体の痙攣も激しくなっていく。膣の締め付けもどんどんきつくなり、精液を搾り取ろうという意思すら感じる。
蜜穴の誘惑に流されるまま、奥を何度も抉る。どちゅ、どちゅ、と子宮口を犯すみたいに。
そんなことをしていれば、すぐに白濁はせりあがってくる。このまま、三枝の中で、温かい膣肉に包まれたまま果てることしか考えられなくなる。
「三枝っ、さえぐさ──っ、イク、出る……っ!」
「うんっ、わたしもぉ……っ、あっ、イク、いくっ、ひぁああっ──!!」
どくん、と心臓が止まりそうな衝撃と一緒に、凝縮された精を吐き出した。どぶん、どぶん、と脈動するたび、全身を気絶しそうな快感が襲う。
三枝も同じように気持ちいいのか、びくんっ、びくんっ、と大きく体を痙攣させている。その姿でまた興奮して、奥から白濁が汲み上げられてくる。
「んっ、は、ぁんっ……ん、アっ……すご……おちんぽ、どくどく、って……ぁ、っあ……いっぱぁい……」
恍惚とした声とともに、三枝は俺の射精を受け止めてくれる。それに甘えて、体が求めるまま精液を最後まで吐き出し続けた。
「ん……ぁ、精液、止まった?」
「ああ──もう出ない……からっぽだ」
射精が終わったら一気に疲労感が押し寄せてきた。そのまま三枝に体を預けて眠ってしまいたいくらいだ。
「ふふ……童貞卒業おめでとう。──なんちゃって」
息も絶え絶えな俺に、三枝はそんなことを言った。甘い吐息を吐く、照れくさそうな彼女は、誰でも惚れてしまいそうなほど可愛かった。
「あっ……いや、その。ちゃんとできたかな、俺」
三枝を直視できず、苦し紛れにそう問う。
「うん、すっごく気持ちよかった。……エッチって、本当はこんなに気持ちよくて、幸せなことなんだね」
三枝は目を閉じて、さっきまでの行為を噛みしめるようにそう口にした。その顔を見ながら、嬉しいとも思いながら、彼女の今までの経験を思って少し悲しくなった。
「三枝」
「え──んっ……」
それをごまかす様にそっと彼女の唇を塞いだ。