「あー……あっちぃー」
キーボードの打鍵音と蝉の鳴き声が響く教室は、真夏の暑さに包まれていた。俺の隣でパソコンに向かっている大輔は、その熱で潰れていた。
「熱いのは今更だろ……それより手を動かしてくれ」
かちゃかちゃとデスクトップパソコンに向かいながら大輔に言葉を返す。
「僕の担当はほぼ出来てるんだがー」
「そりゃわかってる。問題はシナリオだろ。なんでもいいから案を出してくれよ」
えー、と気怠そうな返事が返ってきた。それに引っ張られるように、こっちもなんだかやる気がなくなってくる。
インドア派の俺たちがなぜ夏休みなのに学校に来ているのか。それは部活動のためだった。
俺たちは「パソコン研究会」というものに属している。その名の通りパソコンと睨めっこするのが好きなやつらが集まる部活だ。今この教室には十人くらいの部員がいるが、全員キーボードを叩いている。
「シナリオが出来ないとやべぇぞ。文化祭間に合わねぇって」
「つってもあと二ヵ月っしょー? よゆーよゆー。明日から本気出す」
「それ昨日も聞いたぞ。お前の明日はいつ来るんだよ」
二か月後に迫る文化祭。我が部はそれぞれの作品を公開することになっている。個人で洒落たWebサイトを作ってるやつもいれば、数人のグループでアクションゲームを作ってる奴らもいる。
俺は大輔と組んでRPGを作っている。RPGは文化祭で出すには向かないと思ったが、デモ版をその場でプレイさせて完全版を販売するというプランで固まった。
が、肝心のゲーム制作は難航していた。
「最悪外注しちゃえばよくね?」
「キャラの絵を依頼したせいでもう金がないだろ」
そういえば、とイラストの依頼をした本人が思い出したように言った。イラストだけは俺たちじゃどうにもならないので、割り当てられた部費をほぼ全部使ってフリーのイラストレーターに依頼した。
これ以上金を使うのならば、ポケットマネーから出すしかない。だが、俺たちは特別金持ちでもなければバイトもしていない。
「はー……僕らで考えるしかないかぁ」
「最初からそう言ってるだろ……」
気楽な大輔に半ば呆れてしまう。が、大輔がシステム周りの開発を約八割担当していることもあって、あんまり強く言えない。
とりあえずやる気になってくれただけで良しとしよう。
「んじゃまとりあえず優一が書いたシナリオ見してくんろ」
かちゃ、と眼鏡を正して、大輔は俺のパソコンのディスプレイを覗き込んできた。まだ書きかけのテキストファイルを大輔がふーん、と言いながら読んでいく。
「ははぁ、なるほど」
読み終わった大輔は、椅子にぎし、と体を預けた。
「なんかあれですな。ドラクエとFFを足して五で割った感じ」
「え、ひど」
「これでもお世辞なんだが」
ますます酷い。
「い、いやこれまだ書きかけで──」
「どーせ中盤のドラゴンのくだりが伏線で最終決戦で隠された力を開放してー、とかそんな感じでしょ?」
ジトっとした目で俺を見ながら大輔はそう指摘してきた。
悔しいことにそれはバッチリ当たっている。俺は力なく頷くしかできなかった。
「とりあえずこれはボツで」
大輔は俺のキーボードに手を伸ばし、書きかけのファイルを保存もせずに閉じやがった。
「あー! なにすんだお前ぇー!」
「どーせこれじゃダメだって。人生諦めが肝心」
噛みつく俺に大輔は、はいはい、と適当にあしらった。
だが、ボロクソに言われたせいで俺もあんまり面白いシナリオじゃないと思えてきた。
「じゃどーすんだよ。ほかにシナリオ書いてねぇぞ」
「んー、とりあえず勇者が魔王倒すっていう大筋は決定っしょー? 問題はその過程とか設定よなぁ」
珍しく難しそうな顔をして大輔は考え込む。それにならって俺もアイデアを思い浮かべてみる。
「あ、そうだ。最近流行ってる転生とかどうよ」
ぽん、と浮かんだものをそのまま口に出す。が、大輔は呆れた顔を見せた。
「いや、それもう古いから。少なくとも『最近流行ってる』ってレベルじゃないぞよ」
「え」
完全にまだ流行りの真っ盛りと思っていた。
「てか転生にしたとしてさ、魔王倒すまでどうすんのよ」
「え? そりゃもらった力で無双して──」
「ただ無双するだけじゃつまらんくない? てか無双ゲーでもないのに敵瞬殺したらゲーム的にも退屈じゃん? クソゲー待ったなし」
確かにそうだ。暑さで頭がやられているのか、そんなことにも考えが及ばなかった。
「あー……もうぜんっぜん思いつかねぇ」
それ以上アイデアが出てこず、背もたれに体を預けた。気分転換にと窓の外へと目を向ける。
校庭では、運動部がこの暑い中部活動に勤しんでいる。その中、一人の男子生徒が目に留まった。
たった今鋭いシュートをゴールネットに叩き込んだその男子生徒は、三枝の兄だった。その姿だけ見ると、ただの熱心なサッカー部員だ。
そう思っていると、ちょうど休憩になったのか他の部員と一緒にグラウンドの隅に引き上げていった。そこで、マネージャーらしき女子にドリンクを渡されていた。
彼女は、あの時三枝の兄とキスをしていた女子生徒だった。同じ部活だったのか。
「三枝のお兄さんってサッカー部なんだよな」
「うん? 急にどしたん?」
思わず口にした言葉に、大輔は首を傾げた。
「ああ、いや……ちょうど部活してんのが見えたから」
「ふむ。三枝さんに関係のあることだから気になる、と」
「んなこと言ってねぇ。お前の耳どうなってんだ」
俺の突っ込みに、大輔はぐへへと気色悪い笑みを返してきた。
「そういえば何か進展はあったのかねぇ? 優一クン?」
そのままのテンションで尋ねてくる大輔。こいつの前で三枝関係の話題は出さないほうがいいと後悔した。
「……ちょっと連絡とるくらいには」
「え、マ?」
ああ、と返す。
嘘ではない。三枝と致した後、良ければまたしたい、と彼女のほうから申し出があり、連絡先を交換した。それ以来、頻繁にではないがメッセージのやり取りをするようになった。
「これは予想外。……が、やるじゃないの!」
ばんばん、と背中をぶっ叩かれる。
大げさなそのリアクションはちょっとウザいが、そんなに悪い気もしなかった。こういう時に素直に祝福してくれるところは、大輔のいいところだ。
「はいはい、さんきゅ。それよりゲームの方が問題だろ?」
照れくさくなってしまって、強引に話題を変えた。大輔はまだ何か言いたそうだったが、引き下がってくれた。
が、結局その日はいいアイデアも出ずに部活の時間が終了した。
「はぁ……シナリオかぁ」
夕飯を済ませたあと、自室でパソコンに向かいながら一人呟く。ディスプレイには物語の作り方について書かれたWebサイトが映し出されている。
だが、それらを読んでもイマイチいいアイデアが出てこない。思い浮かぶのはどこかで見た展開ばかりだった。
「ん」
とりあえず一晩寝れば何か思いつくか、と現実逃避しようとした時だった。机に置いてあったスマホが振動した。
大輔かと思って手に取って画面を確認する。そこには三枝美咲の名前があった。
時計に目をやると、時刻は午後八時を回るところだ。特段遅いわけでもないが、こんな時間に何の用だろうか。
「はい、もしもし」
「あ、三枝です。内田くん?」
スピーカーからは当然ながら三枝の声が聞こえてきた。電話越しだからなのか、いつもより無機質な声に感じる。
「珍しいな。どうしたんだ?」
「突然ごめんね。今、会える?」
「え?」
思わず聞き返してしまった。
「会えないかな。今。すぐ」
三枝らしい落ち着いた声色。だが、言葉の端々に急いている印象を受ける。
「会える、けど……どうしたんだよ」
「ごめん。何も聞かないで。とにかく会ってほしいの」
戸惑いながら聞いた俺に、三枝は即答で同じ答えを返した。
きちんと礼儀をわきまえる彼女が、何一つ理由を話さないことにどこか焦燥感を抱いた。
「わかった。今どこにいる?」
「学校。近くのバス停の待合所で待ってる」
三枝は必要な情報だけを俺に伝えた。明らかにいつもの様子じゃない。俺は「すぐ行くから」とだけ伝えて電話を切った。
そのあとは財布とスマホだけ持って家を飛び出した。両親には適当な理由をでっち上げておいた。
住宅街を息を切らしながら走る。夏の夜は涼しいとはいえ、走って汗をかいているせいで体は気持ち悪かった。
「三枝!」
電話での彼女の言葉通り、三枝は小さな待合所のベンチに座っていた。背もたれに体を任せ俯いていた。
俺が声をかけると、三枝はゆっくりと顔を上げた。見慣れた夏服姿。だが、こんな遅くに彼女がそんな姿で学校にいるのは不自然だった。
「あ……内田くん」
ぽつり、と呟くように三枝は言った。それに返事をしようと思ったが、全速力で走ってきたせいで膝に手をついてしまう。
「はぁ、は……わるい、遅くなっちまって……」
「ううん。急に呼び出した私が悪いもの。ごめんね」
顔を上げて三枝の顔を見る。特段変わった様子は見られない。しなやかな黒髪も、控えめなその言葉も。
ただどこか、儚げな笑顔が悲しげな印象を与えていた。
「ねぇ」
三枝はベンチから腰を上げると、俺の手をとった。
「ホテル、行こ」
ただ一言、三枝は口にした。俺に顔すら向けず、どこか遠くを見るような目で。
「えっ……な、どうしたんだよ突然」
およそ三枝らしくない言動に動揺を隠せない。だがそんな俺を前にしても三枝は態度を変えない。
「ラブホテル。行こうって言ってるの」
特別棘のある言葉ではないが、いつもより語気が強い。氷のように冷たい印象すら受ける。変わらずこっちを向かないこともそれに拍車をかけている。
ただ、俺の手は彼女に握られたままだ。ぎゅっと俺の左手を掴んでいる三枝の温かい右手は、容易く振りほどけそうもないほど強い力が込められていた。
「……わかったよ」
きっと今は何を言ってもダメなんだとなんとなく悟る。だから俺は三枝の言葉に素直に従った。
彼女はちらりと俺を見ると「ごめんね」と消えてしまいそうなほど小さな声で呟いた。
三枝に手を引かれるまま夜の街を歩き、あっという間に俺はラブホテルに連れ込まれてしまった。男のくせにホテル連れ込まれるとか情けないな、なんて呑気なことを考えている余裕はなかった。
とりあえず部屋に入り、三枝と二人でベッドに腰掛ける。初めて感じるホテルの空気に、いやに心臓がドキドキしてしまう。
「ごめんね」
張り詰めるような空気の中、沈黙を破ったのは三枝だった。落ち着ける場所に来たからか、外にいる時よりは温かみのある声だった。
「突然こんなとこ連れてきちゃってさ。わけわかんなかったよね」
自嘲気味に三枝は笑った。やっと見せてくれたその表情には痛ましさがある
「いや……別にいいよ。なんかあったんだろ?」
俺に問われた三枝は、一瞬表情を固まらせた。そしてそれを隠すように俯き、うん、と頷いた。
それから再び無言の時間が訪れる。俺はそのまま待った。俺が何か言ったところで、逆効果にしかならないと思ったから。
「あの、さ」
時計の秒針が一回りしたくらいのところで、ようやっと三枝は切り出した。
「お兄ちゃん、サッカー部のエースなんだ」
「知ってる?」と問われ、一応、と頷く。
「大学の人とかにも注目されてるみたいで、色々知り合いもいるんだって。……それで、今日大学の先輩たちと会ってたみたいなんだ」
いま一つ話が見えないが、黙って三枝の言葉を聞く。
三枝は一つ一つ絞り出すように言葉を繋いでいた。その様子から、彼女にとってこの話が到底軽い話ではないことを物語っていた。
「私、そこに呼び出されて」
三枝はそこで一度言葉を切った。そうして、きゅ、とスカートを握りしめて続けた。
「──輪姦されてたの」
その言葉が耳に届いた瞬間、俺の思考は完全に凍り付いた。あまりに予想外過ぎる事実に、脳が拒否反応を起こしたのだろう。
だが麻痺した頭は、勝手にその場面を想像してしまう。汚らわしい男たちに囲まれて、犯される三枝の姿を。
「君に電話する少し前まで。……一時間くらい、だったかな」
それで一気に怒りがこみ上げる。体中の血液が沸騰しているみたいで、暴れだしそうになる自分を必死に抑える。
なぜ。どうして。三枝は何も悪いことなんかしてないのに、なぜそんな目に遭わなければいけないのか。
「ねぇ、内田くん」
唐突に俺の名前を呼ばれて、三枝の顔を見た。輪姦された、という重い事実を一つ話し終えたからなのか、先ほどよりもその声に柔らかさが戻っている。
だが、取り繕うような笑顔でその顔が染まっていた。明らかに強がっているだけ。まだ泣き出してくれたほうが安心する。
そのままで三枝は続けた。
「──慰めて、くれないかな」
僅かに目を伏せて俺から視線を外しながら三枝は呟いた。囁くようなそれは微かに震えている。
「慰める、って……」
「君の、体で」
とん、と三枝の体が俺の肩に寄りかかる。俺が支えていなければ崩れてしまいそうなその体。温かいその体温が少しだけ俺を安心させる。
「この前君とエッチしたとき、すごく気持ちよかった。……だから、それで忘れたいの。今日のことなんか、全部」
耳元で囁かれる、三枝の言葉。そこには懇願の色がある。それが三枝の突き刺さるような悲痛な思いを伝えてくる。
「いいよね? 君だって、えっちなこと好きなんだからさ」
くす、と見透かしたように彼女は笑う。そこへ俺が言葉を返すより先に。
「ん──」
ずい、と体をさらに寄せて、俺の唇を塞いだ。その感触を俺が理解するのとほぼ同時。
「んっ……ぁ、ん──っ」
ぐちゅ、と押し入るように三枝の舌が突き入れられた。無理やり俺の唇をこじ開けるその行為は、三枝らしくない。
そのまま俺の舌を絡めとられる。一瞬で味覚器官を三枝の熱と味が支配する。それは媚薬のように、否応なしにこちらの情欲に火をつけた。
「ん、ちゅ……っ、んぅ、っン──! ぁむ……っ、ん、ぁンっ、ちゅっ……!」
唾液が飛び散るのも構わず、三枝は互いの舌を擦り付ける。快楽と熱を強く求めるように。
その勢いと濡れた快感に、俺は成すすべなく彼女を受け入れるしかできない。だが。貪るようなその行為は、必死に縋り付いてくるようにも思えた。
「ンっ、は……ぁ」
口の周りが唾液でどろどろになる頃、三枝はようやく唇を離した。口の中で混ぜ合わせた涎が糸を引いている。
それでもまだ足りないのか、三枝は名残惜しそうな目をしていた。
「おちんぽ……勃起させてあげる」
きゅ、と膨らみ始めた俺の股間を優しく掴むと、荒い吐息とともに三枝は言った。そこに含まれた、むせ返るような女の色気に眩暈すら覚える。
俺の返答を待つことなく、三枝はベッドからおりて俺の目の前にしゃがみこんだ。そのままかちゃかちゃと手早くベルトを外される。
「腰、上げて?」
ズボンを下着ごと手にかけて三枝は俺を見上げた。有無を言わさないその目に流されそうになるが、踏みとどまって口を開いた。
「ま、待てって! 三枝、いいのかよ。こんな風に──」
ただ辛いことを忘れるためだけのセックスなんて。前に三枝自身が言った、「本当のエッチ」とは程遠い。
「いいの。もう、全部忘れたいの。……だから君は、私のこと使って気持ちよくなればいいよ」
だが、どうでもいいとばかりに三枝は答えた。自分の体を顧みないその言葉に、ずきん、と胸が痛んだ。
だが、俺の貧相な頭じゃ彼女を癒す手段が思いつかない。だったら、三枝がしたいようにするのが正しいのだろうか。
そう思った俺は、三枝に従って腰を浮かせた。すぐさま、ずる、と下半身のものが露出させられる。
「ん……もう、ちょっと勃起してるんだね。もっとおっきくしてあげる。──ぁむ」
控えめに三枝の唇が開かれ、そこへ甘勃起した先端が包まれる。そのままくぷぷ、と竿の中ほどまでが飲み込まれた。
彼女の熱と濡れた粘膜の感覚が一気に流れ込み、背筋がぞくぞくする。
「んっ、んン……っ、ぅ、ン……っあ、む……っ」
そうやってただ彼女の口内に包まれているだけでも気持ちがいいのに、三枝はそれを動かし始めた。じゅる、と卑猥な音とともに、唾液で濡れた竿を彼女のぷにぷにとした唇が滑っていく。
そこから伝わる焼けそうな快感も強烈だが、彼女の小さな口に陰茎が抽送されている光景も刺激的だ。さらに三枝の目は惚けたような妖しい色が宿り、咥えている俺のものをぼうっと見つめている。
「ンは、っ……」
じゅぽん、と子気味いい音を立てて、生殖器が引き抜かれる。三枝の涎で濡れたソレは、もうがちがちに勃起していた。
それをうっとりとした目で見上げる三枝。まるで彼女が俺の肉棒に跪いているよう。
「おちんぽ──おっきい……」
そのまま陶酔するような声で呟く。その色香にどきん、と心臓が高鳴る。
「ねぇ、内田くん……私の頭、掴んで?」
「え……?」
耳を疑った。彼女の言葉に意味はわかる。所謂、イラマチオというプレイ。
だが、男側が女の子の口を好きに犯すそれは、やや乱暴な側面がある。三枝がそんなことを要求するのは予想外だった。
「遠慮しないで──? 君のおちんぽだけで頭のナカいっぱいにされたいの……。だからほら、私の頭つかんで、ぐぽぐぽって好きに動かして──」
はぁ、と熱い吐息が勃起したものにかかる。それが彼女の誘惑をさらに蠱惑的なものにする。
躊躇はする。だが、その先にある快感を想像して、欲望が燃え上ってしまう。
「三枝、ほんとにいいのか……?」
最後の確認をした俺に、三枝はただうなずくだけだった。
俺はそっと彼女の頭を両手で掴む。なめらかな黒髪の感触が心地いい。
そのまま彼女の顔を肉棒の先端に近づけていく。そうするほどに熱くなる彼女の吐息が興奮を誘う。
「んっ──ふ、ぅ……っ」
くちゅ、と小さな水音とともに三枝の唇が触れる。しびれるような刺激。
そこからさらに頭を引き寄せる。するとさしたる抵抗もなく飲み込まれていく。
ずぶぶ、と鮮やかな色の唇を擦りながら、濡れた熱が包んでいく。もうそれだけで極上の快楽。
だが俺を見上げる彼女の目は、もっと、と言っている。それに俺だってもっとその感触を味わいたい。
「ん、ンふ……っ、ぅ、んン……」
さらに引き寄せる。いや、押し込むといったほうが正しいか。
興奮でがちがちのソレで彼女の口を独占するように、奥まで挿入させる。少しだけ苦しげな音も漏れるが、三枝に抵抗の意思は見えない。
「んっ、ぅン……っ、ふ、んぶ──」
そうして根元まで挿入しきった。生殖器全体が彼女のどろどろの口に包まれて気持ちがいい。さらに、亀頭の部分は三枝の喉奥まで押し入り、きつい締め付けまである。
喉をふさがれた三枝は、ふー、ふー、と鼻で荒く息をしている。それなのに、彼女の目は期待に満ちている。
酔ったような眼差し。まるで「動かして」とせがんでいるよう。
「ん──んぶっ! んっ、ぅンっ……っぐ、んンっ──!」
だから、そのまま動かし始めた。がっちりと三枝の頭を掴み、前後に。
ずるる、とカリまで引き抜き、一気に喉奥まで挿入。それを幾度となく繰り返す。
いけないことだと思っているのに、興奮が抑えられない。濡れた舌と口内の感触が、罪悪感を快楽で塗りつぶしていく。
「んっ、ンぶ、んっ……! ぅぶっ、んっ……ン、んぐっ……ぅ!」
じゅぶん、じゅぶん、と淫らな水音がラブホテルの部屋に響く。そこへ三枝の呻き声が混ざる。だがそこに嫌悪感はなく、悦んでいるようにすら聞こえる。
だから、彼女の頭を好きに揺さぶる手は少しも止められなかった。まるで自慰行為の道具のように、三枝の口を気持ちよくなるためだけの穴として使う。
弾力のある唇とぬめった粘膜を擦りながら挿入し、きつい喉奥に受け止められる。そんな快楽、止めようがなかった。
「んっ、ぅンっ、んぶぅ……っ! ぅぐ、んぶ──っ、んぁ、ぉごっ……んンっ!」
その行為が加速していくにつれ、三枝の声も熱くなっていく。そしてふと気づいた。口淫とは別に、くちゅくちゅと水音が聞こえてくることに。
その源にはすぐ気づく。三枝はなにやら片手をごそごそと動かしていた。俺からそれがなにかは見えないが、自慰行為をしていると容易に想像できた。
それが一気に快感を引き上げてきた。俺だけじゃなくて、三枝もこの行為に興奮し、気持ちよくなっているのだから。
「三枝っ、さえぐさ……っ、気持ちいいっ、もう出る……っ」
ぞくぞくと射精感が昇ってくる。陰嚢で作られた白濁液が、せまい尿道をかき分けてくるのがわかる。
それを三枝の小さな口に吐き出すのを想像する。どぶどぶと精液で思い切り口内を犯すのはさぞ気持ちがいいだろう。
そう考えてしまったのが、最後のとどめだった。
「三枝、イクっ……!」
「んっ──! んンっ、ぐっ……ぅ!!」
どびゅん、と最初の塊が吐き出される。それが三枝の喉奥を撃ち抜くと同時に次の射精。
びゅるん、びゅるん、と凝縮された精液が三枝の口の中を遠慮なく犯していく。
「んっ……んぶ、んっ……ぅ、ぐ……ンっ、ん……っ」
それでも三枝はいやな顔一つせずに受け止めてくれる。どくどくと際限なく溢れる白濁を、こく、こく、と喉を鳴らして嚥下する。
初めて味わった背徳的な行為で、いつもより大量の吐精をしてしまう。三枝がそれを飲み込むたびに伝わるわずかな振動すら射精のための快感に変わってしまう。
「んっ……んっく──」
そしてようやく精液が止まった。でも三枝は残ったものを搾り取るように、じゅるる、とソレを吸い上げてくる。
くすぐったくて体を震わせてしまったが、三枝はそんな俺に嬉しそうに目を細めた。
「ん、は……ぁふ……」
吸いだし終わったのか、やっと三枝は口を離した。解放された陰茎は唾液で濡れているが、精液はすべて彼女が舐めとってくれたようだった。
「ねぇ……まだ、できるよね」
ちゅ、と亀頭へキスを落とし、三枝が問うてくる。期待の色があるそれに、流されるように頷いた。
すると三枝は立ち上がって、おもむろにスカートの裾をつまんだ。そしてそれをするするとたくし上げていく。
「ほら──見て……私のおまんこ……」
晒される彼女の秘部。本来、下着に守られているはずのそれは、股布がずらされていた。
ピンク色の三枝のアソコは、もうどろどろになっていた。さっき自分で慰めていたせいだろう。
それを前にして、また情欲に火がついてしまう。
「もう欲しくてたまらないの……だから、君のおちんぽでめちゃくちゃにシて──」
興奮で染まった声で三枝が誘惑する。初めて三枝と交わったときよりずっと濃い色香に、俺の本能が勝手に彼女を求める。
それを見透かしたのか、三枝は立ったままベッドに手をついて見せた。
「後ろから突いてくれない、かな」
さすがに恥じらいが残るのか、頬を染めて三枝は言った。可愛らしいその様子に、俺も立ち上がって彼女の後ろに立つ。
そして、突き出されている尻を守る下着に手をかけた。それをするすると膝のあたりまで落とす。
晒される、肉付きのいい白い尻肉。巨乳に目が行きがちで意識していなかったが、三枝は尻も魅力的な膨らみがある。
お互いに上半身は服を着たままなのに、下半身は生殖器まで丸出し。そんな、セックスをするためだけみたいな姿に興奮がまた高まる。
「んっ……」
そこへ両手でそっと触れてみる。瑞々しく、滑らかな感触。きっと三枝の体はどこを触っても、こんな風に心地よい肌ざわりなのだろう。
少し力を入れて揉んでみると、ぐにゅ、と弾力があるのがわかる。乳房よりも少し押し返しが強い印象。
こんな柔肉へ腰を打ち付けたら、さぞ気持ちがいいだろう。そんな想像をしながら、自らの肉棒をその割れ目へと這わせた。
「あ……三枝、ゴムつけるからちょっと待っててくれ」
そこで避妊具の存在を思い出した。この前は三枝のを使わせてもらったが、あれ以来財布に一個入れるようにした。
「やだ……ナマでして」
が、三枝は切なそうな声で俺を止めた。こちらに顔を向けた三枝は、もうたまらないとでも言いたげな目をしていた。
「いや、生はまずいだろ。妊娠したら──」
「今日大丈夫な日だから、お願い……君のおちんぽ、直接感じたいの──」
躊躇する俺を恨めしそうな目で見ながら三枝は言う。
「ねぇ、いいでしょ……? ゴム無しでなんてお兄ちゃんにもさせてないから──君がナマのエッチ、私に教えて──?」
その言葉はチョコレートのように甘く、俺の自制心を壊すには十分だった。
片手で肉棒をつかんで、三枝の濡れた場所に狙いを定める。そのまま少し腰を押し込むと、ちゅ、と先端が彼女の花弁と触れ合った。
「ん……そのまま──ぁうっ!」
軽い力で腰を進めると、三枝の秘部は簡単に亀頭を受け入れた。その衝撃に押し上げられるように彼女の口から声が漏れる。
そのままずぶずぶと挿入していく。中も当然どろどろで、熱い愛液が奥からあふれてきていた。
「んっ……ァ、あっ、ぅ──すご、い……っ、ぁ、ンっ、おちんぽ、おっきい……っ」
びくびくと体を震わせながらはしたない声をあげる三枝。
三枝の膣肉は、突き入れられた陰茎を我が物にしようと絡みついてくる。ピストンなんかしなくても、その愛撫だけで果ててしまいそうだ。
「っ……三枝、入った──」
そうして、三枝の一番奥までは簡単にたどり着いた。
ちゅぽ、と彼女の子宮口と俺の先端がキスをしているのがわかる。どろどろに濡れて、柔らかな肉がみっちり詰まったソコは、俺のものを逃がすまいときつく締め付けてくる。
「んっ……ぁ、アん、うん──奥までおちんぽでいっぱいに、あっ、されて──すごい……っ──ねぇ、もう動いて……んっ、ンぁ、動物の交尾みたいに、ぐちゃぐちゃに犯して──」
そんな、最高に気持ちいい状態での誘惑。それに逆らえるはずもない。
尻肉を押さえつけるようにしたまま、ゆっくりと肉棒を引き抜く。そしてぎりぎり抜けきらないところで、一気に奥まで挿入した。
「んあぁっ!! アっ、ぁんっ、ぅアっ──! あっ、すご……っ、んぁ、あん……っ、激しっ……はっ、ぁはっ、んっ……!」
ぱん、ぱん、ばちゅ、ばちゅ。後先考えず、本能のままに三枝の尻肉に腰を叩きつける。
乾いた音を立ててぶつかるたびに、尻が波打つのが煽情的だ。そして、一突きごとに突き抜けるような快楽が全身を襲う。
三枝はそんな俺の動きに、髪を振り乱して喘いでいる。与えられる快感を我慢することなく声を上げるその姿に、一層興奮は高まる。
「んっ、あっ、アっ……! ん、はぁっ、あぅっ──おちんぽ……っ、おっきいっ、んぉ、あっ、ンっ──おく、えぐられちゃってる……っ!」
三枝の声が熱くなっていくのに合わせて、膣内の締め付けが強くなっていく。にゅるんとした柔肉がぎちぎちと肉棒をとらえて離さない。
それを擦りながらピストンすると、それに応えるようにひだが愛撫してくる。それをゴムなしで直接味わっているのだからたまらない。
でももっと三枝の感触を感じたい。三枝の言葉通り、隅々まで貪りつくすように犯してしまいたい。
「三枝っ、三枝──っ!」
「あっ、うちだくん──っ、ぁンっ……!」
がば、と後ろから三枝の体に覆いかぶさった。そして両手をその体の正面にまわし、だぷだぷと揺れる乳房を鷲掴みにした。
激しいセックスで敏感になっているのか、乳首を触ったわけでもないのにその体が跳ねた。それに構わずぐにゅん、と揉んでやると、俺を欲しがるように膣肉がきゅん、と反応する。
「ンっ──ぁうっ、おっ……ひぁ、ァんっ! あっ、ダメっ、だめぇ……っ、おっぱい触られるの、ぁ、あんっ、おかしくなるっ……! あっ、ア、あぅ……っ、んぁアっ!」
両手はたわわな巨乳、下半身は膣肉と尻の感触を感じる。女の子の気持ちいいところ全部味わうような行為に、どくどくと射精感があがってくる。
三枝もそれを欲しがるように、ぬちゅりと膣ひだが絡みついてくる。子種を搾り取るようなそれに、雄としての生殖本能が沸き上がる。
このまま、その柔らかな濡れた感触を味わいながら、どぴゅどぴゅと精液を吐き出したい。種付けしてしまいたい。
「ぁ、あンっ、あっ……おちんぽ、膨らんで──っ、あっ、ぁん、はぁ、アっ……! そのまま射精してっ……アっ、ん、あん、わたしも、あっ、イっちゃうっ……!!」
その気持ちを止めることなんか到底できない。三枝だってそれを望んでいる。だったらこのまま、何も考えず二人で果ててしまいたい。
ばちゅんばちゅんと乱暴に腰を振って、精液を吐き出す準備をする。両手の乳肉も好きなだけ形を歪めて、三枝のことも気持ちよくしながら。
そうして少しもしないうちにそのときがやってくる。一気に彼女の体が痙攣し、ぎゅう、と肉棒を締め付けられる。
「出るっ、三枝……っ、イク、いっく……!!」
「んっ、ア、あっ──私もっ……! イク、イクイクっ……イッくぅううっ──!!」
ぱちゅ、と思いっきり腰を叩きつけて、子宮口へ亀頭をえぐりこませた瞬間。俺たちは二人で絶頂した。
どくん、どくん、と半固形の白濁が先端から放出される。それが三枝の子宮へ際限なく注がれていく。
「あっ、ア、あ……すっご……せーし、んぁ、中出しされて……っお──あっ、またイクっ……」
再度、きゅん、と膣肉に絞られる。それがまた射精の勢いを強くさせる。
三枝の大事な場所を自分のものにするように、どぶどぶと白濁が吐き出される。頭の中は真っ白で、快楽が全身を包んでいる。
ただ体が勝手に子種を三枝に注いでいる。それに身を任せるのが信じられないほど気持ちよかった。
「はぁ、……あっ、ア……んぁ、あ……気持ち、よかった……」
絶頂がおさまった後も、その余韻が体を包んでいる。頭がふわふわして、三枝のこと以外何もかもどうでもいい。
「あ……ちから、はいんない……」
ぷつ、と糸が切れたように三枝が体勢を崩してしまう。それを支えようとしたが、こっちも倦怠感がすごくて支えきれない。
一緒にどさ、とベッドにうつぶせに倒れてしまった。さすがに重いだろうから、繋がりをほどいて三枝の横に体を寝かせた。
「ん……うちだくん」
三枝は顔だけこちらに向けて俺を呼んだ。それに振り向くと、甘えるような声で続けた。
「もっと──えっちして……」
満たされた顔をしながら、それでも三枝はそう言った。それだけ今日のことは彼女にとって最低なことだったのだろう。
なら、最後まで付き合おう。俺にはこれくらいしかできないのだから。
「ああ……いいよ」
なんとか体を起こし、三枝の体を仰向けに転がす。そして、その両脚を軽く開かせる。
その間の割れ目からは、さっきの精液がどろどろとこぼれてきていた。だらしなく溢れるソコに蓋をするように、ずぶ、と生殖器を突き入れた。
「ぁンっ!」
びく、と三枝の体が跳ねる。それに構わず、一気に奥まで突き入れた。
「三枝、動くぞ──」
「うん……私と君の──ぐちゃぐちゃに溶けちゃうくらいシて……」
甘えきったその声にうなずき、俺は腰を動かし始めた。
その夜、三枝は何度も俺を求めてきた。縋りついてくるような彼女を拒むことなんて到底できず、俺も三枝と交わり続けた。そして何度もその濡れたトコロへ精液を吐き出した。
そうしていつの間にか力尽き、二人で繋がったまま眠りについてしまう。いやらしい熱と匂いが充満したラブホテルの一室で、彼女のぬくもりを感じながらの眠りはひどく心地よかった。