溶けるような暑さが続く八月。夏休みもそろそろ終わりが見えてきたというのに、猛暑は相変わらずだった。
そんな日に、俺と三枝はわざわざ学校に来ていた。
「いやぁ、おなか空いたね」
がらり、と空き教室の扉を開けながら、夏服に身を包んだ三枝は笑いながら口にした。
「まったくだ。ちょっと熱中しすぎたよな」
今日はパソ研の活動は無い日だから、本来は家でごろごろしているはずだ。だが、三枝がいいシナリオを思いついたらしく、急遽その打ち合わせをすることになった。大輔も誘ったのだが、「二人でごゆっくりー」と気を使ってくれたので欠席だ。
ほんのついさっきまで部室で議論やらなにやらをしていたのだが、昼食の時間になったので一度中断してきた。
「窓開けるね」
窓際の机に弁当包みをおいて三枝は言った。そして近くの窓を開けると、涼しい風が吹き込んできた。今いる教室はこの時間、ちょうど日陰になって過ごしやすい温度になっている。
「じゃあ食べよっか」
「おう」
机ごしに向かい合わせに座る。そして、吹き込んでくる風に黒髪をなびかせながら、三枝は言った。
俺もそれに返事をしながらコンビニの袋を机に置いた。弁当なんて普段作らないから、俺の昼食はコンビニのおにぎり二つだ。
「いただきます」
二人で手を合わせる。
しゅる、と桃色の弁当包みをほどき、弁当箱の蓋を開ける三枝。色とりどりの野菜や揚げ物なんかがバランスよく盛り付けられていた。
「お、三枝の弁当すごい綺麗だな。自分で作ったのか?」
「一応ね。でも別に大したもの作ってないよ?」
三枝は照れくさそうに笑って言った。
謙遜しているが、十分大したことあると思う。だし巻き卵なんかは素人目に見ても完璧で、口にせずとも美味なのが伝わってくる。
「すごいな。俺なんか料理全然しないから尊敬するよ」
「そう? ありがとう。私、親が共働きだからさ、昔から結構自分で作ってたんだ」
そうなのか、と納得する。
三枝は割となんでもこなせて、大人びているところがある。きっと、以前から自分のことは自分でなんとかしてきたのだろう。兄もあんな様子だし。
そのまま他愛ない会話をしながら昼食を取る。だが、俺はおにぎり二つだけだから先に食べ終わってしまった。
「……ねぇ、それだけで足りる?」
残ったごみをまとめている俺に、三枝がそう尋ねてきた。
「まあ、そこそこ」
曖昧な返事を返す。正直ちょっと足りない。が、別にもっと食わなきゃ死ぬほどでもない。
「私の、ちょっと食べる?」
「え、いや平気だよ。三枝の弁当なんだから三枝が全部食べていいんだ」
嬉しい言葉だったが、身を引いた。しかし、三枝は優しくはにかんで続けた。
「実を言うとちょっと作りすぎちゃったんだ。だから、食べもらえると助かるなぁって」
「あ、そうなのか?」
その言葉で、自然と三枝の弁当に目が行ってしまう。見ると食べたくなりそうだから意識していなかったが、女の子の三枝が食べるには少し多い気もする。
「じゃあお言葉に甘えることにするよ」
俺がそういうと、三枝は嬉しそうに頷いた。
そして、弁当箱の中の唐揚げを箸で一つ取ると、はい、と俺に差し出してくれた。
「ほら、口開けて?」
「えっ」
予想外の言動に、一瞬固まってしまった。
いや確かに三枝の意図するところはわかるが。突然そんなことされるとびっくりする。
「いやいや、三枝なにしてんだ」
「だって君、お箸とか持ってないでしょ? だったらこうするのが一番じゃない?」
言われてみれば確かにそうだ。
さすがに手づかみで食うのは行儀が悪い。三枝の前ならなおさら。
「ほら、あーん」
そして何が面白いのか、にこにこと笑いながら三枝は俺に唐揚げを差し出してきた。
ちょっと躊躇はする。が、その善意を無碍にはできない。
ぎこちない動きで、あー、と口を開ける。するとその口へそっと唐揚げを運んでくれた。
「ん……うまい」
ぱく、と口にしてその味を噛みしめる。カラッと揚がった衣と、ジューシーな肉。お店で出てくる唐揚げみたいに美味だった。
「ほんと?」
「うん。めちゃくちゃ美味しい」
ごく、と飲み込んでから、素直な感想を口にした。すると、三枝は満面の笑みを浮かべてくれた。
「よかったぁ。君にそう言ってもらえるとすごく嬉しいよ」
「そ、そうか? だったらなにより」
嬉しさ全開といった様子の三枝に、こちらも嬉しくなってくる。
それと一緒にふと思う。なんだかまるで──
「ふふ。なんかさ、恋人みたいだね」
俺が思っていることとまったく同じことを三枝は口にした。
だが、すぐにはっとした顔に変わった。どうやら思わず口に出てしまったようだ。
「あ、えっと……」
三枝は俺から目を反らすと、言葉を探すように思案し始める。
ここ二週間ほど、三枝はおそらく意識して男女の関係らしい行為を避けていた。セックスはもちろん、キスや手を繋いだりといったことをしなかった。
それはきっと俺や、三枝自身が辛い思いをしないようにと気を使ってくれているのだ。互いに好きだと思っているのに、恋人同士にはなれないから。
だから、今の言動は三枝にとってはミスだったのだろう。そしてまた、取り繕うように笑うのだ。
「三枝」
でも俺はその顔を見るのが嫌だった。だから。
「あ、うちだくん──んっ……」
その肩を引き寄せ、小さなその唇を塞いだ。
突然のことで無防備なその粘膜を、優しく啄む。久しぶりに触れた彼女の唇は、前に味わった時となにも変わっていない。そのことに安心した。
俺の熱で溶けてしまいそうなほど柔らかくて、心地いい弾力もある。きっと、何度唇を重ねても飽きることはないだろう。
「っは……ぁ……」
甘い接触を幾度か繰り返した後、ゆっくりと唇を離した。目を開けると、名残惜しそうな三枝の瞳と目が合った。
「内田くん……だめ、だよ」
それでも、彼女の自制心がそう口にさせてしまうのだろう。
「どうして」
「だって、こんな幸せなことしたら……」
戻れなくなる、と。三枝は接吻の感触を思い出すように、唇に指を添えながら言った。
「別に戻れなくなったっていい」
今度はその顎に手を添える。すると、三枝の目に期待が宿る。本当は三枝だって求めてくれている。
その事実に、心が震えるほど嬉しくなってしまう。俺は三枝が好きで、彼女もまた俺を想ってくれているのなら、触れ合うことの何がいけないというのか。
「三枝──好きだ」
心からの言葉を口にして、再び顔を近づける。三枝もそんな俺を拒みはせず、そっとその瞼を落とした。
そのまま、俺を待つ紅い唇へ──
「おい」
あと少し、というところだった。がら、という音と一緒に、俺たちだけの時間を何かが邪魔した。
俺と三枝は互いに目を開け、その声の方を向いた。教室の入口、開いたドアには一人の男子生徒が立っていた。
「おにい、ちゃん……」
驚き、というよりは怯えに近い声で三枝が口にする。
学校指定の運動服をまとったその男子生徒は、三枝の兄だった。彼は無言のままつかつかとこちらに向かってくる。
驚いて固まったままの俺たちはそれをただ見ているしかできなかった。
「てめぇ人の妹になにしてんだ!」
次の瞬間、ごっ、と鈍い音が聞こえた。がしゃん、と椅子から転げ落ちた時に、自分が殴られたのだと理解した。
それと一緒に左頬からずきずきとした痛みが伝わってくる。口の中には血の味。どこか切ったらしい。
「美咲、お前もだ! 俺に隠れてこんなやつと!」
憎しみが込められた声。そっちを向くと、三枝は兄に腕をつかまれて罵声を浴びせられていた。
そのまま彼はぐい、と三枝の腕を引っ張り、どこかへ連れて行こうとする。
「ついてこい。立場ってモンをわからせてやるよ」
見ると、三枝の兄は醜悪な笑みを浮かべていた。きっとまた、三枝のことを道具のように犯すつもりなのだろう。今はキレているからいつもより乱暴に。
ふつふつと怒りが沸いてくる。俺が殴られたからじゃない。三枝がまた自分勝手に体を好きにされるのがどうしようもなく許せなかった。
「……ちょっと、待ってくださいよ」
立ち上がって、三枝の兄の肩へ手をかける。三枝を連れて行こうと俺に背を向けていた彼が、顔だけこちらに向ける。
ぎろ、と威圧的なその目にちょっとビビるが、引くわけにはいかない。
「いきなり何すんですか。痛いんすけど」
精一杯の強がりをして言い返す。
すると彼はくる、と俺の方へ向き直った。俺より身長も高く、運動部にいるおかげか体格もいい。
「人の妹に手出そうとしてただろ。だから殴った。文句あるか」
「別にいいでしょ。レイプしてたわけじゃありませんし」
あんたと違って、と言いたかったがそれはやめた。それを口にすると三枝にまで危害が及ぶかもしれない。
さすがに自分がしていることの自覚はあるのか、彼はわずかに怯んだ。
「その手、離してあげてくださいよ。三枝嫌がってるじゃないすか」
その勢いのまま続ける。が、そんな言葉に従ってくれるはずもなく、強気で言い返してきた。
「こいつには今から用があんだよ。好きに口出しすんじゃねぇ」
「はあ。用ってなんすか」
わかってるが、すっとぼけて口ごたえする。その態度がイラついたのか、彼は眉間に皺を寄せて答えた。
「んなことなんでお前にいう必要あんだよ」
「へえ。人に言えないような用事なんすか」
にや、と意地悪くにやけて口にする。今までのことで、こいつには相当鬱憤がたまっている。陰湿な手段だが、それを今ぶつける。
「ほら、なんの用事か教えてくださいよ。そうじゃないと納得できないんすけど」
が、調子に乗って口にしたその言葉で癪に触ったのか、彼は怒りを露わにして口を開いた。
「ごちゃごちゃうっせぇんだよ!」
そしてまた、ばき、と顔を殴られる。今度は右頬。ろくに運動もしてない俺は、なすすべもなく床に倒れこむ。
「内田くん!」
三枝の悲痛な声が聞こえる。だが、そんな彼女はまた腕を引っ張られて連れていかれてしまう。
それだけはさせない。派手に体を打ったせいでいろんなところが痛むが、そんなことで怯んでいられない。
「三枝!」
立ち上がり、兄に掴まれているのとは逆の手を握る。そしてそのまま思い切り俺の方に引っ張った。
俺を殴って油断していたのか、あっさりと兄の手からするりと抜けた。そのまま三枝を後ろに下がらせて、その前に立つ。
「てめぇ」
振り向いた三枝の兄は、憎悪の込められた目で俺をにらみつける。よほど頭にきているのが手に取るようにわかった。
「あんま舐めたことしてるともっと痛い目見るぞ」
さすがにちょっとビビる。三枝のことだからここまで虚勢を張れるが、普段なら逃げ出してるところだ。
だが、ここまで来てしまったらその虚勢を突き通すしかない。今までは三枝を慰めてあげることしかできなかったが、もうそんなのは嫌だった。
「そうすか。でも暴力沙汰にして困るのは先輩なんじゃないんですか」
「証拠もねぇのに問題になんかなんねぇよ」
ぽきぽきと指を鳴らしながら、三枝の兄が近づいてくる。その顔には強者の余裕とばかりに笑みを浮かべていた。
正直めちゃくちゃ怖いし、ここからどうするかなんて考えてない。が、後ろで俺のシャツをぎゅっと掴む三枝を差し出すなんてできなかった。
そして、俺の目の前に彼が立つ。俺より二回りほどでかい彼の体は威圧感があった。そのまま彼が拳を振り上げた時だった。
「おーい、達也ー!」
廊下からまた別の男子生徒の声が聞こえてきた。その声に一番最初に反応したのは三枝の兄のほうだった。
どうやら達也というのは彼のことのようだ。そして、俺を憎しみのこもった目で一瞥すると、廊下のほうへ駆けていった。
「もう休憩終わってるぞ、達也。監督キレてるって」
「マジ? すぐ行く」
呼びに来た男子生徒と軽く言葉を交わすと、三枝の兄は急いで廊下を走っていった。
その足音が徐々に遠くなり、やがて聞こえなくなる。そこで一気に体の力が抜けた。
「はぁー……」
すとん、と近くの椅子に体を預ける。
「内田くん! 大丈夫!?」
そこへ三枝が俺の顔を覗き込んできた。
そして殴られた場所を見ると、必死な顔でつづけた。
「こんなに赤くなって……ほんとにごめんね!」
「なんで三枝が謝るんだよ」
緊張が解けたせいか、場違いな笑いがこみあげてしまう。それが余計三枝を心配させてしまったのか、俺の手をとって言った。
「立てる? 保健室行くよ!」
「え、いや別に……」
「いいから!」
必死な様子の三枝は、こちらの同意を待つことなく俺を引っ張って保健室に向かった。
「いって!」
頬の傷に消毒液が染み込み、思わず声を上げてしまう。
「ごめんね? ほら、もうちょっとだから」
心配そうな声で言いながらも、三枝はまた消毒液付きのガーゼで頬を覆ってくる。ちょっと痛いが、真剣な様子の三枝に素直に従った。
夏休みだからか、保険の先生は不在だ。だからこうして二人きりの保健室で、ベッドに座って三枝に手当をしてもらっている。
「はい。これで平気かな。まだ痛い?」
「ん、まあちょっとだけ。でも大丈夫だよ。ありがとう、三枝」
礼を言った俺に、隣に座る三枝は申し訳なさそうにううん、と首を横に振った。
「ほんとにごめんね……私のせいでこんな怪我させて」
「だから、三枝は悪くないだろ」
さっきから三枝はずっとこの調子だ。俺が怪我したのは彼女の兄に殴られたからなのに、三枝はそれを自分の責任だと頭を下げる。
「てか、どっちかといえば俺のせいだろ」
「え?」
俺の言葉に、三枝は困惑した顔を見せた。
「だって、俺がお前にキスしようとして、それをお兄さんが見ちまったからああなったんだ。自業自得だよ」
「それは──」
三枝は何か反論したげだったが、それを遮って続ける。
「せっかく三枝が気を遣ってくれてああいうこと控えてたってのにさ。俺は自分がしたいからってキスしちまった」
お互いに辛くなるから、その理由もあるだろう。だけど、今日みたいにもし見られてしまったら俺に危害が及ぶのは必然だ。三枝はそうならないようしてくれていたのに。
俺はそれを踏みにじってしまった。三枝に触れたいから、我を通してしまった。
「……でも」
ぽつりと三枝が呟く。そのまま、三枝は目を伏せて言った。
「私は嬉しかったよ。君がキスしてくれて」
そうして、俺に顔を向けて口を開いた。
「だから──さっきの続き、しよっか」
寂しげに、だけど確かに笑みを浮かべて三枝は言った。
そして、ゆっくりと俺へ顔を近づけてきた。その先の行為は、考えずともわかった。
「ん──っ」
くぐもった声が漏れ、二つの唇が重なった。ふわりとした女の子の匂いが鼻孔を満たし、幸福感に包まれる。
そのまま三枝はくちゅ、とより深く重ねてきた。それを迎え入れるように、三枝の首に手を回す。
「ん、ン……っ、ぁむ……っん──」
くちゅ、と濡れた音を立てながら唇を愛し合う。ぴたりと吸いつく互いの粘膜は、溶け合ってしまいそうな感覚。
はむ、はむ、と角度を変えながら何度も重ねあい、その快感を共有する。だけど少しもしないうちにもっと濃厚なものが欲しくなる。
「ん……っ、れろ──っ」
先に我慢できなくなったのは三枝だった。わずかに開いた唇の隙間に、ぬちゅん、と舌を滑り込ませてきた。
唇よりずっと熱く、濡れたソレは、すぐに俺の舌へ絡みついてきた。そのままくちゅくちゅと唾液を混ぜ合わせるように擦り合わせる。
「ん、んンっ……! ぁ、んっ……んむっ、ん……っ!」
湧き上がる欲望に任せて、突き入れられた舌を吸う。驚きか快感か、三枝の体がびくん、と反応した。
それに構わず、じゅるる、と吸い上げた舌を愛撫する。ぬちゅぬちゅと卑猥な水音を響かせながら、自分のと絡み合わせる。
「ん、ぁン……っ、ちゅ、んちゅ──ぅ、ぢゅ、んぁ……っ、ン……」
濡れた音とともに濃厚なキスを続ける。ぞくぞくとした快感が際限なく与えられて、ずぶずぶと夢中になっていく。
すると、三枝の手がそっと俺の下腹部に触れた。それは少しずつ下へとおりていき、固い膨らみにたどり着いた。
「っぷは……ぁ……ん、もう元気になってるね」
三枝は微笑みながら言うと、じー、とズボンのジッパーをおろした。その中へ手を入れ、固くなった肉棒をそっと掴む。
「おちんぽあっつい──手で気持ちよくするから、もっとおっきくして?」
そのまま外へ陰茎を露出させると、三枝はソレをしこしこと扱いてきた。きゅ、と強く握られ、何度も上下にこすられる。
始めたばかりにしては激しい動きに、強烈な快感が昇ってきた。それが欲望を燃え上がらせ、もう一度彼女の唇を塞いだ。
「んっ……!」
それと一緒に、両手をその豊満な胸へ触れさせる。形も大きさも極上のソレは、下着と制服を隔てても柔らかさがわかる。
それを好きにぐにゅぐにゅと揉みしだく。五指全部に弾力と柔らかさが伝わってきて、一層興奮する。
「んっ、ぁ、あん……っ、んむ、ちゅっ、すき……ぁ、ん……っ、すき……!」
キスの合間から漏れる声には隠しきれない色香が混ざりだす。舌同士でくちゅくちゅと濡れた戯れをしていることもそれに拍車をかける。
三枝も昂ってしまうのか、俺のものを扱く速さはどんどん増していく。そんな快感に、我慢汁もすぐに溢れだし、三枝の細い手指を濡らす。
「ンっ……ん、ぁむ……っ、うちだく……ん、ちゅ、んはっ……んむっ、ン……っ!」
淫らな三枝の声と、激しくなっていく手淫。与えられる快楽はまるで媚薬のようで、三枝への欲望は燃え上っていく一方だ。
たまらず、三枝の制服のボタンに手をかける。それをぷちぷちと一番下まで外し、ぱさりとはだけさせた。
そして背中に手をまわし、ブラのホックを外す。拘束が緩み、ぶるん、と波打つ三枝の乳肉。
我慢なんかできず、それをぐにゅ、と揉みしだいた。たゆんだ下着の隙間に手を滑らせ、思うがままに生の乳房を愛撫する。
「あっ……ぁ、んむ……っ、アっ、ん……! んっ、あっ、ふぁ……きもちい、んン……っ、ぁ、ん……!」
興奮のせいか、ふくらみの頂点の乳首は固く勃起していた。それをくりくりと弄ぶと、簡単に三枝は感じてくれる。ぎし、とベッドが軋むほど体を震わせながら。
それに応えるように、キスと手淫で三枝が求めてくる。俺の口腔全部を犯すように口の中を舐めまわし、その熱を染み込ませてくる。そして、肉棒を扱く手は精液を搾り取ってくるみたいに激しく、先走りの汁でぐちゅぐちゅといやらしい音が響いている。
その快感で、生殖器は限界ぎりぎりまで勃起している。今すぐにでも三枝のナカを貪りたい気持ちでいっぱいだ。
「ン、は……っ、ぁ……」
三枝の方から唇を離される。激しいディープキスで、口の周りはどろどろだった。
そのまま、むわりとした吐息をはきながら三枝は口にした。
「シよ……」
よほど興奮しているのか、ただ一言だけ。だが、たったそれだけで俺も同じ気持ちにされた。
三枝は俺にベッドに上へ座るように促した。それに従うと、三枝も同じようにベッドの上に上がってきた。
「ぱんつ脱ぐから、ちょっと待ってね……」
俺に背を向けて、三枝はするするとスカートの下のショーツをおろしていく。わざとやっているのか、形のいい尻肉がさらされる様子を目の前で見せつけられる。
しばしそれに見とれていたが、俺もベルトを外して下半身に身に着けているものを全部脱いだ。
「じゃあ、挿れるから──君は座ってていいよ」
「ああ、わかった。……あ、ちょっと待て。ゴムを──」
ポケットの財布に入れていたゴムを取ろうと、脱ぎ捨てたズボンに手を伸ばす。が、ぱし、とその腕を掴まれた。
「いらない。──ナマでいいから」
「三枝、でも」
「いいの。私、今日大丈夫な日だから」
こちらに向けられた三枝の顔は切なさで染まっていた。正直、その言葉が本当なのかはわからなかった。
だが、有無を言わさない三枝の様子に、頷くしかなかった。
「それじゃ……おちんぽ、ハメちゃうね……」
陶酔するような声で口にすると、三枝は勃起した俺のものをそっと掴んだ。そしてそれを、自らの秘部へ向けさせる。スカートに覆われて見えないが、きっともう濡れているのだろう。
「ん……っ」
ゆっくりと腰を落とすと、互いの性の象徴が触れ合った。それと同時に震える三枝の体。
そのまま三枝は躊躇せずに腰を落としていく。じゅぶん、と先端からその膣に飲み込まれ、ずぶずぶと奥へ押し入っていく。
「んっ……あ、アっ、んぁ──おちんぽ、おっきい……っ、あ、あっ……すっごい……」
三枝の膣内は当然のようにどろどろで、濡れた感触がこれでもかと伝わってくる。だけど締め付けはきつく、いくつもの膣ひだがぎゅう、と愛撫してくる。
そうして、少しもしないうちに一番奥までたどり着いた。ぴと、と尻肉が腰に押し付けられるとともに、子宮口が亀頭に吸いついてくる。
「ん、ぉ……っ、あ、すご……もう気持ちいい──ぁん、ぁ……だめ、我慢できない……」
しばらくしていなかった分溜まっていたのか、三枝はすぐに腰を動かし始めた。ぬぷぷ、と膣肉の感触を与えながら腰を浮かせ、快感を爆発させるようにずぷん、と一気に押し込む。
それが何度も、激しく繰り返される。挿れたばかりだというのに、獣の交尾のようなセックスだ。
「んっ、あっ、アぅ……っ、ん、あっ、すご……っ! あっ、アんっ、おちんぽ……っ、あっ、は、はぁっ……あっ、きもちい……っ!」
ぱんぱん、と乾いた音を立てながら、何度も腰を叩きつけられる。それと一緒にじゅぷじゅぷと濡れた膣肉で肉棒を扱かれる。
腰全体が気持ちよくて、三枝のことだけで頭をいっぱいにされる。三枝も夢中になっているようで、綺麗な黒髪を振り乱して快楽によがっている。
学校だからいつもより声は抑えているようだが、その色香は情欲を煽って仕方がない。
「あン、あっ、ぁ、あうっ……あっ、すき……っ! ん、あっ、ぉ、ン……っ、あっ、うちだくん……っ、大好き──っ、あっ、んぉ、ひあっ……!!」
激しさを増す性交に押し上げられるように、三枝の気持ちが口からこぼれ出る。気持ちよさと嬉しさがごちゃまぜになり、快感が何倍にも膨れ上がる。
その欲望に突き動かされるまま、後ろから三枝を抱きしめる。そして、むき出しの両胸をぐにゅん、と思い切り鷲掴みにした。
「あっ──! あっ、んぁ、ア──っ、おっぱい、きもちい……っ、ん、あっ、んオ……っ、すご、あっ、だめ……っ、おかしくなる……っ!」
唐突な乳房への快感で、さらに乱れる三枝。そんな彼女をもっと狂わせたくて、好きにその乳肉のカタチを歪める。
するとそれに応えるようにナカの締まりがよくなる。きゅっと肉棒が抱きしめられて、ひだひだで幾度も愛撫される。
「んぁ、アっ、はぁ、あ……っ! すご……っ、あっ、おちんぽすっごい──っ、ア、んお、あっ……イっちゃう、ぁ、っお、んオ──っ、だめ、あっ……イっく……!」
びくん、とひと際強く三枝の体が跳ねる。どうやら先に果ててしまったようだった。あれだけ激しく俺に打ち付けていた腰も止まった。
だが、俺は痙攣したままのその体を抱きしめ、膝立ちにさせた。
「え……内田くん、なにして──オっ! あっ、んぁ、あっ……だめ、あっ、イってる、おっ、んぁ、あっ、イってるからぁ……っ!」
さらにびくびくと痙攣するが、それに構わず腰を振る。どちゅんどちゅんと子宮口を犯すように、何度も奥まで亀頭をえぐり込ませる。
するとさらに強く膣肉が締め付けてくる。そこに軽い痙攣まであるのだからたまらない。
「あっ、だめっ……あっ、イッぐ、あぅ……っ! すご……っ、イク、イック……っ、あっ、オっ、んぉ……っ、ほぉ、あっ、イッグ……!!」
獣のような喘ぎ声が三枝の口から漏れて、また三枝の絶頂が近づいてくるのがわかった。それは俺も同じで、激しい膣肉の締め付けと柔らかいおっぱいの感触に、どくどくと精液が昇ってくる。
「三枝、俺もイク……! でる、でるっ、三枝──!」
「あっ、あぅ、んオ……っ! あっ、イっちゃう、あっ、んぉ……っ、あっ、しんじゃう、あっ……しんじゃうよぉ……っ! あっ、イクっ、イクイク……っ、いっぐぅう──!!」
ばちゅん、と思いっきり奥へ肉棒を押し込んだ瞬間、どぷん、と絶頂した。一気に枷が外れたように、びくびくん、と三枝の体が痙攣する。
そこへ遠慮なく白濁液を注ぎ入れる。どぶっ、どぶっ、と快楽の半濁液が何度も出ていく。
「あっ……ぉ、オ……っ、いっく……あっ、すご──せーし、でて……っお、あ……イくのとまんない……っ、あっ、あ……またイク……っ」
三枝がずっとイってるせいか、射精中も限界ぎりぎりの締め付けが続く。最後の一滴まで絞りだすようなそれに、気絶しそうな快感が襲う。
意識を繋ぎとめようと、両手に包んだ胸を優しく愛撫する。柔らかなその果実の感触は、甘い幸福感で全身を満たしてくる。
「は、あ……ぁ、すご……いっぱい、出されちゃった──」
ようやく互いの絶頂が終わり、三枝は振り向いて笑った。
「抜くね──んっ……」
ずるん、と温かいトコロから肉棒が引き抜かれる。あんな激しいセックスをしていたのだから当然だが、互いの生殖器はどろどろになっていた。
三枝の蜜穴からは愛液とも精液ともわからないものがこぼれだしている。そして、時折ぶぴゅ、といやらしい音と一緒に勢いよく白濁が飛び出てくる。
「三枝──」
そのみだらな光景をもっと眺めていたかったが、我慢して三枝を抱きしめた。
そのままベッドに座り、彼女を俺の体に寄りかからせる。温かい三枝の体温が安心する。
「────」
そうして彼女を抱きしめたまま、何を言うでもなく時間が過ぎる。愛し合った余韻を楽しむにはそれで十分だった。
でも。
「あの、さ」
ふと、三枝が口を開いた。その口調は、さっきまでの甘えた声ではなく、どこか真剣な色が強かった。
「もうさ──これっきりにしない?」
「え?」
突然の言葉に、俺は困惑した声を出してしまう。
「これっきり、って……」
「君とこういうこと……ううん、私と君が関わるの」
「な──三枝、何言って……」
戸惑う俺に、三枝は顔をこちらに向けた。その瞳には、いくつも涙が浮かんでいた。
「だって辛いじゃない……。君にこうして抱きしめてもらってるときはすごく幸せ。……だけど、恋人にすらなれないなんて、そんなの耐えられないよ……」
ぽろぽろとこぼれる涙が、いくつもベッドに落ちていく。俺はそんな彼女になんて言えばいいかわからない。
「だったら、私たちって関わらないほうがいいのかな、って……それに、君が今日みたいにひどいことされることもない」
さす、と俺の頬の傷を撫でながら、三枝は言った。
こんなのなんてことはない、という言葉は飲み込んだ。そんな言葉は意味がない。
俺がどう思うかじゃない。辛いのは三枝なのだから。
三枝はそのまま泣き出してしまった。慰めの言葉すら見つからず、俺はそんな彼女の髪をなでてやることしかできなかった。
その後、俺たちはすぐに帰ることにした。三枝の言う通り、一緒にいたらただ辛いだけなのだ。
「さよなら」
別れ際、三枝はただ一言だけ口にした。寂しげなその口調は、本当にもうこれっきりのような感覚さえした。
だけど呼び止めることはできなかった。今はきっと、離れることが最善なのだ。
が、だからといって諦めるわけにはいかない。いや、諦めていたのは今までだ。俺では三枝の状況を変えられないと勝手にあきらめていたのだ。
ポケットからスマホを取り出し、電話をかける。
「はいはい、太田でーす」
「もしもし。内田だけど」
のんきな大輔の声が聞こえてきた。
「ちょっと頼みたいことがあるんだけど」
「えー? 明日でいいすか?」
「だめだ。できるだけ早く。なんなら来週発売の『お姉さんリゾート』買ってやる」
以前から大輔がほしいほしいと言っていたエロゲだ。それを聞いた途端、大輔の声色が変わった。
「え、マジすか」
「マジだ。だから頼み事聞いてくれるか」
俺の言葉に、大輔はもちろんですとも、と調子よく答えてくれた。その返答に笑みがこぼれる。そんな大輔に感謝しつつ、口を開いた。
「大輔。お前ウイルスって作れるか?」