前回までのあらすじ
幾四音に想いを伝えるための大イベント「夏休み」が始まろうとしていた。俺らは夏休みの予定を立てるため、駅前のファミレスに集合して決めることにした。俺とのあが目的の場所へと着くと、なんとそこにはあの黒鉄さんが!話を聞くと、どうやら俺らが夏休みで遊びたいことを聞いていたらしく、混ざりたかったらしい。俺らはもちろん大歓迎!というか、黒鉄さんに言われて断るなんてできるわけがない。というか、こんな間近に黒鉄さんがいるよりも、幾四音が隣に来た時の方がドキドキしてるなんて、俺も本格的にやばくなってんな………
近い!近すぎる!なんでコイツが近くにいるだけでこんなにも身体が熱くなるんだ!?昔からやっていることだろ!?だめだ!余計なこと考えるともっと意識しちまう!落ち着け……落ち着け俺……
「ありゃ、もうドリンク切れちまった、とってくるかぁ」
「はいはーい!僕もとってくるよー!」
「あ……じゃあ私も……」
「お前らもなんか飲むだろ?注いできてやるよ」
「お!さんきゅ〜じゃあ俺はコーラで!」
「んーーじゃあメロンソーダで」
「お……俺もコーラで」
「りょーかい」
そう言ってプロパチ、ダイス、黒鉄さん達は立ち上がり、ドリンクバーの方へと歩いていった。ふぅ、だいぶ落ち着いて話を聞けるようにもなったな。
「そういや久しぶりだよな。こうやって俺たちだけで話すってのも」
「そうだなぁ」
「高校生になってから、なかなか昔のように遊べてなかったからなぁ〜」
「基本的にお前の野球で遊べてねぇんだけどなぁ」
俺らがまだ小学生の頃は、本当に毎日のように遊びまくっていた。夏休みにはプールや虫とりや夏祭りなどで遊び、冬休みにはみんなの親連れてスキー場に遊びに行ったりなど、毎日が楽しかった。しかし、中学生になると幾四音が本格的に野球を始め、なかなか遊べる時間がなかった。それでもたまにある休みの日には数々の場所に行った。1人がかければその日の遊びはなし。3人で遊ぶことが当たり前だった。
「そういや幾四音、夏休みの予定とかどうなったんだ?」
「ほい、これ予定表」
そう言って幾四音はカバンの中に入っていた予定表を取り出した。
「ほほう、意外と休みは中盤に固まってんなぁ」
「お盆休みとか諸々がそこらへんだからな」
よくみてみると、殆どの日にちが一日練習と書いてある。それ以外にも基礎トレーニング日やランニング日など、名前からハードだとよくわかる日にちもある。ほんと、毎日よく頑張ってるわ……
「おーい、持ってきてやったぞー」
そう考えていると、ちょうどドリンクバーを取りに行っていたプロパチ達が帰ってきた。
「のあちゃんはメロンソーダで、てらもちくんと幾四音くんはコーラでいいんだよね?」
「おう!あんがとな!」
「ありがとうな」
「サンキュー!」
「よし!じゃあ全員揃ったし!夏休みの予定を考えよっか!」
「ちょっと待った!」
ダイスが話し始めようとした瞬間、のあが待ったをかけた
「ん?どうしたんだのあ」
「せっかく黒鉄さんと一緒に遊ぶってのに、遊んでる時も「黒鉄さん」なんて堅苦しい言い方したら、余計黒鉄さんも気を遣わせちまうだろ?だから決めようぜ!黒鉄さんのあだ名!」
あ……あだ名ぁ?
「おいおいのあ、そんなこと俺らが勝手に決めていいのか?第一黒鉄さんがいいとは言ってな……」
「は…はい!ぜひ決めちゃってください!」
即答かよ。しかも結構目キラキラさせてるし、なんだ?なんかちょっとワクワクしてないか?
「んーー黒鉄さんのあだ名かぁ〜」
「はいはーい!黒鉄さんだから黒ちゃん!」
「それだと芸能人の方思い出しそうだから却下!」
「はい!てっちゃん!」
「安易すぎ!却下!」
「はい!かなっち!」
「可愛すぎる!却下!」
いや今のはおかしいだろ却下理由
「なんだかみんな楽しそうですね〜」
「はぁ、あんまり黒鉄さんのことを困らせんなよな……」
「ふふ♪皆さんの姿を見てると、本当に勇気を出してお声をかけて正解でしたよ♪」
「そういや、なんで俺らに声をかけたんだ?」
「皆さん、私のことを近寄り難い存在と勝手に認識してしまい、そのせいであまり友達ができなくって………それで、勇気を出してプロパチさんとダイスさんに声をかけてみたんです。OKをもらった時は本当に嬉しくて嬉しくて………」
「ちょちょ!泣かないでくれよ!」
「勇気を出して」か。俺もいつか、幾四音に勇気を出して告白する瞬間が来るのかもな。俺なんかよりも、黒鉄さんの方がよっぽど立派な人だ。
「よっしゃ決めた!今日から黒鉄さんのあだ名は「ごんたん」だ!」
ちょっと待て。
「なんで全く関連性が見えてこねぇあだ名にしたんだよ!ゴンに至ってはどっから出てきたんだ!」
「うるっさいな〜こういうのは俺らがとやかくいうよりも、本人が気にいるかどうかだろ?」
そういうと、みんなの目線が黒鉄さんに集まっていた。俺も黒鉄さんの方に目線を向けると、先程のキラキラしていた目がさらに増していた。
…………気に入ったみたいだな。
「黒鉄さん。ごんたんってあだ名、気に入ってくれたかい?」
「はい!気に入りました!」
「よし!黒鉄さんのあだ名も決めたことだし!本格的に始めていくぞー!」
「「「「「おーーー!」」」」」
「いや〜色々と決めたねぇ〜」
「今年の夏休みは楽しくなりそうだなぁ〜」
一通り予定も決め、時間もそろそろ夕方となってきた。
「ありゃ?もう夕方か。いい感じに決まったし、そろそろ帰るかぁ〜」
「そうだなぁ〜」
「わかりましたぁ〜」
かんっぜんに遊ぶこと考えまくってとろけてるなこいつら。ま、今年は去年と比べて人数も多いし、男女の比率もめちゃくちゃちょうどいいし、楽しく遊べそうだ。
そうして俺らは会計を済ませ、ファミレスを後にした。
「ごんたんごんたん!今度のあちゃんと一緒に水着買いに行こ!」
「い…いいですよそんな……私はスク水着るので……」
「こんなにも可愛い見た目してんのにもったいないぜ〜?俺らがごんたんに合う水着を考えてやるよ!」
「だ……大丈夫ですってぇぇぇ!!」
「そういや俺らも水着買わないとな、よし!てらもち!プロパチ!俺らも買いに行こうぜ!」
「そうだなぁ、俺もそろそろ新しい水着買っとかねぇとなぁ」
水着……俺も昔着てた水着もぱつぱつになってきたし、新しく買わなくっちゃな。
「お?男子陣も水着買うのか!なら、男性陣と女性陣で別々で買おうぜ。そんで海でお披露目ってのはどうよ!」
「おぉ!面白そうじゃんか!」
「むむむ〜てらもち君達の筋肉を拝むのは海で見るまで我慢するよ!」
「お前ってほんと筋肉好きだよなダイス……」
「うぅ……ちょっと緊張する……」
「ごんたんは可愛いんだし、なんだって似合うって!」
みんなが各々話し合っている中、俺だけ思い悩んでいた。予定表を見る限り、思いを伝えるタイミングはたくさんにある。だが、いつ言うのか、そしてどんな風に言うのかがとても悩ましい。
そこら辺は自分の問題だな、しっかり考えないとな。
「あ……私、この後予定があるので……さ……先に帰らせていただきます!」
「おう!予定とかはLINEで知らせるな〜!」
「わ……わかりました!」
そう言って黒鉄さん改め、ごんたんが帰っていった。
「んじゃ、暗くもなってきたし、そろそろ俺らも帰るか!」
「そうだなぁ。そろそろ帰るかぁ〜」
「それじゃ!夏休みも始まるし!俺ら全員で全力で楽しんでくぞ!」
「「「「「おぉーー!!」」」」」
黒鉄目線
「ふぅ……どうにかしてしてみんなと仲良くなれたな」
みんなと別れた後、黒鉄さんはみんなと別れた後、少し早足で歩いていた。
「私の秘密……たとえ新しくできた友だとしても、絶対に教えてはならないからな」
先程までのおどおどしていた態度とは違い、気迫、威圧、雰囲気がガラッと変わっていた。黒鉄が突き当たりの曲がり角と曲がると、そこには大きい黒い車とスーツ姿に物騒にも刀を持った人物が立っていた。
「お帰りなさいませお嬢、何もなかったようで何よりです」
「あぁ、今戻った」
黒鉄はスーツ姿の男に言葉を交わし、そのまま黒い車に乗っていった。
「他の奴らはどうした」
「先日のホストクラブの騒動に出張っております。今頃口論になっているかと」
「そうか、なら私が出向こう。先に言っている組員に伝えておいてくれ」
「かしこまりました」
「それと今年の夏休みは少し休みを多くする。友との遊戯を楽しみたいからな」
「かしこまりました。では予定を見直しておきますね」
「あぁ、頼んだぞ」
そう言って黒鉄は不敵な笑みを浮かべ、黒の車は夜の街へと消えていった。
「あーーーーーーーーーーあづい!」
夏休みが始まってからはや三日。てらもちは暑さに悶えていた。
「課題はあるにはあるが、どうにもやる気が起きん……今日はマージでやることがねぇな!」
幾四音は野球、プロパチはゲーム大会だとかで遠出、のあはファッションのことについて知りたいからダイスと一緒に渋谷あたりほっつき歩いているはず、ごんたんは電話しても何故か出なかった。
「こんなにもやることがないのは久しぶりだな……よし!気晴らしに甘いもんでも食いにいくか!ついでに素材も買いたいし」
そうしてだらけきった体を頑張って動かし、服を着て目的の場所へといくために駅に向かっていくのであった。
てらもち目線
「いや〜久しぶりに来たな〜」
電車に揺られ、たどり着いた場所は東京の有名駅の一つ「池袋」だ。実はてらもち、他の奴らに内緒でたまに池袋に行きコスプレを嗜んだりしている。ピンクの殺し屋や、氷の国の騎士団長などのコスプレを色々とやっているうちに技術も結構上がってきていた。
「とりあえず今年は小道具も作っときてぇからなぁ。ユザ○ヤで布買って、素材とかはうちの近くのホームセンターでいいか」
気温は約37度、昨日ほどの暑さではないが太陽の光がジンジンと照らされて結局はクッソ暑い。
「それとかき氷だな、そういやユザ○ヤとおんなじビルの5階にうめぇかき氷があったってネットで見たな……よし!そこにいくか!」
しかし流石夏休み。ちらほらと俺と同じ高校生くらいの奴らがうろちょろしてんな。中にはカップルで歩いている奴らもちらほら。
うーむ、昔の俺なら妬ましいとか何とか言ってるはずなのに、今じゃなぜかそんな嫉妬心が出てこねぇな。幾四音パワー、恐るべし……
数分後
「おし!とりあえず目的の布は変えたな」
ユザ○ヤで目的のものを買い、そのままエスカレーターで5階へと向かった。そこにはザ・和風な外観となっており、ほんとに店内なのか?と思ってしまうほどになっていた。
「いらっしゃいませ!あちらの席へどうぞ!」
店員に案内され、俺は1人席へと案内された。ネットニュースに紹介されてたこともあり多くの人がいる。こんな暑い中でのかき氷は格別だからなぁ。そんなことを考えながら、俺は店員からメニュー表をもらい、メニューに目を通していた。
「レモンにブルーハワイのような王道系。宇治金時やみかんのようなトッピング系……うーむ、めちゃくちゃ悩むなぁ」
流石かき氷屋だ、聞いたことあるものから全く聞いたことないものなど様々だ。
「悩みどころだか………これにするか。すいませーん」
俺は意を決して決め、店員に注文をした。
「お待たせしました。「練乳たっぷり!ラズベリーミルク」でございま〜す」
「お、きたきた」
数分もたたないでかき氷が運ばれてきた。混んでるってのに早いもんだなぁ、見た目はラズベリーの果肉やシロップが満遍なくかけられており、その上から練乳も満遍なくかけられていた。
「お〜やっぱネットで見るのと実物を見るのとでは訳が違うな!そんじゃ、いただきます!」
スプーンを持ち、俺は真ん中を砕くようにスプーンを入れた。
するとどうだろうか。スプーンを入れた瞬間、ふんわりと氷が沈んでいき、シロップがだんだんと奥のふわっとした氷に染み込んでいった。スプーンにかき氷を乗せ、口に運んでいった。
「ん〜〜美味い!」
口の中に入れた瞬間に口いっぱいにラズベリーと練乳の上品な味が広がっていき、小さく入っていた果肉も噛めば噛むほど甘さが引き立っていた!しかもこの見た目からは想像もつかないだろうが、味があまりくどくないのだ。濃くもなく、薄くもないベストマッチな組み合わせだ!こりゃあいつらにも食わせてやりたいな〜
「ん〜〜♡!美味いな!」
俺が味を堪能していると、遠くから聞き覚えのある声が聞こえた。
「ん?ごんたんの声?」
ふと声の方に目線を向けてみると、黒いスーツに刀(模擬刀?)を持った男と白いシャツに黒いコート、黒のスカートに黒のブーツをきた女の子がいた。
「お嬢、声がおおきいですよ」
「す…すまない、どうも抑えられなくてな」
「お嬢の言いたいこともわかりますが、静かにしないといけないですよ」
「わ…わかっている!」
少しムキになったのか、その子は食べていたかき氷を勢いよく食べ始めた食べ始めていた。おいおい…そんな勢いよく食べたら………
「ーーーー!!!!」
勢いよく食べたせいで、その子は頭を押さえて悶絶していた。
「そんなに勢いよく食べるからですよ。頭が痛くなった時は、温かいお茶を飲めば治るらしいですよ。どうぞ」
「〜〜!!!」
言葉にならないほど痛かったのか、その子は差し出してもらったお茶を一気に飲み干していた。
「どうですか?」
「あ……あぁ、すまなかった」
………なんかクールな見た目している割には、少しドジな所あるんだなぁ。というか、さっきあの人の声が一瞬ごんたんの声に聞こえたんだが、気のせいか?
……ま、いいか。世界には自分にそっくりな人は世界に3人いるとかいうしな、きにしないでいよ。
黒鉄目線
「あーーーー暑い!暑すぎる!!!」
「そんなに暑い暑い言っても、涼しくはなりませんよお嬢」
夏休みの初日に見せた上品さとは裏腹に、完全に暑さにうなされているのは、完璧な美貌を兼ね備えていると同時に、この組の若頭である黒鉄加奈と、組のNo.2の実力を持つ黒鉄の側近、紅月純だ。
「……おい紅月、この後の予定はなんだ?」
「ほとんど昨日のうちに終わらせてしまったので、緊急の仕事が入る以外は特にご予定はありません」
「………そうか」
親父が亡くなってから私が後継となり、若頭としてやってきた。いつもはシノギの確認や抗争への赴き、見回りなど本当なら下の奴らがやることを私は積極的にやっていった。夏休みのような長期休みの時なんて、暇を持て余す時なんてほとんどなかった。まぁ実際私が自分からやっていることなのだから、他の奴らに任せることだってできるんだが、トップである以上、私が示しをつけなければ意味がないからな。
「テレビでも見てみるか……」
私は手元にあったテレビのリモコンに手を伸ばし、テレビを起動させた。
「さぁ今年もやってまいりました!題して、「夏に食べたいおすすめかき氷屋TOP10!」」
「おや、そういえばもうそんな時期でしたね。最近ではさらに暑さが増してきましたからねぁ」
紅月の言葉を聞き流し、私の目線はテレビに釘付けになっていた。
実を言うとこの私、黒鉄加奈は大の甘党である。スイーツやらアイスやらは昔から大好きであったのだが、新しい若頭が甘党であると下の奴らから示しがつかないと思い、このことは親父と紅月くらいしか知らない。
………まぁ隠れてスイ○ラとかには行っているが。
そんなことを考えながら、私はテレビのランキングを淡々と視聴し、第一位が発表されようとしていた。
「さぁ映えある第一位は!JR池袋駅から徒歩3分の場所にある「ハチク」の「ストロベリーカスタード」です!」
「な……なな……なんだこれは!!」
白い氷の上には、赤いイチゴに生クリーム、イチゴのシロップにたっぷりとかかった練乳。その上から果肉がずっしりと乗せられていた。
「まさか……この世にこんなにも美味そうなのがあるなんて!」
「相変わらず甘いものには目がありませんねお嬢。いつも見せているクールな姿はどこへいったのやら……」
「私だって他の奴らがいる前ではこんな反応はしないぞ?お前の前だからできるからな!」
「はぁ、お嬢らしいですね」
「よし!今日はなんも無いし、早速池袋に行くぞ!」
「そう言うと思って服も用意しておきましたよ、他の組員の奴らには組を空けると先程メールで連絡しました。車のエンジンつけてきますね」
さっすが紅月だ、仕事が早い。私は紅月からもらった服を着て、車庫の方へと向かっていった。
「ん〜〜なんだかんだで久しぶりに来たな!池袋!」
「そうですね」
車に揺られること30分。私は目的のかき氷屋がある池袋へとついた。
「そういえば紅月、何故刀を持っているんだ?」
「お嬢に何かあったら困りますからね。しっかりと警護するためです」
「……大丈夫なのか?」
「もちろん。ここには何やら「こすぷれいやー」と言う方が多くいるらしく、私のこの刀も小道具だと思われているはずです!」
「お前ってたまに判断が甘いところあるよな……」
まぁそんなことはさておいて、私と紅月は目的のかき氷があるビルへと向かっていった。
「おぉ……ここが「ハチク」と言う場所か……」
「なんというか、とても和風感がすごいですね」
ビルの中にいたはずなのに、ここだけ外に作られたのか?と思ってしまうほどの出来だ。
灯籠や提灯のような灯りの装飾、簡易的な鳥居や賽銭箱などの小さな神社。極め付けは中央にデカデカと鎮座する桜と紅葉が混合された木。
「そしてその木を囲うように座席が設置され、ご丁寧に個室も用意している……」
「ここまで手の入れた建築をするなんて、よっぽど味に自信があるんでしょうね」
っと、感心している場合ではなかった。今はまだ少ないがもうすぐお昼時だ、そろそろ多くの人が来る時間帯だろう。
「とりあえず私達も並ぼう、そろそろ混んでくる時間帯だからな」
「かしこまりました」
「いらっしゃませ。あちらの席へどうぞ!」
ちょうどいい時間に来れたこともあり、数分もしないで店内に入れた。やはり近くで見ると中の装飾もしっかりとしており、中央の大木はは圧巻であった。
「ご注文が決まりましたら、お呼びくださいませ」
「あぁ、ありがとう」
「ありがとうございます」
店員からメニュー表をもらい、私達は一通りメニューを見ていた。まぁ私が頼むのは一択なのだがな!
「紅月、お前は何にするんだ?」
「うーむ、悩ましい所ですね………では私は宇治金時で行きたいと思います」
「おぉいいではないか!」
「お嬢はやはりあのテレビでやっていた「ストロベリーカスタード」ですか?」
「うむ、やはりあのインパクトは凄かったのでな。他のやつも美味しそうではあったが、それはまた別の機会にする。………あいつらとも食いたいしな」
「お嬢?何か言いましたか?」
「いや、なんでもない。とりあえず頼んでしまおう」
「かしこまりました。すいませーん」
「お待たせしました。「ストロベリーカスタード」と「ほろ苦き旨さ 宇治金時」でございます」
「お、来たな」
「来ましたね」
ここの人たちの仕事は早い、ほんの数分もしないうちに完成されていた。
「ここの者たちの仕事のスピードは見事のものだ、私たちのシマにも欲しいくらいだ」
「お嬢、見る目が完全に違っていますよ」
おっとそうだったな。そんなことをよりも、このボリューム!この迫力!そしてこの見た目!やっぱりテレビで見るのとではやっぱり違うな!
「ほほう、やはりそちらの方が迫力が圧巻ですねぇ」
「そうだろう!そうだろう!だが、お前の方も中々旨そうではないか!」
「お嬢が嬉しいなら何よりです」
さてと!早速いただこうではないか!私はお盆の上にあったスプーンを取り上げ、ゆっくりとかき氷に突き出した。すると、まるでふわふわの雪を触っているかのように柔らかく、何も力を入れないでもだんだんとかき氷が溶けていくではないか。
「おぉ!見てみろ紅月!何も力を入れていないのに沈んでいくぞ!」
「ふふ♪そうですね。……やはり何年経っても、お嬢はお嬢ですね」
「?何当たり前なことを言っているのだ?」
「いえ、なんでもございません」
訳のわからないことを言っている紅月はさておき、次は待ちに待った味だ!沈んでいったスプーンの上に、口の中に入る分をすくい、口元へと運んだ。そして私は、赤色の宝石を口の中へと入れた。
「!!!」
そう、その時感じ取った衝撃はまるでハンマーで思いっきり殴られたかのような衝撃だった。口の中に宝石を入れた瞬間、口の中で果肉が解け、程よい甘味に程よい酸味、そして練乳の濃くもなく、薄くもない甘みが口いっぱいに広がっていった。極め付けはこの氷だ!普段組で食べているガリガリな氷とは違い、ここの氷はとてもふわっふわなのだ!それによりシロップの浸透が普段より早く、より甘さを引き立てている!トッピングについている生クリームも、ただただ甘ったるいのではなく練乳と苺のシロップがマッチングしている!
「ん〜〜♡美味い!」
「お嬢声が大きいですよ」
「す…すまない、どうも抑えられなくてな」
「お嬢の言いたいこともわかりますが、静かにしないといけないですよ」
「わ…わかっている」
全く!紅月は私を子供扱いしすぎだ!もう高校生なんだから私も制御くらい………
「ーーーー!!?!?」
「はぁ……お嬢、勢いよく食べ過ぎですよ」
くぅぅぅ……頭痛い………
「頭が痛くなった時は温かいお茶を飲めば治るらしいですよ。どうぞ」
「あ……ありがとう……」
ゴクゴグ……ふぅ、危なかった……
「お嬢、あまり無理をしないようにしてくださいね」
「………わかった」
うぅ……周りの視線が痛い……いつもなら全然平気なのに……
数週間後
「お嬢、いよいよですね」
「あぁ、そうだな」
「水着持ちましたか?お金持ちましたか?水筒持ちましたか?」
「うるさいな!お前は私の親か!」
「冗談ですよ♪……ではお嬢、いってらっしゃいませ」
「あぁ、行ってくる」
持ち物を確認し、紅月に見送られながら、私は組を後にした。いつもなら車で移動しているのだが、今回は電車での移動だ。初めてのことで少しはテンパってしまったが、しっかりとこなすことができた。そして、目的の駅へと着くと新しい仲間がいた。
「あ!ごんたんだ!おーーーーい!」
「す…すいません!遅れてしまいました!」
「いーよいーよ、俺たちもちょうど今来た所だし」
「お!来たか!」
「よし!みんな集合したし、そろそろ出発するか!」
「そうだなぁ」
「は…はい!」
新しくできた仲間たちは、遅れてきた私を怒ることなく、笑顔で出迎えてくれた。
ふふ……さぁ!今年の夏は全力で楽しもうではないか!