※この作品はR-18です。

Overwrite   作:ムラムリ

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1年半振りに書く続き。
もし、デンボクを許せなかったらという世界線。
で、Overwrite書いた時の自分は女主人公にショウってデフォルトネームが付いてるの知らなかったんだけど、まあ世界線が違うって事でこっちの名前使うのもアリだな、という事で。


Overwritten

「……ヒカリよ、申し訳なかった。この通りだ。衷心よりお詫びする」

 デンボクは土下座して、ヒカリに誠心誠意で村から追放した事を謝った。

「デンボクさん……」

 カイがその姿に驚くように言ったその瞬間。

 ヒカリの腰から、勝手に一匹のポケモンが出てきた。

 何故かデンボクとの戦いの中で出てこなかった、ヒカリの手持ちの中で最も長い付き合いで、切り札とも呼べるポケモン。

 名をムラクモと言うダイケンキは、鬼の形相をしていた。

「えっ?」

「ああ?」

 カイとセキが素っ頓狂な声を上げ、ふとデンボクが顔を上げると、その首をムラクモが掴んでそのまま背中を地面へと叩きつけた。

 皆が止めようと駆けてくるよりも先に、ムラクモはすらりとアシガタナを引き抜いている。

「ムラクモッ!!」

 ヒカリが制止するように叫んだ、が。

「……! ……!!」

 デンボクはムラクモに押し倒されるその瞬間、ヒカリの顔が悦びで溢れ、歪んでいるその様を目に写していた。

 もう、とうに許す許さないの範疇を超えてしまっていたのだ。最初から殺すつもりだったのだ。

 そう悟るも、ムラクモの前足は首をそのままへし折るが如く握力でデンボクの首を抑えつけ、その爪は既に首筋を深く抉っている。

 デンボクが如何に抵抗しようともびくとも動かないまま、カイとセキが止めるのも間に合わず、ムラクモはその首を、何の躊躇いもなく掻っ切った。

 吹き出した血がムラクモの顔を染め上げる。

「い、いやああああああああああああ」

 カイの悲鳴が辺り一帯に響き渡る、が、ヒスイダイケンキは振り返り、そしてヒカリの元へと走る。

「ヒカリッ!」

 セキが叫ぶが、ヒカリは膝を崩れさせている。

「あ、はは……」

 それは、実際喜びに打ち震えている顔だった。けれど僅かな間、ムラクモがヒカリの顔を二人から隠し、側頭を峰打ちして気絶させるまでにその表情までをしっかりと確認した人は居らず。

 そのままムラクモはヒカリを背負ってどこかへと走り去っていった。

 

*

 

 ボールの中でヒカリに対して追放すると聞こえた時、ワタシはその時点で飛び出して斬ってしまいたかった。

 ヒカリはそんなワタシの機知を察したかのように、ワタシのボールを抑えて離さなかった。ワタシがボールから出されたのは、シマボシからの激励の声を聞いてから、更にもう暫く、人気がなくなる場所にまで歩いてからだった。

 ヒカリはワタシを出すと、ワタシの胸に顔を埋めて泣いた。体の中の水分も空気も全て吐き出してしまうのではないかと思う程に泣いた。

 それでも翌日になれば前を向いて、歩き始めたヒカリ。

 けれど、どうにも抑えきれないような気持ちを抱えているのが目に見えるままに数日が経った後、ヒカリは。

『私ね。デンボクさんの言った事、分かるかと言われれば分かるんだ。

 でもね、受け入れろだなんて、やっぱり無理。私が異変を解決して、疑いを晴らしたら許してくれるだろうけど、土下座されようとも何されようとも、私はデンボクさんを……デンボクを許す事は出来ない。

 私は……、私は…………殺したい。私は、デンボクを、殺したい。

 元の世界に帰れなくなっても良い。異変が解決しなくても良い。コトブキ村に帰れなくなっても良い。

 それでも私は、デンボクを殺したい』

 ワタシは、ヒカリがデンボクから追放を告げられる時、ヒカリの制止に抗って出ようと思えば、デンボクを斬ろうと思えば、それを出来たのだ。

 けれどワタシはヒカリの意志に従った。ここでデンボクを斬れば、ワタシはともかくヒカリまでもがこの村に戻れなくなる事まで分かっていたから。

 ワタシはヒカリをじっと目を合わせた。あっという間に成長しきったワタシと違い、まだ幼気が残る子供であるヒカリ。

 デンボクとはきっと再会する。ワタシはデンボクを斬ろうと思えば斬れるだろう。斬りたいとも思う。けれど、それで後悔するのはワタシではなく、ヒカリだ。

『……本っ当に私なんかより早くに大きくなっちゃってね……。一丁前に私の事まで心配するようになっちゃって。

 ……でもね、お願い。

 私、どう許されようとも、デンボクと同じ村に住みたくない。あの顔も、あの声ももう一度たりとも見たくない。あの男と同じ空間になんて、もう一瞬たりとも居たくない。あの男が生きているというだけで私の心の奥底から怒りが湧いてくる。

 テルさん、シマボシさん、カイさん、セキさん……皆にはとても悪いけど、それでも、お願い。

 …………デンボクを、殺して。お願い』

 ヒカリの、意志の固まった目。消えない怒りが根底に宿っている、その目。

 ワタシは一度目を閉じてから、開いて、頷いた。

 それが一月程前の事だった。

 

 やりのはしらからの逃亡が上手くいき、ヒカリを起こす。

「う、うん……。あ、ムラクモ……。良いの、そんな顔しないで。私こそごめんね。ムラクモの独断という風に見せないと、私はきっとどこまでも追われてしまうからなんて、全部任せちゃって……。ごめんね」

 そんな事、良い。

「それで。うん。デンボク、死んだね。死んだね? 死んだね!?

 はは、あははっ。あはははは、うははははは! あっはははははは!!」

 ヒカリは、堰を切ったかのように腹を抱えて笑った。涙までも流して笑い続けるヒカリは、傍から見るとまるで壊れてしまったようで、少し心配になる。

 けれど、とても長く笑った後、それでも笑い足りないように呼吸をゆっくりと落ち着かせて。

 ヒカリは久々に、ワタシに朗らかな笑顔を見せた。

 

*

 

 あれから、数ヶ月。

 異変はヒカリ抜きでもどうにか解決出来たようで、テンガン山の頂上の裂け目は消えて失せた。

 しかし、アルセウスフォンからは『すべてのポケモンとであえ』と表示され続けているようで、ひとまずやる事も無いからと、ヒカリはそれに勤しむ。

 時空の裂け目に自ら入り、珍妙な姿形をしたポケモンを記録する。また辺境までをも訪れて未だ出会っていないポケモンが居ないかを調べていく。当然、他に人が居ない事を確認しながらではあるが。

 

 そんなとある闇夜の中、唐突に飛んできたシャドーボールをムラクモが弾く。

「……お命、頂戴致す」

 どこかからか、ムベが冷淡に宣言した。

「…………」

 ヒカリはそれに何も言う事なく、ポケモンを展開する。

 その中には、デンボクと戦った時にはまだ居なかった、より強大なポケモンが居た。

 純白の凍土には、誰もが立ち入らない場所が存在する。その原因である、ガブリアスと呼ばれている竜、そのオヤブン。

「なっ……!!」

 ムベから驚愕に満ちた声が思わず飛び出し。

 そしてヒカリは何やら、そのガブリアスに耳打ちをする。

 ガブリアスはそれを聞いて、口角を吊り上げ、舌なめずりをした。

「や、やはり貴様、デンボクを初めから殺すつもりだったな! このムベの命に代えても貴様を殺してやる!」

 怒りを露わにしたムベはそう息巻くが。

 瞬く間にムベのポケモンはそのガブリアスの歯牙の餌食となっていった。巨大ながら何よりも高速で動くガブリアスに、ムベのポケモンはどれもまともに反応出来ない。そんな最中、手持ちのサーナイトとエルレイドで時間を稼ぎつつ、せめて一太刀とその身を投げ討つかのように小刀を手に持ちヒカリに向かって走って来たムベは。

 ヒカリの前に立ちはだかったムラクモによって刀を弾かれ、返すアシガタナで袈裟斬りにされて体を崩された後、恨みが籠る目も喚き立てられる怨嗟の声も無視して淡々と首を刎ねられた。

 そしてムラクモがヒカリの方を振り返れば。

 あのガブリアスに最初会った時のような、ただ獲物を狩る為だけに動く、感情のない顔をしていた。

 ……やはり、ヒカリはデンボクを殺してから変わった。

 同族も簡単に殺せるように。

 

*

 

 更に数ヶ月。

 とうとうヒカリは図鑑を完成しつつあった。

 いかにもな場所にある孤島に訪れてみれば人に意志を伝えてくる獣も存在したり、火口の近くやキッサキ神殿の最奥にはより強烈な力を持つ獣が身を潜めていたり。

 しかしヒカリはこれまで手に入れたプレートを眺めて、溜め息を吐く。

 きっと獣の属性の数だけあるそのプレートは、幾つか足りない。

「私が最後の最後でデンボクを許せなかったせいで、ディアルガとパルキアとは会えずじまい。異変も収まったし、やりのはしらにも居なかったって事は、カイさんとセキさんの元に居るんだろうけど、会いに行くなんて出来ないし」

 少しばかり後悔しているように言った後。

「でも、今あの時間に戻ったとしても、私はデンボクを殺すだろうけどね」

 やはりヒカリは変わった。敵であると見做したら誰であろうとも容赦しない、ガブリアス……コウセツなどと似始めていた。

 

 その男は、偶然を装ってヒカリの前に訪れた。

「お久しぶりですね、ヒカリさん!」

「……ウォロさん」

「何、捕まえに来たとかそういう事をしに来た訳ではありません。少し、話をしませんか?」

「……このままで良いなら」

「変わりましたね、ヒカリさん」

 そう言って、ベラベラと半ば一方的に喋り始めたそのウォロは、明らかにヒカリに会う事を目的としているのを隠さなかった。

 時が経つに連れて、更にその口調にはヒカリへの嫉妬が入ってくる。

 ジブンがシンジ湖などに行こうとも何も起こらなかったのに。ジブンが必死こいて何年も何十年も掛けて集めているプレートと同等以上の枚数を、余所者のアナタは容易く集めているというのに、アナタは何故それをどうでも良い事のように扱っている?

「……何が言いたいんです?」

 苛ついたヒカリが話を切って問い質す。

「アナタが、アナタなどが未だにアルセウスに寵愛されているのが、腹が立って仕方ないという事ですよ!! 何十年もアルセウスに会う為だけに人生を捧げて来たワタシこそがアルセウスに寵愛されるべきなのに!! それなのにアナタという者は、それがどれだけ恵まれたものか分からず、日々を無為に過ごしているばかり!!」

「……恵まれている? 私が?」

「アナタはアルセウスに選ばれたその事の重要さを理解していないのです!」

 ヒカリはそれ以上言葉を口から出さなかった。無言でボールを取り出す。

「ふ、ふふ、ふふふふ。

 ワタクシは見ていましたよ。アナタがデンボクを殺したいと願った事も。ムベを殺したところも。

 感じませんか? 心胆を寒からしめる異様な気配を!」

 そうしてウォロは六匹のポケモンを繰り出し、そしてもう一匹、ウォロの背後から闇の渦が湧いて来たと思えば、コウセツより数段大きいポケモン……。

「ギラティナ……」

「おや、彼を知っているのですか! 流石は彼が呼び寄せた人間ですね! まあ、今から死んで貰うのですが!」

「……呼び寄せた? 呼び寄せた??」

 壮絶な命のやり取りが、始まった。

 

*

 

*

 

 ヒカリ。

 衣服は既に元々の形を失っていて、ボロボロの布切れと獣の皮を簡易的に鞣したものを身につけているばかり。

 ヒカリ。

 あの日からコトブキ村にもシンジュ団にもコンゴウ団にも入れなくなったヒカリ。同情こそされど、助けてくれる人間は正真正銘居なくなってしまったヒカリ。恨みを持って人間から探されるようになってしまったヒカリ。それでも、ワタシ達と共に笑って前を向いたヒカリ。

「……ありがとうね、こんな私に今までずっと、付いて来てくれて」

 当たり前だというようにワタシは顔を擦り付けた。

 ヒカリ。

 ここは、どの人里からも等しく離れた秘境。ワタシ達が作り上げた、心落ち着けられる、洞穴の中。

 ワタシ達。今は、ワタシしか居ない。皆、死んでしまった。

 服を脱ぐヒカリ。

 あの日泣いていたヒカリ。いつでも気強に振る舞って寂しさを、脆さを隠していたヒカリはもうここには居ない。

 ワタシはヒカリより後に生まれて、ヒカリより先に成体となった。そしてヒカリもとうとう成体となりつつあった。

 けれど。

 顔の半分は焼け焦げて、片目は光を喪った。

 指の数本は食い千切られている。

 片膝には強い切り傷が今も生々しく残っていて、普通に歩く事すら今となっては適わない。

 ……ウォロと戦った結果がこれだった。

 脱ぎ終えたヒカリをワタシは優しく、傷に響かないように押し倒す。

 ヒカリに対して厳し過ぎる世界に対して今、この時ばかりはヒカリを覆い隠したくて、体を出来るばかりに重ね合わせる。四肢のどれもをヒカリの背後に回して、ワタシの熱がヒカリの体の根まで温める事を願う。

 舌と舌を交じ合わせる。優しく、今ばかりはヒカリの頭の内から快楽以外の全てを失わせたい。瑞々しい音ばかりが洞窟の中に静かに響く。

 ヒカリの体温は、いつもより少し低かった。ウォロを殺した後倒れて生死の境を彷徨ったヒカリは、どうにか回復したが、その傷跡は今でもずっと残っている。自ずと抱き締める腕に力が入る。

 ワタシはずっと怯えていた。激しい熱を出す事も無くなったとは言え、ヒカリの生気はあれからずっと失せてしまったようで。次の朝に起きたら隣でヒカリが冷たくなっていないか、そんな恐ろしい想像ばかりがワタシの頭を過っていく。

 ワタシは……ワタシは間違っていたのだろうか? ワタシはヒカリの意志に背いてでもデンボクを生かすべきだったのだろうか?

 口を離す。呼吸をして、もう一度口を合わせる。

 ヒカリの体には力がない。ワタシを抱き返して来たその両腕は、今はワタシに包まれるばかり。どうしたらヒカリが元気になるのか、ワタシには全く分からなかった。このヒスイに、少なくともヒカリの人間の味方はもう居ない。

 もう一度、口を離した。

「そんな……悲しそうな顔しないで」

 ……だったら、そんなか細い声で言わないでくれ。

「もっと、激しく……して」

 ヒカリはもまた、ワタシから与えられる快楽に身も心も染められる事を望んでいた。壊れてしまいかねない程の強さで、抱かれる事を望んでいた。

 ……やはりワタシには全く分からなかった。ヒカリが望む事をするのが、ヒカリにとっての最善なのか。

 けれど、ワタシなどに選べる道などはもう無いに等しいのだ。

 皆、死んでしまった。ヒカリには最早、ワタシしか居ない。そしてワタシは人の目の前で人を殺した。治療の為にでもワタシがヒカリを人里に連れていくという事は、少なくともワタシとヒカリは引き離されるという事でもあった。

 ワタシはヒカリの乳房を口に含んだ。軽く噛みつき、思い切り吸い上げる。

「ぃあんっ!!?」

 もうワタシはヒカリのどこが急所なのかを知り尽くしている。最初に交わってからもワタシとヒカリは幾度となく交わって来た。人間達にはばれていないと思うが、共に過ごして来た皆には当然の如くばれていた。皆はそれを受け入れて、そしてワタシは……ウォロとの戦いの時、ヒカリと共に守られてもいたのだ。他の誰が生き残ろうとも、ワタシが死んでは意味が無い事を分かって、ワタシも守るように立ち回られていた。

 ワタシはもう片方の乳房にも噛み付き、涎を垂らす。乳房と乳房の間に鼻先を埋めて舐め上げる。

「ぁあああんっ!! んんああっ!! っああ゛っ!」

 ワタシを抱き返そうとした動いた腕が、体の痛みに震えた声と共に固まった。胸を舐めていたワタシはそのヒカリの腕を抑えて包み直す。

 動かなくて良い。動かなくて良い。

 ヒカリの乳房がワタシの胸に押し付けられる。ワタシに噛まれ、ワタシに吸い上げられ、ワタシに濡らされた胸は僅かに震えていた。

 ヒカリの頭がワタシの首筋の隣に来る。短く浅い呼吸がワタシの白髭を僅かながら揺らして、湿らせていく。

 けれど、どちらもいつもよりとても弱々しかった。

 ワタシには分からない。未だ体調が回復しきっていないヒカリが、望んでいたとしても交わって良いものか。

 既に唆り立っているワタシの雄は、久しく子種を放てるその時を今か今かと待ち侘びていた。

 最後に交わったのは、かなり前の事だった。追放されてから、ワタシとヒカリだけの空間など早々作れる訳もなかったから。

 ワタシの欲望は既に我慢出来ずに既に先走ってヒカリの股を濡らしてもいた。

 入れてしまったら、ワタシの滾る熱は全てが放たれるまで収まる事もないだろう。ワタシは怖かった。このまま交わったら、明日、ヒカリが冷たくなってしまっているような予感がしていた。

「……お願い、して。ムラクモ」

 でも。ワタシはその懇願に逆らう事など出来やしなかった。

 ワタシは……ワタシは、腰を合わせる。ヒカリの唾を飲み込む音。少しばかり硬直する体。それでもワタシに貫かれる事を望んでいるのが伝わって来る。

 後ろ足に力を込めた。

「ぃあっ」

 ワタシは、ワタシの腰が、もうワタシの意志とは無関係にヒカリに叩きつけられる。ヒカリの体をモジャンボのように、もしくはドククラゲのように容赦無く締め付けてしまうワタシの前足さえをもワタシは抑える事が出来ない。

 ヒカリの乳房を押し潰す勢いで、ヒカリの声すら聞こえてこない。ヒカリから聞こえてくるのは、ワタシが叩きつける度に、ワタシの子種がヒカリの中へと滝のように注がれていく度に、ヒカリの胸に空気が入って出ていくばかりの風音ばかり。

 それ以上に洞窟の中を、その瑞々しく、激しく叩きつける音ばかりが反響してワタシの耳に幾重にも届いてくる。

 小刻みにワタシ自身との呼吸も合わさるその空間。

 今にも壊れてしまいそうなヒカリを抑えつけて容赦無く子種を注ぎ込むその行為に果てしない快楽を覚えているのをワタシは否定出来ない。この地に適応したワタシの、ワタシの残虐な本能は、こんな一方的な行為を求めている。そして、それは幸か不幸か、ヒカリも同じだった。

 ヒカリの股からワタシの濃厚な精が緩慢に溢れ落ちていく。ワタシとヒカリの股の肉に勢い良く挟まれて辺りに飛び散っていく。それでもまだワタシは止まらない。止まれない。

 ワタシの前足がヒカリの背中から腰へと動く。ヒカリの上体が自由になって、その代わりにワタシの四肢はより力強くヒカリに叩きつけられるようにヒカリを固定する。

 流石に今これ以上の行為はヒカリを壊してしまうと感じる理性は、けれどヒカリの喘いでいる顔を見てどこかに吹っ飛んでしまう。

 叩きつけた。

「あああんっ!!!?」

 先程よりも強く、激しく。

 ワタシの口角が歪んでいるのがワタシ自身でも分かる。

「ヴルルッ、グルルアアッ!!」

 喉から、勝手に吼えるような声が飛び出してくる。涎がヒカリの腹へと落ちていくのさえも止められず、最早ワタシの本能は愛というものすら求めていないように思える。

 ヒカリが求めているからという事実の元、未だ尽きぬ性欲を全力で叩きつけているワタシ。

「あんっ、ああんっ、いんっ、うんっ!」

「ルアッ、ルアアッ!!」

 ヒカリより体が強くなっても、ヒカリに忠実に居る事に苛立ちなど感じた事などない。けれど、ワタシに肉棒を突っ込まれて好き勝手にされてあられもない顔を晒しているヒカリに途轍もない快感を覚えているのも事実だった。

 持ち上げられた腰から、ワタシの溢れ出た精液がヒカリの腹へと垂れている。ワタシが一振りする度に撒き散らされる涎が、精液と愛液の飛沫がヒカリの全身を薄く染め上げていく。

 ヒカリもまた興奮して今は痛みなどすっ飛んでいるようであり、それに便乗してワタシは一度自身の雄をを引き抜いて、また体勢を変える。ヒカリを四つん這いにさせてその上に覆い被さる。

 引き抜いても精を垂れ流し、震え続けている肉棒を再び挿れ直す。

 今度はワタシの胸とヒカリの背中が密着し、再開する前に自ずと呼吸を合わせていた。

「ヴゥ?」

「……」

 再開して良いかと言うワタシの問いに、ヒカリは答えなかった。疲労していて答える余裕もないからか、実際まだ落ち着いていないからなのか、どちらかは置いておいてワタシは容赦無く再び腰を叩きつけた。

「んあうっ!!」

 始めてすぐにヒカリの前足……腕が崩れるように倒れた。膝だけが立ち、尻ばかりが突き出された格好になる。ワタシは前足をヒカリの肩の前に置き直してそこでヒカリの上体を固定した。

「ああううううううう」

 ヒカリの声がとうとう壊れてしまったようなものばかりになる。口が開きっぱなしになり、体のどこにも力はもう入っていない。

 ワタシの精ももうそろそろ流石に尽きようとしていた。

 本能のままに、力のままに叩きつける程のワタシの中の熱も、落ち着いてきている。

 頭の片隅にあった嫌な想像が、前に出てきている。ヒカリはもう既に自分の死期を悟っているのではないか。だから最期にワタシの全てを身を以て受け止めておこうと思ったのではないか。

 ぞっとする。それだけで萎えてしまいそうになる。

 けれど、ワタシはそれを聞けない。ワタシには確かめる方法がない。だからこそ、ワタシは止める訳にもいかなかった。例えヒカリの体力がとうに尽きていても。

 腰の振りが自ずと緩やかになっていく。ワタシの精の最後の最後までをヒカリの中で出し尽くしたかった。出し尽くさなければいけなかった。

 結局のところ、人とポケモンでは子供は出来ない。ワタシと愛し合っているヒカリの中にどれだけ注ごうとも子供など出来る気配すらなかったのだから、それは事実だろう。しかし、だからと言ってこうして注ぎ込む事までが無意味かと問われたらそれも違う。愛していなければここまでワタシの精が暴れる事もないだろう。こうして最後の一滴まで注ぎ込もうと思う事もないだろう。ヒカリも、ここまでの行為は他の誰ともやりたくないだろう。

 焼けた、ヒカリの片顔がワタシの眼下に写る。表情さえ分からなくなってしまったが、きっと地面に隠れている方の顔は悦びに溢れているに違いない。

 幾度となく叩きつけ、ヒカリの白い肌を赤くしてきたワタシの腰振りもとうとう最後の時が近付いてきていた。勝手に萎えそうになる雄を可能な限り奮い立たせながら、ヒカリの中に最後まで注ぎ込む。

 秘部の周りに流れ落ちた精液はもう既に乾いていた。

 腰を振る。数滴、垂れる。腰を振る。ワタシの肉棒は震えるばかりだった。腰を振る。そこで暫く待つ。ワタシの雄は中で固さを失っていった。ワタシは、それを止める事も出来なかった。

 引き抜いた。ワタシの雄は流石に痛みを訴えながら、勝手に孔へと姿を隠していった。

 ヒカリの上から避けると、ヒカリはそれだけで唯一持ち上げていた尻も床へと落として、そして一言も発さないまま寝てしまった。

 浅い呼吸。僅かに上下する胸。満足しきったような横顔。

 全く静かになったその時間と空間も含めて、ワタシは一気に恐怖へと襲われた。

 今にも霊系のポケモンがにじり寄ってきそうな予感がした。

 落ち着きつつあった呼吸が、一気に荒れ始める。ワタシはヒカリを優しく抱き直す。ヒカリの中の熱も、魂も、外へと出ていかないように。必死に呼吸を落ち着けて。

 眠ってしまったら、その瞬間にヒカリに死神が、あのギラティナとやらよりも余程恐ろしいような死神がやってきてしまうような気がして恐ろしくて、けれどワタシも疲労してしまっていたのかすぐに眠気が訪れてしまう。

 恐ろしくて、けれど瞼が落ちていくのに逆らえなくて、眠気を覚まそうにもヒカリを動かしたくなくて。

 ……ワタシは……ワタシのして来た事は、ワタシのした事は、正しかったのだろうか?

 

*

 

*

 

 ヒカリが、プレートを海へと投げ捨てていた。

 一枚一枚、様々な場所で、時に命を賭けて手に入れたそれを手に持つと、少しだけ名残惜しげに見つめるも、思い切り振りかぶって海へと投げていく。

「私ね。やっと、この世界で生きていく決意が出来たの。

 色々とあったけど……本当に色々とあったけど、嫌な事も、辛い事も、許せない事も、色々とね。いや、だからかもしれないけれど……うん。私、やっぱりムラクモと会えて良かった。

 ムラクモと共に元居た世界に帰れるとしても、そんな事どうだって良い」

 プレートを投げ捨てる。残るのは後一枚だけだった。

「私にとって一番重要なのは、もう帰る事じゃなくなっていたの。私にとって一番重要なのは、ムラクモが生きるこの世界で、私も一緒に生きる事になっていたの。

 ムラクモを異世界に連れていってしまうなら、私がここに残るわ。だから、これはもう要らない」

 最後の一枚も投げ捨てて、アルセウスフォンを手に取った。

「来て、ムラクモ」

 未だ変わらない、『すべてのポケモンとであえ』と書かれているらしいその奇怪な表面の光。

「これを捨ててヒスイから去れば、私が異世界から来たという証拠はもうどこにもなくなる。一緒に行こう?」

 ワタシは勿論頷き、そしてヒカリは。

「せーえーのっ!!」

 助走をつけてアルセウスフォンを海へと投げ捨てた。

 

*

 

*

 

 ……。

 …………。

 

 ……朝が来ていた。




デンボクに土下座されようが許せねえよなぁ!! って構想自体はずっとあったんだけど、中々書く気にならなかったり、他の物優先して書いていたりとかで。
今度こそ書くかって思って、デンボクを殺す以外の構想は空っぽだったから練り上げていったら、んまあ、被害者が一気に増えましたね。

ウォロとの戦闘シーンは最初途中まで書いてたんだけど、本筋じゃないし長いしで消し飛ばしました。
実際、ウォロが別に集めていたプレートもヒカリは持ち帰っていなかったりする。あれだけの傷を負ったので持ち帰る余裕すらなかった。

ヒカリ

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