姿を露わにしたゾロアーク達は、その日を終えて新居へと帰ろうとしていた。
街より程良く遠くの、海から切り立つ崖沿いにぽつんと建てた、要塞である。化かす事を得意とするゾロアーク達だが、それを見破る手段も用意しようと思えば数多にある。そして個々もそれなりに鍛えているとは言え、打たれ強い種族でもない。
それ故に、拠点は街中ではなく、離れたところに堅牢に構える事にしていた。
その道中。林を切り開き、今となれば工事の為に踏み均された道を、ゾロアーク達は釈然としない赴きで歩いていた。
一番の不安要素が払拭されないまま、今日という一日を終えてしまった。
何かを、見落としている。
長であるゾロアークは、周囲を仲間達に守られながら思考に耽る。
「……むらまさ、ムラクモ」
側近が聞く。
「やはり、その二匹が怪しいと?」
「消去法で考えてしまえば、その二匹以外、やはり有り得ない。
あのケッキング共では、ゲンガー共をあそこまで静かに潰す事は出来ない。
それ以外のここの島民も同じく」
「爪を隠している、と」
「ムラクモに至っては、脚刀を抜いたところすら見た事がないからな」
「私も確認しましたが、アレが剣を振るえるかどうかも正直怪しいですからね……」
「本当に船を切断したのか? とも思っていたが、それはきちんと目撃者が居る。しかも複数。
火事場の馬鹿力と俺達は一旦結論付けたが、並以上の剣技を振るえる事はほぼほぼ確実だ。
だが、本当にムラクモが爪を隠していたのならば、それは……」
そこから先を一度言い淀んだ時。
「うっ?」
後ろから変な声が聞こえた。
振り向けば、一番後ろを歩いていたゾロアークが、自身の脇腹を見ていた。
細長いものが突き刺さっていた。
「矢だ」
そう言った途端、全身から力が抜けたかのように膝を崩れ落ちさせる。その首に、二本目の矢が新しく貫いた。
「あえ?」
その言葉を最期にゾロアークは倒れ、次の瞬間には見えない力によって引き摺られていった。
矢に糸を括り付けていたのだと一瞬遅れて理解し、血の気の多いゾロアーク達が何を言うまでもなくそれを追って行った。
「俺達も追いますか?」
突如の出来事にも側近達は周りを警戒しながら、落ち着いた声で聞く。
「いや……」
呼び戻すかも迷っている間に。
何かが丸いものが投げつけられてきた。ゾロアークの一匹がシャドーボールで迎撃したが、それはぼふん! と音を立てて煙を撒き散らす。
そしてその煙に紛れて、今度は大量の玉が。
「っ……逃げるぞ!!」
長は叫んだ。プライドも捨てて逃げた方が良いと体が訴え始めていた。
だが、それは同胞達には通じなかった。投擲されていたのは、煙を撒き散らすものだけではなく、ばちばちと激しい音を立てるものも含まれていたからだ。
視界と、そして聞こえる音も意味を為さなくなった。幻を見せる力も、こんな環境では意味を為さない。
その最中。
ガンッ、と硬質な音が聞こえた。ダイケンキの脚刀の腹で頭を叩かれた音だと、何故か理解していた。
弓矢に、煙玉と、癇癪玉。そんな、古風な道具達。二匹のダイケンキの内、覇気のない目が自然と思い浮かんだ。
「ああ、やはり……」
せめて身を潜めつつ、長は自分の想像が……余りにも荒唐無稽で、一度は棄却したそれが正しかったのだと理解した。
ヒスイダイケンキという、自分の見た事のあるダイケンキとは全く異なるそれについては、ムラクモを見てから調べたのだ。
シンオウがヒスイと呼ばれていた頃に、その過酷な環境に適応すべく異なる進化を遂げた種なのだと。
あの覇気の無さは実力の無さや、ただ生きているだけをしているようなものではない。そんなとは全く真逆で、もっともっと闇の深い……。
碌に周囲が感じ取れない。走って逃げるべきだと理性は訴えているが、確実に『居る』のに、殺しをした事のあるような存在の、気配も何もを感じ取れないのが足を竦ませていた。
あのヒスイダイケンキは……ムラクモは、殺す事に対して何か意識する事も、感情を昂らせる事すらないのだ。罪悪も快楽も、殺意も敵意すらもない。日常の延長線上として、大量殺戮までを出来てしまう、俺達とも全く異なる、異端。
戦争の為に粘り強く訓練された兵隊であれど、こうにまでは早々ならないだろうと思える程の。
黒い衝撃波が一箇所から響いた。誰かがナイトバーストを使って煙を吹き飛ばそうとしている。
だが濃い煙は一発では晴れるまではいかず、直後に等しく硬質な音が聞こえた。
濃厚な煙の中、目の前に黒い影が見えた。それが仲間のものかそうでないのか分からず、しかし迷う余裕などなく爪を突き出す。
「長!?」
だがそれはヒスイダイケンキではなく、同胞のゾロアークだった。突き刺す手前で必死に止めたその直後。
更に後ろからヒスイダイケンキ……ムラクモの前足がそっと、ゾロアークのマズルを掴んできた。
「え?」
抵抗するより前に、腕に力が籠る。
ごりゅんっ!!
「貴様っ…………?」
首が捻じ折られたその同胞。その背後のムラクモに爪を向けようとして、体が上手く動かない事に気付いた。
いつの間にか、矢が体に刺さっていた。
「う、うおあ……」
先程の光景が脳裏に浮かぶ。脇腹に刺さっただけで全身を崩れさせた同胞。
毒…………。
膝から力が抜けていく。ムラクモのいつもと全く変わらない顔が、そんな自分をじっと見つめていた。
猛烈な勢いで引き摺られて行くゾロアークの行く先は、崖だった。糸は岩に結びつけられており、急斜面を転がり落ちるそれに乱雑に引っ張られる形で、ゾロアークは肉体を跳ねさせられた後に岩と共に海へと落ちて、そして見えなくなった。
追いかけていったゾロアーク達はそれを呆然としながら見届けた。
遺体にサメハダーやらが群がる前に引き上げたいという思いもあった。だがそれよりも、こんな事をしたのは、二手に別れさせる為、一度勢力を分断させる為だと遅れて一匹が気付いた。
来た時以上の勢いで戻り始めた、その途中にて。
一匹が唐突に転んだ。
皆が振り向いた時。
「……俺の脚は?」
すぱんと両断された両脚を必死に探すゾロアークと、どこかから現れて、その背中に無言で脚刀を突き立てるムラクモが居た。
変わらない目つきで、ムラクモは残りのゾロアーク達に目を向け、脚刀を構える。
「殺せええええええええ!!!!」
牽制にと放たれたシャドーボールの幾つかは、打ち返され、はたまた切り裂かれて当たる事がない。
脚刀の間合いより外側で、ゾロアーク達がムラクモを囲もうとすれば、その中の一匹にぬるりと迫って脚刀を振るう。虚を吐いたような一撃に、狙われたゾロアークは咄嗟に庇った腕を切り裂かれる。
そしてまた、その背後より爪を振るおうとしたゾロアークに対し、ムラクモはそれを見る事もなく、脚刀を胸へと突き刺した。
「え」
背後からと言えど、幻覚も使って、距離感もタイミングを見誤らせたはずなのに、的確に。
引き抜かれると、ぶしゅうと血が飛び出しムラクモを染め上げる。
二匹目の死亡。脚刀の間合いに入る事をより躊躇したゾロアーク達に、ムラクモはその崩れ落ちていくゾロアークの首を撥ね、一匹に向けて打ち飛ばした。
「は、え!?」
飛んでくる頭。それを思わず受け止めたゾロアークは思考が固まる。未だ死んでいる事を理解していないようなその生首の目と目が合った時にはもう、ムラクモは懐に潜り込んで脚刀を振るっており。
体と共に、二つの頭が地面に落ちて、ごろりと転がった。
ムラクモは振り返る。一向に襲い掛かってこないゾロアーク達に向けて、血で浴びた全身を見せながら。
いつもと変わらない、殺気も何も感じられない目で。
「う、うわ、うわわ」
尻餅を付いてしまったゾロアークが居た。
股間からは生温かいものが湯気を出しながら飛び出してきている。
ムラクモがそれに向かって歩いていく。
周りのゾロアーク達は、苦し紛れにシャドーボールを放つも、背後からであってもどれもムラクモにまで届く事はない。
様々な幻を見せようとも、どんな光景を見せようともムラクモはまるで幻そのものが見えてないようにただ歩く。
「ひぃっ、だっ、だれかっ!! 長! 長ぁ!!」
背を向けてがくがくと震えるだけの脚を這いずらせていくのに、ムラクモは追いついた。
誰もその脚刀の間合いに入ってまで邪魔する事も出来ず。
また、体を起こさせようとすれば、その瞬間に肉薄して首を落とされる感覚が過って。
誰もが棒立ち同然のまま。
ムラクモは脚刀を股間へと突き立てた。
「ぃぎぃぃあ
むぐっ」
加えて頭を踏みつけられ、悲鳴を上げる事すら封じられる。
その頭上にて、ムラクモは脚刀を構え直し、まずは一振り。
「〜〜〜〜!?!?」
すぱんと、爪の一本が派手に切り飛ばされた。二本、三本。
続いて爪を喪った手が切り飛ばされた。それも見せつけるかのように派手に宙を舞う。
続いて二本の脚刀は、両方の足先に等しく突き立てられて、それはすぅ、と太腿までを嫌らしく、ゆっくりと切り開いていく。
途中、太い血管を切ったのか、どば、と血が吹き出してムラクモの後ろ足を濡らした。
ムラクモは、それを顔色一つ変えずにやっていた。言ってしまえば、単に挑発の為だけに。逃げられては困るから。
だが、それは挑発というには残虐過ぎた。ゾロアークが見せる如何なる幻よりも、心を凍てつかせて動けなくさせていく。
木の上に立っていたゾロアークは、自分が落ちた事に落ちてから気付いた。
拷問を幾度とした事があるゾロアークですら、体に悪寒を覚えている。
そして、気付けば叫んでいた。
「おっ、おまっ、お前、何なんだ!? 何でこんな……こんな場所にお前みたいな奴が居る!?」
甚振られていたゾロアークが事切れたのを確認してから、ムラクモは振り返って、初めて口を開いた。
「ワタシも知らない」
その答えに逆上して襲い掛かったゾロアークは、突き出した腕を真っ二つにされ、そのまま背中に回り込まれる。振り返ってそれでも振るったもう片方の腕はムラクモに当たらず、その代わりに脚刀が口の中から後頭部へと突き立てられた。
蹴り飛ばして、脚刀を引き抜く。
「ひ、ひぃ」
「う、うあ、逃げなきゃ。長に伝えなきゃ。この島はダメだって、帰らないとって」
「やだ、やめて、殺さないで、何でもするから、だから」
最早、戦意を保てているゾロアークは一匹足りともいなかった。体の動かし方すら忘れたようなゾロアークも多い。
そしてそうでないゾロアークの二匹も這々の体で逃げようとするのに対し、ムラクモは脚刀を持ったまま体を捻った。
ぐ、と全身に溜められた力。
ぶん! と一投目は、回転する鋸のように飛びながら、ゾロアークを背中から袈裟斬りにした。
「……え?」
隣を走っていたゾロアークは、唐突にもう一匹の背中から脚刀が生えたかのように切り裂かれ、そのまま崩れ落ちていくのを目の当たりにし。
そして後ろを振り返ってしまった時。
槍のように真っ直ぐと飛んできていた二投目は、ゾロアークの胸を貫き、そのまま後ろの木へと磔にした。
そして残る、体をまともに動かす事も出来ないゾロアーク達に、素手で止めを刺していると。
脚刀が引き抜かれる音がして、ムラクモは振り返れば、強烈な毒を塗って動けなくしたはずの長が脚刀を両手に持ってこちらに向かってきていた。
「貴様だけは……貴様だけは命に代えても殺す!!」
口には、何かを食した跡。
……誰か、解毒出来るラムの実か何かそういう物を持っていたのか?
ただ、辛うじて一匹分しか無かったようで、他に気配はなかった。
「おっ、おさっ、たすけっ」
ごきゅ。
疑問に思うところもあれど、ムラクモは最後の一匹のゾロアークの首を捻じ折り、のそりと前へと出た。
長が、その長い髪の毛をも逆立てる程の怒りと共に走ってきた。
*
それを首の骨が折られながら辛うじて生きていた同胞が、偶々持っていたラムの実を口に入れられていた事で、長は起き上がった。
しかし、既にそこは死屍累々だった。今の今まで共に生きてきた同胞達の大半は、もう既に物言わぬ死体となっていた。生きているのも、このままだったら呼吸すら麻痺して死んでいく。
この島に関しての様々な情報を取り込んできたが、そこには木の実の群生地という金にもならず、危険でもない情報などはなかった。
そして、今この場で命に代えても復讐を果たせなければ、自分の矜持は跡形もなく消えて戻る事はないというのは、分かりきった事だった。
「うおおおおっ、おらあっ!!」
ヒスイダイケンキの脚刀は、通常のダイケンキのそれより軽い。そこまで力の強くないゾロアークでも問題なく振るえる程に。
けれど、遮二無二に振り回されるそれに対し、ムラクモは反撃までは出来ないものの、するり、ぬるりとそう体を派手に動かす事もなく躱していた。
その最中。
脚刀は木に叩きつけられた。長の振り回し方では、脚刀は木に食い込む事なく、切っ先をパラパラと砕けさせる。
地面にも叩きつけられ、埋まっていた石か何かに当たってまた、脚刀はまた砕けた。
……こんな、脆い刀で?
激情に駆られながらも、長はそれに意識全てを奪われていはいない。命に代えてでもムラクモを殺すにはどうしたら良いのか、その道筋を必死に辿り続けている。
その意識が、この脆い脚刀にある種の感嘆を覚えさせてしまう。
周りには、既に首を、四肢を断ち切られた同胞達の死体が転がっていた。このムラクモは、こんな繊細な刀でここまでの惨劇を、刃毀れの一つも起こさないまま成し遂げている。
加えて、まともな剣術ではないにせよ、武器を奪われた相手にさえも微塵も怖気付かないのはやはり格の違いというものを思い知らされているようだった。
だが、負ける訳にはいかない。脚刀さえ奪っていれば、勝機はあるはずだ。
そして、ムラクモの挙動を深く探りながら、決死の一撃を捩じ込める隙を見つけようと脚刀を振り回し続け。
だが……それは、一向に来る事がなかった。
そんな最中、目と目が合った。
長は、ムラクモに淡々と見られている事に気付いた。
自分なんぞより、より深くまで。何の感情も持たず、何の偏見も持たず、どのようにしたら殺せるかの為だけに。
それを自覚してしまえば、勝機など万に一つも無いと理解させられてしまったよう。
……生きてきた軌跡が、違い過ぎる。旨い汁を吸う為だとか、楽して稼ぎたいだとか、他者より上に立ちたいだとか、そんな世俗的な生き方をこいつは微塵たりともしてきていない。
異端じゃない。別物だ。
どうすれば分からなくなった、その止まった腕に水鉄砲が当たった。
「うっ」
脚刀が手から離れた。
的確で、これもまた淡々とした攻撃。
腕に走る痛み。大したものではないにせよ、いつもなら避けられる程度のそれに当たった事に、先に隙を見つけられたのが自分であるという事実を突きつけられる。
拾い直そうとする事すら憚られた。そもそも、脚刀を奪ったところで脅威として見られているのかすら怪しかった。
どう足掻いても勝てないのならば、逃げろと理性が訴える。
しかし、長としての矜持がそれを拒もうとした時。
ざりっ。
それは、先に前へと一歩踏み出したムラクモの足音、ただそれだけで粉々に砕けた。
「うっ、うああぁぁああああぁぁ」
長は身を翻して、尻尾を巻いて、逃げ始めた。
頭の中が真っ白だった。木々にぶつかりながら、転びながら、それでもムラクモから出来るだけ離れようと、ただそれだけで全身が駆動し始めている。
そして、そうして逃げようとしたゾロアークの二匹がどうなったのか、その末路を見たはずなのにそれも消え失せていた。
ムラクモは落とされた脚刀を拾うと、転びながらも逃げる長を見定めた。
脚刀を持ち直し、と体を強く捻らせる。全身を撥条のように力を溜める。
そして、解放した。
ぐるんぐるんと脚刀が飛んでいく。海からの潮風を切り裂きながら、一糸乱れぬ軌道で、ひたすらに最短距離でその的へと飛んでいく。
それは、的へと……長の背中を深く抉った。
進化すると共に自ずとその身に備えられる翡翠のような髪留めは、幾多の破片に成り果てて地面にぼろぼろと零れ落ちた。
その赤黒く長い髪の毛も、半分ほどがばっさりと地面に落ちて、いかにも見窄らしい見た目に成り果てる。
故に、いつもは感じない風を背中に感じていた。それ以上に背中から生温かいものが流れていく感覚が。
長の手によって幾多の刃毀れを起こしていたその脚刀では、長の背中を袈裟斬りにするまでは適わず、長の命は未だ繋がっていた。
ただ、それでも背骨も深く切り裂かれたのか、下半身にも上手く力が入らない。致命傷ではあった。
「なんで……なんで、こんな……」
ただ端的な言葉ばかりをうわ言のように繰り返していると。
後ろからは、ゆったりと歩いてくるムラクモの足音が少しずつ近付いてきていた。
「いやだ、やめてくれ、うう、うあっ」
そんな呻き声を無視して、ムラクモは一対の脚刀を回収した。
「……」
酷い刃毀れを見て、ムラクモは溜息を吐いた。
長は、そんなムラクモの様子なども見ないまま、せめてと言葉を捻り出す。
「助けて、くれ、金、女、薬、何だって用意する。だから」
「黙れ」
ムラクモは不愉快そうにその言葉を閉じさせる。
風と波の音ばかりの中。
ムラクモは脚刀を暫く眺めると、片方を仕舞い、再び溜息を吐いた。
長は、断罪の時が来たのをどうしようもなく自覚した。
「や、やめっ」
変わらない目。
一本の脚刀が、ムラクモの両手で持ち直され、高くに掲げられる。
振り下ろされるのに、咄嗟に長はそれを両方の爪で防ごうとした。
バギィッ。
「ぎゃあっ!?」
爪が砕け、脚刀が更に刃毀れを起こした。
もう一度高くに掲げられた脚刀。
「待て、待てぇっ!!」
そんな懇願も虚しく、二度目が長の両腕をへし折った。
「ぎゃああああああ」
「自業自得だ」
ムラクモは、小声で言った。叫んでいるゾロアークには聞こえていないにせよ。
淡々と幾多のゾロアークを殺した事には何も抱いていない。脚刀を一時奪われたのも自分の失態だ。だが、脚刀をここまで刃毀れさせた事には苛立ちを隠せなかった。
爪も砕け、肘から先があらぬ方向を向いたその両腕で、けれど長は必死に首だけは守ろうとしていた。
それに対して、ムラクモは脚刀を振り下ろす。
腕が千切れるまで何度も。喉が引き裂け、そして首が叩き折れるまで何度も。事切れた上で首と胴が分かたれるまで何度も何度も。
今の今まで無表情でゾロアーク達を殺していたムラクモの表情は、この時だけ昂っていた。
ヒスイダイケンキが脚刀も使わず素手で首を捻じ折る絵をください。
ヒスイダイケンキが怒りの形相で脚刀を振り下ろしてくるところの一人称の視点の絵をください。