※この作品はR-18です。

神宮司まりもの恋愛遍歴   作:ろっくLWK

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CASE.8 そして、今は
〈 ∫ 〉


 

 

 

「――――ふうん。あの時期、裏じゃあそんな事があったのか」

 

「あっ、あっ、あんっ……これで……もういいでしょぉ……」

 

 薄暗い部屋。大判のベッド。そこにあって、まりもは後ろから激しく突かれている真っ最中だった。

 

「喋れることは全部喋ったわよ……これ以上は許してぇぇ……恥ずかしくて死んじゃいそう……」

 

「またまたぁ、そんな事言って実際喜んでたじゃん。ココがキュウキュウ言ってんの、オレには分かるんだぜ?」

 

「はぁうんっ」

 

 年齢に見合わぬ巧みな腰使い。まりもの大きく重い乳房を上手に弄ぶ手練。この子ったらいつの間に。そんな風に思いながら、まりもは背後から自分を責め立てるその男を盗み見る。

 男は最後に会ったあの日よりも数段精悍な顔つきをしていた。調子がいいのは相変わらずだが、色々な経験を踏まえて歳相応、いやそれ以上の男らしさも獲得したのかも知れない。何よりも彼がそうなった一番大きな秘密を、まりもは既に知り得ていた。だから余計になのだろう。こうして肌を重ねながらも、その内側に浮かんでくる彼の雄姿みたいなものに、まりもは身も心も溶かされてしまっていた訳で。

 

「それでここ一年は? ……付き合ったヤツ、ホントは居るんだろ?」

 

「はっ、うぅぅん。そこダメっ。そこずんずんしながら耳元で囁くの反則ぅぅっ」

 

「教えてよ。分かるだろ? 体験談を一つ聞く度に、こっちも興奮しちまってるの」

 

「あぁぁ、んっ。分かる、わよぉ。私が『膣内射精(なかだし)された』って言う度、オチンチンがどくんって大きくなって、イイ所に届いちゃうんだからっ……」

 

「じゃあ教えてよ、オレの為に。ね?」

 

 ふー、と男が細く尖った息をまりもの耳に吹き掛ける。鼓膜を通じて性感神経を直接くすぐられるようなえもいわれぬ感覚。同時に両方の乳輪までキュウと摘ままれ、ぞわぞわと昇り来るものを堪えながらもまりもは口を開く。

 

「……その次、はっ。大学で同期だった子に紹介された、同い年の男性(ひと)で……」

 

「ふんふん」

 

「総合商社に勤めてて……学歴も高くて顔もいいエリートって感じの人だったの。会ったその日は食事だけだったけど、二週間後のデートでエッチして。慣れた感じでけっこう上手で……」

 

 びくん、と肉竿が跳ねる感触。上手、という言葉に軽いジェラシーを覚えたのだろうか。でも、とまりもは思った。その時の男よりこの彼の方が、セックスは何倍も上手い。歳はずっと若いのに。

 

「ソイツには? 生ではさせなかったの?」

 

「……一回、だけ……付き合い出してから一ヶ月ぐらい経って、彼の家でした時……窓際に押し付けられながら立ちバックで出されて、その後ソファに座って胸を吸われながら……んん、」

 

 むきむき。男のモノが膣内で更に膨れ上がる。元からこういう趣味でもあったのか、それとも語られた彼女の性体験談があまりに生々しいが故か、彼はつい先日までのまりもが知らない一面を大いに覗かせていた。抱いている最中の女に過去の男関係を、とりわけ膣内に射精(だ)された経歴を詳細に述べさせる。その一つずつが階段を上るが如く男の劣情を強め、まりももまた当時を思い出しては昂りを加速させられてしまう。……あるいはこれも一種の言葉責めと言えるのだろうか? 等と考えつつ、まりもはひとしきりの経緯を彼に語り聞かせる。

 

「……っていう感じで、小さい不満もあるにはあったけど、この人となら結婚してもいいかな、って私は思ってて……けど向こうは私の事、教職っていう肩書きとカラダしか見てなくってぇ……その次の月のある日突然、もう満足したから別れよう、なんて言われて……」

 

「……あらら」

 

「結局はいっつも相手の都合に振り回されてばっかり……誰も私の事なんて大事にしてくれないのぉぉ……あっやっ、その乳首こりこりだめ、感じちゃうっ」

 

「そいつら揃いも揃ってバカばっかりだな、見てくれや表層の部分だけで判断してよお。こんな最高にイイ女、血眼になって探したってそうそう見つかる訳じゃない、ってのにさっ」

 

「んあううぅっ……ホント? ホントにっ……?」

 

 男の腰つきがぐりぐりと円を描いて廻る。結合部を支点にしてすりこぎのように膣を掻き回す肉竿。ピクリと跳ねたまりもの反応から「ここだ」と弱点を見定めたのか、次のストロークから彼はその箇所をじわじわと責めるように抽挿を繰り出してくる。そこだ、なんて一言も言ってないのに。それが心地良くて、嬉しくて、何よりも感じてしまって。感極まったまりもの目頭がじんと熱くなってしまう。

 

「ホントだよ、オレはそいつらみたいな事はしない。全力で受け止めて、守って、満足いくまでたっぷり愛してみせるよ。まりもちゃんの事」

 

「……白銀(しろがね)くぅぅん……ぅあっ、あふぁぁん」

 

 その男、白銀武(たける)の力強い言葉に、涙がぽろぽろ零れ出る。その夜、まりもは久しぶりに心底歓喜していた。愛する男に抱かれる。想いを通じ合わせながら互いに欲するものを与え合う。本当の幸福に満ち満ちたセックス。それを味わうのはもしかして、これが人生で初の事かも知れなかった。

 

 

 

*

 

 

 

 話は少々遡る。

 この春白陵柊を卒業していった教え子・白銀武。その彼が今、同じく元教え子の鑑純夏や榊千鶴ら複数名の同窓生達と共に、あの御剣の本家に居を構えて重婚状態で暮らしている――そんな噂を何処からか聞きつけた夕呼は早速とばかり都内某所へ愛車・ストラトスを走らせた。無論、助手席にまりもを伴って。

 

『こーんな面白い話、みすみす見逃す手は無いわ! 行くわよまりも、アンタもそろそろ覚悟決めなさい』

 

『覚悟って何の!?』

 

『決まってるでしょぉ? するべき時が来たのよ、アンタの言う身を焦がすような恋、ってヤツをね』

 

 その意味も分からぬまま連れてこられた御剣家の本屋敷。どうやら彼らはその広大な土地の一区画を丸ごと自分達の為の居住エリアとして、大きな本宅に連なる幾つもの妻用別邸という形にしつらえて暮らしているみたいだった。厳重なセキュリティを幾つも通過させられ、長い事待たされてようやく姿を現したメイド、いや侍従長の彼女は再会の挨拶を恭しく交わした後、にこやかな笑みと共にこう告げた。

 

『お会いになられるそうです。只今武様をお連れ致しますので、こちらにて今しばしお待ち下さい。……それと余談ながら、こちらの建物は来客用の滞在施設(ゲストハウス)となっておりますので、よろしければ明日の朝まででもごゆるりと』

 

 恐らくはその侍従長も夕呼も、今日が週末の夜である事を正しく理解していた。分かっていなかったのはまりもだけ。かくして白銀を待つ間に『後は若い二人に任せるから、ごゆっくり~』とだけ言い残して帰ってしまった夕呼に酷い苛立ちを覚えつつ、白銀が来るまでのひと時をまりもはやきもきしながら待ったのだった。

 ――そうして卒業以来久しぶりに会った白銀の口から聞かされたのは、ここでの生活ぶりやら近況やらよりももっと凄い、驚くべき話だった。

 

『……あの夢が? まさか、そんな……』

 

『ホントなんです。オレや純夏も冥夜達も、みんな同じ夢を見てて……でもそれは、こことは別の世界にいるオレ達がその目で見ていた光景だったんです』

 

 一時期見ていたとても奇怪な、けれど妙に現実感の強い夢。その話を彼としたのはこれが二度目だ。だがその時には語らなかった事実を、白銀は口にした。

 

『あっちであった出来事は全部本当の事で、そこにまりもちゃんが、いや、神宮司軍曹がずっと居てくれて。そのお陰でオレは、あの世界で……辛い事が沢山あって、何度も心を打ち砕かれて、絶望のどん底にまで叩き落されて。それでも……その度に、軍曹のくれた言葉が……ひ弱だったオレを、支えてくれ、て……』

 

『し、白銀く……ん?』

 

『だから、オレは…………ずっと言いたかったんです。ありがとう、って。軍曹に伝えたかった……でも伝えられなくて……っく……ぅう、うあああぁぁぁ…………』

 

 突如として咽び泣く白銀を前にして、まりもは大いに慌ててしまった。だが彼の語る内容と自分が『夢』として見たその記憶、全てが符合している事は認めざるを得なかった。数奇な運命、なんて言葉では到底片付けられない、おとぎばなしのように不思議な夢の物語。その一通りを聞いてまりもは全てを確信した。いや、思い出したと言うべきだ。

 

『……あっちの私は、白銀くんの助けになってあげる事が、出来たのね?』

 

『…………はい。すっげえ助けられて……オレ、心の底から尊敬してました……』

 

『白銀くんもみんなも、あっちの私の教えを、きちんと大事にしてくれたのね』

 

『勿論です。オレ達だけじゃない……伊隅さんも、速瀬先輩や涼宮先輩も……みんなみんな軍曹の教え子でした。みんな軍曹の教えを大事に守って、最善を尽くして戦って……』

 

『それなら良かった。あんな辛い世界で、皆よく頑張ったわね……白銀くんも』

 

『はい、……はいっ』

 

『本当、よく頑張ったわ。だからいいのよ、もう。……許してあげて、自分の事』

 

『…………は、ぃ……っっ!! ……ぅう、うあああぁぁ……ああぁぁぁああぁ…………』

 

 あの世界でどんな事があったのか。その仔細までは聞かなかった。それは以前夕呼に聞かされた一つの話から、それとなく察するところがあったからだ。――何であろうが所詮は『夢』の話、白銀達が何か言って来ても当たり障りなく過ごしなさい――それはきっとこの事を指している。まりもはそう直感していた。

 

 

 

 暫くして白銀が落ち着いたのを見計らい、まりもは彼に自分の気持ちを正直に告げた。

 

『白銀くんの事、私はただの教え子としか思ってない筈だったんだけど、ずっと気には掛けてたの。まあ問題児ではあったし、それ自体は教師として普通の事かなって思うんだけど。でも今日夕呼にここへ連れて来られて、今白銀くんに夢の話を聞かされて、それで分かったわ。多分私は夢の世界でもこっちでも、ずっとあなたの事を意識してたんだ……と思う』

 

 それが果たして男女の間に生じる思慕と呼べるものなのかどうか、そこは自信が無かった。けれどきっと白銀はいつか凄い事を成し遂げる子だ。まりもは平素から夕呼にそう言っていた。夕呼はそれをからかいの種にして『恋愛原子核』だ何だと騒ぎ立てている。そうとばかり思っていた。

 でも今は違う。理屈抜きで彼に抱いていた信頼感。素行や成績からでは見抜けよう筈も無いのに窺い知っていた将来性。こうしたものの根源はきっと、『夢』の自分にあった。生徒として教え子として彼を見る目線は共通ながら、その一方では彼のうちにれっきとして存在する『男』の部分を、二つの世界の自分はそれぞれに見ていた。それが『夢』を通じて自分の中で重ね合わせになった今、まりもは目の前の彼を、白銀武を教え子や年下の人間としてではなく、一人の男と感じるようになっていた。

 

『だから、もし白銀くんさえ……ううん、みんなさえ良ければね? 私も白銀くんと向き合ってみたくて。教師と教え子としてじゃなく、ただの男と女として』

 

 そんなまりもの消極的な打診を、白銀は二つ返事で了承してくれた。早速とばかり皆の元へと案内されたまりもには懐かしき教え子達との再会が待っていて、皆揃ってまりもの参入を歓迎してくれた。

 この春に挙行されたという『第一次・正妻戦争』とやらを通じて既にお腹を大きくした鑑や御剣冥夜・悠陽姉妹。相変わらずじゃれ合いながらも険なく仲良さげに過ごす榊と彩峰。それらを取り巻く鎧衣・珠瀬・柏木達、そして端っこでちょっと恥ずかしそうにしている社。皆の笑顔に囲まれて、まりもはちょっとした同窓会気分で晩餐を共にする事が出来たのだった。

 

『という訳で、いいよねまりもちゃん』

 

『へっ? いいって、何が??』

 

『だからさっきの件だよ、オレと向き合うって話。それってつまり結婚を前提に付き合うって意味だろ? それならオレだって我慢できない。今すぐにでも欲しい、まりもちゃんの事が』

 

『し、白銀くん……あんっ』

 

 わざわざゲストルームまで送ってくれた白銀は突如として送り狼のように豹変し、まりもをベッドに押し倒した。正直迷う気持ちはあったけれど、それでもあえてまりもは彼の求めを迎え入れた。

 恋はいつ何処から始まるか分からない。時には恋より先に芽生えたものが二人を繋ぎ、そのまま愛を育む事だってある。それをまりもは十全に理解している。だから、もしもこの気持ちが本物なのだとしたら。燻る種火に息を吹きかけて燃え上がらせるかの如く、まりもは己の身体を通じて不確かなこの心を彼に炙られることを望んだのだった。

 

「――しかしそんだけ色んな男に中出しされて、今までよく妊娠しなかったよな。もしかしたら今頃とっくに『ママ』になってたかも知れなかったじゃん」

 

「あ、あっ。きっと運命、だったのかもっ。白銀くんとこうなって、白銀くんの赤ちゃん産んじゃう、最初からそういう運命でぇぇっ」

 

「運命、かぁ。ホントのところは良く分からないけど、オレにとっちゃ大歓迎な運命だな。ある日起きたら変な異世界に飛ばされるよかさっ」

 

「んうんっ。……ほ、ホント? 色んな男の人とエッチして来て、しかも何度も生で中出しまでさせちゃった私の事、汚れた女(ビッチ)だって思ってたりしない?」

 

「思う訳ねーよ、それもまりもちゃんの歴史じゃん。むしろ何でか分かんねえけど、オレ今メチャクチャに興奮してる。そんだけ多くの男を知ってるまりもちゃんが今はオレだけのものになってるって、そう思っただけで」

 

「はぅ、あう……白銀、く……ん、」

 

 心臓をぎゅっと鷲掴みにされたかのような喜びとときめき。白銀のその言葉に嘘が無い事は、まりもが一番良く分かっていた。彼に頼まれ過去の男の話をする間中ずっと、挿入された彼の肉竿は萎えるどころか激しくいきり立つばかりだったからだ。それにしても、女を寝取られた経験も無い筈の彼にどうしてこんな性癖が? ――まりもの脳裏にふと沸いたその疑問も程なくして、下からの痛烈な一撃にかき消されてしまう。

 

「あぁあぁぁっ!! ん、いいっ、いいのお白銀くんっ。もっと奥まで来てっ。先生のっ、先生のいちばん奥ううぅぅっ」

 

「先生、って、その呼び方ヤバいってっ。まるでオレたちいけない事してるみたいじゃんかっ」

 

「だって、しちゃってるものぉっ! 教え子に手を出すなんていけない事、もうしちゃってるからぁぁっ……あ、その胸の弄り方、好きぃぃいっ」

 

 背面座位で乳首をすりすりされながら、まりもは甲高く喘ぐ。こんなによがり狂うのはいつぶりだろう。器用に身体を捻らせて対面座位でキスを愉しみ、そこから白銀が寝そべって騎乗位へ。そのまま体の向きを反転させ背面騎乗位となったら、今度は起き上がった白銀が覆いかぶさるようにして後背位。体位が一つ替わる度、軽度の絶頂をもう四回は迎えている。次は大きいのが来る。そんな大波濤がもうすぐそこまで差し迫っているのを、まりもは溢れる快感の只中に感じ取っていた。

 亀頭の先が最奥のところにまで届いている。雄の種を求めて下りてきた子宮口を揺すられる度、脳天まで突き抜ける快感がまりもの意識を飛ばそうとする。揉まれ摘ままれ舐られる乳房が先っぽから悦びを溢れさせたがっている。白銀との肉体的相性は抜群だ。ずこずこずこずこ、と遠慮無しに膣穴を嬲る男の肉の塊に、まりもの理性という理性は悉く打ち砕かれていった。

 

「んあっあっあっあっあっ!! ああっ良過ぎるぅぅ~~っ。白銀くんのオチンチン、私の弱いトコ分かってるみたいにぃ、そこばっか突いてきてぇぇっ」

 

「勿論分かってるよっ。ココ当てる度、中がギュウギュウにオレを搾ってくるからなっ」

 

「やあんっ! もうバレちゃって、るぅぅ。たった一回で、んんあああっ、私のカラダ、白銀くんのモノに、されちゃってるのぉぉおぉっ!」

 

「ああそうだっ。まりもちゃんはもうオレのもんだっ。こんな抱き心地のいいムッチムチの身体、もう他の誰にも粗末になんて扱わせやしない。だから今までのどんな男共よりも、オレが一番まりもちゃんの事感じさせてやるよっ」

 

 胸をさわさわと弄っていた白銀の手が横腹を辿り、こちらの腰骨をガッチリと固定した。彼ももう絶頂に向けてスパートを掛けたいのだ。それを察してまりもはリズミカルに膣口を締め、フィニッシュの瞬間により強い刺激を与えられるようタイミングを探ってゆく。一滴でも多くの愛を、彼から搾り取る為に。

 

「んあっあぅあっはっくっんっんぅ、好きよ白銀くん、すきいっ。だからそのオチンチンで先生のことイかせてっ。ねぇおねがぁい、白銀くうううんっ」

 

「それクセになるからやめてくれって。まりもちゃんはいいの? 教え子に『先生』って呼ばれながらイカされんのっ」

 

「いいの、いいのっ。教え子のオチンチンに気持ち良くされて、そのままイキたいのおおおっ」

 

「じゃあ……先生っ。全部受け止めてくれよっ」

 

 じわ、と身体が熱くなる。元とは言え教え子に『先生』と呼ばれながら犯される。十も歳の離れた男に種付けされる。まさに背徳の味。この甘美さたるや、世界中のどんな媚薬(ドラッグ)だって及ばない。自分もクセになってしまいそうだ。激しくも巧みに抽挿を繰り返す肉棒にばちばちと意識を揺さぶられながら、まりもはそんな思いを胸の内に抱える。

 

「ああんだめ、だめっ、だめええっ。先生イっちゃうっ……! 白銀くんも一緒に、一緒にいいぃ~~~っ」

 

「はっ、はっ――オレもイくよ先生……っ。このまま、中にっ……!」

 

 白銀の肉竿がむきむきと膨張してきた。それとは対照的にまりもの膣肉はより一層収縮する。吐き出す動きと呑み込む動き。絶頂を前にして真逆の動作を取る互いの性器は本能的に、同じ一つの結末を目指して互いの生み出す官能を享受し合っていた。

 

「あっ、あああ、イ……イクぅぅうぅん……やああぁああぁあぁ~~~~ッッ……!!」

 

 今日一番の強い絶頂。頭のてっぺんで花火が打ち上がったかのような衝動を覚えた直後、締め付けた膣奥の最も敏感なところに「ずびゅぅっ、」と熱い滾りが突き刺さる。――すごい。若々しくて元気で、見なくても分かっちゃうほど沢山で。それがいかほどの量と勢いで注がれたかを、まりもは経験則で察知してしまう。

 

「――――ぅあ、あふあぁ…………んぅぅ……ああ、濃っ、厚……」

 

「っ、く――――ふぅ、……まりもちゃん……」

 

 ややあって、白銀が脈動の収まった分身をまりもの膣から抜き取った。若く粘り気に富んだ白銀の精はその量にも関わらず外へ漏れ出ることも無く、そのまま膣襞のうねりによってこくこくと最奥へ呑み込まれてゆく。その様子を見たであろう白銀が、顎に溜めた汗を手で拭いながらぼそりと呟いた。

 

「――はぁ、はぁ。ああ……すっげぇ良かった、やばいくらい出しちまった…………」

 

 ベッドの上に這いつくばったまりもはそのままの姿勢で後ろを振り返り、尚も先端から白濁を滴らせる肉竿を虚ろな瞳で凝視した。射精の直後でまん丸に膨らみ、鮮やかなピンク色にてかてかと照り輝く亀頭。掻き混ぜられた愛液に塗れて白い泡をびっしりと纏う中茎。……まだ足りない。もっと欲しい。のそりと身を起こしたまりもは言葉も無いまま彼の股間に縋りつき、硬度を保ったままの肉棒を手で握る。

 

「ふぅ、ふぅ、ふぅ。……素敵だったわ白銀くん……。ふふ、百点満点のオチンチンに、私からのご褒美あげる」

 

 ちゅ、と中茎にキスを落とし、それからぬるぬるの亀頭を躊躇わず口に含む。互いの愛液でどろどろになった肉竿は凄い風味を放っていて、それがまりもの劣情をさらに掻き立てた。ちゅるる、と音を立てながら丁寧に白濁やら愛泡やらを啜り取った後、手で竿を扱きながら大判の陰嚢と裏側の会陰にもキスを注ぎ、白銀を座らせての本格的なフェラチオを開始する。そんなまりもの心を尽くした奉仕を、白銀は愛おしげな手つきで髪を撫でる事で労ってくれた。

 

「…………んちゅ、んこ、じゅぷ、じゅぷ、じゅっ、じゅっぷ、じゅちゅぅぅ」

 

「うぁ、それ、吸われながら扱かれると……やばっ……!」

 

 びゅっ、と口中に飛び出た彼の粘つく精漿。責めを開始してからものの五分と経っていない。どうやら白銀は口での刺激にはまだ不慣れのようだ。いや、あるいは自分のテクニックが彼に通用しているという事か? どっちだっていい。「とぷとぷ」と舌に注がれる生温かいぬかるみとひりつく苦みとが、まりもの表情をにたりと妖しく歪ませる。

 

「――んむ、くちゅちゅ。はふぅぅ、すっごく濃ぉい……ぷるんぷるんで、舌にべっとりへばりついて……さすが、もう三人も妊娠させちゃっただけあるわね」

 

「はは……まあ巡り合わせっつーか、こういうのって授かりもんって言うからな。純夏はともかく冥夜と悠陽はたまたま周期が重なっててさ、双子ならではって感じのタイミングだったし」

 

「それでも必ずデキる、ってものでも無いのよ。この分だと他の子達もきっと早晩孕まされちゃうでしょうね。私もみんなに負けないよう頑張らなくっちゃ……んくんっ」

 

 青くさい粘りをこれ見よがしに呑み込んでみせると、白銀は驚きと喜びをない交ぜにしたような表情を浮かべた。と同時に、精を放ったばかりで緩みかけていた彼の肉竿が再びびきびきとそそり立ってゆく。その若い漲りぶりはこちらの性欲をもさらに過熱させた。

 

「それで? その『正妻戦争』ってどんな感じだったの? ――んく、くぷぷ」

 

「あ~、まあ、色々と酷かったよ。冥夜と悠陽の提案で、代わる代わるみんなとエッチさせられてさ。純夏以外全員処女だったってのにあり得ないだろ? その上アイツら、月詠さんがどっかから用意してきた危ねえ薬までオレに盛りやがってさ。そのせいで一晩中どこか三日三晩……うお、その裏筋責めヤバっ」

 

「ちゅる、れる、んるるるるる……くす、それでギンギンになってみんなとエッチしちゃったんだ? いいなあ。私相手にも使ってくれたっていいのよ、その媚薬(おクスリ)」

 

「いや、アレはやめといた方がいいって。飲んだオレだけならまだしも、オレの体液を通じてまりもちゃんにも影響出る位に危険なヤツだから……あ、タンマ、それ以上されたらまた口の中でイっちまうっ」

 

 確かにそれは困りものだ。白銀を気持ち良くしてあげたい想いはあれど、どうせなら口よりもこっちに沢山出して欲しい。ぬめぬめの亀頭をしゃぶって竿の中の残滓を丹念に漉し取ってあげた後、まりもは白銀の手を引いて仰向けに寝転がる。

 

「……ねえ白銀くん。今夜は朝まででも大丈夫、なのよね?」

 

「勿論。例の薬なんか無くたって、まりもちゃん相手だったら何発でもいけるって」

 

「じゃあもっと、もっと注いで。さっきからココ疼いて仕方ないのぉ……」

 

 白銀に見せびらかすように、くぱぁ、と花芯を押し開いてみせる。糸を引いて覗いたその奥には、さっき彼の放ったものがまだたんまりと波打っていた。白銀もそれをしかと確認した筈だ。互いに交えたその視線が、強い欲求に駆られているのが分かる。

 

「ね、ひくひくしてるでしょ……まだココにきもちいいの、いっぱい欲しいの。あっついの欲しくて堪んないの。だからそのカタいので、いっぱいずぽずぽしてぇ……」

 

「いいの? そんなにしたら、結婚前にデキちゃうかもよ?」

 

「いいのっ。大台に乗る前に赤ちゃん産んで、ママになりたいのよお」

 

「大台て。……でもそんなウルウルした目で頼まれちまったらその願い、男としては全力で叶えてやるしかねえなっ」

 

 膝立ちになった白銀がまりもに覆いかぶさる。じゅるじゅると乳首を啜るその技巧は、さっきまりもが教えてあげた『一番気持ち良かったしゃぶられ方』だ。そうやって女を悦ばせる為に貪欲に学ぼうとする姿勢は、何処か夢の世界の彼を彷彿とさせるものがある。

 

「あんっ、あ……ふわ、やだそれ、おっぱい……気持ちいいっ……!」

 

「さっき言ってたよなまりもちゃん、一晩での中出しは8回が最高記録だったって。その記録、今夜オレが塗り替えてやる」

 

「あはっ、そんな事言っちゃって、絶倫なんだから。……いいわよ、十回でも二十回でも。私のアソコが白銀くんので溢れちゃうくらい……」

 

 ぞくぞく、とまりもの首筋を強い高揚と期待が駆け上がる。英雄色を好む、とは良く言うが、白銀はまさしくそうした資質を兼ね備えていた。あるいは自分が彼に惹かれたのもそういう所を感じ取っての事だったのかも知れない。「ぬりゅっ」とのめり込む亀頭の感触。それを待ってましたとばかりに自分の膣口がかぶりつき、内側から愛液と白濁の混じった汁を垂らす。

 

「たくさん味わって、私のカラダ。ん、――あぁ、あああぁん」

 

 ガチガチの肉棒が再び膣内に滑り込んでくる。彼の身体に腕と足でしがみつき、はしたない声を上げ、涎と涙と愛液を垂らし放題にして。その夜、まりもは心ゆくまで存分に喘ぎ乱れたのだった。

 

 

 

 

――これからオレ、沢山愛するよ。

 今までの分を全部取り返してやるってぐらい、まりもちゃんの事――

 

 

 

 

 

――白銀くん。私も……私も、あなたの事――

 

 

 

 

 狂犬。いつしか人は彼女の事をそう呼ぶようになっていた。

 その由来を当人は良く知らない。ただ大学の合コンやら何やらで気に入った男と酒を交わしていて、ふと気付けばまるで戦場跡のように色んなものが散乱していて、相手の男も自分も裸で、程なく向こうから振られる。そんな事態が立て続けに何度も起こった。一体何がどうしてこうなったのか。当時の彼女がそれを知る由などあろう筈も無かった。親友はその呼び名を嘲笑い、しかし明らかに恐れてもいた。

 

『まりも、アンタ金輪際人前で酒飲むの禁止よ! ほんの一滴だってダメだからね!』

 

 そんな風に何度忠告されたか分からない。けれど当人はそれを一向に守らなかった。やがて男共の間からまことしやかに立ち始めた一つの伝説。狂犬まりも。酒と快楽の暴走機関車。最初にそれらを小耳に挟んだ時には皆して意味の分からない風評を垂れ流すものだと、大して気にもしなかった。そうして大学を卒業し、母校で教師を務める事になり、それからも様々な形で様々な男との出会いと別れを繰り返し。

 

 

 

 

 その果てにようやっと、夜明けの時はやって来た。

 

 

 

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