※この作品はR-18です。

神宮司まりもの恋愛遍歴   作:ろっくLWK

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CASE.3 ひと夏の後輩
〈03〉


 

 

 あれからしばしの間、己の行いを省みたまりもはしばらく禁欲生活というか、男を求めない日々を送っていた。それは学業への影響を懸念して、というのも勿論あるのだが、最大の要因は自分が男に依存しやすい性質の人間であることをうっすら自覚し始めていたからだ。それに加え、先輩との刹那的なセックスで強い快楽の旨味に目覚めかけた、という嫌な手応えもある。このまま欲に溺れてしまったら、色々な意味で人生の坂を転げ落ちてしまいかねない。将来は教育者を志す者として、そんな堕落した事態になど陥らぬよう慎まねば。……そういう自制心がまりもを強く戒めていたのである。

 

「――という訳で、今日から彼に一ヶ月間バイトに入ってもらう事になりました。年齢からも分かる通りバイト未経験の子ですので、皆さん先輩としてしっかりサポートするようお願いします。特に神宮司さんは歳も近いし希望のシフトもほぼ一緒だから、何かとケアしてあげてね」

 

「は、はい店長。えっと、神宮司です。これからよろしくね」

 

「……よろしくお願い致します。神宮司、さん」

 

 当時のバイト先だった本屋兼レンタルCDショップ。そこにこの度アルバイトとして配属されたその子はミディアムストレートの黒髪で自分よりも低身長という、一言で言えば可愛い系男子の典型みたいな子だった。聞けばそこそこ良い所のお坊ちゃんらしいが、本人曰くは社会に出る前に経験を積んでおきたいとの事で、夏休みの間だけバイトをする事にしたらしい。年齢については……まあ言うまい。どっちにしろ、まりもにとって名実共に後輩と言える存在であった事は確かだ。

 勿論初めは普通に接していた。不器用だが努力家で、一日も早く仕事を覚えようと奮闘する彼にまりもも親身になってあれこれ指導を尽くしたし、彼がミスした時にはそれをフォローしたり優しく諭してやったりもした。ただ事務的に教え込むというのも味気無いので、日常の下らないよもやま話や失敗談なども交えつつ、合間合間で仕事のコツや裏技を伝授するなど工夫を織り交ぜながら。その一つ一つに、彼は実に無垢で素直な反応を示してくれた。

 

「そうそう。だいぶソツなく動けるようになってきたじゃない。入ってたったの一週間なのに、そろそろ私に教えられる事も無くなって来ちゃったなあ」

 

「そんな。神宮司さんのご指導、とても懇切丁寧で分かりやすいので、そのお陰です。心より感謝……あ、いえ、ありがとうございます」

 

「やだ、よしてよ。元々優秀な子が努力した結果じゃない。私はその後押しをほんのちょっとしたってだけ」

 

「ゆ、優秀だなんて。自分など未熟で愚鈍で至らぬところばかりで、まこと恐縮の極みです」

 

「も~。だからその堅苦しい口調はやめて、って言ってるじゃない。お客さんも時々『えっ?』て顔してるよ。このお仕事は接客商売でもあるし、そこだけは今後もまだまだ要指導かなぁ」

 

「はっはい! 是非とも神宮司さんにご鞭撻頂きたい所存ッ……あ、いえ、よろしくお願いします!」

 

「ふふっ。真面目で誠実なのは君の良いトコだけどね。それと協調性の高いところ。名は体を表す、って言うけど、ご両親から授かった名前通りに真っすぐ育ってるってことよねえ」

 

 後から振り返ってみての話だが、教師たる自分のスタンス、その根幹と呼べるものはきっと彼を指導していたあの時期に形成されたのだと思う。その点紛れもなく、彼はまりもの最初の教え子と呼ぶべき存在だった。そう、彼にとって未知の事柄を自分が教え込んだ、そういう原義的な意味においても。

 

「お疲れ様。……どうしたの、なんか浮かない顔してる。悩み事でもあるの?」

 

「えっ? あっと、いえ。別にその……悩み、という類のものでは無いんですけど……」

 

「なぁに~? もしかして恋の悩み? だったら聞かせてちょうだいよ、私で良ければ相談に乗ってあげるから」

 

「あのその、ですから別にそういう事は無くてですね、」

 

 いちいち畏まった彼の態度も出来の良い弟みたいに思えて、本音を言えば可愛くてしょうがなかった。その日の仕事上がりに彼を誘い、まずは道すがらで一緒にアイスを堪能し、そのままウィンドウショッピングへ。あちこち連れ回した後はファミレス(すかてん)で美味しいご飯を食べつつ大学での日々や学園時代の思い出話などを彼に語り聞かせ、逆に彼の学校での過ごしぶりや兄弟の多い家庭である事などを教えられ。――そうやって街がすっかり暗闇を帯びる頃、そろそろこの辺で悩みを聞き出してやろうかと訪れた人けの無い海浜公園で、彼は唐突にそれを告げたのだった。

 

「――へ? 好きです、って……。誰を? まさか、わわ私??」

 

 その確認の問いに、後輩はこれ以上無いほど顔を真っ赤にしながらコクリと頷いた。……ああ、まあ、分からなくもない話か、とまりもも得心する。彼ぐらいの年頃なら、ごく身近であれこれ世話を焼いてくれる年上の優しい姉的存在、というものにうっかり惚れてしまうだなんて珍しい事じゃない。ただその対象となっていたのが自分だった、それが少し意外だったというだけで。

 けれど、そんな彼の純真さに応えてあげる事は出来ない。まりもはそう思った。彼に対してそんな気持ちなんてさらさら無かったし、歳の差にだって色々と問題がある。それに彼はこれからの人生で幾つもの出会いを経て、自分なんかよりももっと素敵な人と巡り合うに違いないのだ。だから気持ちだけありがたく頂くことにして、彼とはこれからもバイト先の先輩後輩として清く関わっていこう。……と、最初はそう思っていたのだが。

 

「好きになっちゃいけないですか、神宮司さんのこと。僕は……僕はっ、初めてお会いした時からずっと、神宮司さんをっっ……!」

 

 がば、と押し倒されるようにして浴びせられた彼のキスは、有り体に言えばとても拙いものだった。だがその拙さこそが、長らく休眠していたまりもの情欲に火を点けた。彼を押し戻すや否や、今度はこちらから大人のキスを浴びせ掛け、舌先で唇や歯裏をなぞり互いの唾液をシェイクする。数分に渡る熱烈な接吻を終えて後、彼の表情はすっかり茹で上がったみたいにぼうっと虚ろになっていた。この時点で彼との歳の差など、もうまりもの頭からは吹き飛んでいた。

 

「……じゃあ、お姉さんが教えてあげる。好きな人と結ばれる事の喜びを、女の子の扱い方を、真壁(まかべ)くんに」

 

 そのまま近くの繁みへと真壁を引っ張り込んだまりもは、彼を相手に初めての試みを行う事にした。ズボンのファスナーを下ろし、そこからまろび出た半勃起状態のイチモツをゆっくりと手で扱く。向こうにとってもその行為は、もしかしなくても初めて受けた洗礼だったのだろう。彼は感じ入るよりも先に、明らかに狼狽していた。

 

「ちょっ、神宮司さん!? なっ何を……ダメ、ダメですっ。そんな汚いところに触れるだなんてっ……!!」

 

「汚くなんかないよ。……どお? あんまり上手くないかも知れないけど、こうされるの気持ちいい?」

 

「はわっ、わ、分かりませんっ……神宮司さんの指、細くてつるつるで、ただそれだけで頭がカアってなっちゃってっ……!」

 

 むくむく、と隆起する手の中の肉竿は少し細いが代わりに長さがあり、おまけに上へ向かって弓なりに反り返った形状をしていた。カッコいい、と呟いてあげると、お褒めの言葉を嬉しがるかのように肉竿がびくんと釣り上がる。そのうち迸り始めた先走り。それを手のひら全体にまぶしてちゅぐちゅぐと扱きを続ける。

 こちらを見下ろす真壁の表情は、信じられないものを見るかのような愕然の念と共に、沸騰寸前の強烈な官能のせいでぐずぐずに崩れ切っていた。それと同時に先走りの分泌もいよいよ本格的となり、すぼまった尿道の隙間から湧き出でる汁は緩んだ蛇口みたいに「たらたら」と透明な糸を成して垂れ流しっ放しの有様だ。そろそろかな。頃合いを見計らってあんぐりと、まりもはその口に彼の竿を含む。

 

「あうっ!? そっそんな、お口でだなんて……こんな、こんな事までするのが男女の睦み事だなんて、知らな……あぅああっ」

 

 人生初のフェラチオ。知識としては知っていたそれを彼相手に実行してみる気になったのも、従順で純真無垢な真壁ならば良い実験台になってくれそうだと、そんな考えが無かったと言ったらウソになる。初めて味わった男の汁はとってもぬるぬるしていて、何の味もしないのに妙な酸味を嗅覚に覚えて、臓腑を貫通して女陰を鷲掴みにするかのような飲み応えだった。

 

「……んふ、おいひっ。……じゅぷ、じゅぷ。ちゅるるる、れりゅっ……」

 

「は、ぅわ、……なに、これ……きもち良過ぎて、自分でするのと全然っ、違って…………」

 

 ぶりぶりと舌で亀頭の裏を擦るだけの、これまた拙い技巧。だがそのぷるんぷるんのサクランボみたいな舌触りと口の中で竿が跳ねる感覚を、まりもはうっとりしながら楽しみ尽くした。一方、ただでさえ性的刺激を知らぬ上に想い人を相手にした彼にとって、まりもの不慣れながらも濃厚な口腔愛撫は十分過ぎる昂揚と快楽であったに違いない。紅潮し切った顔をぎっちりと顰めて耐えようとする彼の限界は、あっという間に訪れた。

 

「…………あ、出る、出ちゃう。は、離れて神宮司さん、っっこれ以上舐めたらダメれすじんぐぅ、じさっ!! ……さっあ、あっ……あ、っっ――――」

 

 びくびくん、と膨らんだ茎の先端から放たれる青くさい白濁。それを鼻面に浴びたまりもはほんの一瞬吃驚してしまう。これが男の精液。これが射精。もっと小水みたくじょろじょろ出るものだとばかり思っていたのに、あんな勢い良く飛び出してくるだなんて。生温かくて固まりかけのゼラチンみたいで、それに甘いような生っぽいような変なにおい。それを目にしてまりもの好奇心は疼いた。――どんな味がするんだろう。初めて胎内以外の場所に出されたそれを指で掬って舐り取ってみせ、舌の上に踊らせる。

 

「あっああ……神宮司さんが、僕の出したのを舐めて……しかも飲み込んで……あああ……」

 

 感動なのか官能なのか、真壁はがくがくと身を震わせながら、けれどしっかりと一連の様子を凝視し続けていた。まりもは妖しく微笑み、シャツを捲ってブラを外したその胸に真壁の手をむにゅりと添えさせる。舌先から広がり喉奥にまで滑り込む苦っ辛い後味を、何でもないかのような表情で誤魔化しながら。

 

「これが女の子のおっぱい。どう? 柔らかくてふかふかで、触ってるだけで気持ちいいでしょ?」

 

「は……はいっ。神宮司さんの胸、とってもきれいで、ぷるぷるで……ああ、僕、どうしていいかっ……」

 

「すきにして。今夜はお姉さんの何もかも、真壁くんのものにしていいから。……ね?」

 

 そう囁いた途端、彼は純朴な少年の面皮の裏に煮え滾らせていた男の本性を剥き出しにしてきた。尤もそれは至極当然というものだろう。いかに真面目で誠実であっても年頃の男子である以上、性欲というものは人並みに存在する。それが普通だ。その相手がかねてより懸想していた女で、かつ好きにしていい、とまで言われて何もせずにいられる男なんていやしない。それを体現するかのように鼻息を荒くして乳房にしゃぶりつき、切なそうに腰をへこへこさせて中空に男根を震えさせる彼の姿を、まりもは心底愛らしいとまで思ってしまう。

 

「神宮司さんっ。むぷ、ちゅぷぅちゅうぅぅぅ…………ぷは、神宮司さぁぁん……」

 

「一生懸命ちゅーちゅーしちゃって、かーわいいっ。ママのおっぱい思い出しちゃった?」

 

「う、それは……母の記憶はほとんど無くて。僕の小さい頃に亡くなったので、だから、だからこんな暖かくて柔らかいものだって、知らなくて……」

 

「……そっか。じゃあもっといっぱい吸っていいよ。お姉さんが真壁くんのこと、思いっ切り甘えさせてあげるから。ね?」

 

 ゆっくり髪の毛を撫でさすると、真壁はその小さな頬をくっきり桃色に染めつつ、猫が日向ぼっこをする時のような表情で再び乳肉に埋没した。その一方で肉竿は男の性を全開にし、堪りかねた先走りが「ぴっ」と先端から飛び出るまでに硬く屹立している。もう辛抱し切れない。そう思ったのは真壁だけでなく、自分だってそうだった。

 

「こんなにお汁垂らしちゃって……ガマンできないよね。それはね、ここに挿れるのよ。ほら、ここが女の子の一番大事なところ」

 

 くぱぁぁ、と粘り気の強い音を立てて開かれたそこに、真壁は矢も楯も堪らぬとばかり肉竿を押し当てこすり付けてきた。それを上手に誘導して先走りまみれの亀頭を膣口に捉え、「来て」と真壁の耳を食む。……つぷりと挿入を開始される青々しく硬い茎。その反り返りが初手でこちらの弱いところを掠ったが為に、まりもはつい「あぁん!」と大きな嬌声を上げてしまう。今の一瞬、意識が吹っ飛ばされそうになってしまった。最後まで余裕を持って彼を導くつもりだったのに。今のこの感覚に、まりもは確かな覚えがあった。

 

「……あ、もしかしてこれっ……ん、何でもないの。そのままゆーっくり、前後に動かしてみて。……ん、んんあぁ、そうっ。そこ、そこいっぱいこすって。……え、出ちゃいそう? ダメよぉ、男の子なんだから。女の子が気持ち良くなるまで我慢して」

 

 なんて言っても、その日が筆おろしだった彼に最後まで耐えられるだけの余裕なんて無いのは明白だった。中に収まった竿が強過ぎる快感にびくんびくんと悲鳴を上げている。それ以前に精神的昂揚が原因ですっかり感極まってしまった真壁の二度目の絶頂は、もうすぐそこまで迫っていた。

 

「もう出ちゃうっ、出ちゃいますっっ。お願い神宮司さんっ。いじわるしないでぇっ。この後も頑張りますからあっ、もう許して下さいいいぃいぃ……」

 

 小鹿のようにぶるぶる震え、涙を滲ませながら必死に嘆願する彼の可愛らしさに免じて許可を出してあげるや否や、真壁はものの数秒で果ててしまった。まりもの中に、挿入(いれ)っ放しのままで。それを許してあげる事は容易かったが、頬を濡らして無上の快感に愛らしい顔を蕩けさせる彼を見ていると、何だかちょっと意地悪してやりたい気持ちがむくむくと鎌首をもたげてくる。

 

「あーあー、断りも無く女の子に中出ししちゃって、いけないんだぁ。真壁くんも保健体育で習ったでしょぉ? 生のオチンチンでー、中にぴゅっぴゅしちゃったらぁー、日によってはデキちゃうかも知れないんだぞぉ」

 

「…………はっ、ふわぁぁ、すび、しゅび……ばぜんっ。あんまひ、きもひよくて、抜くの、忘えひゃって……――取ぃます。責任っ、取りましゅからぁぁ……」

 

 どこぞの男と違って随分とまあ、この子は顔の幼さに見合わぬ甲斐性を見せてくれたものだ。無論まりもとて、ただその一射だけで終わらせるつもりなど露ほども無かった。やっとあの日の感覚を、その根源を得られたのだ。この機会を逃す事なんて出来ない。一旦真壁を落ち着かせた後、再び抽挿を行わせながら上手にその動きをコントロールし、自分のイイ所目がけて亀頭を滑らせるよう指導してゆく。時折こんな風に、言葉責めも交えながら。

 

「ところで、さっき言ってたよね真壁くん。『自分でするのと全然違う』って。……誰のこと想ってしてたの? お・な・にぃ」

 

「うぅっ、き、聞かないで下さいそんな事っ、ホントは分かってらっしゃる、んでしょおぉっっ」

 

「ちゃんと言ってよぉ。真壁くんはいつも、誰とエッチするとこ想像しながらシコシコしてたのかなー? ほら、ほぉらっ」

 

 微笑を浮かべながら「きゅうぅ、」と膣口を締めると、それに雁首を捕まえられた真壁は「あ、あううぅっ」と可愛い啼き声を上げた。本当にこの子はどこまでいっても初々しくて可愛らしい。だから答えをとっくに知っていても、ついついこうやって苛めるみたいに問い質したくなってしまう。

 

「……さんっ。神宮司さん、ですっ。神宮司さんとこうなる事、ずっと想像して、それでぇぇっ」

 

「一日何回?」

 

「さ、三回とか。で、でもその、女性との行為がこんな凄い事だなんて全然思ってなくてっ。思ってたよりもずっとずっと、気持ち良くて淫靡でえええ……」

 

「ちゃんと言えたね、真壁くんえらい。……じゃあ思ってた事、全部してみよっか。例えばこのおっぱいをどうするの、とか。君の想像してた事、身体でお姉さんに教えて」

 

「は、はいっ。……あぁっ柔らかい、柔らかくていい匂いで、それに甘くてっ……あああっ」

 

 彼もまたほんの少し余裕を覚えたのか、さっきは遮二無二吸い付くしか無かった乳房をゆるゆると揉みしだいたり、乳首をきゅうと指で搾ってこちらの反応を窺うようになってきた。そんな姿勢をまりもは褒めて伸ばしつつ、どうされるのが女にとって気持ちいいかを彼にじっくり教え込む。元より吸収の早かった彼は、ことセックスにおいても抜群の学習能力と応用力の高さを見せ始めた。

 

「あぅんっ! そ、そうそこよっ。そこ先っぽでぐりぐりしながら、クリトリス(おまめ)をぬるぬるの指でゆっくり撫でてっ……うん、それ、そのぐらい焦れったくなる感じっ。いいのっ、いいよおっ、真壁くうんっ……」

 

「はあーっ、はあーっ、あ、後は? 後はどうしたらいいですか、神宮司さんっ……?」

 

「何でも。真壁くんのだーい好きなこのおっぱいもっと弄ってもいいし、首筋とか耳のところ舐めてフーってしてくれてもいいし、好きなだけキスしたっていいよ。でもイクのはまだダメ。次イクときは私と一緒に、って約束したでしょ? それまでいーっぱい溜めておいて、私がイったらいちばん奥にどびゅーって出して」

 

「はいっ……僕がんばります。神宮司さんが『いく』まで耐えてみせますっ。あなたの事が好きだからっ。初めて好きになった女性(ひと)だからっ……! 好き、好きです……好きです神宮司さんっ……! いつものお淑やかで優しいお姉さんな神宮司さんもっ、今のすごく淫らな神宮司さんもおおっ」

 

「嬉しい。……あっあっ、乳首弄るの上手になってきたね。真壁くんが上手なせいで、私もだんだん奥がキューってなってきちゃってる。……んっ……ぅああうっ」

 

 ぞわぞわ、と込み上げるものの感触をしかと噛み締めながら、まりもは真壁の律動に身を委ねる。ぬりゅんぬりゅんと滑らかに出入りする彼の細身な竿が、徐々にだが確実に一番感じるところを捉えるようになってきた。たった一回のセックスでこんなに上達できるセンスが備わっているのなら、今は幼い彼ももう五年十年と経って大人の仲間入りをする頃にはきっと、女という女を思いのままによがらせられるようになっている事だろう。それを享受するのが自分かどうかはともかくとして。

 

「ああっ、う――また出ちゃうっ。もうそこまで来てるっ。まだですか神宮司さんっ。このままだと僕、もうっ……もうぅぅ~~~~っっ……!!」

 

「あ、あとちょっと……。そこのぐにゅってするトコ、そこもっと押し込んでえぇっ……うぁ、あ……来てる、届いてるっ。一番いいトコ届くのぉぉっ。素敵ぃ真壁くぅぅんっ」

 

「もうわかんな……っ! 先っぽとけちゃって、神宮司さんとぉ、一つになってるみたいれぇぇ……!」

 

「一つになろ? ね、溶け合ってグチャグチャんなっちゃお? ……あっあ、あ……これ、くるっ。いく、いく、お姉さんイっちゃうっっ……!! ふ、ふうぅん、んんんぁぁあうううぅんんっ――――」

 

 膣の奥で弾け飛んだ熱。それは己の達した果てなのか、辛抱の果てに凄まじい勢いで繰り出された真壁の吐精によるものだったのか、それももはや定かでは無い。ただ背骨を伝って脳を撃ち抜くみたいな凄まじい感覚に全身を震わされ、まりもは思った。――気持ちいい。エッチ、すごく気持ちいい。その甘美な悦びを初めてまりもに味わわせてくれたのは、同じく未曽有の性感と淫欲を浴びてぐずぐずに蕩け切った、この健気であどけない少年だった。

 

「…………はぁ……はぁ……、……ふふ。ドーテー卒業、おめでとぉ」

 

「うッあ、……あく、あっ……じん、ぐうじ、さぁぁ……ん……」

 

「も~、堅苦しいのやめてって言ったでしょう? エッチの時にカタくするのは、ココ(・・)だけでいいの」

 

「ぁう……ふぁ、ぃ……」

 

 三度目の射精を終えぐったりと倒れ込む真壁を優しく抱きかかえ、感謝と寵愛の念を込めて何度もキスを繰り返す。初めて得られた絶頂感。それにうっとりと陶酔しながら、まりもは胎の内で微かに揺れるたぷつきをしばし満喫していたのだった。

 

 

 

 ――これから二人きりの時は、『まりもお姉さん』って呼んでいいから。ね? …………くん――

 

 

 

 さてそんな後輩との関係だが、これも長くは続かなかった。予定を一週間ほど繰り上げバイトを辞めてしまった真壁。それをまりもが知った時、彼は既に職場を去った後だった。一言も知らせないまま、別れの言葉すらも告げずにいなくなるだなんて。一時はそんな風に落ち込みもしたがしかし、少し日を置いてから店長に聞かされた真壁退職の真相は、複雑な感情を抱えていたまりもを納得させるに十分なだけの説得力があった。

 

「真壁くんね、彼の親御さんっていうかご実家、世界でも有数ってぐらいの企業グループに連なってる家系なんだよ。『御剣財閥』って名前、神宮司さんも聞いたことあるでしょ?」

 

「はい。新聞とかニュースでたまに見るぐらい、ですけど」

 

「まあ真壁自体はその直系じゃないらしいんだけど、そことも歴史的に深い繋がりがあるグループ重鎮の名家でね。簡単に言えば私みたいな雇われ店長と違って、生まれながらにして人の上に立つことを義務付けられた血筋、という事さ。んでその、真壁くんの親御さんっていうのがね、本社(ウチ)の経営権を持ってる方で」

 

 そこまでの話でピンと来た。まだ年若く就労経験も無かった彼が、さして人手不足でも無いこの店に身を置き働いていた理由。やけに畏まった口調や老成された物腰を育んだ環境。そして能力の高さを鼻に掛ける事も無く、それどころか彼の本来の立場からすれば組織の最末端に過ぎないまりも達による拙い指導にもひたすら従順であろうとしていた、その訳も。

 

「……それで現場の苦労を若い内から叩き込む為に、あえて身分を隠してご令息を直営店(ここ)で働かせていた訳ですね、その親御さんが」

 

「まあそういう事。で、どうして予定より早めに帰っちゃったかって言うとね。これはどうにも私の聞いた限りの話でしか無いんだけど、彼が市井の女と何だかのっぴきならない関係になってる、って気配が親御さんのところに伝わったみたいで」

 

 刹那、まりもの心臓がズキンと軋む。それと同時に全てを悟った。彼がそういう立場の御曹司であったならば、その活動をただ黙って好きにさせていた筈は無い。恐らくは真壁の身辺を与る、使用人だとか教育係だとか、そういった立場の人間が彼の様子をつぶさに親御さんへ報告していたのだろう。当然、まりもとの関係も含めて。

 

「それで怒った親御さんに無理やり連れ戻された、とかそういう訳じゃないみたいなんだがね。でもまあ解るだろう? ああいう『やんごとなきご身分の方々』ってのは任意の相手との結婚どころか、自由な恋愛すら許されちゃいないってのが相場だからね。だからあれこれいけない事を覚えちゃう前に別のところへ移したっていうか、要するにそんな感じらしくて。その辺の事情は私も直接聞いた訳じゃないから、どうにもハッキリしない所が多いんだが」

 

 ……彼や真壁家の人間に迷惑を掛けてしまった。その自責の念を、まりもは強烈に抱く。あの日以来、彼との情事はほぼ毎日に及んだ。自分のアパートに連れ込んで。少し遠くのホテルで。夏祭りの会場裏に隠れて。他にも神社の敷地とか古寺の縁の下とか、そういう罰当たりなところで致してしまった事もある。ほんの二週間ばかりの、けれど真壁の年齢を思えばあまりにも濃密だった情愛の時間。それを彼に与えたのが自分なら、終わらせてしまったのもきっと自分だ。

 

「まあこんなのはただの噂話みたいなもんでしか無いし、どっちにしろ向こうの都合で辞める事になったっていうだけの話だけどね。ただ神宮司さんにはずっと彼の面倒を見て貰ってたからさ。さっきの話もどこからか耳に入る事もあり得るし、何より真壁くんが急に辞めちゃった事で君が心を痛めてないといいなと思って。彼の退職は君の責任とかじゃないから、あんまり深く気にしないで」

 

「――はい。お気遣いいただいて、ありがとうございます」

 

 思えば初老の店長はこの時点で、自分と真壁とのただならぬ関係に気付いていた節もあった。けれど店長がその事に触れなかったのは自分への配慮も勿論あったろうが、何より真壁を巡る一連の措置と顛末に店長自身もう一つ納得がいかなかった、という部分もあったのだと思う。要するにはちょっとした愚痴の共有、仲間意識構築の一環。多少ネガティブではあれど、こういう事も職場を同じくする働き手同士にはままあるものだ。

 

「それにしてもねえ真壁くん、最初はどうなる事かと思ったけど、素直で一生懸命で飲み込みも早くて。神宮司さんの教え方が上手かったのもあるけど、最後の方は指示無しでも殆どの業務を任せられるようになってさ、社員どころか店長の僕すら顔負けだったな。目から鱗が落ちる思いだったよ。あの短期間であそこまで成長できるんならきっと、ゆくゆくはグループを背負って立つ立派な人材になってくれるだろうね。君もそう思わないかい?」

 

「ですね。……まあ、ちょっと堅苦しいのが珠に瑕だったので、それさえ治ってくれればですけど」

 

「ハハ、違いない。まあアレも一種の愛嬌だけどね。ちょっとぐらい可愛げがある方が、却って人の心をくすぐるってもんさ。彼の家はかなり子沢山で兄弟も多いらしいけど、その環境のお陰であんな真っすぐな子が出て来たりもするんだろうねえ。あの親父さんの息子だとは今でも信じられないぐらいだ。私の立場でこんな事を言うのも何だけど、これはこれで良い経験をさせて貰ったと思うよ。彼、いや、真壁家には」

 

「はい。私も、そう思います」

 

 確信を持ってまりもは応える。そう、彼との関係はたったひと夏の間だけの、打ち上がっては夜空に消える花火みたいに儚い恋。本物とも呼べぬほど淡かったその結び合わせの先に待っていたのは、ドラマか何かに良くありそうな悲恋ではあった。けれど真壁の、彼の為を思うのならば、これが一番なのだ。彼は本来あるべき居場所へと戻っただけ。そこに自分という名の思い出をひと欠片でも抱いて帰ってくれたのならば、自分はそれでいい。そんな爽やかな失恋をした経験も、かつてのまりもにはあった。

 

 

 

 ――いつまでも大好きです、まりもお姉さんっ……――

 

 

 

 

 

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