翌朝、目が覚めたので着替える。
そこで部屋の扉がノックされる。
「クロさん、起きてますか?」
途中の半裸状態だがいいかなと思い俺は扉を開ける。
「あ、おはようございます」
「おはよう。どうしたの?」
エレナは顔を赤くしながら、小さな声で言ってきた。
「あの……フィナって娘が下に来ているよ」
ああ、そういえば宿を紹介してくれたんだったな。
「ありがとう、今から行くよ」
「はい!それじゃあまた後で!」
そう言って彼女は走り去っていった。
俺は着替えを済ませると食堂へ向かった。そこにフィナが俺のことを待っていたようだ。
「おはようございます、クロさん」
笑顔で挨拶してきた。
可愛いなぁ……。
俺は席につくとメニュー表を見た。そこには料理の名前が書かれているのだが、何がなんだかわからないのでオススメを頼んだ。注文してしばらくすると料理が運ばれてくる。パンとサラダにスープだ。味は悪くないし量も十分だった。
「クロさん、今日はどうするの?」
「そうだな……とりあえず冒険者ギルドに行こうかと思っているけど」
「そうなんだ、それなら一緒に行ってもいいですか?」
うーん、まあいいかな。
断る理由もなかったので了承したのだった。そして朝食を食べ終えるとフィナと一緒に冒険者ギルドへと向かうのだった。
◆◇◆◇◆◇
冒険者ギルドにやって来た俺達は、受付の女性に話しかける。
「すいません、冒険者登録をしたいんですが」
「あ、はい、冒険ギルドに加入ですか?」
「身分証になるってきいたんだけど」
「はい、冒険ギルドカードはどの国でも使えます」
「それじゃ、お願いしてもいいかな」
そうお願いすると、後ろから視線を感じて振り向く。
「おいおい、こんなヒョロいガキが冒険者だと。冒険者もなめられたもんだな。おまえみたいなガキがいるから冒険者の質が落ちるんだよ」
そう言ってきたのは、筋骨隆々な肉体の男だった。背中には大剣を背負っている。
うわぁ……面倒なやつに絡まれたなぁ。
俺がどう対応しようか考えていると、フィナが前に出てきた。
「ちょっと、あなた!いきなり失礼じゃないですか!」
「ああん?なんだガキ?」
「わたしはもう10歳です!子供扱いしないでください!」
そう言って怒ったフィナは俺を守るように立っている。俺は少し感動していた。
「なんだとこのガキ!生意気なんだよ!」
男が拳を振り上げた瞬間、俺は咄嗟に前に出た。拳を握り込み、男の顔面に叩き込む。
「ぐふっ!?」
何かを折れる音と男は後ろに吹っ飛び、壁に激突する。それを見た周りの冒険者達は騒然とした雰囲気になる。
あれ?やりすぎたかな……。
俺はフィナの方を見ると、彼女は唖然としていた。それからハッとした表情になり俺の方を向くと怒り出した。
「もう!クロさんいきなり何をやってるんですか!」
「いや、フィナが傷つけられると思ったら……居ても立っても居られなくて」
「でも、いきなり暴力はダメです!」
「ご、ごめん」
俺はフィナに怒られてしまった。周りの冒険者達はざわついている。
やっぱりやりすぎたかな……。
そんなことを考えていると、受付の女性が話しかけてくる。
「あのぉ〜、大丈夫ですか?」
あ!忘れてた!
俺は慌てて受付の女性に話しかける。
「あ、すいません。この人が絡んできたんです」
そう言って壁に激突した男を指さすと、女性は慌てた様子で男を介抱し始めたのだった。
◆◇◆◇◆◇
その後、俺達は冒険者ギルドの応接室へと案内された。そこでギルドマスターから事情聴取を受けることになったのだが、
「とりあえず。ギルドマスターを読んで来るので待っていてください」
受付の女性はそう言って部屋を出ていった。
はぁ……疲れた。
俺がため息を吐くとフィナが話しかけてきた。
「あのぉ……クロさん……」
彼女は少し申し訳なさそうな顔をしている。俺は彼女を安心させるように笑顔を向ける。
「もう大丈夫だから、そんな顔しないで」
そう言って頭を撫でると、彼女は少し顔を赤くして俯いてしまった。そんなやりとりをしていると扉が開き受付の女性と男性が入ってきた。
「この度はうちの冒険者が失礼した。俺はこの冒険者ギルドのギルドマスターをしている。ラーロックだ」
入ってきた男はそう言って頭を下げてきた。
「いえ、気にしないでください」
俺がそう言うと、彼は頭を上げた。
「そう言ってもらえると助かる。ところで、何があったのか聞かせてもらえないだろうか?」
俺は俺とフィナが絡まれたことを話した。すると、ラーロックは表情を険しくする。
「なるほどな……それは申し訳ないことをした」
「いえ、もう大丈夫ですから」
俺がそう言うと、ラーロックは少し考える素振りを見せてから口を開いた。
「ところで、クロといったか?君は冒険者ではないようだが……」
俺は一瞬迷ったが正直に答えることにした。変に誤魔化すよりはいいだろうと判断したからだ。
「実は昨日この街に来たばかりでして」
俺がそう答えると彼は納得したような表情になった。
「そうか、そういうことなら仕方がないな」
それから少し話をした後、俺達は解放された。
冒険者登録をするべく受付に戻り、俺を担当してくれた受付嬢に話しかけた。
「あの、冒険者登録をしたいんですが」
すると彼女は笑顔で対応してくれた。
「はい、かしこまりました!それではこちらの用紙に必要事項を記入してください」
へぇー結構しっかりしてるな。
俺は書類に目を通して名前や年齢などを記入する。それから受付嬢に渡すと手続きをしてくれた。
「はい、ではこれで登録完了です!こちらが冒険者カードになります」
渡されたのは金属製のカードだった。そこには名前とランクが書かれている。ランクはFからAまであり、俺は最低のFからのスタートのようだ。
それから冒険者ギルドについての説明を受けた。
「何か質問はありますか?」
「いえ、大丈夫です」
俺は首を横に振ると、彼女は笑顔で言った。
「それでは頑張ってくださいね!」
冒険者登録に終えたら、フィナが話しかけてきた。
「クロさん!これで依頼を受けられますね!」
彼女は嬉しそうにしている。俺は彼女に感謝の言葉を伝えた。
「ありがとう、フィナ」
すると彼女は顔を赤くして俯いてしまったのだった。
あれ?俺なんか変なこと言ったかな?
そんなことを考えながら、冒険者ギルドを出る。
◆◇◆◇◆◇
「フィナ、次に武器屋に行ってみたいんだけど」
「わかりました、案内しますね!」
そう言ってフィナは俺の手を握ってきた。
ん?なんだこれ。
俺が不思議に思っていると、彼女は笑顔で言った。
「迷子になったら大変ですから!」
なるほどな……そういうことか。
俺は納得すると彼女の手を握り返したのだった。それから俺達は武器屋へと向かった。
「これから行く武器屋はゴルドさんがやっている武器屋さんだよ」
「ゴルドさん?」
「ギルドに保管してある武器を管理している人なの。わたしが持っているナイフもゴルドさんにもらったんだよ」
「くれた? 随分気前の良い人だね」
「『これは捨てる奴だ。貴様にやる』って言って渡してくれたの。それにギルドに保管してある武器を見に行ったときに、わたしのナイフも『ついでだ』って言って研いでくれるんです」
「いい人すぎる人だね」
「はい!ゴルドさんは優しい人なんです!」
フィナは笑顔で答えた。どうやら彼女にとってゴルドは恩人のような存在らしい。
いい人に巡り会えたんだな。
そんなことを考えていると、武器屋に到着したのだった。店に入るとカウンターに座っていた少女が声をかけてきた。
「あら、フィナちゃんいらっしゃい。ナイフでも研ぎに来たの?」
「えっ……ゴルドさんって女の子だったか?」
俺がそう呟くと、彼女はキョトンとした表情になった。
「違うよ。この人はゴルドさんの奥さんのネルトさん」
「えっ!?」
俺が驚いていると、フィナが説明してくれた。どうやらあの少女はゴルドの奥さんらしい。俺は改めて少女を見る。身長は150cmくらいで髪は茶色でウェーブがかかったロングだ。目はパッチリとしていて可愛らしい顔立ちをしている耳が尖った女の子だった。服装は動きやすそうな服をしていた。
「はじめまして、クロと言います」
俺が自己紹介すると彼女は笑顔を浮かべた。
「あらあら、礼儀正しい子だね。わたしはネルトよ、よろしく」
この人がゴルドという人の奥さん……。
俺は不思議に思った。どう見ても10代前半くらいの女の子にしか見えなかったからだ。
エルフとかドワーフとかそういう種族なのかな?
俺がそんなことを考えていると、ネルトが話しかけてきた。
「ところでクロ君、今日はどんな御用かしら?」
俺は本来の目的を思い出した。
「ああ、えっと……実はこいつ以外の武器を買おうと思って」
俺はそう言って腰の剣を触る。
すると、ネルトは驚いた表情になる。
「え?剣なんて買ってどうするの?」
まあ、当然の反応だよな。
俺はそう思って答える。
「えっと……実は冒険者になったから、複数の武器が欲しいと思いまして……」
俺がそう答えると彼女は納得したように頷いた。
「なるほどね、そういうことなら良いものがあるわよ」
彼女はそう言うと店の奥へと入っていった。しばらくすると、いくつかの武器を持ってきた。
「これなんてどうかしら?」
そう言って渡してきたのは短剣と長剣だ。どちらも質が良くて良さげな物だった。俺はそれを受け取ると鞘から抜いてみる。
「うん、悪くないですね」
俺がそう言うと、彼女は嬉しそうに微笑んだ。それから他の武器も見せてもらうことにしたのだった。
◆◇◆◇◆◇
これは……俺には合わないかな。
俺はどの武器もいまいちしっくりこなかった。するとフィナが声をかけてきた。
「クロさん、何かありましたか?」
「いや、どれもしっくりこなくて」
俺がそう答えると彼女は心配そうな表情になった。俺は慌てて取り繕うように言った。
「大丈夫!もう少し考えてみるよ」
うーん……困ったな。
そんなことを考えているとネルトが声をかけてきた。
「そんなに悩むなら、剣以外の武器はどう? 槍とか、斧とか」
「そうですね……それもありですね」
俺は頷くと、再び店内を見て回った。そして一本の武器を手に取った。
それは銀色の槍だった。長さは1.5メートルほどで先端には青い宝石のようなものが埋め込まれている。俺はその槍に心を奪われたのだった……。
「フィナ、この槍にするよ」
俺がそう言うと、彼女は笑顔で言った。
「はい!それが良いと思います!」
それから俺は槍を購入することにしたのだった。値段は銀貨100枚と高額だったが、性能的には申し分なさそうだったので購入することにしたのだ。ネルトに代金を支払うと俺達は店を出たのだった……。
◆◇◆◇◆◇
次の店は服屋に行くことにした。
フィナに案内され、洋服屋に着く。
中に入ると、二十代半ばの女性が迎えてくれる。
「いらっしゃいませ。本日は、どのような服をお探しでしょうか」
「下着と服を探している。何かを見繕ってくれないかな。あと布のバックってありますか?」
俺がそう言うと、女性は笑顔を浮かべた。
「かしこまりました、ではこちらへどうぞ」
案内された場所には沢山の服が並んでいた。その中からフィナと店員の女性が何着か選んでくれた。
「こちらがお客様に似合う服だと思います」
店員の女性はそう言って、俺に一着の服を手渡した。それを受け取り試着室で着替えてみることにする。そして、鏡に映った自分の姿を確認する……すると、俺は言葉を失った……そこには絶世の美男子がいたのだ!年齢は20代半ばといったところだろうか、黒髪で黒眼、身長は180cmほどで筋肉も程よくついている。しかもスタイルが良くて足が長くスラッとしている。
これが俺なのか……転生して初めて見た。
俺は自分の姿に見惚れていた。するとフィナが話しかけてきた。
「クロさん!着替え終わりましたか?」
「ああ、今行くよ」
俺がそう言うと、彼女は扉を開けて入ってきた。そして俺の姿を見ると驚いたような表情になる。
「わぁ……クロさん、素敵です……」
俺は少し照れ臭くなったが嬉しくもあったので素直に礼を言うことにした。
「ありがとうフィナ、選んでくれて助かったよ」
俺がそう言うと、彼女は顔を真っ赤にして俯いてしまった。そんな俺達を見て店員の女性が声をかけてきた。
「あの……お客様?」
俺は慌てて返事をする。
「ああ、すみません!つい見惚れてしまって……」
ヤバい、初対面の人の前で変なことを言ってしまった。
俺は恥ずかしさのあまり顔が熱くなるのを感じたのだった……。その後、俺達は買い物を済ませて店を出たのだった……。
◆◇◆◇◆◇
「フィナ、ありがとう」
「いえ、買えてよかったです。このあとはどうしますか?」
「本屋か、図書館? この街にあるかな?」
「はい、本屋ならあります。図書館はこの街にはありません」
「そっか、じゃあ本屋に行こう。あとその前にお昼食べようか。おすすめのところある?」
「えーと、どこでもいいの?」
「良いよ。フィナが行きたいところで」
「それなら、クロさんが泊まっている宿の料理が食べたいです。あそこの食事が美味しいって聞きましたから。わたし食べたことがないから」
「宿?」
「はい、泊まっている冒険者さんは仕事でいないことが多いので、昼は一般のお客相手に商売をしてますよ」
「そうなのか。それじゃ、行こうか」
俺はそう言うと、フィナと一緒に宿へ向かったのだった……。
宿に着くと、中はお客で賑わっていた。
いい匂いが店の中に漂っている。
「いらっしゃいませ。あれ、クロさん。お早いお帰りですね」
エレナが話しかけてきた。
「うん、良いものが買えたよ。あと、この娘が泊っている宿の料理が食べたいって言うから連れてきたんだ」
俺がそう言うと、フィナも頭を下げた。するとエレナは笑顔で言った。
「そうだったんですね、ありがとうございます。それでは席にご案内しますね」
エレナはそう言うと、俺達を席に案内してくれたのだった……。
料理が運ばれてくるとフィナは目を輝かせた。そして一口食べると幸せそうな表情を浮かべたのだ……その顔を見て俺は嬉しくなった。それからしばらく食事を楽しんだ後、俺達は店を出たのだった……。
◆◇◆◇◆◇
午後からは本屋に向かう。
方角は武器屋とは反対の方みたいだ。
しばらく歩くと、こじんまりとした店が見えてきた。どうやらここが本屋のようだ。中に入ると沢山の本が並んでいるのが見える。店内は薄暗く、独特の雰囲気を醸し出していた……フィナが小さな声で呟くように言った。
「ここです」
俺達は本棚を見て回ることにした。
「いらっしゃい」
お婆ちゃんが声をかけてくる。
「すみません、魔物の本と魔法の本、この国の地理の本か、この国の歴史の本ってありますか?」
「ちょっと待っておれ」
老婆は狭い店の奥に行ってしまう。
しばらく待つと、老婆が本を持ってやってくる。
「これとこれが魔物の本じゃ」
2冊渡される。
「こっちは普通の魔物が書かれている。こっちは伝説級の魔物が書かれている。こっちは要らんかのう」
「とりあえず両方貰う」
「そうか。そして、これが魔法の本じゃ。初心者用しかない」
「それも買うよ」
「そうか。済まないが地理の本屋は売ってないのう。あとこれはこの国の歴史の本じゃ」
「それも買うよ。あっ……あとこの国のマナーの本ってありますか?」
「マナーの本?ちょっと待っておれ……これがあったはずじゃ」
老婆はまた店の奥に行ってしまう。そして本を持って戻ってきた。
「これで良いかの?」
俺は代金を支払った後、本を布のバックに仕舞うフリをしながら『アイテムボックス』にしまう。それからフィナと一緒に店を出たのだった……。
◆◇◆◇◆◇
今日は良い買い物ができたな。
俺はそう思いながら宿へと帰る。すると、途中でフィナが話しかけてきた。
「それで、この後はどうするの?」
俺は少し考えると……答える。
「そうだな、今日は宿に帰って休もうかな」
そんなことを考えていると……フィナが聞いてくる。
「じゃあ、今日はお別れだね」
あれ?なんか雰囲気暗いぞ。
そんなことを考えるが、俺は答える。
「うん、そうだね」
すると……フィナは悲しそうな顔で言うのだった。
「また、一緒にお買い物に行ける?」
え?何これ、もしかしてフラグが立ったの。
そんなことを考えていると……俺は答える。
「うん、また一緒に買い物に行こう。今日は帰ろうか?」
俺が帰ろうとするとフィナが俺の腕を掴む。
「あの、まだ一緒にいたい」
俺はフィナが何を言っているのか理解できなかった。しかし……彼女が何かを求めていることだけは分かったので聞いてみた。
「えっと、どうした?」
すると彼女は恥ずかしそうに言った。
「その、クロさんの宿に行きたいです」
「今日はフィナも疲れただろう?だから、帰ろうか」
俺がそう言うと……フィナは悲しそうな顔をする。
「じゃあ、一緒に泊まってもいいですか?」
え?何それどういうこと!?
俺は混乱したが冷静に考えて答える。
「ごめん、それはできないんだ」
俺がそう言うと……フィナは悲しそうな顔をした。
ヤバい、なんか泣きそうになってる。
俺は慌ててフォローする。
「でも、次の機会に一緒に泊まろうか」
そんなことを言っていると……フィナが嬉しそうに微笑む。
「うん!」
よかった、機嫌直ったみたいだ。
俺はホッと胸を撫で下ろすのだった……。
◆◇◆◇◆◇
宿に戻ると、俺は自分の部屋に向かった。そして荷物を置くとベッドに寝転がる。
今日は疲れたので飯を食べて、ゆっくり休むことにしよう。
俺は部屋を出て食堂に向かう。
すると、食堂にはエレナがお盆を持って忙しなく動いていた。
「クロさん、食事ですか?」
俺は頷くとお盆を受け取る。そして空いている席に座ると食事を摂り始めた……。
それからしばらく経つと、エレナが話しかけてきた。
「そういえば、昨日フィナさんとデートしてましたよね」
俺は飲んでいた水を吹き出しそうになった。なんとか堪えて飲み込むと、エレナに聞き返す。
「なんでそれを?」
すると彼女は笑顔で答えた。
「フィナさんから聞きましたよ。ずるいです。わたしもデートに誘ってくださいよ………わたしだって……」
後半は声が小さくて聞き取れなかったが、俺は彼女に聞いてみる。
「次の休みにでも、一緒にどこか行くか?」
すると彼女は嬉しそうな顔をする。
「いいんですか!?」
俺が頷くと、彼女は笑顔で言った。
「楽しみにしています」
俺はその後、部屋に戻って眠りについたのだった……。
◆◇◆◇◆◇
「あれ……俺は宿のべットに寝たはず……」
俺は夢の中で不思議な空間にいた。
そこで俺は、2日前に出会った美しい女神様に再会した。
「2日ぶりですね。槍沢 黒樹さん、いや……今はクロと呼んだ方がいいですね」
女神様は、そう言って微笑んだ。
「そうですね、これからはそう呼んでください」
俺がそう言うと……彼女は頷く。そして言った。
「それでは本題に入りますね」
あれ?もしかして夢じゃないの。
そんなことを考えていると……彼女は話し始める。
「チートを与える際に使ったスロットなのですが……不手際で魔法の項目がない旧型を使用してしまったんです。だから、スロットには魔法は入っていません」
女神様は申し訳なさそうに言う。
「なので、今回、好きな魔法を1つだけ与えます、」
それは嬉しいけど……でもなんで急に?
そんなことを考えていると……彼女は言った。
「実は、スロットに魔法を入れ忘れていたのは私なんです。それで責任を取らせて貰おうと思いまして……」
女神様は申し訳なさそうに言う。
「なので……好きな魔法を1つ選んでください」
マジか!じゃあ、選ぶぜ!!
そんなことを考えていると……俺は答える。
「では、言葉を発するだけで魔法が発動する魔法ではどうだろうか?例えば、ファイアボールと言うと火の玉が出るとかそんな感じの魔法が欲しいです」
すると女神様は答えた。
「分かりました、あなたには『即言魔法』を与えましょう」
「ありがとうございます!!」
「それでは、元の世界に戻りなさい」
そう言われた瞬間、俺の意識は薄れていったのだった……。