ホロにがあまあまチョコレート 作:ナルキケーネ(ハーメルン支店)
心地良さすら感じる、快楽の残響と健康的な気怠さと……『ヤッてしまった……』感を共有しながら、三人で乱れた身だしなみを整える。
「んっ……ぁっ……♡ はぁ~っ……♡」
ショーツを穿いて、ブラジャーを付けようとしていたフブキが……唐突に、甘ったるい声を漏らした。
「フブキ、急にエロい声出してどうしたッ――ぁっ……んっ……♡」
釣られるように、まつりも身震いをし始めた。スカートをギュっと掴んで、閉じた脚をソワソワと揺らす。
「どうしたの?」と尋ねると……ふたりは、真っ赤にした顔で恨めしそうに眉を困らせた。
「……あ、あなたの、せーえきが……はぅっ……♡ トロ~って、パンツに……垂れてきちゃってるんですよぉ……!」
「まつりたちのおま×こに、あんなにたくさん中出しするから……っ……♡ ちょっ、まって……やっばいっ……!♡ フブキ、これっ……!」
まつりが慌てて、漁ったポケットからティッシュを放り投げる。ふたりは「「こっち見ないで!」くださいね!」と告げて、背中を向け……パンツだけを下ろして、スカートの中に手を突っ込んだ。
……自分がしでかした不始末のようなので、責任を持ってじっくり見学することにした。
「あぅうううっ……まだまだ垂れてくるよぉ……♡ トロトロしたの、止まらないよ~っ……!」
「う、嘘やろ……!? まつりは二回目、フブキは三回目でしょ……? あいつどんだけ出したんだっ……くっ……んっ……♡ あーもー、うざったいっ……はぁっ……♡」
「やだよぉ……あの人のせーえき、どんどん出てっちゃうよぉ……♡」
「気にしてんのそっちかよ……!? もう病的だわ、その愛っ……はふぅっ……♡」
カサカサと、硬めの質感のポケットティッシュが擦れる音に……時たまに、ぺっとり、くちゅり、と粘着質な蜜音が入り混じる。
「はぁっ……あんっ、んんっ……♡ なんだか、イケないこと……してる、みたいっ……あぁん……♡」
「いやもうそれオナってるやん…………あーっ、よそ見してたら精液が指に付いたんだけど……!! サイアクすぎる……!!」
「だって、ナカまで入れないと……きゃふっ……♡ キレイに、ならないよぉっ……はふぅんっ……♡」
「それで余計に濡らしてどうすんだ……!? さっきからくちゃくちゃ音鳴ってるって……あっ……♡ はふっ……ふっ……あ、あの子に聞こえちゃうんじゃない……?」
「ま、まつりちゃんだって……あぁっ……♡ えっちな声もっ……音も、出してるじゃんかぁっ……♡」
太ももに引っ掛かった淡青とオレンジの布地や、ゆらゆらと悩ましげに揺れるスカート越しのお尻が……そのエロティックな音の魅力を何倍にも増していた。
――しばらくして。男側の粗相の始末――と、ついでに事後の軽めな余韻を愉しんだらしい――をつけた二人が、もどかしそうにパンツを引き上げる。
その時、パンツに収まっていくお尻と秘部を想像してしまい……見えないからこそのエロさと、そういうフェチモノのAVがある理由を初めて理解した。
「ふー……おまたせ……。っていうか、この精液ティッシュ……どうすっかな……」
面倒くさそうに言うまつりの手には、少女の秘部から垂れた粘液まみれの紙くずが残っていた。学校内で捨てるにはリスクが高く、溶けないからトイレにも流せない……厄介極まりない汚染物だ。
捨て忘れてポケットに入れていたコンビニのゴミ袋を差し出し、まつりから初体験の残滓を回収しようとする。
「……やっぱり……たくないな……。ずっと…………ったのに……」
ぽそり、と。まつりは、一番近くに居る自分にすら聞こえない音量で何かを呟き……惜しむように、手を汚していたモノを捨てたのだった。
フブキの手に残ったそれも回収しようと思ったのだが……フブキはなぜか、持っていた汚濁をジッと見つめて――。
「くん、くん……♡ すぅっ……♡」
――あろうことか、嗅覚が敏感そうな鼻先で精臭を香らせた。
「うわぁ……ザーメン嗅ぎよったぞ、このエロきつね……」
「うっ……はふぅっ……♡ これが、あなたのニオイなんですねっ……♡ ちょっと、その……クセになる感じのキツさですけど……これも好きになれるように、頑張りますからっ……♪」
努力の方向性が明らかに間違っていると思うのだが……彼女が一途な頑張り屋であることは察していたため、自分に寄せてくれた愛情として受け取った。
フブキが自分を好いてくれている気持ちは本物で、まったくブレる気配がない。男として、これほどまでに嬉しいこともないだろう。
ただ――やはり、ずっと抱えていた恋心をすっぱりと割り切ることは、なかなかできそうになくて。
「…………フブキのこと、愛してあげられそう?」
唇をツンと突き出して、どこか無機質な瞳をこちらに向けていたまつりと目が合った。
言葉にできない想いを視線だけで訴える。いつもこちらの気持ちを汲んでくれていた、優しいまつりになら伝わると思った。
「なるほどね……まだ、まつりに未練があるっぽい?」
「っ……そ、そうだよね……エッチしたぐらいじゃ、気持ちなんて変わらないよね……」
がっくりと肩を落としたフブキを見やるまつり。顎に人差し指を当てて、「ふーむ……」と視線を優雅に泳がせた。
「じゃあ、そうだな……。ん~……キミがフブキと付き合ってくれるなら……まつりのこと、セフレにしてもいいよ?」
「……えっ……?」
まつりのぶっ飛んだ提案に、その場に居た二人がギョッとする。
しかし、まつりは大まじめに〝妥協案〟を言っているらしく……撤回する様子は一切なかった。
「だって、この優柔不断マンはまだまつりのこと好きみたいだし……まつりはキミと付き合うつもりなんてないし、フブキはただ一方的にフラれるだけだし。このままだと誰も得せん状況は継続……なら、いっちゃん無難なトコ行ってみん?」
「いや、でも……ええ~っ……!?」
「なに? フブキはこの子にフラれたいんか? せっかく、好きな人とイチャラブちゅっちゅ♡できるチャンスがあるのに見逃すん?」
「うっ……それは……すごく、イヤだし……諦めたくはないけども……!!」
まつりの挑発めいた問いで、フブキの碧瞳に芯のある意地が宿ってしまった。ちょっと重ための愛を抱く以外にも……意外といじっぱりなところがあるらしい。
一番重要な関門を難なく陥落させたまつりは、もう一人の気持ちを確かめるために……ころっとした瞳を妖しく輝かせた。
「ね、ね。このスーパーかわいいまつりちゃんとエッチだってできるし、キスも……まあ、フブキが許す範囲でならいいかもしれんよ? キミにとっては、かなり美味しい話じゃない?」
まつりの言う通りではあるし、その提案は後ろめたい気持ちこそあれど……ムラムラした男が夢見るような、雑すぎる妄想レベルの甘言だとは思う。
まつりのことを密かに好いてきた自分としては……もう一度……いや、何度でも、好きな女の子とキスやセックスをシたいと考えてしまう。
「……にひ♪ おふたりさんが乗り気なら、これで契約成立しちゃおっか!」
「……でも……まつりちゃんは、それでいいの……? 好きじゃない人とエッチし続けるなんて……普通にイヤじゃないの……?」
――好きじゃない人。イヤだと思う。そんなフブキの無邪気な言葉が、胸にグサリと突き刺さった。
「ははは……ま、元々親友的な間柄だったワケだし問題ないっしょ! チ×ポを突っ込むか突っ込まないかの違いしかあらへんって!」
まつりはケラケラと笑って、こちらの脇腹をドンと突いた。
いつも通りに、世話焼きな幼馴染として。一線を越えたからといって、これまでの関係性を壊すつもりはないらしい。
…………むしろ……親友のフブキや、こちらとの関係の全部を守ろうとしているのでは……そんなフシを感じるのは、自分がまつりのことを色眼鏡で見ているからなのだろうか。
「だって……顔は好みじゃないけど、チ×ポはけっこうイイ感じだったし! これからどんどん上手くなりそうだし、質の良い肉バイブみたいなもんっしょ!」
――やっぱり、ただの過大評価だったかもしれなかった。
「ま、それはさておき……これからも三人仲良く愉しもうぜ♪ フブキがだらしなくて、いつまでもキミの気持ちを変えられなかったら……そのまま、まつりがキミのこと貰ってあげるからさっ♪」
「なっ……!? ま、まつりちゃんっ……!!」
「ぬっふっふ~♪ だからさ、フブキもこの子を一生懸命オトせるように頑張らないとね。大切なモノ、ごっそりねっちょり奪っちまうぜ?」
にっかりと、意地悪な微笑みを見せたまつりがスカートを翻す。フブキもその後を追おうとして――こちらを向き、手を取ってくれた。
「まつりちゃん……良い子だし、可愛いし……あなたが好いている理由もわかるし……好きな人を諦めたくない気持ちも、よくわかっちゃいます」
フブキは気まずそうにしながら……ギュッと、どうしても譲れないものを強く握った。
「だから、今すぐじゃなくていいので……いつか、もう一度……告白して、いいですか……? あなたの答えを聞くまででいいので……あなたの傍で、甘い夢を見させてほしいんです」
恋愛感情を中途半端な状態でズルズルと引き伸ばすのはよくないことだと思うし、健全な付き合い方ではないとわかっていた……でも、フブキの一途な気持ちを無下にすることはできなかった。
自分の優柔不断な甘さを自責しながら、フブキの愛情も合わせて受け止める。小さく頷いて、フブキの手を握り返して……ふたりでまつりの後を追った。
「へへ……おめでとさん、ふたりともっ♪」
手を握り合って、恋人繋ぎというものしてみた途端に、まつりがそんなことを言ってきた……その表情は、どこか寂しそうに見えた。
――もしかしたら。
――フブキか、こちらか……あるいは両方に、何か思うところがあるのかもしれない。それでも、まつりは何も言おうとしなかった。
「今度の日曜、三人でエッチしよっか? 今度はガッツリした3Pでさ」
「ぶふっ……!? おめーさんは突然何を言いだすんだい……!?」
「いや、シンプルにヒマ……ああ、えっと、たくさんエッチしてたら、いつかイヤになりそうな部分も見えるかもしれんやん?」
「……それさぁ……私とこの人を引き裂こうとしてないか……?」
「いやいや~またまた~。そういう不一致の発見は結婚してからじゃ遅いっしょ? まだ間に合ううちに、いろいろヤッとこうぜって話だって~♪」
「もう、まつりちゃんってば……。なんか、そういうワケみたいなので……日曜……うちに、遊びに来てもらえますか……?」
おずおずと尋ねるフブキに、戸惑いながらも首肯する。なんとなく、二人のパワーバランスというか、『強烈な巻き込み型』と『甘めの巻き込まれ型』みたいな関係性が見て取れた気がした。
今後、どうなってしまうかわからないが……アイドルよりも可愛くて魅力的な美少女二人と一緒に過ごせるようになったのだから、文句のつけようもない、充実した時間が待っていることだろう。
それは退廃的で、短絡的で、非道徳的な選択なのかもしれない。それでも、少なからず、自分たちが納得して選んだ道だった。
初めてトクベツに変わったバレンタインデー。女の子から貰ったチョコレートは、倫理観が壊れるほどに甘かった。
その破壊的な甘味は、心にねっとりと絡み付き……うっすらとした苦味とともに、今後も後を引きそうだ。
おわり