【期間限定】魔鍵師育成学校N・T・R~爆乳美女たちを寝取ってハーレムを築く〜(未完) 作:ハルカ
今回か次回で、一応の区切りを付けたいと思っています。
「すごい……やっぱり、あいつはすごい奴だったんだ」
ライフル型の魔鍵と簡易シールドを構えながら、リーパー隊の隊長であるジャックは変異体の群れと渡り合う、狗郎と千空のコンビを見ていた。千空が強いのは周知の事実だったが、狗郎の場合は別だ。突然現れた新入りの戦闘力は未知数で、期待している者もそこまで多くは無かった。
だが結果はこれだ。打刀型の汎用魔鍵を振るい、変異体の間を縫っていく動きには一切の無駄がない。黒いジャケットがたなびき、残像を描いて通り抜ければ、襲い掛かってきた獣たちが残骸となって消えていく。美しく、見惚れるほどの剣技に、変異体も本能的な恐怖を抱いているようだった。
「やっぱり、誘って正解だったな」
「ジャック、よそ見は禁物よ!」
「しっかりしてくださいよ、隊長!」
二つの声で身体を撥ねさせたジャックが振り返れば、大盾と短槍で変異体をねじ伏せているリリィと、後方から狙撃する慶喜の声が聞こえてきた。そうだ、誰かの戦いに見惚れている場合ではない。自分は戦地にいるのだから、とジャックは気を引き締めてライフルの引き金を引く。
放たれた光の弾丸はジグザグな軌跡を描き、変異体の急所を撃ちぬいていく。
「よしっ、リリィ、慶喜、ガンガン行こう!」
確かな手応えを感じ、自信と共にリロードしたジャックが声を張る。ランク戦の時は自信がないで済むが、ここは戦場だ。迷ってる暇など一瞬たりとも許されない状況で、立ち止まってはいけないのだ。息を吐くと、ライフルを構えて再び変異体たちへと光の弾丸を放つ。
火力は足りないが、撃ち続ければしっかりと仕留めることが出来る。一匹、また一匹と刈り取っていくことに手ごたえを感じていったジャックだが、その耳もとにリリィの通信が響いた。
「ジャック、後ろ!」
「え、っ!?」
声に反応して振り向く。そこに居たのは五メートル以上の体躯を持つ巨人型の変異体だ。大型で並みの魔鍵師ならば部隊で臨むべき相手が、グルル……と唸りながら拳を振り上げる。銃口を向けてトリガーを引くが、ジャックの法力量では威力が低すぎる。
舌打ちと共に逃げても、一歩の大きさが桁違いだ。恐らく、いや確実に追撃してくるだろう。
どうする、どうすれば良い、と逡巡した刹那。
黒い影が割って入り、螺旋状に巨人型変異体の腕を通り抜けた。一息、瞬きも終わらない間に、その影が巨人の肩へと降り立てば、振り下ろされる直前の剛腕が四つに斬り裂かれた。痛みか、巨人が絶叫を上げながら肩にのった黒いナニカへと残った拳を振り上げるが無駄だ。
握られた刃が拳を弾き、宙に舞った黒い影が一閃、巨人の脳天を両断した。
「吠えるな、木偶の坊が」
着地した黒い影、狗郎は打刀を左右に振るって刃に着いた残滓を払う。僅か数秒にも満たない攻防、しかも圧勝という結果に思わずジャックも黙り込んでしまう。ここまで強かったのか、ここまでの猛者だったのか。
そう口にするよりも先に、狗郎が下段に構えた刃でジャックの背後にいた変異体を斬り伏せた。
「油断も慢心もするな。出来ることを、一つずつやっていこう」
「わ、分かった。助かったよ!」
背中越しに感謝を伝えたジャックは、気合を入れ直して再び戦い始めた。
いまだ戦いは始まったばかり。いくらでも戦況は変わるのだから、一つ一つ出来ることをやっていかなければいけないのだ。
**********
「素直だな……良い隊長だ」
ジャックの背中を見ながら、改めて狗郎は彼の適性に頷いていた。冷静に、いざとなれば適切な判断を降せる彼はやはり隊長としての資質があるようだ。ジャックが率いるリーパー隊は確かに一歩足りないと言う印象を抱いたが、それでも期待するに値する部隊だろう。
「っと、呆けている場合では無いな」
視界の端から四足歩行の獣が突進してくるのが見えた。良く知っている、目覚めたときに襲ってきた変異体と同型の獣だ。下顎に巨大な牙を携え、巨大な鼻から荒い息を吐きながら突進してくる獣に、狗郎はイラつきを覚え、歯を喰いしばりながら打刀を下段に構えた。
神裂狗郎には記憶喪失の中でも覚えていることがいくつかある。そのうちの一つが、先日に行われたシルビィとの試合で見せた人狩りの刀法、神裂一刀流だ。全身の筋肉を躍動させ、技と速度に特化させた剣技は、臨機応変に状況へと対応できる。
「神裂
そして、神裂の刀法にはもう一つの側面がある。一つの刃ではなく、絶つための刃。その存在を絶するための刃は、人外や化物を狩るために特化した力と技の刀法だ。
身をかがめた狗郎が駆け出し、地面に這わせるように打刀を斬り上げる。三日月状の残像が猪の頭をカチあげれば、狗郎は容赦なく弐の刃を構える。
「弐式・
斬り上げた刃を返し、上段の振り下ろしが猪の脳天へと叩き込まれれば、不細工な頭部が両断されて崩れ落ちる。だが狗郎は止まらない。その奥へと連なり並んでいる変異体の群れへと狙いを定める。
腰だめに打刀を構え、深く長く息を吐いていく。
ユックリ、ユックリと全身に巡っている法力を感じ取り、脚へと回していけば、踏み込んだ地面が陥没した。これは刀法ではなく、純粋な技術だ。その脚力で疾駆する狗郎が刃を振るえば、反応出来る獣は数えるほどしかいない。
「神裂絶刀流――」
一匹、また一匹と斬り伏せていくと、獣や巨人に囲まれた中心で狗郎が身体が捩じ切れそうなほどキツく、深く引き絞る。力がギリギリと刀身にのり、剣圧が空気を支配していく。その圧に臆した瞬間、変異体たちに勝利する未来はなくなった。
「陸式・
円状に放たれる六連撃が、重なるたびに剣圧を増して獣と巨人を切り裂いていき、戦場に巨大な風穴を開けた。剣技が腕に馴染み、身体は思った通りに動く。謎の高揚感に獰猛な笑みを浮かべ、転がった獣の首を切り飛ばした狗郎が剣先を変異体へと向ける霞の構えを取った。
「寄らば斬る……寄らぬなら、こちらから行く」
剣圧が空気を支配し、知性を失った獣たちの本能へと恐怖を植え付ける。この人の形をしたナニカには勝てないのだと、見えるはずもない未来を見せてくる。最優先するべきは食事ではなく、自らの生命を保護すること。ならば逃げることも厭わない、とばかりに変異体たちは狗郎に背を向けて逃走を図った。
それは各所、千空はもちろん数々のA級魔鍵師を相手にしていた有象無象達も同じことだった。一時間にも満たない戦闘で変異体の戦線は瓦解し、あとは残りを掃討すれば最小限の被害で終わることだろう。
だがそれは、あくまで何も異常事態が何も起こらなかった場合の話だ。
ガオンッ――!!!!
打刀を左右に振るい、一度鞘に納めようとした狗郎が息を吐いたとき、戦場の各所で爆発音が鳴り響いた。いや、それも当たり前な話なのだが、何処か異質で規模が違う。
「なんだ、今のは……ッ!」
発生源の一つへ目を向けたとき、いくつもの光の柱が天へと上り、N・T・Rの本部へ帰還していくのが見えた。先ほどから数部隊が戦線を離脱していることには気が付いていたが、それでもここまで一斉にはなかった。
そして何より、視線の先に転がってきた一人の隊員に目を見張る。
「っ、おい茜、大丈夫か!」
「いっつぅ……なによ、あいつ……!」
仮想戦闘態の各所、肉厚な太腿やボディスーツ越しでラインがハッキリとした腰や乳肉に亀裂が入った茜が、悪態を吐きながら半壊したハルバードを杖にして立ち上がろうとする。見ただけで分かるほど致命傷を受け、跡一撃でも喰らえば強制的に帰還することになるだろう。
「神裂……大丈夫よ。すこし、いやかなりキツいだけ」
「大丈夫ではなさそうだな。よく分かった」
軽口を叩けるのならまだ戦えるのだろうが、彼女ほどの前衛をここまで追い詰める相手は何なのか。
怖れと興味を抱きながら打刀に手を添えた狗郎が視線を向ける。そこでは竜城隊の壱馬を含めた三人が応戦しており、その中心に敵がいた。
「あれは……なんだ?」
獣ではない。人型ではあるが、きっと人でもない。黒く鋭角的な身体に、山羊のような角を持ったソレは、金髪の狙撃手からの弾丸を弾き、避けながら相対する壱馬へと両腕に備えた刃を突き立てていた。
獣たちとは一線を画すほどの速度と脅威度に壱馬が気圧され、後退しながら重い一撃を胸元へと叩き込まれている。
その人型の獣が最も相対したものに恐怖を与えるのは、顔を隠す白い仮面だ。遺物で無機質な獣を模した仮面は、変異体の中でも異質な空気と脅威を纏っていた。
「――――!!!!」
「っ、くっそがぁ!」
仮面の化身が吠え、壱馬が理不尽な敵へと罵声を吐き出す。
仮面に刳り貫かれた黒の中に紅い瞳が浮かび上がると、狗郎と視線がかち合った。ゾクリ、と背筋に悪寒が走ると共に、仮面の化身が壱馬の片腕を切り飛ばして駆けてきた。二つの黒光りした凶刃に、狗郎は打刀の鯉口を斬りながら円を描くように虚空を切り裂いた。
鋼と黒鋼の刃が鍔迫り合いながら、少しずつ狗郎の方へと気圧されていく。膂力は及ばない。一秒の間に十数合交わされた剣戟でも、単純な速度も恐らく上回れている。段々と削られ、仮想戦闘態に亀裂が走りながら法力が漏れ出ていった。
「こいつは、かなりきついな……ッ!」
だが技の面で言えば狗郎の方が上だった。
首を狩り獲ろうと交差された獣の刃を受け止め、火花を散らしながら打刀で受け流して転ばせる。体勢を崩した獣が首を晒せば、それは正しく隙と成る。
「奪ったぞ」
殺意が刃に乗る。避けることはまず不可能。先日のシルビィに放った時よりも洗練され、確実に首を取ろうとする上段の振り下ろしが届くと確信した。
その瞬間だ。
「ッ!?」
ギュルンッ、と頭が反転した。噛み合っていた仮面の口が開き、光の粒子が集まり、不気味な音を鳴らしながら狗郎へと狙いを定め、そして遂に毒々しい色の閃光が解放された。
**********
「仮面憑き……それも複数体なんて、厄介な話ね」
千体以上の獣を屠った千空の前に、仮面を被った巨人型の変異体が現れていた。白く歪な仮面を持つソレは、有象無象の変異体とは一線を画すほどの能力を持っている。特別な能力を持っている、戦闘能力が単純に高い、など様々な差異を持っているが、大きな点は知能の低い変異体たちをある程度操れるということだ。
つまり、仮面憑きを刈り取ってしまえば恐らく残り数千強の変異体の群れは、容易く瓦解するだろう。
≪千空社長、聞こえますか! 本部に襲撃者多数、変異体だけでなく他会社のモノと思しき魔鍵師も来ています! 急いで応援を≫
だが現実はそんな簡単に進むことは無い。千空に繋がってきた本部からの通信は、新たな敵を知らせながら彼女の選択肢を余計に増やしていった。舌打ちをしそうになりながら仮面憑きの拳を長刀で弾き、抜き打ちざまに三度の斬撃を叩き込む。
コレの相手をしなければいけないのは勿論だが、本部が魔鍵師にも襲撃を受けているとなれば防衛にも人員を割かなければならない。
「あぁっ、もう……次から次へと……!」
悪態を吐きながら刃を滑らせた千空が宙をまい、肉厚ながらも引き締まった肢体を躍動させる。美しき舞に仮面憑きは反応出来ず、ほうけた所に数珠繋ぎのような連撃がその巨体を切り刻んだ。
その間も彼女が思考しているのは人員の采配についてだ。
一番良いのは自分が本部に戻り、この場の指揮を別の誰かに任せることだ。この場合はその誰かに指揮権を渡さなければいけない。
戦闘面で見れば優秀な魔鍵師は多く在籍しているN・T・Rだったが、数千人単位の指揮を取れる人間となれば数名しかいない。
「しかも一人は……前線を離れているなんて……ああ、もう、最悪だわ!」
遂に苛立ちが耐えきれなくなり、それを未だに絶命しない仮面憑きへと叩きつける。全身の柔い雌の肉ではなく、鍛えられたしなやかな筋肉が躍動して上段の一撃が仮面を叩き割り、その巨体を黒い靄へと消し去った。
目の前の脅威を排除できたとて、本部の襲撃と複数の仮面憑きをどうすれば良いか。
「――――!!!!」
「……煩いわね、犬モドキ」
その思考を邪魔するように複数体の変異体が襲い掛かってくる。ああ、鬱陶しい。軽く斬り伏せようと柄に手をかけ、息を吸いながらメートル越えの爆乳を僅かに弾ませた千空。ドレスに身を包み、パーティーにでればありとあらゆる男たちが魅了されるような彼女だが、選んだのは魔鍵師として戦う道だ。
蝶よ花よと愛されるのではなく、剣の道に進むことを選んだ。
そしてそれは、竜城千空だけの話ではない。
「社長、離れてください」
短い言葉が千空へと聞こえてくる。魔鍵を通した通話ではなく、直接空気を伝って聞こえてきた声だ。地面を斬りつけて瓦礫を巻き上げると、獣たちが一瞬立ち止まった。その隙を狙ったのだろうか、瓦礫の隙間から幾重もの閃光が獣たちを地面に縫い付け、逃亡の許可を与えない。
そして降り立つのは、金色の髪を一本に纏めた美少女。握られているのは二本の曲剣で、千空と入れ替わる様に獣たちへと斬りかかれば、美しい金色の髪とピッタリとしたボディスーツに包まれた肉感的な肢体が躍動し、流れるような剣舞で狩り取っていった。
彼女のことを知らないものなど、N・T・Rには一人もいない。
「随分と遅い出勤ね。待ちくたびれたわよ、マリナ」
「ええ、すいません。ちょっと寝坊してしまって」
悪戯っぽく笑みを浮かべる金髪の美少女、マリナはそう言いながら曲剣についた血糊を振り払った。前線を離れて半月ほどたっていても、その技が備えていたキレは衰えを見せていない。鍛錬を怠っていたというのに、寧ろ以前よりも鋭くなっているようにも見えた。
「状況は理解しているかしら? 出来ることなら、この場の指揮権を貴方に移して、本部の防衛に向かいたいのだけれど」
千空の言い方は何処か気軽く、何でもないことかのような雰囲気だった。しかし、A級とはいえマリナは未だ訓練生の立場。そんなことを軽々しく頼めるような相手ではない。通常であれば、頼まれた方も気後れして承諾できないだろう。
「了解しました。マリナ・シードフィールド、謹んでお受けさせていただきます」
だが、少なくとも今のマリナは違う。自分を信じ、信じてくれた相手を信じ、出来ることをやると決めた彼女には立ち止まる理由などない。その瞳には澄んだ光が宿っており、恋に盲目的だった桃色の光は既に消え去っていた。
「良いわね。今の方が、ずっと素敵よ」
「……なんだか、複雑な気分ですね」
千空が楽し気な笑みを浮かべ、マリナが苦笑いを浮かべた。二人が背を向け合い、それぞれの戦地へと駆け抜けていく。
それは正しくない、在るはずもない事象だった。
だが、それで良い。
全ての歴史に、こうなるべきという姿は存在しない。
その歴史に在る人々の想いによって、少しずつ変化していくものなのだから。
乱戦書くの難しすぎでは……?
次回でデスペラードは終わる予定です