※この作品はR-18です。

【期間限定】魔鍵師育成学校N・T・R~爆乳美女たちを寝取ってハーレムを築く〜(未完)   作:ハルカ

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今回で戦闘回は終了です。
あと数話……エロ回まであと数話お待ちを……


第十二話 戦姫と剣客の共闘

「っ、これは……やられたな……」

 

 仮面憑きの放った閃光を受け、狗郎は遥か後方へと吹き飛ばされていた。その全身は、落雷に合ったような鈍痛と痺れに襲われており、すぐさま立ち上がることを許してくれなかった。

 突然の反撃で仮想戦闘態が活動限界に成らなかったのは、直撃する寸前で汎用魔鍵として装備されていた盾を展開したからだ。

 

 だが全て防ぐことは出来ず、左肩から肘にかけてが大きく抉れてしまっている。刀を握り、動くことにそこまでの支障はないが、漏れ出る法力の方が問題だった。少しずつ、少しずつ仮想戦闘態の活動限界が近づいているのがよく分かる。

 

「――――!!!!」

 

 仮面憑きが吠える。その瞳は他の魔鍵師ではなく狗郎一人に向けられており、殺意と共に襲い掛かってくるのが容易く予想できた。強い。数分前まで刈り取っていた獣たちとは一線を画すほどの戦闘能力に、狗郎も焦りを覚え始めた。

 だが、だからと言って立ち止まるわけがない。諦めて戦線離脱を選ぶほど彼は弱くはなかった。

 

「吠えるなよ……喧しいぞ」

 

 打刀を杖にしながら立ち上がり、肩が削られた左腕を軽く動かす。大丈夫だ、千切れやすくはなっているだろうが、刀を振るうのには全く支障はない。

 死傷ではないのなら、無傷と大して変わらない。刀を肩に担ぎ、左手を前に出して挑発する。それの意味を理解したのだろう。仮面憑きが再び吠え、地面を陥没させながら襲い掛かってきた。

 

 

「神裂絶刀流――」

 

 それに向かい合いながら、狗郎が左側に打刀を添える、変則的な脇構えを取った。化物相手には何一つ遠慮する必要はない。

 ギリリと身体を捻り、獰猛な笑みを浮かべる。その様を見れば、きっと獣や悪魔と見間違えてしまうだろう。それは仮面憑きも同じだ。目の前にいるのは人間よりも、人型の変異体。仮面憑きは狗郎をそんな風に認識していた。

 

「三式・葉隠――!」

 

 仮面憑きが振りかぶった黒刃を脇構えから放たれた斬り上げが弾き、返す二度の連撃が黒く染まった装甲を浅くなぞる。本来ならば一撃目で獣の勢いを殺し、二撃、三撃目で急所を斬り裂く剣技だ。しかし、直前で一歩、仮面憑きが立ち止まって引いたせいで、致命傷には至らない。

 だが狗郎の口元に浮かんだ笑みは消えない。この戦いが、彼の消え去った記憶を刺激し、呼び起こそうとしているのを感じたからだ。

 

「いいなぁ、お前!」

 

「――――!!!!!」

 

 二匹の獣が吠える。仮面憑きが両腕の刃を突き立て狗郎の頬を裂き、狗郎の打刀が仮面憑きの装甲を削っていく。拮抗し、鍔ぜり合えば火花が散り、十合以上の剣戟が繰り広げられた。

 だがやはり、圧されているのは狗郎の方だ。閃光の一撃が効き、得物の差で段々と後退せざるを得なくなっている。

 

「どけクソ野郎! 俺が決めてやる!」

 

 その拮抗した中で、無遠慮にも割って入ってくる声があった。仮面憑きと狗郎が気を取られた先には、片腕で長剣を振るう壱馬の姿があった。

 斬り飛ばされた片腕はそのままで、左右非対称な状態の上段斬りだ。飛び上がった姿は派手で見栄えが良いが、明らかに無駄で隙しかない。

 その隙を仮面憑きが見逃すわけも無かった。

 

「――――!!!!」

 

 仮面憑きの口に閃光が集まり、飛び上がった壱馬へと狙いが定められた。あの状態では避けることも防ぐことも難しいだろう。確実に直撃し、戦線離脱は免れないだろう。

 だが、それを狗郎は好機と取った。法力が漏れ出る仮想戦闘態を無理やり動かし、姿勢を低くしながら打刀を下段に構える。

 

「神裂絶刀流――」

 

 何かを仕留めようとしている時が、最も油断する瞬間。ならば今こそが仮面憑きの隙となる。剣先が地面を撫でながら刀身に膂力をため込む。恐らくこれは好機だ。独りで戦うしかないこの状況では、これ以上の瞬間を生み出すことは難しい。

 

「二式・顎――ッ」

 

 だがしかし、仮面憑きは間抜けではなかった。

 

 下段からの斬り上げを放とうとした瞬間、黒く染まった鋭角的な脚甲が刃を踏みつけた。見切られ、予測されていたのか、それとも後ろに眼でもついているのかは分からない。だがこの瞬間では、仮面憑きが狗郎を上回ったのは確かだ。

 

「まだ、まだだッ!」

 

 ならば、と柄から手を離して右手を軸にすると、行き場を失った膂力を全身へとばらけさせて身体を回転、鋭く重い足払いを叩き込んだ。金属が響くようなガウンッという音が響き、仮面憑きの身体が僅かに傾いて閃光の狙いが逸れる。

 

「なっ、んなんだよクッソぉ!」

 

 放たれたソレは、壱馬の残った腕を焼き払い、地面から狗郎の左腕を焼き払った。運が良かったと言えるだろう。下手をすれば二人とも戦闘不能になっていた所を寸でのところでとりとめたのだから。

 打刀を回収し、転がりながら狗郎は仮面憑きから距離を取った。

 壱馬は絶叫を上げながら落下し、のたうち回っている。無事とはいえ復活には時間がかかるだろう。

 

「油断か……ジャックのことを言えないな……」

 

 左腕は腕甲ごと焼き払われ、法力は漏れ出ながら仮想戦闘態の活動限界を速めている。全身を包む倦怠感もそれが原因だろう。引き換え仮面憑きは僅かな傷があるだけで殆どが無傷だ。狙撃も効かず、囲まれても圧倒的な戦力を持っている。

 それを誇り、人間を見下すかのように剥き出しになった牙を釣り上げ、下卑た笑みを浮かべた。

 

 怒りが募る。

 

 もっと強さが欲しいと、追い込まれながら狗郎の胸中で欲望が渦巻いていた。

 

 もっと、もっと、とどす黒い欲望に視界が赤黒く染まりそうになっていく。

 

 その瞬間だ。

 

 刃を突き立て、狗郎を狩り取ろうとする仮面憑きの獣に、幾重もの閃光が叩き込まれた。

 

 それは獣が吐くものとは違い、澄んだ色をした閃光だった。

 

「あれ、随分と身軽になったみたいだけど、イメチェン?」

 

 どこか軽い口調、しかし狗郎には心から安心できる、そして何よりも求めた声だった。

 降り立った彼女は弓を構え、肉感的な肢体をピッタリとしたボディスーツで浮きだたせながらも気品や美しさを纏っていた。金髪のポニーテールに綺麗な瞳をした戦姫は、すっきりとした笑みを浮かべて狗郎へ手を伸ばす。

 

「ああ、そうだな。君が来るのに、着こみすぎるのは良くないだろう、マリナ」

 

「あっはは、よく言うよ、本当に」

 

 軽く返事すると、マリナはケラケラとした笑みを浮かべながら狗郎を立ち上がらせた。その姿は初めて出会った時の彼女よりもずっと晴れやかで、瞳に宿っていた桃色の不気味な光は消え去っている。立ち上がった狗郎を見つめながら、楽し気で嬉しそうな笑みに思わず見惚れてしまうと、さてと言いながら弓を分離、二振りの曲剣へと変えた。

 

「ねぇ、狗郎」

 

「ああ、なんだ?」

 

「私は、戦うことにしたよ」

 

 それは、今まで突きつけられていた選択肢への答えだった。迷いは無いと言わんばかりに狗郎を見ながら、彼女は短く、しかしながら強く言い切る。

 マリナの選択を受けた狗郎は何も言わない。何も言わずに、彼女の言葉が続くのを待っている。

 

「何を言われても、どんな風に扱われても、私は私だから。誰かが傷ついて、苦しんでるのを見捨てるなんて出来ない、真面目でお人好しな大馬鹿者。そこから眼を逸らすなんて、きっと出来ないから」

 

 だから、と区切ったマリナが曲剣を取り回し、背後にいた獣たちを見向きもせずに切り刻む。一切の無駄や力みのない動きに思わず見惚れる狗郎は、改めて彼女の強さを知った。こんな彼女を、生き生きとした戦姫を戦わせないなど、愚か者がすること以外の何物でもない。

 

「だからさ、狗郎。一緒に戦ってくれないかな?」

 

 少し不安気にマリナが言う。

 今の自分が抱えている気持ちや想いが、壱馬へ向けていた時のような一過性のモノだったら。また誰かに選択を委ねてしまっていたら、と自信が無いのかもしれない。だがきっとそれは杞憂だ。

 問いかけられた狗郎は、マリナの頬に手を添え、真っすぐな瞳で答えを返す。

 

「本当に、君に出会えてよかったよ。強く気高く、美しいマリナ。こっちこそ、隣に居させてくれ」

 

 殆ど愛の告白だった。

 マリナが頬を紅潮させ、生唾を呑みながら何かを言葉にしようとする。

 だがそれを遮るように仮面憑きが咆哮を上げ、突き刺さっていた光の矢を叩き割った。

 

「……今はあっちが先だな」

 

「そうみたいだね。片腕で大丈夫?」

 

「問題ないな。君がそれ以上に成ってくれるんだろう?」

 

「あっはは、そうだね。これからそうなれるように、取り返していくよ」

 

 マリナが曲剣を構える。

 狗郎が打刀を突き立てる。

 

 さぁ、反撃開始だ。

 

     **********

 

 仮面憑きは、通常の変異体と同じように本能でしか動いていない。基本的には戦闘能力が高いだけで、思考パターンには何の違いもないはずなのだ。

 だが、狗郎へと襲い掛かった仮面憑きは違った。

 何者かによって仮面を付けられ、二つの思考を植え付けられていた。

 

 一つ目は、壱馬を狙い、倒さない程度に追い詰めろと言うモノ。どうしてそんな命令を受けているのかは理解できないが、どうでもよかった。

 

 二つ目は、狗郎を狙い、最優先で戦線から離脱させろと言うモノだった。こちらに対しても理由は分からなかったが、それも出会う前までの話だ。

 今ならばよく分かる。解ってしまう。

 

「神裂絶刀流――」

 

 目の前で身体を引き絞り、空気を揺らすほどの剣圧を纏っているこの人間は、最優先で排除しなければいけない化物であると言うことが。

 

「壱式・黒閃――!」

 

 鞘と刃が擦れあい、火花を散らしながら放たれた横薙ぎの斬撃が仮面憑きの刃を弾き、仰け反ったところを新たに戦闘に加わったマリナが斬りかかって確実に装甲を削っていく。息つく暇もない連撃は止まらず、仮面憑きが反撃する瞬間を許さなかった。

 

 刃を出せば弾かれ、防ごうとすれば逆方向からもう一人に斬撃を叩き込まれる。先ほどの、壱馬たちを相手にしたときとは質が違う。互いの動きを理解し、邪魔にならず最大限の火力を出すための動きをしているのだ。

 

「狗郎!」

 

「解ってる!」

 

 短い掛け声で次にどちらから斬りかかるのか、今の二人には通じ合っていた。交差する剣戟が仮面憑きの刃を弾き、上段からの一刀が仮面へと振り下ろされる。砕けないが、ようやく痛覚らしいものを感じたようで、その痛みに仮面憑きは絶叫を上げた。

 

「――――!!!!」

 

「「うるさい!」」

 

 咆哮が響くと共に二人の斬撃が交差して仮面憑きを斬り飛ばす。吹き飛ばされ、瓦礫に突っ込んだ仮面憑きは、崩れる岩盤の中で自身を圧倒する二人を見ながら、感じたことの無い何かを感じ取っていた。

 それは生命の危機。

 死という不可視の恐怖が、すぐそこまで来ていることに違いなかった。

 

 

「動けるもんだね」

 

 そんな仮面憑きが何を思っているのかも知らないマリナは、予想よりも遥かに動ける狗郎を見ながら舌を巻いていた。痛覚の殆どがカットされているとはいえ、片腕が無い状態はバランスが取りづらいはずだ。だがしかし、狗郎の剣技が持つ鋭さは一切の衰えを見せていない。

 むしろマリナが動きやすいように立ち回りを変化させているように見えた。

 

「そっちこそ。ブランクがあるとは思えんな」

 

 不敵な笑みを浮かべた狗郎が残った片腕で打刀を構える。彼としてもマリナの動きが想像の何倍も速く鋭いことに驚いていた。合わせやすい。連携がしやすい。ここだと言う時に追撃を入れてくれる。ストレスのない噛み合いが、彼女の実力の高さを伝えてきた。

 つい先ほどまでの戦闘と強さへの欲求より、マリナと共に戦うのが心地よかった。

 

「でも、仮面憑きもまだまだ元気みたいだね」

 

「何か弱点とかは無いのか? 首でも斬り落とせば流石に死ぬ、のか?」

 

「仮面を割ればいい、んだけど……予想以上に硬かったなぁ……」

 

 曲剣で何度か斬りつけたが、仮面には傷一つ出来ていない。むしろマリナの腕に鈍痛が響き、僅かな痺れが腕に残ってしまっている。

 だがそこに攻撃を受けたとき、仮面憑きは確実に反応を示していた。千空から別れ際に知らされた情報は正しいと言うことだろう。

 

「そうか……なら、砕けるまでやろう」

 

「まぁ、そうするしかないよね」

 

 どんなに硬くとも、どんなに強くとも関係ない。自分に出来る限りのことをやると決めたマリナは、当たり前のように曲剣を構え直して息を吐いた。

 どんなに傷つき、どんなに劣勢でも関係ない。刀を握り、惚れた女が隣にいる限り、狗郎が戦うことを止めることは無い。それこそが彼の征く道なのだから。

 

「――――!!!!」

 

 仮面憑きが瓦礫を破壊しながら吠えたけると、紅い眼光でマリナと狗郎の二人を捉える。最優先事項は狗郎の排除だ。どんなに生命の危機を感じ取ったとしても、それだけは変わらない。

 開かれた口に光が集まり、三度目の閃光が放たれようとしている。それを見た瞬間、狗郎が開いていた距離を一気に詰めて顎へと打刀の柄を叩き込んだ。

 

「三度目だぞ。いい加減に見飽きた」

 

 放たれようとしていた光が口内で暴発し、空洞の中で響き渡る爆発音が仮面憑きを襲っていく。だがそれでも仮面は剥がれない。急所ならば当たり前だろうが、攻め立てるには充分な隙だ。

 

「二式・顎――!」

 

 打刀を持ち替え、斬り上げからの上段の振り下ろしという連撃が仮面憑きを襲い、その急所である白い仮面へと直撃する。やはり硬い。刀身に硬質なものを削った感触が残り、片手で振るっている分の衝撃に握りが甘くなった。

 

 その隙を突こうと仮面憑きが刃を構えるが、それよりも先に狗郎の背から伸びてきた幾重もの閃光が仮面憑きを牽制し、逃げ道を塞いでいく。

 マリナによる援護射撃だ。曲剣の柄を噛み合わせ、変形させた巨大な弓から放たれるのは、彼女の法力から生まれた矢だ。様々な属性が宿ったそれから逃れることは、狗郎という脅威を相手にした状態では難しい。

 

「まだまだ行こうか」

 

 追加で四本の矢が構えられ、よろけた仮面憑きへと狙いが定められる。ただ接近戦も高水準でこなせるというだけで、彼女の本職はこちらだ。援護しながら敵の動きを制限し、戦場の操ることこそが、マリナ・シードフィールドの戦い方と言える。

 

「爆鎖式、スコール」

 

 火花を纏わせた矢が放たれ、放物線を描きながら仮面憑きへと向かっていく。避けようと意識をそちらに向ければ距離を詰めて袈裟の斬撃を放ってくる狗郎に斬り伏せられてしまい、矢と共に直撃を喰らってしまう。

 だが狗郎の刃を防ごうものなら、直撃した瞬間に爆裂するマリナの矢に足を止められ、その隙に滑り込んできた刃に叩き斬られる。

 

「よく見ろ、仮面憑き」

 

 ゾクリ、と背筋が凍るような声が仮面憑きの鼓膜に入り込んでくる。攻め立てられ、朦朧とした意識のなかでもハッキリと入り込んでくるその声が、命じられたはずの行動理念すらも揺るがしていった。

 目の前にいる敵が何か分からない。

 顔も見えず、気配も定かではないナニカ。

 

 オマエハ、ナンダ?

 

「俺がお前の死だ」

 

 その宣言と共に矢の雨が仮面憑きの急所へと叩き込まれ、遂に亀裂を作り出す。

 

 突破口を狗郎は見逃さない。

 

 打刀を鞘に納め、捩じ切れる限界ギリギリまで身体を引き絞る。

 

 

「神裂絶刀流抜刀術――」

 

 この戦いに終止符を打ち、災いを絶つための抜刀術。

 

「黒の太刀――」

 

 それが放たれた時には、仮面憑きの核となる白い仮面は両断され、黒く染まった人型だけが取り残されていた。

 

**********

 

 ここで一つ、正史の話を挟もう。

 

 本来ならば、仮面憑きを倒すのは竜城壱馬だった。

 

 原本(オリジン)魔鍵の一振りであるクラウソラスの力を解放し、戦況を一気に好転させることで英雄として担がれる。

 

 この際、マリナは戦場ではなく本部の防衛に努めるが、未だ幼く恋に盲目と成った彼女では変異体の群れと侵入者の両方を止めることは出来ず、人的被害を最小限に抑えることしかできなかった。

 

 その最中に侵入者の手でN・T・Rの情報を抜き取られ、それが次の事件へと繋がってしまうはずだった。

 

 だがしかし、それはあくまで大元に敷かれた歴史での話だ。

 

 変化し、ねじれた今の世界では、決まった動きなど起きる訳もない。

 




戦闘が意外とあっさり終わって申し訳ない……

長引かせるのも悪いと思って……イヤ本当に申し訳ない……

次回は後日談的なやつですね。
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