※この作品はR-18です。

【期間限定】魔鍵師育成学校N・T・R~爆乳美女たちを寝取ってハーレムを築く〜(未完)   作:ハルカ

14 / 38
これに剣客顕現編のストーリーは終了と成ります。



第十三話 決別と選択

「あ~、流石に……疲れたなぁ……」

 

 仮面憑きを斬り伏せた狗郎は、その直後に仮想戦闘態が活動限界を迎えていた。片腕を失い、あれだけ滅茶苦茶に動いたのだからそれも仕方ないだろう。

 彼が今いるのは、強制的に帰還させられた後に送られるマリナとの寮部屋だ。他にも何十名では足りないほどの魔鍵師たちが自室へ叩き込まれており、きっと大規模な戦闘が終わった今でも自らの不甲斐なさを悔いていた。

 

「あ、起きたみたいだね。身体の調子はどう?」

 

「ん、ああ……少し疲れがあるくらいで、痛みとかは無いな」

 

 ボンヤリとベッドでくつろいでいた狗郎に声をかけてきたのは、ボディスーツから制服へと着替えたマリナだった。既に戦闘から数時間が経過しており、事後処理も終了しているのだろう。落ち着いた様子でベッドに腰かけており、穏やかな笑みで狗郎を見つめていた。

 

「良かった。あれだけのダメージを喰らってたから、何かしらのフィードバックはあると思ったんだけどね。頑丈でなによりだよ」

 

「どうにもそれが取り柄みたいだな」

 

 狗郎は嘘を吐いた。本当のところ、全身を包む倦怠感と共に左腕から肩にかけて、意識せざるを得ないほどの痛みが残っている。流石に腕一本分の痛覚を全て無かったことには出来ないのだろう。それを言わなかったのは、単純に恰好つけたかっただけに過ぎない。

 そしてマリナも気づいていながら、狗郎の見栄に乗っかっているのだ。

 

「……とりあえず、お疲れ様。君のお陰で被害は最小限、本部に来た仮面憑きや火事場泥棒たちも一掃できた。だから改めて、ありがとうね、狗郎」

 

「いや、俺はただの戦闘屋だ。出来たことなんて、敵を斬って斬って、倒れるだけしかない。俺がいなくても、きっとどうにかなってたよ」

 

「そんなことないよ。狗郎がいたから、私は戦おうと思った。自分のことを、しっかり理解することが出来た。だから本当に、ありがとう」

 

 ベッドに座り込んでいたマリナが礼をする。そこまでされては拒絶や否定をすることなど出来ない。困ったように笑みを浮かべた狗郎は、彼女の手を取って感謝の言葉を受けいれた。

 重なった手から互いの体温が伝わり、指が絡み合って繋がれる。心臓が脈打ち、喉が渇いて生唾を呑む。

 

「マリナ……やはり、俺は君と結ばれたい。君に俺の子を産んで欲しい。君のことを愛していると、心の底から言える」

 

「っ……君って人は……なんていうか、本当に単刀直入に言ってくるよね」

 

 妖しく、色艶のある雰囲気とは真逆に狗郎の告白は真っすぐなものだった。思わず笑い飛ばしそうになるが、マリナは彼から告げられる言葉に今までとは別の感情を抱いている。冗談や揶揄いなどではなく、心の底からの言葉なのだと今ならわかった。

 そして何より、マリナも狗郎の告白に胸を高鳴らせていることに気が付いていた。

 

「品が無くてすまない。だがこれ以外に、愛していると言葉にする以外に伝え方が分からなかった。だから、どうか俺と添い遂げてはくれないか?」

 

「……なんていうか、なんていうかだなぁ」

 

 狗郎の隣へと擦り寄ったマリナは、その左腕を労わるように撫で摩りながら溜息を吐く。この腕を失いながらも刀を手放さず、立ち向かうことを止めなかった神裂狗郎という戦士の姿が忘れられない。彼の隣に居たいと、今でもマリナは願っている。

 

「私は……」

 

 そう言葉を繋げようとした時、喧しくドアを叩いてくる音が部屋に響いた。無遠慮に殴りつけるようなノックに身体を撥ねさせたマリナは、すぐさまウンザリしたように深い溜息を吐いた。この雰囲気を壊されたことも嫌だったが、改めて過去の自分に対してあきれてものも言えなくなる。

 

「ちょっと待っててね。出てくるから」

 

「……俺が言うことではないかもしれないが、大丈夫か?」

 

「うん。私も、少し考えたいから」

 

 ベッドから立ち上がったマリナが、気合を入れる様に頬を叩いた。ヨシッ、と息を吐いた彼女を止めることは出来なかった。

 

 部屋を出てドアを閉めれば、廊下には一人の青年が立っていた。苛立ちを隠す気も無い表情でマリナを睨みつけ、腕を組んで威圧的に見下ろしてきている。

 そんな彼に数日前まで恋焦がれていたことを思い返すと、自分が正常な判断を降せていたのか分からなくなった。

 

「なにかな、竜城くん。怪我人の看病をしてるから、出来ることなら手短に要件を言ってほしんだけど」

 

 ならばこちらも、と言わんばかりにマリナも不機嫌気味な声音で相手を、竜城壱馬を睨みつける。両腕を焼き切られていた割には元気そうで、痛みも疲れも残っていないように見える。それもそのはずだ。原本を持つ魔鍵師には、研究の名目で様々な治療が優先的に施されている。

 汎用魔鍵と違い、不確定な点が多すぎる所為だ。

 

「なんでだよ会長。なんで、どうして前線に出たりしたんだ!」

 

 怒鳴りつけてきた壱馬は、怒りに顔を歪ませながらマリナへと掴みかかろうとしてくる。しかしその手は簡単に弾かれ、触れられないように距離を取った。もう二度と、お前に自分の肌を触れさせてやるかという意思表示にも似た、明確な拒絶だ。

 

「なんでも何も無いよ。あの状況下ではアレがベストな判断だった。私よりも、千空社長の方が防衛に適していたから入れ替わった。ただそれだけのこと」

 

「そんなの納得できるか! 俺が出なくていいって言ったんだぞ、なんで出てきたんだよ!」

 

 壁を殴りつけながら威圧してくる。息を荒げて自身の意見を押し付けてくる壱馬を、男らしいと思うものは一定数いるのかもしれない。もしかしたら、少し前までのマリナもそうだったのかもしれない。

 迷っている自分の道を強引にでも決めてくれる相手に救いを求め、盲目的な恋慕の想いを募らせていたのだろう。

 

「私が言う通りに前線に出ない理由はないよ。戦わなくてよくっても、それは戦わない理由にはならない。自分で選んで、自分で考えて決めたんだから。君にそれを咎められる謂れは無い」

 

「なっ、なっ……このっ、アンタが来なければ、俺が仮面憑きを倒してたんだッ!」

 

「無理だよ。君にも、私一人でも仮面憑きを倒すのは難しかった。狗郎と私だったから出来たことだよ。少なくとも、君には無理だ」

 

 アレは通常の仮面憑きとはどこかが違った。一つの目的を遂行するために他の思考の全てを削ぎ落としたような怪物だ。もしもその目が狗郎以外に向けられていたとすれば、被害は甚大ではなかっただろう。片手間に遊ばれた壱馬がどうにかできるわけなどない。

 

「そんなわけ、そんなわけねぇ! 俺は、俺なら絶対に出来た! そうすれば会長だって俺が正しいってわかるはずだ! 俺の言う通りにするべきだってなるはずだ! 俺の傍にいるのが正解だって、そうなるはずなんだ!」

 

「……はぁ、この際だからハッキリ言っておこうかな」

 

 遂にマリナの堪忍袋の緒が切れた。これ以上、この男の妄言に付き合っていたら思考がドンドンおかしな方向へと持っていかれてしまう。再び思考を壱馬が望む方向へと誘導されれば、下手をすればその通りなのかもしれないと思う可能性だってある。

 それだけは絶対に拒絶しなければならない。

 

「私は君の傍じゃなくて狗郎の傍にいたい。君の言う通りにはならない。少なくとも君の言う通りにすることが正しいとは思わない。この話はこれで終わりだよ。今まで付き纏って、馴れ馴れしくして悪かったね。これからは必要以上に近づかないから、それじゃ」

 

 そう言ったマリナは、有無も言わせず部屋へと戻っていった。

 怒りが沸き立つ。憤りが募る。あれほどまでに自己中心的な男だっただろうか。いや、今さらになって気にしても意味がない。

 不思議と心は落ち着いており、罪悪感のようなものは殆ど、というより一切なかった。

 

「大丈夫か、マリナ」

 

「うん、むしろスッキリした、かな」

 

 ベッドから出てきた狗郎が少し不安気に聞いてくる。それに答えたマリナは、今までにないほどスッキリした笑顔を浮かべて狗郎の隣へと舞い戻った。ここにいるのが一番落ち着く。

 彼に出会ったお陰で様々なことを考え直す機会を得た。

 見ていなかったことに向き合うことが出来た。

 

「それじゃあ、さっきの続きだけど……」

 

「ああ、それで……ッ」

 

 身を乗り出したマリナが、狗郎へと軽く口づけをした。

 だから自分は、この男性(ヒト)を選ぼう。

 そう再認識したマリナは、優しく甘い、触れるようなキスを落したのだ。

 

「こ、これで……分かる、かな?」

 

「……マリナッ」

 

 布団から出た狗郎がマリナを抱き寄せ、息を荒くしながら顔を近づける。互いの吐息が交じり合い、興奮が高まっていけば今まで隠していた性への欲求が全身へと広がっていった。マリナの下腹部がズクン♥と疼き、その先を期待し始めている。

 

「少し、我慢できなくなるぞ」

 

「あ、あの……♥ ん、ちょっと……っ♥ ん、むぅ♥」

 

 二人の唇が、先ほどよりも深くつながりベッド近くで距離がゼロになった。

 

 この二人の営みを邪魔できるものなど、きっと馬に蹴られて死んでしまった方が良いだろう。

 

**********

 

「くそっ、くそっ、くそっ、あの女! 俺のことをバカにしやがって、ふざけんな、ふざけんな!」

 

 そこは、原本使いにのみ宛がわれた特別な個室。その一つを所有している壱馬は、机やベッドに当たり散らしながら荒れ狂っていた。

 

 N・T・Rに入ってから一か月が経過した。最初の方こそ、これ以上ないと言うほど上手くいっていた。

 

 入社時の検査で高い魔鍵適性値を記録し、原本の一振りであるクラウソラスを所有出来た。同クラスの生意気なご令嬢にも勝利し、暗殺者も撃退していった。

 更に言えば生徒会長すらも自分に靡き、幼馴染やヤンキーも含めて順風満帆な生活を送れる。

 

「なのに、なんなんだよアイツはよぉ!」

 

 そう思っていた矢先に、奴が来た。

 

 記憶喪失を口にするふざけた男が来てから、思い通りにならないことばかりが起きている。本来ならば今回の大規模侵攻や個人ランク戦でも竜城壱馬が獅子奮迅の活躍を見せるはずだった。

 

 それが蓋を開ければどうだ。

 

 生徒会長は自分ではなく、新入りの男に想いを寄せた尻軽へと成り下がり、壱馬が活躍する場はその新入りに奪われていた。

 

「ゆるさねぇ……会長も、あの野郎も、絶対、絶対にぶっころして……っ!」

 

 そこまで言いかけたとき、ストンと思考が落ち着きを取り戻した。そうだ、落ち着かなければ。

 何も焦る必要などない。奪われるなどありえない。きっと洗脳されているか、何かしらの弱味でも握られているのだ。

 ならば自分が助け出さなければ。

 

「そうだ……助けて、守ってやるんだ……だって俺は」

 

 主人公なのだから。

 

 その口元には、端正な顔立ちに相応しい綺麗な笑みが浮かびあがっていた。

 

**********

 

 そこは、N・T・Rの地下に設置された研究室だった

 

 最奥には祭壇が設置されており、様々な計測器によって毎秒ごとに状況を把握されている。

 

 そして祭壇の上には、一振りの打刀が飾られている。

 

 長さにして三尺、九十センチと言ったところだ。

 

 鞘も鍔も、柄もない剥き出しの刀身には紅い波紋が浮かび上がっており、黒曜石にも似た輝きを帯びて脈動していた。

 

「ようやく、見合った子が現れてくれたわよ」

 

 そう呟いたのは、ガラス越しに刃を見つめた千空だ。彼女の腰に差してある大太刀はカタカタと震え、共鳴するかのような光を纏っていた。

 千空の脳裏に浮かびあがっているのは、つい最近現れた記憶喪失の青年、狗郎のことだ。

 いままで一騎当千の英雄であった彼女に追い付くだけでなく、仮面憑きを二人がかりとはいえ撃退したその強さと精神力。

 期待するなと言う方が無理だ。

 

「本当に、愉しみになってきたわ」

 

 口元に笑みが浮かぶ。

 

 それは獰猛な、獣や修羅が浮かべるようなものに他ならなかった。

 

 




次回は、遂に、本編で、エロを書くよ!
ちょっとした雑談をしていますので、よろしければご利用ください。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=281853&uid=159726
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。