【期間限定】魔鍵師育成学校N・T・R~爆乳美女たちを寝取ってハーレムを築く〜(未完) 作:ハルカ
「なるほど、これが制服か……うん、悪く無い。悪く無いものだな」
訓練用のボディスーツから、新たな洋服へと着替え終わった狗郎は、その着心地に満足げな笑みを浮かべていた。背が高く、太めの筋肉が纏わりついた身体つきなせいで中々噛み合うサイズが無かったが、ようやくピッタリするものを見繕うことが出来た。
黒の生地に赤のラインが描かれた洋服。それを着た自身の姿を鏡で確認した狗郎は、改めて自分の存在と言うモノと向き合っている。
記憶がないと言うのは本当だ。だがつい数時間前の戦闘、その最中に繰り出した剣技は、きっと魂の根幹にまでしみついている。名前もそれと同じで、きっと忘れることは無いだろう。
だがそれ以外はどうだろうか。
記憶の片隅にある優しい世界は何だと言うのか、まるで分らず憧れることしかできない。目を覚ました時にどうしてあの場所にいたのかなど、当然ながら覚えているわけもない。舌打ち交じりに椅子に腰かけ、目覚めてから初めての深い溜息を吐いた。
「意外と……くるものがあるな」
他に誰もいなくてよかった。こんな姿を見せることは狗郎の流儀に反する。それが誰であっても弱さを見せることは彼にとっては敗北なのだ。
じくじくと浸み込んでくる痛みと不安に冷や汗をかき、深く息を吸って揺らいだ精神を平静へと沈めていく。完全無欠とはいかないまでも、揺らぐことは許されないのだから。
「あら、予想通り似合ってるわね」
「っ、千空か……貴方に言われるなら悪い気はしないな」
そうしていると、数点の書類を手に持った千空が部屋に入ってくる。やはり彼女の美貌は目を見張り息を呑んでしまうほどのもので、狗郎もそのおかげか平静を装って軽口を吐くことが出来た。口元に浮かべた笑みは引きつっているが、出会ったばかりの相手では気づくことも出来ない。
「はいはい。それで、これからどうするのか決まったのかしら?」
彼女が言っているのは、狗郎が選ぶべき道についてだ。戸籍や身分を証明する手段を持たない。
しかしながらも、一時期の混迷を極めた時代を経た現代社会では、簡単に新しい身分を用意することが出来る。その過程で千空が提案した道は二つだ。
「とりあえず戸籍は作ったから、民間保護区域で一般的な生活を送るも良し。ここに所属してN・T・Rの魔鍵師を目指して学生になるのも良し。神裂くんに任せるわ」
「……それはまた、これからの人生を決める話だな」
答えは当然後者、と言ってしまえるほど狗郎が単純だったら、話はそこで終わりだった。そうならないのは、今の彼が自分自身を知らなさすぎるからだ。
もしも記憶が戻った時、自分がどうしようもない悪人だったら。力を背負うには責任が伴う。その後の自分が千空やマリナに迷惑をかけないとも限らない。
「考えてからでも良いわよ。施設内は自由に回っていいから、ね」
書類を眺めている狗郎に、千空が安心させるようにウィンクをしてくる。見惚れそうになるのを堪えながら、狗郎は自らの道を決めようと少し考えこむ。そうしていると、未だに回り切れていないものがあることを思い出した。
「そう言えば、個人ランク戦は見たが、チーム戦は見てなかったな……」
些細な疑問、というよりも興味が口を突いて出た。それを耳ざとく聞き取った千空の口元に笑みが浮かんだのに気が付いたときには、狗郎は部屋から連れ出されていた。
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チーム戦と言っても、そこまでの大人数で行われるわけではない。基本的に三~四人で編成された四部隊が一つの仮想戦闘空間に放り込まれ、点数を競い合うと言うシンプルなものとなっている。その中で一際目立っているのは、竜城隊と記載されている部隊だった。
連れ出された観客席で、状況を確認しながら狗郎が呟く。
「あれは、貴方の部隊なのか?」
「違うわよ。私の弟が隊長をしてる部隊のこと。ほら、画面に映ってるでしょ」
千空に言われて目を向けた狗郎は、映し出された人物を確認する。確かに端正な顔立ちが似通っており、光り輝く長剣を振るう様は勇ましく好戦的な笑みと共に他部隊を斬り伏せていっている。
彼の周りにいるのは、マリナやシルビィにも負けないような三人の美少女たち。
赤毛のツインテールで、身の丈以上のハルバードを振るった気の強そうな前衛。
ウェーブのかかった金髪に、狙撃手として適格に撃ちぬいていく高飛車な後衛。
緑色のショートカットに、二本の短剣を振るってサポートしていく気儘な斥候。
バランスは良さそうな部隊だが、どうにも千空の弟とやらが前に出すぎているように見えた。
狙い撃ちにされそうなところを赤毛の美少女が守り、斥候の少女と狙撃手の彼女が支援しながら一人、また一人と討ち取っていく。点数だけで見れば大差のようだが、どうにも内容を見れば余りよろしくないように感じてしまう。
「……なるほど、弟君は何というか、アレだな」
「そうなのよね……少し、粗削りすぎるというか、なんというか……」
千空も少し気まずそうに笑みを浮かべる。だがそこには愛する者への感情が籠っているようで、家族というよりも恋人に向けるような視線を向けていた。それを見ながら狗郎は千空を振り向かせることへの難易度がどれだけ高いかと再認識する。
「なるほど……貴方を堕とすには、彼以上の男な必要があるみたいだな……」
「そうねぇ、弟よりも良い男で、私よりも強いともっと良いわね」
「それはかなり大変そうだ」
はっはっはっ、と朗らかな笑いが二人から漏れ出る。千空が軽口に乗っているのは、大人として狗郎の不安を感じ取ったからだろうか。気が付けば記憶がないことへの不安は思考の端へと消え去っており、目の前で行われているランク戦と、千空への好意へと思考が集中していった。
「よっし! 今回も快勝だったな、って姉さん? なにやってんのさ」
やがて、部屋にチーム戦を終えた一組の部隊が入ってくる。つい先ほどの画面上で獅子奮迅の活躍を見せていた千空の弟を含めた四人だった。和気あいあいとしているように見えるが、三人の美少女同士はどこか険悪そうな雰囲気を醸し出している。
いや、険悪というよりも、誰が千空の弟に近づくのか牽制し合っていると言う方が正しいだろうか。
「新人候補の案内よ。ちょうど今の試合を見せてたところ」
「おっ、新入りなんか。よろしくな」
そう言いながら、今まで千空にしか向けていなかった視線を狗郎に向けてきた弟は、どこか品定めをするように上から下まで眺めてくる。しかも握手を求めて差し出された手は左側だった。
だが、その程度のことを無礼だと断定するのは些か神経質すぎる話だろう。
「……ああ。神裂狗郎だ。よろしく頼むよ、千空さんの弟君」
「おい、そんな呼び方すんなよ。俺には竜城
知らなかったのだから仕方ないではないか、と思った狗郎だったが閉口したまま少し息を吐く。逆に竜城壱馬は憤慨したように鼻を鳴らし、握られた手に力を込めてギリリと掴んでくる。僅かな痛みに顔をゆがめるが、再び並行して息を吐いた狗郎は、背後にいる三名の美少女へと目を向けた。
どうやら悪いのはこちら側らしい。
「そいつはすまなかったな。非礼を詫びるよ」
「おう、まっ、これからよろしくな、新入り」
随分な態度に疲れた笑みを返す狗郎に、壱馬は溌剌とした笑みで返してくる。そんな笑顔に彼の背後にいる美少女達は頬を赤らめており、やはり壱馬へと並々ならぬ想いを向けていることが分かる。
しかし当の本人である彼はと言えば、キョロキョロと誰かを探しているようで、彼女たちの視線に気が付いてもいないようだ。
「なぁ、姉さん。会長とシルビィしらないか? 今日は出れなかったから話だけでもと思って」
「ああ、二人なら個人ランク戦の方にいたわよ。可愛がってあげなさい、ね♪」
「やめろよ、そんなんじゃないって」
にやつく壱馬を見ながら狗郎は僅かな不可解さを覚えた。他人のことを気にかけると言うのに、どうして自分の周りにいる彼女たちのことは気にかけないのか。引っかかりを覚えれば思考から吐き出すことは難しくなる。
「もしかしてなのだが、彼女たち……後ろの三人や、シルビィにマリナは君の好い人なのか?」
そして気が付けば口を突いて出て行っていた。言葉をぼかしたとはいえ、すこし無礼で、不躾な物言いだったかもしれない。そう思い当たり、口を押えるがもう遅い。
女性陣は頬を赤らめ、三者三様の反応を見せて恥じらいを見せていった。だがしかし、最も大きく、苛烈な反応を見せたのは前に立っていた壱馬で、謝ろうとする狗郎の胸倉をつかみ上げて揺すってきた。
「お前、そんな風にこいつらを言うんじゃねえ! 俺の大切な仲間なんだ!」
「っ、いや、すまない。今のは十割俺が悪かった……んだが……」
自分の非を認めながらも、狗郎はやはり抱えている疑問が解消されないことを口に出してしまう。
彼らの関係性、その奥に秘めている何かへ気が付かない訳などないだろう。少なくとも初めて出会ったはずの狗郎がそうなのだから、長い付き合いに見える壱馬が気づかないなど噛み合うわけがない。
「本当にただの仲間だと思っているのか? それとも、
誰かからの好意に気が付かないのならば、まだ鈍感ということで仕方ないと思える。恋する女性は美しいとは本当で、そんな男に惚れてしまい、自分の想いに気づいてもらおうと努力する女性と言うモノは輝いていくものだ。
「な、何言ってんだよ、お前、俺が何を気取ってるってんだ!」
だが後者だった場合は最悪だ。好意や想いを踏みにじり、囲うつもりも無い相手を囲い、自分が異性から愛されているのだと言う事実に優越感を抱くだけの存在。それがどんな理由であれ、行いは許されるようなものでは到底ない。
そして残念ながら、声の機微や瞳の揺らぎから推測できる限りでは、竜城壱馬は後者だった。
「そうか……そうか……いや、失礼したな。そう言うことなら、それでいい」
壱馬の手を払った狗郎は、瞳に僅かな覚悟を宿していた。
「俺も、遠慮は無しでいこう」
本当はもっと良さげにかきたかったけど、今回はここまでということで……
お前の女か発言は流石に失礼、怒らせようと狙ってる、というご指摘を受けたので、少しだけ変えました。そういう意図はなかったです。