※この作品はR-18です。

皆殺しから始める現代戦国物語/敵家を潰し、報酬として美少女を奪い、喰らい、辱める   作:三流木青二斎

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序章・凰母家

 

「はて、今頃は……」

 

 凰母万仲は、凰母屋敷にて呑気に茶を啜っていた。

 彼は今回の儀式に参加せず偵察をする事に徹した。

 紫の話を聞いた凰母万仲は、どうすれば効率良く紫を我が物に出来るか、と考えたのだ。

 

 救世川家に対して伏木羽家と歩衛家の抗争となる。

 分配として言えば、五分五分とも言えよう。

 これで凰母家が加勢に入れば救世川家は何とかして倒せるだろう。

 しかしそれでは意味が無い、凰母家が他の家系を倒すと言う選択を取ってはならない。

 

 今回の想定された戦況は同盟破棄。

 今まで救世川家及びその同盟家系が他の家系から手を出されなかったのは、この同盟があったからこそ。

 もしも同盟が破棄された事を知られてしまえば、他の家系からは格好の餌食となるだろう。

 

 だから三家と救世川家が抗争したと言う事実は避けたかった。

 同盟側が勝っても、抗争によって弱体化しているから狙いやすいと思われる。

 救世川家が勝っても同様、抗争によって弱体化、及び、同盟が存在しないからより容易く攻略出来ると思われてしまう。

 

 けれど、これが二家と一家の抗争であり、残る一家が傍観を決めているとすれば? 

 救世川家が勝てば、まだ一家、凰母家が残っている故に手を出しにくい。

 残る二家が勝ったとすれば、こちらもやはり凰母家が残っているから手を出しにくくなる。

 

 凰母家は動かずして他家からの侵攻を防ぐ盾となっているのだ。

 そして、傍観こそ、やはり美味しい立ち位置である。

 どちらが勝ったとしても、家系としての弱体化は免れない。

 そうなれば、頼るのはやはり同盟を結んだ家系だろう。

 立場を利用し、凰母家は同盟の内容を自分有利に書き換える事も出来る。

 最悪、術師の残党を吸収して拡大する事も理想。

 

 当主としての考えからすれば、両者共倒れが好都合である。

 行き場を失った残党を凰母家が後から掻っ攫えば、何もせずに凰母家は強大な組織となる。

 

「(後生大事にされているゆかりが、抗争で死ぬ確率は低い……であれば、協定でゆかりを引き渡して貰えば……全ては儂に分があるのぅ)」

 

 彼の考えは結局の所、狸の皮算用でしかなかった。

 密偵が戦況がどうなっているのか知るべく携帯電話を握り締めている。

 庭が見える縁側で、空模様を確認しながら待ち侘びる凰母万仲の前に、ボールが飛んできた。

 

「おっとっとぉ」

 

 ボールを足で止めて土の付いたボールを掴む。

 

「おじいさまぁ」

 

 そのボールを転がしていたのは、栗色の長髪を左右に揺らす、背の低い少女だった。

 凰母家の箱娘、凰母千遊と言う万仲の孫娘である。

 彼女の両親は現代大戦にて死亡しており、現在では凰母万仲が親として育てていた。

 

「おじいさま、何を考えてるのですか?」

 

 大和撫子の様に清廉で不美顔な凰母万仲にとっては、その劣等感を消してくれる可憐な少女だ。

 凰母万仲が自分が持つ全ての地位を失ってでも、彼女だけは守りたいと、そう思ってしまう程に。

 

「いや、なんでもないさ、今日のごはんは何かのぅ」

 

 彼女の前では自分は孫想いが老人で居られる。

 凰母万仲にとっては、彼女こそが普通の人間で居られる良心なのだろう。

 

 唐突に、携帯電話が鳴り響く。

 凰母万仲は携帯電話を通話ボタンにすると、それを耳に当てる。

 目の前には凰母千遊が居る為に、良き祖父としての表情を作っている。

 

『大変な事になりました』

 

 密偵の焦燥を露わにする口調を聞き、既に想定外の事が起こっている事が理解出来る。

 

「何が起こった?」

 

 凰母万仲は密偵から話を伺う事にする。

 この時、既に救世川家は滅亡しており、密偵は他の人間に見つからぬ様に救世川家から離脱し、喫茶店で珈琲を頼んで待機をしていた。

 

『救世川家の主要人物、及び、伏木羽家の当主と、歩衛家の当主が死亡を確認しました』

 

 それを聞いて、凰母万仲は表情を嶮しくして聞く。

 

「それで……ゆかりはどうなった?」

 

『ゆかり……はい、大変な事ですが……救世川家の当主は、ゆかりと呼ばれる女性になったらしいです』

 

 言葉を失う。

 紫が救世川家の当主になったと言う事は、救世川家の術師が表に建てなくなった程に数が減少したと言う事だ。

 だから、救世川家でも無い奴隷同然だった救世川紫を立てているのだ。

 更に、伏木羽家と歩衛家の両家の当主が死亡していると聞く。

 この二つの家系は実力者が当代に就いている。つまりは主役だ。

 その主役を失ったとなれば、戦力は大幅に減少しているに違いない。

 

 凰母万仲は笑みを綻ばす。

 まず間違いなく、時代の波は凰母万仲の方に流れている。

 

「成程……では、儂も救世川家に参るぞ」

 

『それは危険です、先程の話を付け加えるとするのならば、救世川家は伏木羽家と歩衛家に倒されたワケではありません……私は伏木羽家と歩衛家の最期しか見届けていませんが、彼ら二人を倒したのは、一人の子供です』

 

「子供? ……ゆかりか?」

 救世川家に子供が働いている所は見たことが無い。

 子がいるとすればそれこそ、紫くらいのものだろう。

 しかし、密偵の言葉は否定であり、即座に回答が出される。

 

『灰色をした子供です。当代二人を相手にして軽傷で勝ちました』

 

「……ふむ」

 

 肉体を膨張させて筋肉量を増加させる伏木羽六朗。

 地面に眠る砂鉄を引き出してそれを操り戦う事が出来る歩衛清七。

 

 この二人と戦って、無事で済む人間も早々居ないだろう。

 だとすればその話が本当であれば、その少年は間違いなく怪物と呼べる存在だろう。

 

「ならば、急がなければならんな……今から文を書き記すから、切るぞ」

 

 そう告げて、凰母万仲は早速手紙を直筆で書くと、それを使者に渡した。

 

「さて……儂らは準備を始めるとしようかの」

 

 凰母万仲はそう言った。

 更に、もう二枚の文を書いてそれを使者に渡す。

 

「これは伏木羽家と歩衛家に、降伏文である」

 

 伏木羽家と歩衛家に向けて手紙を送った。

 その内容は、凰母家の軍門に降る様に記した内容であり、更にその内容の中には、当主が死亡した事も書かれている。

 もしも反故にした場合は即座に屋敷に押し寄せて略奪をすると告げておいた。

 

「二羽追わずとも三羽得るとはこの事よ」

 

 一人勝ちだと、凰母万仲は笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 救世川家では盛大に祝いが進んでいる。

 酒を浴びるように飲んだり、救世川家の貯蓄庫から大量の食材を出しては鍋にしたり肉を焼いていた。

 

「んっめッ! なんだこれぇ! んめぇ!!」

 

 焼き肉のタレで味付けをした焼肉を頬張りながら、両手にバーベキュー用の串に刺した牛肉にかじりつく。

 

「ニケ、もう少し落ち着いて食べなさい……ほら、口にいっぱい付けて」

 

 紫はニケの口についた焼肉のタレを拭いながらも、まんざら悪くなかった。

 なんだか、弟が出来た様な気がしたからだ。

 

 もしも、救世川家の侵攻が無ければ、きっと、両親はもう一人、子供を作っていたのかもしれない、と、ボンヤリと考えながら、隣の席でモグモグと絶品の料理に舌鼓を打つニケを見ながら微笑んだ。

 

「紫さまもどうぞ、お腹いっぱいになるまで食べて下さい」

 

 女中が焼いた肉を持ってきてくれた。

 皿にのせられた肉を見ながら、紫は首を左右に振る。

 

「私はもう、お腹いっぱいですので」

 

「おー? ねえちゃん、いらねぇのかぁ? じゃあ俺がくぅ」

 

 皿にのせた肉を鷲掴みにするが、焼き立てなので手が放して熱いと叫んだ。

 

「あちちッ!」

 

「もう、手で料理を掴んだら駄目でしょ……ほら、手を貸して……拭いてあげるから」

 

 濡らした布巾でニケの手を拭う。

 幸いにも火傷はしていない様子で、ニケは自らの手を眺めながら紫の方を見る。

 

「ねえちゃん、ぴかぴかだ」

 

 手を見せながら呑気に笑う。

 その子供らしい一面を見た紫は、こうして、ニケの隣にいると、自分もなんだか年相応の子供になれそうで、居心地が良かった。

 

 盛大な祝いの場は日が跨ぐ程に行われる。

 女中たちは騒ぎ終わると、その場で寝込んでしまった。

 後片付けもせずに、ずっと眠り込んでいる。

 紫もニケもはしゃぎつかれたのか、寝込んでしまった。

 

 女中の一人が目を覚ます。

 インターホンの様な音が聞こえてきた為だった。

 顔を上げて欠伸をしながら外へ出る。

 救世川家の敷地は広い為に、屋敷の門の前まで行くのに五分は掛かった。

 何度も何度もインターホンを押してくるので、不快な気分を覚えつつあった女中は、表情をしかめっ面にしながら対応した。

 

「はいはい、何方様です……か?」

 

 門の前には、黒づくめの男が居た。

 凰母家の使者だった。

 その手には、一枚の封筒が握られていて、それを女中に渡す。

 

「凰母家当主、凰母万仲様からの手紙である。当主に渡しておけ」

 

 命令口調でそう告げると、凰母家の使者は即座に離れていく。

 女中は手紙を握り締めながら、急いで広間へと戻り、寝ている紫に声を掛けた。

 

「紫さま……紫さまッ!」

 

 声と共に揺さぶられて、紫は目を開く。

 まだ疲れが取れていないのか、その表情は子供らしい顔をしていた。

 

「なんですか……どうか、されましたか?」

 

「これを……凰母家からの使者からです」

 

 封筒を渡されて、紫は目が覚めると封筒の中身を確認する。

 その中身の内容は、他の術師の家系に送ったものと同じ、降伏せよ、と言う内容だった。

 

『救世川家当主、救世川紫殿。此度、救世川家の新棟梁となった事をお祝い申し上げると共に、貴殿らに速やかに降伏する様に呼び掛ける、此方は既に、貴殿らが伏木羽家と歩衛家の当主を殺したと言う事実は承知しており、既にそれは両家に告発している。報復の為に呼び掛けている為、当主を失った二家は貴殿らを攻撃するだろう。このまま時間が過ぎれば、貴殿らは伏木羽家、歩衛家、凰母家の三家から猛攻撃を受ける。しかし、良縁を築いた中である。従って、凰母家が体裁に入り、総攻撃を止める事が可能である。無論、その条件として救世川家は我ら凰母家の傘下となり、全ての財産と土地は凰母家が管理し、更に友好の証として救世川紫には凰母万仲の子を孕んでもらう、それを約束すれば、我らの仲は永遠の安泰であり、未来永劫その仲は睦まじくなる事を約束する。明日の午前十時に返答を聞くべく、其方へと伺いに行く。良い返事を期待する。凰母家代表、凰母万仲より』

 

 そう書かれていた。

 その内容は、要約すれば、救世川家の全てを渡し、紫を政略結婚として嫁がせろ、と言うワケだった。

 内容を確認した時、救世川紫は手紙をビリビリに破った。

 まさか、凰母家がこちら側の情報を承知しているなど、理解が及ばなかった。

 

「どうしよう……どうしよう……凰母家が、攻めて来る……」

 

 この身を渡すか、一瞬だけ考えて、身震いした。

 これ以上、この体を、誰かの玩具として扱われたくない。

 折角勝ち取った、勝利と自由を、邪魔された気分で、不快感を表した。

 

「……おー……ねえちゃん、どうしたぁ?」

 

 目を擦りながら、ニケが目を覚ます。

 表情を強張らせる紫を見て、何かあったのかと聞いて来る。

 

「ニケ……ニケッ」

 

 彼女は、その小さな体を強く抱き締めた。

 ニケは抱擁されて、すんすんと、紫の甘い香りに酔い痴れる。

 

「ねぇちゃんは良い匂いだなぁ……なんかあったのかぁ?」

 

「……ニケ、もしも、私が、他の男とセックスしたら、どう思う?」

 

 紫はニケの目を見ながら言う。

 そう言われてニケは変な事を聞くと思いながらも考える。

 

「おー……俺は気持ちよくなれねぇなぁ」

 

「でしょう? ……ニケ、このままだと……ニケはもう私と気持ち良い事が出来ないの」

 

 紫は、ニケにそう告げる。

 それは、ニケにやる気を出してもらう為の口実だった。

 元より、紫はニケの力に目を付けていた。

 彼女がニケの為に体を許したのは、その力を認めた為だ。

 

「そりゃぁ嫌だなぁー、ねぇちゃん」

 

「私だって嫌……ニケの方が、誰よりも気持ち良いから……だから、お願い、ニケ」

 

 強くニケを抱き締める。

 彼女は彼の力を疑っていない。

 

「殺して欲しいの、殺してくれたら、ニケ。貴方に気持ち良い事をしてあげる」

 

「おー? マジでかぁ? そりゃあ良いなぁ……殺して、そんで気持ちいい事も出来て、スゲエ凄い事になりそうだぁ」

 

 嬉々として笑うニケ。

 紫は強く抱き締める。

 

「じゃあ、早速行きましょう……ニケ」

 

 紫はそう言って、女中を起こさせる。

 

「今から、凰母家の元へ行きます、運転が出来る者はいますか?」

 

 彼女の言葉に、一人の女中が手を挙げる。

 目が覚めた女中の一人が眼を擦りながら聞いた。

 

「何かあったのですか?」

 

 そう聞くと、紫は言う。

 

「凰母家からの宣戦布告です……私とニケは、凰母家へ向かいます……そして、凰母万仲を討ち取ります」

 

 女中はその言葉に驚きすらなかった。

 あまりにも展開が早すぎて飲み込めなかったのかも知れない。

 

「紫さまも行くのですか? ……貴方は、一応は、当主ですよ?」

 

「私たちにとっては、ニケが最後の砦です。彼が負ければ、どの道救世川家には……未来はありません、その時は、私の命を使い、救世川家を救って下さるように懇願します」

 

 強襲を仕掛けて来た人間の言葉を聞くとは思えないが、紫はもう、それしか方法が無いと思った。

 何処までも、自らを慰み者として使いたいと言う人間が居て、それがこの世界が決めた事であるのならば、それを抗う為に、命を擲つ事に決めた。

 

 もしも負ければ、女中たちの約束を反故になるかもしれないが。

 それでも、負けなければ良いだけの話だった。

 何よりも救世川紫は自分を玩具にしようとしている人間が許せなかったから、自分の手で打ち倒したかった。

 だから、凰母家には、彼女も共にすると決めたのだ。

 

 

 

 

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