皆殺しから始める現代戦国物語/敵家を潰し、報酬として美少女を奪い、喰らい、辱める 作:三流木青二斎
「凰母千遊の待遇は如何しますか?」
和装に身を包む渠が救世川紫に聞いた。
広間には経理関係の非術師たちが集っていて、凰母家の人質である凰母千遊をどうするのか、現当主である救世川紫に伺っていた。
「彼女は凰母家が謀反を起こさぬ為に人質です。しかし、手荒な真似はしてはなりません、一見は客人として扱う様にお願いします。女中も一人、付き人として与えなさい」
救世川紫はそう言った。
人質を人並みに扱う行為は当たり前だろうが、中にはろくに飯も与えず、日の当たらぬ部屋で飼い殺しをする様な家系も存在した。
「では、その様に致しましょう」
ホッと息を吐いて胸を撫で下ろす。
彼女の恨みつらみがあれば、凰母千遊を蔑ろにしてもおかしくは無かった。
「彼女を連れて来て下さい、一応は私から彼女に説明をしておきます」
「あの……」
近くに居た女中が言い辛そうにしていた。
何を口籠っているのか? 救世川紫は首を傾げながら女中の方を見た。
「どうかしましたか?」
「実は……その、凰母さまと、ニケさま、が……」
あの二人がどうかしたのか、と思った瞬間、新たに別の事も思い立つ。
「まさか……二人は、何処に?」
救世川紫は立ち上がって会議の途中でありながら広間から出て行こうとする。
「風呂場です」
風呂場、それを聞いた救世川紫は廊下を走って、脱衣所へと向かい、扉を開く。
「ニケッ!」
そう叫んだ直後だった。
湯気が脱衣所へと逃げて晴れていき、其処には、交尾をしている雌雄の姿が映った。
「あッ、あーッ! あっあっ、いッ、んんんんんッ!」
ニケに突かれて、盛大に潮を噴きながら絶頂を迎える凰母千遊。
息を荒げて、快楽のとりこになっている凰母千遊は、蕩けきった瞳で脱衣所の前に立つ救世川紫の姿を確認する。
「はぁ……はぁっ……はっ……ぁ……」
言葉を失う救世川紫の姿を見て、凰母千遊は力の入らぬ表情で笑った。
「おーっ……出た出た……すげぇ出た……お? ねえちゃん」
憔悴していたニケが、救世川紫の顔を見ると、爛漫な笑顔を咲かして。
「ねえちゃんもやるかぁ?」
何処までも純粋に、救世川紫を誘う。
「ニケッ!!」
救世川紫は嫉妬しながらそう叫んだ。
後日談である。
まずは、救世川家の建て直しが重要だった。
本家である屋敷には、多くの死体が埋まっているので、業者に頼んで丸ごと掃除してもらう事にした。
術師には、そういった後始末をしてくれる裏家業が存在する。
金さえあれば、大抵の無茶は通るのだ。
幸いには、救世川家の財産は潤沢だった。
予算を惜しみ無く使い、現在では半ば崩壊した屋敷を完全に取り壊して、廃材の回収をしていた。
業者対応は渠を含めた従士がしていて、残る女中らは、救世川屋敷の方で、必要なもの、不要なものを分けて、大掃除を行っている。
そしてニケは、救世川紫と共に別室に居た。
部屋の中には、中庸に属する鑑定士が部屋の中で、化学品を扱う様な道具を取り出していた。
「では、血を採りますね」
鑑定士の役割は、術師の属性を鑑定する事だ。
採取した血液から、『七曜冠印』の七属性を割り出して、其処からどの様に混ざって現在の属性になっているのかを調べる。
「はい、じゃあ、チクチクするねぇ」
血液の採取をする為に、注射針をニケの腕に突き刺した。
ニケは注射の針を呆然と見ていたが、針は刺さると表情を強ばらせた。
そして、じんわりと涙を浮かばせている。
「はーい、我慢出来ましたねぇ、もういいですよぅ」
注射にはニケの血液でいっぱいだった。
ニケは自らの手を抑えながら、隣に座る救世川紫の胸に顔を埋めた。
「ねぇちゃん、痛てぇ」
年相応の反応に、救世川紫は母性を見出だした。
愛しいニケの頭を撫でながら、「痛くない、痛くない」と慰めた。
鑑定結果が出るまで時間があるので、救世川紫とニケは適当に過ごしていた。
「ニケ、凰母千遊とまたヤったの?」
「おー? うん、気持ち良かったからなぁ」
そう言うと、救世川紫はニケの体を強く抱き締めて、彼の耳たぶを噛んだ。
ニケはくすぐったそうにして、笑い声を漏らすが、救世川紫
の方は決して笑ってはいなかった。
「ニケ、私の命令なしで、勝手にセックスしたらダメよ?」
「えー? なんでだぁ?」
不思議そうな表情を浮かべて、救世川uの方を見ていたがニケは理由を求めた。
何故、と言われても。
「……、ニケは私だけのものだから……、他の女に渡したりしないわ」
最早、彼女の中ではニケは家族も同然の存在だった。
家族を失っている彼女にとっては、最早、彼しか心を許していない。
「わかった?」
「おー……、まあ、ねぇちゃんがそう言うなら仕方ないなぁ」
渋々と了承する。
鑑定士は二人の内容を耳を傾けて聞いていたが、特に問題はない。
鑑定とは別に別料金を払っており、それは今回の出来事は内密にと言う契約であった。
契約を結んだ以上は絶対であり、それを破らぬからこそ、鑑定士含める裏家業の人間は中庸者として存在する事が出来るのだ。
「鑑定の結果が出ましたが……、これはなんとも、希少な属性ですねぇ」
血液が付着した用紙を見せつける。
その用紙は変色しており、基本的に特殊な薬品を使うことで、『七曜冠印』は虹の七色として発生する。
月印は紫色、火印は赤色、水印は青色、木印は緑色、金印は黄色、土印は藍色、日印は橙色。
用紙には血液が塗られていて、血液は丸を描く様に塗られている。
そして、その血液は特殊な薬品によって化学反応を起こして、紫色と橙色になっていた。
「大別として言えば月印と日印の二つの属性が混ざった『空印』と呼ばれる空間操作に長けた属性です……、そしてこの血液の円の中に複数の点々がありますよねぇ、この黒いシミのようなもの、両儀型の術師はこの様に斑模様が浮かんできます。そしてこの模様の色合いからして複数の属性が絡んでいますねぇ……。大抵は見分けるのが難しいですが、こちらは『喰印』と呼ばれるもので間違いないでしょう」
空間操作を可能とする『空印』。
酸素を排出する事で真空空間を作ったり、空気を放出して押し出す事、空間そのものを圧縮する事で時間の歪みを発生する事も可能となる。
強大な力であるが故に、『流辰』の消耗が激しく、使い勝手が激しい。
しかし、それを補うかの様に用意された『喰印』。
流辰を宿す力を喰らえば、流辰の回復に繋がり、単純に食物を喰らうだけで、肉体の細胞を活性化させて治癒に当てる事も可能。
この二つの属性を持つニケは戦闘に特化している術師と呼んでも良い。
「凄いじゃない、ニケ」
「おー」
鑑定士の説明を聞いて、救世川紫は目を丸くしていた。
両儀型は極めて発現率が低い。
雌陰型と雄陽型が二番目に多く、一番多いのが太極型だ。
一見にしてみれば、両方の属性を融解させた属性ではあるが、組合わさる事で弱体化する可能性も孕んでいた。
だから、強属性が二つも揃っているのは、まさに生まれついての才能、天賦の才に等しかった。
「よろしければ、効率的な術式強化メニューなどもお作り出来ますが」
「ありがとう、お願いするわ」
紫はそう言うと、ニケはこれで自分の役割は終わったのだと思い、紫の腕から逃れた。
「こら、どこに行くの?」
「おーっ! もう注射はしたくねぇ!」
叫ぶながら部屋を出ていくニケに、まったくと溜息を吐く救世川紫。
しかし、数日前とは違い、憂いのない表情を浮かべた。
今、この現状を、彼女は心の何処かで、楽しんでいるのだろう。
僅かばかりの平和な日常。
戦い、勝ち取ったこの平穏を、救世川紫は静かに噛み締めるのだった。
第一章は少し間を空けます。
2月25日くらいから始めると思います。
ウソです。3月くらいになります。
あと、もしかしたら数年後から始まっているかも知れないです。