休憩所の聖域 2-A専用”女子トイレ" 作:jadenoshon
登場人物
ありさ・・・黄泉学園2-Aに通う女子高生。
ななみ・・・ありさのクラスメイト。
クラスのムードメーカー的な存在。ちょっとお調子者。髪を茶色に染めて、毛先にパーマをかけている明るいおしゃれさん。スカートを短くして時々注意されている。
ゆきね・・・ありさのクラスメイト。
少し天然気味で、ふしぎちゃんだと思われている。実は頻尿で、旅行にあまりいい思い出がない。学園での成績はあまり良くない。透き通るような美肌の美少女。
りんか・・・ありさのクラスメイト。
学園では美化委員を務めており、学校の成績も良いいわゆる優等生。割としっかりものをいうが、友達想いな性格。凛とした美少女で、スタイル抜群で、クラスメイトからの憧れの的。
まりん先生・・・ありさたち2-Aのクラス担任。
新任の教師だが、かわいらしい容貌と親しみやすい性格で、女子生徒たちからは友達のように慕われている。23歳。でも実は、ちょっぴり腹黒いところがある。
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「みんな!もうちょっとで休憩所につきますよ!」
揺れるバスの車内に、うれしそうで快活な声が響く。
その一言で、そのバスに乗っている乗客たちは皆一斉に心の中で思いっきりガッツポーズをする。
この一言で、沈黙が支配していたバスの車内は俄かに活気を取り戻す。
誰も声にこそ出していないが、明らかにその一言は車内にはびこっていた陰鬱な空気を吹き飛ばした。
言葉一言でバスの中の空気を一変させる、この声の主は、今話題沸騰中に売れっ子芸人―――などではなく、一人の若い女性だった。
彼女、そう。名を水瀬真凛というこの女性の一言がこのバスの中の陰鬱として空気を一変させたのは、彼女が、特筆するようなトークスキルを持っていたり、この乗客たちの運命を左右するような力を持っているからではない。
ただ、まりん先生と呼ばれ、友達のように生徒に慕われていたこのかわいらしい新人の先生の声は、生徒を安心させることには長けていた。
ただ彼女の発した一言、
「もうちょっとで休憩所につきますよ!」
という言葉が、ここにいる全員がまさに求め、耐え、渇望していたものであったからだ。
(やっと、トイレに行けるんだ・・・!!)
まりん先生の声を聞き、私がまず思ったのはそれだった。
「ありちゃん嬉しいんだ~」
「もう、恥ずかしいよ〜 それにななみもでしょ?」
「あはは、バレちゃった?」
照れくさそうにななみが小声で笑い返す。
友達のこんな様子がおかしくって、くすくすと笑いあう。
流石にこの年になって、それに少数ながら男子もいるなかでこのようなことを感情のままに口に出したら恥ずかしいので、口にこそ出していないが、私の喜びの気持ちは顔に出ちゃってたみたいだ。
自分でこそ気づいていないけど、私にそう耳元でこっそりと声をかけてきた声の主には気づかれちゃったみたい。
ななみは適当に見えて、みんなのことはちゃんと見てる子だと思う。
友達の誕生日には、プレゼントやサプライズを欠かさないし、こういうところがみんなに好かれる理由だと思う。なんて考えてしまう。
ふと隣の座席に座るななみの方を見つめると、いつもは結構きわどいところまで短くしており、注意されてもなおす素振りのないななみが、制服の赤いスカートを少し伸ばして、可愛らしいタオルを膝の上にのっけている。
(ああ、ななみも結構やばいんだな・・・)
時々足をくねらせてもじもじとしているところを見るに、ななみも私と同じくらい切羽詰まった状況にあるのだろう。
そう思っているとこれまでの状況を考えると、それも無理はないことだと思う。
そもそも、私たちは黄泉学園という高校に通う生徒である。いわゆるJKってやつ。
元々女子校だったんだけど、数年前に共学化したから、うちのクラスには女子35人に対して、男子は5人しかいない。
それで、私たちはそこの学園の2年生。この高校では秋になると校外学習で、田舎の宿泊施設に行って、そこで自然に囲まれて二泊三日の共同生活を過ごすのだ。
どうやら共同生活で仲間との絆をさらに深める
ってことが目的みたい。
まぁ、私たちクラスメイトはすでにもう十分仲がいいし、なかよしキャンプみたいになりそうなんだけど。
朝、学園に集合してすぐに出発。
バスが高速道路に突入すると、そのままどんどん田舎の方へと向かっていき、車窓から見える景色はいつの間にか建物が立ち並ぶ見慣れた光景から、グラデーションがかかったように徐々に、それでいて感覚的にはいつの間に木々が生い茂る自然豊かな光景へと変化しており、みんなが普段の生活とは異なる非日常の景色を楽しそうに眺め、友人たちとの会話に興じていた。
そして今は、この車内に乗る人間のほとんどが、何やら切羽詰まったように口を真一文字に結び、どこか険しそうな表情をしている。
どうしてこんな状況になったんだっけ・・・
せっかくだし、と思い、シートに頭を倒し、座席に体重を委ねながら回想でもしてみることにした。
目的地まで、眠ってしまおう。
そんな私の試みは、尿意に意識を取られて失敗したばかりだからね。
そうでもして、他の事でも考えていないと結構我慢がやばそうだし・・・