※この作品はR-18です。

休憩所の聖域 2-A専用”女子トイレ"   作:jadenoshon

8 / 10
”仮設女子トイレ” まりん先生の場合

(まさか、トイレがないなんて、1番びっくりするのは先生だよ!)

 

まさかまさかの展開で、修学旅行で立ち寄る休憩所にトイレがないだなんて、全く予想にすらしていなかった。

 

いくらそれが山の中にある場所だとしてもだ。

 

どうやら、休憩所と名のつく場所には、しっかりとトイレがある という根拠のない神話をすっかり信じ込んでしまっていたらしい。

 

「何事も、自分で確かめることが大事なのよ〜」

 

いつかの授業で、そんなふうに偉そうに説明して見せたが、人のこと言えないな と思う。

 

実際来て見たらどうだったか。

 

その休憩所には、だだっ広いスペースと自販機、それに物置小屋のような小さなプレハブ小屋。

 

それしかない。ただ、それだけ。

 

そこには、プライベートを確保し、気持ちよく排泄を行うことができるための、あるはずの施設は存在しなかった。

 

(うそでしょ...?)

 

自分もバスの中で身支度を済ませてから少し遅れて休憩所に降り立つと、真っ先に聞こえてきたのは女子生徒たちの悲痛な声だった。

 

(ん〜 一体何かな〜 なんか、トイレが〜 とか言ってたし、虫でも出たのかな〜 それとも、またすっごく汚かったのかな〜)

 

呑気なことを考えながら、その場所に向かう。

 

「みんな〜 トイレがどうしたの〜」

 

帰ってきたのは、想像をはるか超える答えだった。

 

「先生!ここ、トイレがないんです!」

 

「この休憩所、おトイレないんですか...?」

 

焦ったような切羽詰まった声と、縋るような悲痛な声、女子生徒たちが悲痛な声で訴えかけてくる。

 

(この時、私も結構パニックになっちゃったんだよな〜)

 

30分ちょいほど前の出来事を回想する。

 

生徒にこそそんな素振りは見せないけど、私も結構我慢してたから、必死になって探したんだけど、結局見つからなくって。

 

だだっ広いスペースが開けてて、その奥には自販機と小さなベンチ、そして... この休憩所の事務所だろうか。よくわからないが、ボロめのプレハブ小屋。

 

もし仮にお外ですることになったとしても、このだだっ広い空間では、隠れられるところなんてない。プレハブ小屋の後ろだって、陰にはなっているが、開けた空間であり不安を感じるだろう。

 

それに、このクラスには少数ながら男子生徒もいるのだ。

 

男子生徒たちはそこらへんで立小便でもして済ませてしまったようだが、女の子の場合はそうはいかない。

 

何しろ生徒は年頃の女の子たちだ。恥じらいもあるだろう。排泄には、普通のトイレと同じようにプライバシーが確保できる空間が必要だし、いちいちしゃがみこむ必要があるので男子の立ちションなんかより時間がかかる。おまけに、男子は放尿し終えたらそれで終わりだが、女の子の場合はおしっこしたら秘所が濡れてしまうので、後始末のためのティッシュだって必要だ。

 

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「すみません、もしバスの中にティッシュがありましたら、箱ごと貰えないでしょうか...」

 

1人バスに戻ると、待っている運転手さんに聞いてみる。

 

「ティッシュ...?」

 

怪訝そうな顔を浮かべる運転手。

 

「すみません。ここトイレがないみたいで。うちの女子生徒たちが... まぁ、その...」

 

「女ってのはつくづく手間がかかるな。」

 

嫌味なふうに言い返した運転手は、運転席の奥に仕舞われていた予備と思しき新品の箱ティッシュをよこした。

 

「あと、男子が戻ってきたら、私たちのことが見えないように、そのまま100mほど先の方に行って待機してもらえないでしょうか...」

 

「え〜 いろいろとそれもめんどくさいんだよね...」

 

渋る運転手。

 

ここで、少し前屈みになりながら、目を潤ませてかわいい声で一言。

 

「ごめんなさい!でもピンチなんです!お願いします〜」

 

と困ったように言ってみる。

 

しばらくそれを見つめたのち、

 

「はいはい、わかったよ。早くしてくださいね。時間が押してるんですから。」

 

と了承してくれた。

 

(ちょろっ!)

 

こうして、不機嫌そうな運転手の同意を取り付けたのだ。

 

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(こうして、条件を満たすこの小屋を、なんだかんだトイレにしちゃえー ってことになったんだっけ)

 

ここをトイレに宣言したのは自分なのに、どこか他人事のように回想する。

 

そして、こっそりと自分の尿意をりんちゃんに打ち明けて、この”トイレ”を使う最後の1人になったということだ。

 

(ここをトイレにした私が、ここを最後に使うなんて、なんかいいかも)

 

扉がふと開き、りんかが出てくる。

 

「先生、はい、ティッシュ。終わるまでここで待ってましょうか?」

 

「あはは... じゃあ、お願いしようかな〜 見張りお願いね、りんちゃん♪」

 

(さすが優等生、気が効くな〜)

 

りんからしいなぁと思う。

 

たしかに、ここで私だけ背後に帰ってきたら、私もここでおしっこしたみたいに思われてしまうだろう。

 

そして、このことがバレちゃうとやっぱりちょっと恥ずかしい。

 

その点、口の堅そうな生徒であるりんかが列の最後尾になったことはラッキーだ。

 

ポケットティッシュを受け取ると、それを握りしめて扉を開け...

 

(うわっ!くさい!)

 

扉を開いて真っ先に、おしっこやら紙やら土やらが混ざり合ったようなすえたような匂いで鼻が曲がりそうになる。

 

片手で鼻を摘んで中に入る。

 

(ちょっとちょっと、これヤバすぎでしょ...)

 

(これ、持ち主の人がいたらめっちゃ怒るやつ... いや、ここをトイレにしちゃえって言った私も悪いけど、ここまでなるのか〜)

 

あまりの汚さと、室内に溢れかえるおしっこの香りでむせ返りそうになる。

 

ティッシュだって足の踏み場がないくらいに散乱しているが、まだ大部分がふわふわの状態の白いものや、他の子のおしっこでもさらにかけられてしまったのか、べちゃべちゃになって黄ばんでいるもの、その中間... と、

捨てられてあるティッシュもティッシュで、その状態がグラデーションになっており、比較的最初の子が捨てたであろうものと、最後の子が捨てたであろうティッシュの区別がある程度つく。

 

(女の子って不思議よね〜)

 

思わずそんなことを思う。

 

掃除の時とかだと、女子の方がしっかりやっているイメージだし、りんかちゃんなんて小学校の時に、ちょっと男子!ちゃんと掃除して!みたいなありがちなセリフを言っている姿がありありと想像できる。

 

それなのに、今日みたいな状況になると、男子はちょちょっと立小便して終わりなものを、女の子たちは安全におしっこできるスペースと、事後の清潔感の確保したさに、人の私有地の中に、並んでまでおしっこをしている。

 

そして、いつも遅刻などをするのは男子生徒ばかりだが、今回はこの小屋に1人ずつ入っておしっこをしているため、異様に時間がかかる休憩になってしまい、男子や運転手さんをずっと待たせてしまっている。

 

「女ってのはつくづく手間がかかるな。」

 

運転手から言われた嫌味も、たしかに一理あると自嘲気味に笑いが漏れる。

 

(誰が誰だかわからなくて、自分がやった!ってのがバレないなら、女の子たちは割と平気でティッシュ捨てて行っちゃうんだな〜 それに、みんなを待たせてしまうかもということより、自分が安心しておしっこできる方が優先なんだね〜)

 

ティッシュの配り手は、自らが生徒たちに渡した紙の変わり果てた姿を見てそう思う。

 

女の子は、何げ結構自分勝手だ。

 

まぁ、自分だってここでおしっこしたらティッシュなんてばっちいものはわざわざ持ち帰らないだろう。

 

でも、きっと仮にみんなが、一緒にこの部屋に入ってから順番にしたとしたら、おしっこは目立たない1箇所にされるだろうし、ティッシュはちゃんと回収されるのだろう。

 

きっとこの”トイレ”が汚くなるにつれて、それに反比例するかのようにみんなの罪悪感は少なくなっていったのだろう。

 

この場所を”トイレ”にした。

 

その元凶が自分にあると思うと、少し不思議な気分だ。

 

(にしても、くっさい...!)

 

完全にこの小屋の中におしっこの匂いが充満しきっていて、頭にズキズキきそうだ。

 

元々は無臭であっただろうに、すっかり汚い公衆便所の臭いだ。

 

どこもかしこも汚れているように見える。

 

ぐるりと一回回って小屋の全景を眺めてみると、壁際の棚の上に小さな水槽があるのを見つけた。

 

(こんなところに水槽が...)

 

それを両手で持つと、軽く水を床のおしっこだまりにぶちまける。

 

(これで、少しは匂いマシになったかな...?)

 

今から自分もここでおしっこするのに、この臭いはちょっとキツイ。 

 

できれば少しマシになってくれるといいんだけど。

 

(ん...? )

 

水槽を上から見てみると、水は想像していたよりも綺麗で、中には金魚が数匹泳いでいるのが目に止まった。

 

金魚がいるじゃん! ってことは、わりかしここ頻繁に人が来てる感じ?でも誰が...?

 

少ない水の中で泳ぐ金魚を見ていると、そんな疑問が湧いてくる。

 

先程水をぶちまけてしまったせいで、だいぶ水の量が少なくなってしまっていた。

 

(どうしよ... めっちゃ水少なくなっちゃった...)

 

ここで妙案が浮かぶ。水槽にしちゃえばいいのでは...?

 

どうせ多少濁ってる水だ。おしっこを入れたところでわからないだろう。

 

水槽を床に置くと、ショートパンツのベルトを外しにかかる。

 

少し外すのがめんどくさい。

 

今日は自然の中に行ける ということで、動きやすいショートパンツでも履いて思いっきり自然を満喫してやろうと思って履いてきたのだが、ジャージとかの方がこういう時は良かったかもしれない。

 

ベルトを外し、ショーパンとパンツを下ろすと、水槽の上に、洋式トイレに座るみたいに腰を下ろす。

 

(やっぱ、この体制が1番慣れてて安心する...)

 

これまで、我慢してきたおしっこ、生徒たちを率いての校外学習の責任。

 

今、その全てから解き放たれた。

 

シュイイイイイーーーートポトポトポトポトトポトポトパシュイイイイイーーーートポトポトチュイシュイッチュイーーーードボボボボボ!!

 

大人らしい、陰毛が生え揃ったアソコから放たれたおしっこがまず激しい音をたてて水槽の内壁にぶつかり、それが水面に落ちていく。

 

沸き立つおしっこ臭が溢れるこの空間で、金魚の水槽を便器がわりにしておしっこという、他の女子生徒たちと比べても一歩も劣らないどころか、むしろ最悪かもしれない、教育者として一発失格な放尿をしながら、解放の気持ちよさに酔いしれる。

 

彼女の脳内に、直接の被害者である金魚たちは僅かほどの居場所すら作ることができなかった。

 

ドボボボボボボボドボボボボボボボボボボボボボボボボボボ‼︎‼︎

 

しばらくたつと激しく前方に向かって放物線を描き、水槽の内壁にぶつかっていた尿軸もやがて下を向き始め、水槽の水に直接かかるようになり、先ほどよりも重い音がし始めた。

 

水槽の中の水は、彼女からは見えていないが、おしっこと混ざり合ってみるみるうちに濁った黄色へと変色していった。

 

中を泳ぐ金魚を、迸る尿が叩きつける。

 

金魚にとっての世界の全てである水槽の色は、不可逆的にその色を黄色く変えていった。

 

ピチョン... ピチョン...

 

やがておしっこが終わると、ポケットティッシュを取り出し、いつも洋式トイレでやるみたいにおしっこを拭き取り、おしっこを吸い取り黄色く柔くなり、陰毛がいくらか付着したその紙を、水槽の中にそのまま捨てる。

 

(って、やばい!いつもみたいに洋式っぽい感じだったから、そのままティッシュ捨てちゃったよ!)

 

あちゃ〜 後悔する。水位を戻すためにやったのに、これではバレてしまう。

 

まぁ... 勝手に溶けてくれるか。うん、溶ける溶ける!

 

そう前向きに考えると、パンツを上げ、ショーパンを元の位置まで持ち上げて、ベルトを締める。

 

(水位、どれくらい戻ったかな...)

 

流石に、床やら机やらをびしょびしょにしたのはいつかは乾くだろうし、ティッシュや、机上の濡れた紙などは誰か不審者の悪戯で説明がつくかもしれないが、水槽の水位がなくなって金魚が死んでいるというのは、万が一ここの持ち主がいて、その人がここにやってきた場合、ちょっとめんどくさいことになるかもしれない。

 

まぁ、戻ってきたところで多分私たち2-Aの仕業だと証明することはできないだろう。

 

ここには他にも立ち寄る人がいるかもしれないし、この休憩所に寄ります なんて手続きをどこかにしているわけでもない。

 

仮にここの持ち主が怒って捜査を始めて、私たちが疑われたとしても、単独の愉快犯の仕業だ ということで、多少苦しいけど言い逃れできるだろう。

 

まぁ、もしそうなったら私が怒られるんだろうな...

 

絶対、そんなことにはならないけどね!

 

いや、もしバレたら、どうしてここにトイレがないんですか!女の子たちの大ピンチだったんですよ!仕方なかったですよね!って、開き直ってやろうかな...

 

そんな仮定の話に思考を費やしたのちに、水槽をふと上から覗いてみると、予想に反して随分と黄色に染め上げられた水の中で、何やら金魚たちが激しく泳いでいた。

 

(あれ...? めっちゃ黄色いんだけど...!?)

 

(そういえば、私今日せっかく修学旅行だからって張り切って、栄養ドリンク飲んで来ちゃったんだった...!)

 

うっかりティッシュを捨てたことといい、完全にドジをやってしまった。

 

栄養ドリンクの成分をたっぷりと含んだおしっこは、鮮やかなまでに黄色く、それが水槽の少し濁った水と混ざって、くすんだような汚く澱みきった黄色を演出していた。

 

(ま、まぁ... 栄養たっぷりのおしっこで金魚たちも喜んでる、ってことで?うん、ハッピーハッピー⭐︎)

 

もうやってしまったことはあんまり考えないようにしよう。

 

水槽を元の場所に戻すと、再び鼻をつまみながら扉に向かう。

 

この惨状、もはや、トイレというより、便所という表現の方が相応しい。

 

扉の前で一旦立ち止まる。

 

(誰だかわかりませんがこの小屋の持ち主さんがいましたら。ここのおかげで、私たちのピンチは無事に助かりました。戸締りをちゃんとしてなかったせいで汚くしちゃったけど、女の子たちを助けるというかっこいい大役が果たせたと思って、許してね。ごめんなさいっ⭐︎)

 

そう心に唱え、軽く一礼すると、哀れにももうすっかり2-Aの女子トイレ代わりにされてしまった人の私有地の物置小屋2を後にした...

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