2月17日、深夜。
「……うーん」
寝ぼけ眼をこすりながら、古城は身体を起こす。
隣には、〈
「……ああ」
そうだっけ。
昨夜、俺は姫柊と──。
「ふあ~ぁ……」
あくびをして古城は時計を見る。まだ起きるには早すぎる時間だった。特に、夜型の古城には。
だが残念ながら今日も平日で、学校があるのだ。
「姫柊はまだ起きそうもないけど……シャワー浴びるか」
「すぅ……」
規則正しい呼吸を繰り返す雪菜を見て微笑み、古城はベッドから降りてバスルームへと向かった。
浴室に入ると熱い湯を浴びて、ようやく目が覚めてきた。ふと気が付いて、股間の分身をしげしげと眺める。
「──夢じゃなかったんだよな」
昨日の夜、古城は雪菜を抱いたのだ。思い返すだけで頬が熱くなる気がする。いや、実際に熱くなった。
なにしろ、あの姫柊雪菜とエッチしたのだ。
(いい仕事をしたぜ、マイサン)
古城は、我が分身を褒め称える。
控えめに言って、最高の初体験だった。願わくばもう一度、いや何度でも味わってみたい。
その果てに、雪菜はどんな女性に変わっていくのだろう。想像をたくましくする古城の股間は、朝の五時からすでに元気いっぱいであった。
◆◆◆
シャワーを止めて脱衣所に出ると、古城の服が洗濯機の上に畳んで置いてあった。
どうやら起きだした雪菜が用意してくれたらしい。
「……たまんねえな」
少女の
服を着て部屋に戻ると、雪菜が起きていた。
「おはようございます先輩」
清楚な白の下着だけという格好で、彼女は礼儀正しくお辞儀をする。寝起きだからか、少し顔色が悪いように感じる。
「おはよ。大丈夫か? なんだか疲れてるみたいだけど」
古城の言葉に、雪菜は恥ずかしそうに顔を伏せた。
「大丈夫です。いえ、その、ちょっと昨晩のことを思い出してまして……」
「昨日のことって、俺達が初めてエッチしたことか?」
明け透けすぎる古城の発言に雪菜の顔が真っ赤になる。
「せ、せんぱい! そういうことをはっきり言わないでください!」
古城の頭をポカポカ叩く雪菜。羞恥のせいか、力がこもっていない。
古城はまったく堪えていない様子で笑うだけだ。
「いやだって事実だし」
「それでもです! 恥ずかしいものは恥ずかしいんです!」
段々力が増してくるので、そろそろ止めることにする。
「いてえいてえ。わかった悪かったよ。ごめんなさい」
素直に謝る古城。少し前の彼なら、意地を張って謝らなかっただろう。これも、雪菜と恋人同士になってからの変化だ。
「それでいいんです。まったくもう……」
ため息をつく雪菜だったが、その表情はまんざらでもないようだ。
そんな彼女の仕草を見ながら、やっぱり可愛いなあと古城は思った。意志の強い大きな瞳に整った鼻筋、きめ細かい白い肌。すらりと伸びた手足は芸術品のように美しい。そしてなによりも、強い芯を持った性格が好きだ。
そんな彼女が、古城の隣に座って身を寄せてくる。
彼女の身体からは甘い香りが漂ってくるようで、ドキドキしてしまう。しかし同時に、ひどく安心する匂いでもあった。この少女が自分のものになったのだという実感があった。
今この瞬間、自分の人生において一番幸福な瞬間かもしれない。
雪菜は古城の肩に頭を乗せてもたれかかる。彼女の黒髪から寝汗の匂いがするが、それが生々しい色気を感じさせた。
「あの、先輩。お願いがあるのですけども」
「ん?」
首を傾げる古城に、雪菜は少し照れくさそうな顔をして言った。
「キスしていいですか」
「へ?」
予想外過ぎる要求に古城は戸惑った。
「どうしてまた」
「いえ、なんというか……昨日は先輩にしてもらっただけで、私からは何もできなかったじゃないですか。だから今度は私がしたいなって思って」
「あー……」
確かに昨夜の行為はお互いが相手を求めあうことで成り立ったものだったが、雪菜は古城を受け入れてくれただけに過ぎない。
それではいけないと、彼女なりに思ったのだろう。
「だめですか……?」
上目遣いで尋ねる雪菜。
不安げな瞳の中に期待の色が見える気がして、思わずドキリとする。
(くそ、可愛すぎだろ……!)
「なるほど。そういうことなら喜んで」
古城も笑顔を浮かべると、雪菜を抱き寄せた。彼女は嬉しそうに目を閉じて唇を突き出す。
そのまま軽くキスをすると、頬を赤らめてもじもじし始めた。どうやら恥ずかしかったらしい。そんな初心なところがたまらなく愛しい。
(やべえなこれ……めちゃくちゃ幸せだ)
もう一度。今度は互いの舌を伸ばして絡め合うディープキス。未来予知の能力がある雪菜は、古城の好みのやり方を学習していっている。今ではすっかり手玉に取られている状態だ。
(なんか立場逆転してないか……?)
男としてそれはどうなのかと思わないでもないが、雪菜本人が幸せそうなので良しとしよう。
「ちぅ、ちゅっ……ちゅぱっ、あむ、れろ……」
しばらくキスをしていると、だんだんエスカレートしてきたのか舌を絡ませながら唇だけではなく頬やら顎まで舐め始めた。最初はくすぐったいだけだったが、次第にゾクゾクとした快感を覚えるようになる。
どうやら彼女も、恋人である男に気持ちよくなってもらいたいらしい。天使のような美少女が、鼻息荒く男の身体をなめ回している姿はとても背徳的だった。
「ふー、ふぅー……はぁ、あむっ……ぴちゃっ……あっ」
興奮した雪菜の細いあごから、唾液が糸を引いて垂れ落ちる。それを雪菜は自分の指先で拭い、そして恥ずかしそうに舐めた。
「……おいしくないですね」
そう言って笑った彼女の顔は
たまらなくなり、ベッドの上に雪菜を押し倒す。
「きゃっ!?」
突然の行動に驚く雪菜。
「先輩……?」
「姫柊、好きだよ」
耳元でささやきながら、雪菜の首筋を舐める。
「あっ……ふぁ……っ」
ぴくんと身体を震わせる雪菜。
そのまま首筋を甘噛みし、鎖骨へと移動する。
「あ……っ……んっ……ふぁっ……」
牙を立てられ、血を吸われるという経験を幾つもしてきたのだ。今や古城の歯は、雪菜にとって官能を刺激する性器に等しい。吸血行為による快楽の記憶は、今も残っているのだから。
古城は何度も繰り返し首筋に吸い付き、時折ぺろりと舌をはわせて愛撫した。そのたびに雪菜の身体が小刻みに震える。
反応を楽しみながら、古城は手探りでブラジャーを外す。ふるり、と揺れる乳房は白く美しく、男を魅了するに十分なものだ。その先端にはピンク色の乳首がツンと上を向いていた。
「あうっ……!」
親指の腹で乳首を転がすと、雪菜は小さく喘いだ。すでにそこは硬く尖っている。指の間で挟んで引っ張ると、雪菜は悩ましげに腰をくねらせた。
「……ああっ……やっ……んんっ!」
反応の良さに気を良くしながら、柔らかな感触を楽しむように揉み続ける。ぷるん、ふにょんと指が沈み込む度に形を変える胸は見ているだけでも楽しいものがあった。まるでマシュマロだ。夢中になって弄び、やがて我慢できずに片方の胸にしゃぶりつく。舌で突起を転がし、時に強く吸うと、それだけで雪菜は甘い声を上げた。
「ひゃっ! あぅっ、うぁ……あんっ」
ちゅうっと一際強く吸い上げると、雪菜は涙目になってビクビク震えた。よほど気持ちがよかったらしく、シーツを握り締めて荒い息を吐いている。
「……気持ちよかったか?」
「……はい」
顔を真っ赤にして頷く雪菜を愛おしく思いながら、古城は身体の奥底に熱が生まれているのを感じた。ズボンの中はすでにパンパンに膨れ上がっている。
荒い呼吸を繰り返す雪菜の頬に手を添えて、顔をこちらに向けさせる。
「せんぱい……もっとください……もっとわたしを愛してください……♡」
潤んだ瞳で見つめてくる雪菜。
(なんてかわいさだよチクショウ)
衝動のままに再び唇にかぶりつき、胸をわしづかみにする。手のひらの中で柔らかい肉が自在に形を変える感触がたまらない。
そのまま無我夢中でキスをしていると、いつの間にか背中に手を回されていたことに気づいた。古城の動きに合わせてぎゅっと抱きしめてくるのがいじらしい。
「ちゅっ……ちゅるっ……れろぉ……」
今度は自分から積極的に求めてきた。
舌を差し入れてきて、口内をかき回してくる。
しばらく雪菜の好きにさせておいた後、自分も負けずに舌を動かし始める。
「ちゅっ……ぢゅぱっ……れるぅ……♡」
お互いの舌を絡ませる濃厚なディープキスに、雪菜は陶然となっているようだった。
その表情がたまらなくエロくて、古城はますます興奮してしまう。
「んむぅ……ぷはぁ……」
ようやく離れた二人の口から銀糸が引く。
「はぁ……はぁ……はぁ……♡」
「姫柊、大丈夫か?」
雪菜の息遣いは激しくなっていた。
「はい……だいじょうぶです……」
そう言いながらも、彼女の目はどこか虚ろだ。
「あ……♡ ああ……♡ だめぇ……もうだめぇ……!」
突然、雪菜が激しく身をよじり始めた。
全身を
「先輩……もう……もう私、我慢できません……♡」
切なげな眼差しで古城を見上げてくる。
「お願いします……私を抱いてください……」
雪菜の言葉に、古城はごくりと唾を飲み込んだ。
「あ……はぁ……♡」
古城は雪菜の両脚を抱え上げると、自分のモノをあてがい、一気に挿入した。
「あ────────────♡!」
瞬間、雪菜が絶叫を上げる。
だが、それも一瞬のこと。
すぐに快感に蕩けたような表情に変わる。
「あ……♡ はいってますぅ……先輩のが……私の中にぃ……」
うっとりとした口調で言う雪菜。
「先輩、動いて下さい……。いっぱい突いてぇ……」
ねだるように腰を振る雪菜。
古城も応えて、動き始める。
最初はゆっくりと。
そして徐々にペースを上げていく。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あ────────ー!」
リズミカルなピストン運動に合わせて、雪菜が声を上げた。
その声は次第に大きくなっていく。
「いいっ! すごいっ! 気持ちいっ! 先輩っ! もっとしてぇ!」
雪菜の声に応えるように、古城の動きはさらに加速していく。
パンッ! パァン! 肉のぶつかり合う音が響く。
結合部からは愛液が流れ出し、シーツに大きな染みを作っていた。
「あ──! イクっ! イッちゃいます! だめ! だめぇ────!!」
一際大きな叫びとともに、雪菜が大きく仰け反った。
「ううううううっ!」
同時に、膣内の締め付けも強くなり、耐えきれず、古城も射精してしまった。
「あ──────♡!」
ドクンドクンという脈動に合わせ、大量の精液が吐き出される。子宮の中まで精液で満たされた雪菜もまた絶頂を迎えていた。
ビクビクと身体を震わせながら、雪菜は長い長いオーガズムを味わっていた。やがて力尽き、ぐったりとなる。
そんな雪菜を抱き寄せて、キスをする。
「んむ……んむ……ちゅむ……んむ……ぷはっ……」
長い口づけの後、唇を離す。
「あ……」
雪菜は名残惜しそうな声を出した。
「もっとしたいのか?」
「はい……」
恥ずかしげに答える雪菜。
「じゃあ次は後ろからしようぜ」
言うなり、雪菜の体をひっくり返し、四つん這いにする。
「え? あれ? 先輩なんかおかしくないですか!? 手つきが昨日と全然違うんですけど!」
おかしくない。仮におかしくても何の問題もない。
戸惑う雪菜を尻目に、再び挿入する。
「あ──────♡!」
そのままバックから責め立てる。
雪菜はされるがままになっている。
まるで獣の交尾のようだ。
しかし、それがまた興奮を誘う。
「姫柊、お前は俺のものだからな。他の男に渡すわけにはいかないんだからな」
「……!? は、はい、はい、分かりましたぁ♡!」
雪菜は唖然としながらも必死で返事をする。
「一生、俺から離れちゃダメだからな。分かったか!?」
雪菜の体は汗ばんでいた。
白い肌は上気して桜色に染まっている。
細いウエストや形のよいヒップラインが艶めかしい。
古城はその背中に覆い被さり、両手で胸を掴む。
柔らかな乳房の感触を楽しむかのように揉む。
指先で乳首を摘まむと、雪菜が甘い吐息を漏らした。
さらに強く握りしめ、乱暴なくらい激しく揺する。
雪菜の口から喘ぎ声が上がる。
古城はそのまま手を下にはわせる。柔らかい太股の内側に触れる。
雪菜がびくりとするが、構わず手を伸ばす。
「ひゃうっ!?」
雪菜の体が跳ねる。
「ちょ、ちょっと、先輩!? どこさわって……あぁっ!? やっ……やめて……ください……!」
雪菜の言葉を無視して、古城の手は更に奥へと進んでいく。
「やぁっ……だめです……そこは……だめ……!」
雪菜は身をよじらせる。だが、古城は逃さない。
「ダメじゃないだろ。こんなになってんだからよ」
「ちが……これは……!」
言い訳しようとする雪菜の口を塞ぐように、背後からのキス。
舌を差し入れて口内を犯していく。
「んむぅ……ちゅぱっ! はあっ!」
激しいディープ・キッスのあと、ようやく解放する。
「……先輩は本当にいやらしい人ですね。でも、わたし、そういう先輩も好きです」
「い、いやらしいのはお前の方だろうが! エロい格好で誘惑してくるくせに」
「え? え? ええっ!? そ、それはその……えっと……えへへ……♡」
照れ笑いを浮かべながら、雪菜は誤魔化すように、自分からキスしてきた。
「んむぅ♡ ちゅむ……んむぅ♡ ちゅむ……んむぅ♡ ちゅぷ♡」
何度もついばんでくる唇に、こちらも負けずに吸い付く。
「んふ──ー♡!」
やがて、雪菜の身体から力が抜けてきた。
それを見計らったかのように、古城はピストンを再開した。
「んはあああん♡! だ、だめぇ……♡!」
雪菜の反応を見ながら、ゆっくりと動かす。
「あ──っ♡! ああ──っ♡! だめぇ! ゆっくりだめぇ!」
雪菜の声に余裕がなくなってきた。
古城も限界だった。
ラストスパートをかける。
腰の動きが激しくなる。
パンッ! パァン! 肉を打つ音が響く。
そして、「いや──ーっ♡! だめぇ!」一際大きな声を上げて、雪菜が絶頂に達した。
「あ──────♡! せーえき、せーえきちょうだい♡! せーしほしいぃ♡!」
雪菜は絶叫し、自らも尻を振る。
「いくぞ! 出すぞ!」
「きてぇ♡! せんぱいの、あ──────♡!」
雪菜の子宮口に亀頭を密着させた状態で、大量の精液を放出する。
「あ──────♡!」
雪菜も同時に達し、潮を吹き出した。
「いやあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあ♡♡!!!」
射精しながら、古城は雪菜の耳元で囁いた。
「愛しているよ、姫柊」
「わ、わた、私も……あいして、ます……」
そのまま二人は、長い長いキスをした。
◆◆◆
数時間後。
「……許しませんから」
「ごめんなさい」
ベッドの上で正座する古城。
その前には下着姿の雪菜が、腕組みして立っていた。
「先輩はこれからも ああやって、わたしのことを好き勝手に弄ぶんですね」
「いや、そんなつもりは……」
古城は言葉の途中で黙り込んだ。
確かに昨日、古城は調子に乗って、雪菜を散々いじめてしまった。
その結果、今日の彼女は不機嫌である。
「あの、姫柊さん? ええと、その……俺が悪かったからさ。な?」
「……なんですか、それ? 謝る気があるなら、ちゃんとした態度で示して下さい。具体的には土下座とか」
「はい、分かりました!」
慌てて床に額を押し付ける。
「ほ、本当に申し訳ありませんでした! もう二度とあんな真似は致しません!」
「……まあ、いいでしょう。じゃあ、次はわたしの番ですね」
「え? 次って……」
戸惑う古城に、雪菜は妖艶な笑みを向けた。
「今度はわたしの言うことを何でも聞いてもらいますからね。覚悟していてください」
こうして、古城は雪菜の愛の奴隷となったのだ……。
「……勘弁してくれぇ」
ちゃんちゃん。
(了)