サイコレズ死刑囚が異世界転生して快楽の限りを尽くす話 作:AS
この町が平和だというのは本当らしい。
この町の住人達には危機感というのがイマイチ足りてないのだろうか。
鍵もかかってない窓なんてそこら中にある。
そんなオイシイところに、この女が付け入らないわけもない。
「うーん。やっぱおいしくはないなぁ。こんなのでここの人たちって満足してんの」
彼女は裏路地から人目のつかない場所を選んで移動し、一軒の家に忍び込んでいた。もとい忍ぶ様子などはどこにもないのだが。
他人様の家に土足で上がり込んだあとは、キッチンにあった料理を適当につまむ。戸棚に木製の皿があったからそれにエルラの家でも食べたようなあの白い料理を注いで、食卓に足をのせ、グチャグチャを音を立てながらほおばる。
「いい街なんだけどね。イギリスのパラレルワールドだって言われたら信じちゃいそう。あぁ、お肉食べたいなぁ。」
「だ...だれ!?」
突如食卓への扉がひらく。
そこにはお腹を大きく孕ませた女性がいた。おそらく...というよりここの住人で間違いないのだろう。
「おじゃましてまーす」
彼女は咀嚼する口をそのまま動かしてしゃべる。
「な...何してるの?あなた誰?」
そこには血まみれで他人の家に断りもなく上がり込んで、わが物顔で食事をする見知らぬ女。
これを異様な光景と言わずして、何を異様というのか。
「ご相伴に与ってるの。おなかすいちゃって」
その女性は言葉を失う。とにかくただ事ではない。助けを呼ばなくては!
「へぇ。あなたもいい娘だね。あとでデザート代わりに頂いちゃおうかな」
口回りにべっとりとついた料理を腕で拭きながら、へらへらと言う。
「あ...あなた!!あなた!!」
そう叫びながら女性は扉の向こうへと去っていく。
「のど乾いた。...あぁ、蛇口ないんだ。不便だなぁ。」
その時、扉は勢いよく開いた。
「てめぇか!他人様の家に勝手に上がりこんだ野郎は!」
「あたしは野郎じゃないよ」
男の手には大きな斧。大木でも、人間でも真っ二つにできてしまいそうな凶器だ。
「俺のワイフの飯に勝手に手ぇ付けるだぁ、いい度胸じゃねぇか。覚悟できてんだろうな?」
「もう少し、味濃くしたほうがいいよ。あんまりおいしくなかったし。」
「ざけんじゃねぇ!」
男の背に隠れた女は、男をなだめるように言う。
「あ、あなた。騎士団に通報したほうがいいわ!」
「ミア。大丈夫だ。こんなやつすぐに追っ払ってやる。騎士団の連中なんてアテにしてたら、何されるか分かったもんじゃねぇ!」
ラビットは依然その夫婦に背を向けて食事を貪る。
「最後の忠告だ。ここから出ていけ。死にたくねぇならな。」
「んー。おかわりしてもいいなら。」
「ああ、そうか。ならよ。くたばんなガキがぁ!!」
男は大きな斧を振りかぶってラビットにアタックをかける。
馬鹿正直にまっすぐ走って攻撃を仕掛けてくるそれで、何人がラビットの犠牲になったかも知らずに。
ラビットは料理の入った容器を男の顔に投げた。
「うぐっ!!」
「あなた!」
目の前が料理で何も見えない。完全に視界を遮られる。そしてそれは同時に死を意味する。
「このっ!!くそが!!!!がああぁぁぁ!!!!!」
顔にかかった料理を腕で拭いたその瞬間。腹部に猛烈な衝撃が走る。
ラビットは隠し持っていたナイフを男のみぞおちに深く刺し込んでいた。
「が....ああああ!!!!ぐ..うおおっぉぉ!!!!」
「あなた!!!!」
「チェックメイト。って一回行ってみたかったのよね。」
そういうとラビットは一気にナイフを引き抜く。
男の腹からは血が滝のように流れ出る。
男は腹を抑えて膝まづく。しかし、そこに闘志が消えた様子はなく、むしろまだラビットを倒さんとするその覇気がにらみつける目線から読み取れる。
「こんの...野郎.....ぶっころして.....」
しかしその床にはすでに血だまりができ始める。
「駄目だよおじさん。負けは負けってちゃんと認めないと。」
「てめぇ..。」
「もうやめて!!お金が欲しいならあげるわ!だから..もう...。お願い..!」
女は膝まづきながら訴える。
「いい奥さんだねぇ。うらやましいや。じゃあ助けてあげてもいいよ。命乞いとかしてみてよ」
「そんなマネ...できるかよ!」
「勇敢だねぇ。じゃあ、ほかのでもいいや。この家出て行ってもらうか...。そうだ。奥さん貸してよ!二時間くらい。あたし妊婦とヤッたことないからさ!」
「ふざけんじゃねぇ!!」
そう叫ぶときに男の腹から更に血が流れる。
「.....っそ。なら死んでよ。」
ラビットは男の頭をわしづかみにすると、首をナイフで切った。
「う..ぐうぅ.........」
そうして男は力尽きる。
「ああ.....ああああ....あああああああ!!!!!!だれかぁあああ!!!!」
女は助けを呼びに外へ逃げようとするが。
「よっと!」
ラビットはナイフを女に向かって投げた。
それは綺麗に一直線を描き、女の側頭部に突き刺さる。
「へ...へぁ....ああ..ぁぁぁ...。」
言葉にならない言葉をひりだして、女は力尽きた。
「あーあ。もったいないことした。」
ラビットは男に投げつけた皿を拾い上げて、残った料理をなめとる。
そしてそのまま女の元へ行く。
「うーん。流石の私も、死体とはしたくないなぁ。反応なくてつまんないし。」
その時、とあることに気づく。
死んだ女の腹が微かに動いていた。
「お、そうか。赤ちゃんいるんだよね。でもこれじゃあ。生まれてこれないよ。しゃあない帝王切開だ。やったことないけど。」
ラビットは女に刺さったナイフを抜き取ってそのまま女の下腹部に突き刺す。
突き刺したナイフをそのまま下にひきずって...。中を覗き込む。
「お。いるねぇ。こんにちは!」
ラビットは乱暴に女の内臓に両手を入れて、胎児を腹から引きずりだす。
「なにこれ。邪魔だなぁ。」
といいへその緒を素手で引きちぎる。
「はは!運命の誕生の瞬間だなぁ!...ってあれ?」
その胎児はうんともすんとも言わない。
「赤ちゃんって生まれたら泣くんじゃないんだっけ?」
泣くどころか、息すらもしていなかった。
「ああ..死産ってやつか。かわいそうに。運がなかったね。」
ラビットは近くにあったダストボックスにその胎児を放り込んだ。
「あーあ。またお洋服借りていかなきゃ。」
――――――――――
新しい洋服を手に入れたラビットは、正面玄関から家を出る。
そこはメインストリートへ続く細い道以外は、壁などで囲まれて少し閉鎖的な場所だった。
ただ、そこにひっそりと佇む井戸がいいアクセントを生み出す。
「♪ ♪~。」
鼻歌を歌いながら新しく綺麗な洋服を手に入れたラビットは上機嫌で玄関を閉めると。急に声をかけられる。
「あ...あの。」
不意を突かれたラビットは慌てて振り向く。
そこには一人の青年がいた。
「...なぁに?」
ラビットはとっさに作った笑顔で男を受け入れる。
「あ..、いや、その、なんか、ウォルターさんの家から大きな音とかが聞こえてきてたから。どうしたのかなって。」
「...ごめんなさい。私ミアの妹のルシアっていうんだけど。姉さんと義兄さんがちょっともめちゃって。なんとか、仲裁はできたんだけど。煩かったでしょ?」
「え...?」
青年の顔はきょとんとする。
「...どうしたの?」
ラビットはその顔の意味を追求する。
「だって..ミアさんって..たしか孤児だったんでしょ?姉妹がいたなんて...聞いたこともない。」
「じゃあ、私はどんな存在だっていうのかな?」
ラビットは男の顔に自分の顔を近づける。そのままキスでもしそうな勢いで。
「俺....聞こえたんです..。ミアさんが..助けてっていう声..。」
その言葉にラビットの目がピクっと動く。
「ねぇ、ウェルターさんたち、その扉の奥にいるんですよね...?」
「...そっか、私が信用できないんだ。無理もないね。」
ラビットは青年の頬に両手を添える。
「そうだよ...私が殺したの。」
「!!」
青年は驚きと恐怖のあまり声を出せなかった。
「そんな..なんで..。」
「私の昼食を邪魔したから。しかたなかったんだ。」
「....ミアさんには..赤ちゃんがいた。..この間村の皆で祝福したばっかりなのに...。」
「私は赤ちゃんと会ったよ。元気なかったみたいだったから。捨てちゃった。」
最初に作った笑顔を崩さずにいう。
「お前は...悪魔だ..。」
「生前もそう言われたなぁ。」
ラビットは青年の頭と首を掴む。
「キミも赤ちゃんに会ってきなよ。」
そういうとラビットは青年の首を直角方向に無理やり倒した。
ゴリッ!っと鈍い音が響き、青年はその場に崩れ落ちた。
―――――――――――
「よいしょ、っと」
ラビットは青年の死体を井戸に投げ捨てた。
井戸の底からザボンと音が轟いてくる。
「男の人って重いからヤなんだよなぁ。やっぱり華奢な女の子が一番!」
そこに老婆がやってくる。
「あらこんにちは。井戸、使っていいかしら?」
「こんにちは!どうぞ!」
ラビットはいい笑顔で返す。
「あなた、ここの人じゃないね。どちらから?」
「えっと、南からです!ボーイフレンドに会いに来てたとこなの!」
「あらそう、若いっていいわね」
老婆が引き上げた水は清く澄んでいた。
「ここのお水、とってもおいしくてね。この辺じゃない人たちも分けてもらいにくるぐらいさ。」
「へぇ!いいですね!」
「あなたも一口いかが?」
「いえ、大丈夫です!もう帰らなきゃ!」
「あらそう。暗くなるから、気を付けるんだよ。」
ラビットは老婆に手を振ると、メインストリートへ消えていった。
そして老婆はくみ上げた水を一口のむ。
それが死体入りのスープだとも知らずに。