磐音とおこん:居眠り磐音江戸双紙 第十九巻 梅雨ノ蝶 第四章 千面のおさい 256ページ 14行の次に挿入
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翌朝、磐音は八つ半(午前三時)に目を覚ました。
床を離れるとすぐに今津屋の裏庭に行き、音を立てぬよう井戸の水を釣瓶<つるべ>で
汲み<く>上げると、下帯一丁の体に何回もかけた。
斎戒沐浴<さいかいもくよく>して身を清め、本日の尚武館道場の柿落としを
恙無く<つつがな>迎えたいと思ったからだ。
するとひっそりとおこんが姿を見せた。
手には手拭いと浴衣<ゆかた>、それに下帯を抱えていた。
「起こしたか」
「本日も上天気よ」
「まずはよかった」
磐音は手拭いで体を拭い上げた。傷の部分は引き攣れ<つ>を感じたが、
普通に動く分に支障はなかった。
「お佐紀どののご懐妊が確かならば目出度いがな」
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「女がそう感じたときは、まず間違いないわ」
「そうか、そうであろう。この次はわれらの番か」
おこんからの返事はなかった。
その代わり、拭い上げた背に浴衣が掛けられた。
磐音は濡れた下帯を外し、真新しい下帯を締め込んだ。
「おこん、今津屋を辞める目処が立ったやもしれぬな」
「はい」
と答えたおこんが、
「佐々木道場のお祝いが無事に終わることを念じております」
と言いかけ、磐音の背に自分の体をそっと寄せた。
二人はしばらくの間、井戸端でじっとしていた。
夜明け前、磐音とおこんの眼前を一羽の白い蝶<ちょう>が横切って飛んでいった。
「参る」
磐音はそう言うとおこんの温もりから離れた。
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その時 おこんの手が すっと 磐音のそこを握った。
握った手を 前後に動かしながら おこんは
「磐音様 お体の中もすっきりとなさいませんか?
怪我で寝ている時の 続きを、・・・。」
「なに? いまか?」
「はい 少し時間を 貸してくださいませ。」
おこんは 真新しい下帯の紐を解いて 着物の胸元に入れた。
磐音のそこは おこんの言葉に 少し力を付けていた。
おこんは しゃがみ込み 片手で磐音のその根元を握り 片手で二つの丸いものを擦った。
だんだんと大きくなる磐音のそこの姿に おこんは 満足そうに
「ふふっ」
と 微笑み その先を 口に誘い込んだ。
両手と口が そして 舌が 絶妙に動き 目をつぶっている磐音を おこんは見上げ 動きを速めた。
「おこん」
磐音は その時が来ているのを 名前を呼んで 知らせた。
根元を握っているおこんの手の動きが 速くなり、・・・、磐音は 果てた。
おこんは 磐音のそこを何回かしごき 残っている精気を 口の中に吸い込んだ。
「今一度 洗ってください。」
おこんは 立ちあがって 手拭いをもって 磐音に言った。
「おこん 礼を申す。
身体もだが 頭の中も すっきりとした。
口の中が 気持ち悪くはないか?」
「ふふっ 磐音様の精気は すっかりいただきました。
ちょっと 苦かったけど、・・・、まずくはないわ。」
「それにしても あっという間であったな。
礼を申す。」
磐音も おこんも 名残を惜しみながら 出立の準備を始めた。
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神保小路の佐々木道場内外は、塵<ちり>ひとつ見つけるのが難しいくらいに
掃除が行き届いていた。
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道場ばかりかご町内の門前に至るまで清掃が行われ、
晴れの日を迎える仕度がなっていた。
夜明けと同時に神田明神の神官を迎え、道場の増改築が無事に終わったことを
感謝して、お祓いの儀式が佐々木玲圓と門弟一同によって行われるのだ。
これが内々の道場開きだった。
一同は、神官の大宮司海野利心<うんのりしん>を待つばかりになっていた。
その頃合い、佐々木道場の門前に胴間声<どうまごえ>が響いた。
松平辰平が応対に出た。
「なんぞ御用にございましょうか。まだ刻限も早うござるゆえ、お静かに願います」
と丁重に願った。
「大声はわれが地声である」
「ご用件を伺います」
「本日、佐々木道場では柿落としの大試合が催されると聞いたが、
しかと間違いないか」
「いかにもさようにございます」