磐音とおこん:居眠り磐音江戸双紙 第二十九巻 冬桜ノ雀 第二章 盲目の老剣客 p109 10行目の次に挿入
神保小路に、風に乗って九つ(夜十二時)の時鐘が響いてきた。
鏡台の前からおこんが言った。
「速水邸に世話になったとき、私は養父上の清廉潔白の意思が門番小者にまで達
していることを知らされました。それでも毎日のように、大名家や大身旗本家の
留守居役やら用人方が頼み事にいらっしゃいます。それをすべて、政事向き城中
人事の話は屋敷ではお断りしておりますと追い返されました。私が表猿楽町にい
た折り、御三家のご家老様が家治様に意を伝えてほしいと見えられたことがあり
ましたが、きっぱりと面会を謝絶なさいました」
「おそらくお断りする度に、速水左近様は胸の中で、よくせきお困りの上、屋敷
を訪ねてこられたはずとの思いに悩まれておられよう。だが、一つ話に耳を傾け
れば、物事は止めどなくなる。いすれにしても気遣いはお体によくない。速水様
が心の休まるのは神保小路だけゆえ、おこん、うちに参られたときは、せいぜい
娘役を愛らしく務めよ」
と笑った。
おこんは佐々木家に嫁ぐに際し、形式的にだが武家身分に成り代わるために速
水家の養女になった。ゆえに速水もおこんを娘と呼び、おこんも養父と慕った。
神保小路に拍子木の音がして、
「火の用心、さっしゃりましょう」
の呼び声が響いてきた。
寝化粧をはいていたおこんが不意に磐音に顔を向けた。
「養父上がお帰りになる折り、おこん、やや子はまだかとお尋ねになりました」
「こればかりはのう」
と答えながら、磐音の腕が布団から伸びて、おこんの手を掴んだ。
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おこんは 磐音の布団に滑り込んで 磐音の胸に手を当て 指先に力を入れた。
「こんも 磐音様のお子が欲しい。
磐音様のお子を産みたい。
それよりも前に 磐音様にかわいがられて 気持ちよくなりとうございます。」
おこんは 素直だった。
素直に 自分の気持ちを磐音に告げた。
磐音は そんなおこんを かわいいと思った。
何も言わずに おこんの唇を吸い 乳房を揉みながら 脚を おこんの両の脚の間に割り込ませた。
が 先ほどのおこんとの話のせいか 磐音のそこは いつものままだった。
おこんの息が 荒くなり 脚を開きながら 片手を磐音の下腹に滑らせた。
「磐音様、・・・、ほしい。」
磐音は おこんの素直な言葉を聞いて おこんの手の動きに 意識を集中させた。
磐音も 今のおこんの気持ちに 素直に応えたいと思った。
おこんの手の動きと 息遣いに 磐音のそこも 素直に応えた。
おこんの手に誘われるまま 磐音はおこんの中に 入っていった。
「気持ちいい、・・・。」
磐音は 無心に腰を動かした。
おこんも 無心に 磐音の腰の動きに 「はっ」「ふっ」「あっ」と 短い息で呼応した。
しばらく 磐音にされるがままに 無心の時を過ごしていたおこんが 磐音の二の腕を掴んだ。
磐音は その感触に 動きを止めて おこんを見た。
「このようにしていただいている こんは幸せ者です。
でも、・・・。」
「でも なんじゃ?」
「でも、・・・、磐音様の精気を戴かないと やや子はできませぬ。
こんは 磐音様のお子がほしい。」
「確かにそうじゃな。
子は授かりものというが 確かにそうじゃな。」
磐音は おこんと胸を合わせ おこんと唇を重ね おこんの首筋に 唇を移した。
おこんは 磐音にかじりついて 身体全体に力を入れた。
磐音の唇が触れている側の おこんの半身には 鳥肌が立ち おこんは身を震わせ 磐音を包んでいる花芯もまた何回か 磐音を締め付けた。
「おこん これでは 動けぬ。」
「しばらくは このままで ここで 磐音様を感じていたい。」
おこんは 磐音を締め付けた。
磐音も それに応え 花芯に包まれた その部分で語り合った。
しばらく語り合ったのち 力を入れながら 首筋に当てた唇を ゆっくり大きく おこんの細い首に這わせた。
「あっ あっ あ~っ」
磐音に絡ませたおこんの脚が ピンと伸びて 身体全身が反り返ったが おこんの体から力が抜けて おこんは意識をなくしていた。
磐音が出羽から帰った夜には 慌てた磐音であったが そのことがあってからは このようになったおこんを見守る余裕ができていた。
おこんに 胸を合わせ 両肘をついて自分の体を支え おこんのピンと伸びた脚を 自分の脚で挟み 膝で体を支えて おこんの意識が戻るのを待った。
磐音は 考えていた。
(おこんと子をなした後で 自分が誰かに斃されたとき おこんとわれらの子はどのように 生きていくだろうか?
誰かと闘い それがしが 必ず生き残るとは 限らない。
そのような自分が子をなしてよいのだろうか?
おこんとの このような生活を 続けることには 不満はない。
むしろ 感謝をしてもしすぎることはない 満ち足りた生活だ。
佐々木家の養子となって 剣の道を歩んでいる自分も そして いつ斃されるかもわからない自分に それでいいと 一緒になってくれたおこんと共に暮らすのは お互いが納得して 選んだ道だ。
しかし、・・・、新しく生まれてくる子に われらの宿命を背負わせるのは、・・・。)
しばらく後 おこんの意識がもどって
「磐音様 こんをとらまえていてくださったのですね。
あまりの気持ちよさに 身体が どこかに行ってしまいそうになって。」
「そなたに どこかに行かれては それがしが困る。
大丈夫か? 苦しくはないか?」
おこんの中に入ったままの磐音は 力をなくしかけ おこんの花芯から押し出されそうになっていた。
「大丈夫でございます。
続きをしてくださいませ。」
その言葉に頷くと 磐音は 意識を集め 閉じた両脚に挟まれている磐音のそこを前に押し出した。
少し抵抗があった後 クイッと 中に入った感覚をおぼえ 再び力をつけてきた。
おこんの伸ばした両脚を挟んだ形で 磐音は腰を動かし 突き出すたびに 狭い壺の口から 壺の中へ吸い込まれる感触を覚えていた。
同じ姿勢で ゆっくりとあるいは速く 大きくあるいは短く 腰を動かしていた磐音は 両脚に痺れを感じ それが背骨に沿って移動し 頭の中にまで達した時 果てた。
おこんも 満足げに 磐音の顔をみつめ 微笑んだ。
「伸ばした脚を挟まれているのも また違う感覚で いい気持ちです。
脚を広げているのも いやではありませんが どのような姿か想像すると なにかはしたないようで 恥ずかしくなります、・・・。」
「どのような格好をしていても おこんは おこんじゃ。
次からは もっといろいろな格好を してみようか?」
「ふふ うれしい。
楽しみにしております、・・・。」
磐音が 身体を離そうとしたとき おこんは 枕元の 手拭いをとり 磐音のそこに当てて握り 磐音のそこに残っている精気を搾り取った。
おこんは手拭いを 自分の股に置いて 横にいる磐音の方を向いて 満足げに 深い息をついた。
磐音も おこんの方を向いて おこんを見つめていた。
「磐音様 こんは 心から 磐音様を お慕いしております。」
「おこん それがし 磐音は 心から おこんに惚れておる。」
磐音と おこんが 睦合った後に交わす 就寝の挨拶であった。
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磐音は翌朝、近江大掾藤原忠広を携え、だれよりも早く道場に立った。西の
丸に出稽古に行く日が迫っていた。家基に、
「王者の剣」
を教え込むために磐音自身も真剣での動きを熟知しておかねばならないと、独
り稽古ながら仮想の敵を考え、神経を張り詰め、気持ちを集中して忠広を尚武館
の闇の中で遣った。