※この作品はR-18です。

「居眠り磐音艶記゛」   作:松友 清司

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この前に 何話か 挿入予定ですが いつになるかわかりません。
ご容赦ください。


居眠り磐音艶記゛:第三十三巻 孤秋ノ春 第三章-川留め 161ページ

磐音とおこんそして霧子:居眠り磐音江戸双紙 第三十三巻 孤秋ノ春 第三章-川留め p161 1行目の後に挿入

 

「おこん様、私は雑賀衆で育った女です。産婆の真似事くらい、いと容易いことです。

私にお任せください」

「まあ、心強い供だこと」

 

女同土が笑い合うのを半分眠りの中で磐音は聞いた。

 

 

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ここからが挿入部分です

 

 

耳元に軽い息がかかり 甘い香りが鼻孔をくすぐり 磐音は ふと目が覚めた。

息のかかる耳の方に 頭を向けると おこんの顔がそこにあった。

「磐音様 起こしてしまいましたか。

 霧子さんと会えたことで 安心したのか 磐音様の肌が恋しくなりました。

 しばらく このままで いさせてください。」

おこんは 唇が磐音の耳に触れるほどのところで 囁いた。

「おこん 霧子が起きておる。」

磐音もまた おこんに触れるばかりのところで 囁いた。

「霧子さんは 寝息を立てておられます。」

「霧子は 忍び雑賀衆の出じゃ そなたが動いたことで 目を覚ましておる。」

「まぁ どうしましょう。」

と 戸惑うおこんに

「それがしも そなたと同じ気持ちじゃ。

 しばらく このままでいようか。」

と 言いながら 磐音は おこんの寝巻の中に 手を滑り込ませた。

おこんが 思わず 「あっ、 んっ」と 切なげに 小さな声をあげたとき 霧子が もそもそと動き ぴょこんと 起き上がり

「若先生 おこん様 申し訳ありません。

 一刻ほど 宿の周りを 探索してまいります。」

と言って 着替えをしようと 立ち上がった。

「霧子 それには及ばぬ。

 しばし 三人で 話をしようか。

 と言っても どんな話をするか、・・・。

 そうだ おこんに そなたの子どもの頃のことを話してくれぬか。

 以前 鵜飼様のところに そなたと行った折にした話を。」

「・・・ はい おこん様 その折の話とは 私の出自のことでした。

 若先生に 私が物心がついたとき 最初に目に映じた風景はなにか と尋ねられ 婆様の背に負われ、山葡萄の実を摘んでいる風景と 答えたことがございます。

 西日が射していたのでしようか 黄色に色付いた山葡萄の葉群が鮮やかで目に染みました。

 そして 婆様の手がせっせと山葡萄を積むたびに、私の体が前屈みになったり反り返ったりしました。

 三つになっていたころのことにございます。

 婆様が腰に下げた籠に、山葡萄の黒くて紫色の実がたくさん摘まれていたことも記憶しています。

 私は 父のことも 母のことも知りません。

 雑賀衆の小頭がいつぞや 『おまえは摂津堺の商家から拐されて雑賀衆に加わった子』と洩らしたことがございます。」

「まあ なんということでしょう。

 でも その郷では 大切に育てられたようですね。」

「霧子 それがしが思うに 拐されたのではなく 商家が火事か何かの災難に遭い その折迷子になったか 孤児になったかしたそなたを 雑賀衆の誰かが 保護をしたのではあるまいか。

 おこんも言うように 郷での霧子は 大切にされていた。

 雑賀泰造日根八一味に かどわかされたというのは 一味が霧子にそのように言って 一味から抜けるのを 諦めさせる虚言だったのではあるまいか。

 その方が 腑に落ちる。」

「はい そうかもしれません。

 姥捨ての郷で 育てられていたことを思うと 摂津堺に出ていた姥捨ての郷の衆が 私を拾ってくれたのかもしれません。

 その後 泰造一味が 姥捨ての郷に入り込み 郷を出るときに 強奪・殺人が起こり そこで 私も 泰造一味に従うようにさせられたのかと 考えると 腑に落ちます。」

「霧子さんは 大変な思いをされていたのですね。

 よくも このようにきれいな心を持った娘子になってくれました。

 こんは 感心もし うれしくも思います。」

「いいえ おこん様 私は 日光で 師匠につかまり 西の丸様に 『命を粗末にするな 生きよ』 と命じられ 佐々木玲圓大先生 おえいさま そして 若先生のもとで 暮らしていく中で 人の 人としての生き方を 教えられたのでございます。

 感謝しても しつくすことができない程の ご恩を感じています。

 泰造一味の中にいたのでは いずれ 泰造か 他の男衆と 褥を共にすることになっていました。

 一味の中にいた時には それが当たり前だと思っていました。

 大先生 若先生のもとにいて それが違っていたことを 教えていただきました。」

「そうでしたか。

 今の 霧子さんの周りには 人として 恥ずかしくない道を歩んでおられる方が 大勢います。

 今更言うのも 変ですが 霧子さんは 一人ではありませんよ。」

「霧子は 本当に 幸せです。

 それを思うと 泰造一味にいた女衆は 不憫でした。

 おこん様 私が 大先生 おえい様と暮らし始めて 一年近くになったとき 月のものが始まりました。

 16歳の時でした。

 そのとき どうすればよいのかは 雑賀の女衆からも教えられていましたが おえい様が すぐに気づいてくださり どのようにすればよいのか 教えてくださいました。

 その日 おえい様は お赤飯を炊いてくださり 大先生 おえい様と 一緒に膳を囲みました。

 大先生の 訝し気な顔を いまもはっきりと 覚えています。

 おえい様に 私のことを伝えられた大先生が お顔を赤くされたのが おかしゅうございました。

 大先生は めでたい めでたいと おっしゃって 私にも 猪口を持たせ 大先生自から 注いでくださいました。

 私は うれしくて 恥ずかしながら 涙をこぼしてしまいました。」

「そのようなことが 養父上たちと そなたにあったのか。

 初めて聞いたことだが 養父上の一面を知ることができた。

 礼を言うぞ 霧子。」

「いいえ お礼を言うのは 私でございます。

 神保小路で 暮らし始めてから いつ逃げようかと 時を伺っていたこともございます。

 でも 大先生を始め 門弟衆の方々は 憐れむでもなく 蔑むでもなく 普通の門弟として 普通に接してくれました。

 もちろん 私が 女子であることで 少し離れたところから 見守ってくれていました。

 師匠に捕われ そして 家基様に生きよと命じられ 隼を肩に載せて 江戸への道中の折りの 若先生の眼差しや 神保小路での生活で 同じ仲間でも 雑賀衆とは こんなにも違う仲間がいるのだと思い 幸せでした。

 時折 若先生が稽古をつけてくださるときは うれしさに 体が震えました。

 思い切り 力の限り打ち込んでも しっかりと受け止めてくださり 人を作る剣術を教えてくださいました。

 思わず 竹刀を落としたときには 咄嗟に 組打ちを挑みましたが その時にも しっかりと受け止めてくださいました。

 組み伏せられた時には 身体の芯が痺れて しばらくは動けなくなったこともございます。」

「霧子との 稽古の折りには しばしば そなたが女であることを忘れてしまうくらいであった。

 そなたが ふっと 動かなくなった時には しまった 力を入れすぎたか と心配した。」

「申し訳ございません。

 おこん様にも 申し訳ないことでございますが 霧子は 若先生を お慕いしておりました、

 いえ 今も お慕いしております。」

「霧子さん 霧子さんの気持ちは とうに知っていましたよ。

 賢い霧子さんですから 道場では そんなそぶりは全く見せてはいませんが 母屋にいるときの霧子さんの 素直な気持ちは 男衆にはわからなくても 私にはわかります。

 でも 今は 霧子さんには 利次郎さんが おられます。

 亭主殿への 気持ちは 胸にしまって 利次郎さんを大事になさい。

 二人の仲を確かなものにするのは 霧子さん次第ですよ。

 ところで 霧子さん 男女が一つ褥の中でどのようなことをしているのか 知っているのですか?」

「おこんさま 私は 雑賀の忍びです。

 主に 武家方のお屋敷ですが 天井裏や 床下に入り 多くのことを見聞きしました。

 天井裏から 寝所を覗いたときには それはもう。

 なので どのようなことをするのかは 十分知っております。」

「ふふふ そうでしたね。

 霧子さんは 私より はるかに多くのことを 見聞きしているのでしたね。

 ま 褥の中で男女が何をするのかを 知っていても 女は殿方に任せておけば 殿方のすることを 受け入れていればいい ということがありますから 心配することはありませんね。

 さて 夜も遅くなりました。

 霧子さんも こちらに来て 磐音様を挟んで 眠りましょう。」

「えっ よろしいのですか?」

二人の話を 唖然として 聞いていた磐音は 我に返り おこんの言葉に驚いた。

「おこん それがしは どうすればよいのだ?」

「女御二人に慕われているのです。

 男冥利に尽きましょう。」

「いや それはどうか おこん 戸惑うばかりじゃ。」

「こんに おまかせなさいませ。

 さ 霧子さん こちらへ。」

おこんは 霧子を 誘い 磐音を真ん中に 1つ蒲団の中で 横になった。

磐音は 覚悟を決め おこんの言いなりになり 天井を向いて 目をつぶった。

おこんは 磐音の右側で 磐音の方を向き 磐音の右手を 脚の間に挟んだ。

霧子もまた 磐音の方を向き 磐音の左手を 脚の間に挟んだ。

おこんは 霧子の左手をとり 握りあった手を 磐音の胸に置いた。

磐音の胸の上に 霧子の掌が そして その上に おこんの掌があった。

磐音は ふうっと ため息をついた。

霧子の手を握っている おこんの手が 胸から腹へ 腹からその下へと動いていった。

一時は 手に力を入れた霧子であったが おこんに導かれるままに 従った。

二人の掌が 磐音のそこに載せられて 握られた。

「かたい おおきい すごい」

霧子が 思わず 呟いた。

「ふふ こんなに立派になって。」

おこんも また満足そうに 呟いた。

「おこん 女御二人に このようにされているのじゃ しかたあるまい。」

「ふふ このようになっている磐音様は 素敵です。

 霧子さん あなたには 利次郎さんがいます。

 ここまでで 我慢なさい。

 さ 眠りましょう。」

「はい。」

と言った 霧子の手が 再び握られた。

 

 

↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑ ここまでが挿入部分です

 

 

おそめはこの朝、江三郎親方の供を命ぜられ、縫箔屋のある呉服町を出た。

刻限は四つ(午前十時)時分で、おそめは呉服屋に届ける品を両手に

捧げ持って江三郎に従った。

 

 

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