※この作品はR-18です。

「居眠り磐音艶記゛」   作:松友 清司

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居眠り磐音艶記゛:第一巻 陽炎ノ辻 第三章 騒乱南鐐銀 158ページ

磐音と奈緒:居眠り磐音江戸双紙 第一巻 陽炎ノ辻 第三章 騒乱南鐐銀 158ページ

 

 

p157

奈緒は三年があまりにも長いことを言外に訴えた。

「奈緒、私も二十七になっておる」

「磐音様」

奈緒が白い顔をほんのり赤らめ、

「奈緒は幼き頃より磐音様を知っております。

 でも、二十四の夏から二十七の春まで知ることはできませぬ」

「私もじゃ、十六の奈緒から十九の奈緒まで知らすに過ごすことになる」

「江戸から手紙をくださいませ」

「おお、書くぞ。

 奈緒も関前のことなどを知らせてくれ」

「はい、約束にございます」

奈緒が小指を差し出した。

子供のときから奈緒と磐音が約東事を交わすときに繰り返されてきた儀式だ。

磐音が奈緒の指に絡めた。

奈緒は震えていた。

「このときを忘れませぬ」

奈緒が言った。

 

p158

「そなたのことは片時も忘れるものか」

笑みが奈緒の顔に浮かび、泣き顔に変わった。

 

 

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ここから挿入部分です

 

 

奈緒は絡めた指を離して 磐音の両手を握り 自分の胸に押し当てた。

磐音は 腕に一瞬力を入れたが すぐに奈緒のするがままになった。

奈緒は 磐音を見上げ ゆっくりと目を閉じた。

奈緒の口が わずかに開かれ 磐音を誘っていた。

磐音は 誘われるままに 唇を重ねた。

唇を押し付けただけの 拙い口づけであった。

二人の歯と歯がぶつかり かすかな音を立てた。

奈緒は磐音の背に両腕を回して 胸を磐音に押し付けた。

磐音も 思わず奈緒の背に両腕を回していた。

奈緒が大きく息を吸い ため息のように息を吐いたとき 奈緒の体から力が抜け 膝が崩れたのを 磐音は戸惑いながらも しっかりと支えた。

「奈緒 大丈夫か?」

「あっ 磐音様 大丈夫です、・・・。」

「奈緒を 支えているでな 安心するがいい。」

「うれしい、・・・。」

二人は 再び 唇を合わせた。

今度は 押し付けることはなく 軽く触れあわせて 互いの唇を 吸い合った。

「舞姉さまの 言った通りです。

 このようなことが こんなに 気持ちがいいなんて 知りませんでした。」

「舞殿は なんと言ったのじゃ?」

「好きなお方と 唇を合わせるだけで 頭の中は白くなって 気が遠くなる と。」

「そうか 確かにな。」

磐音は思った。

(頭の中が白くはならないが、・・・、確かに 身体が反応する。)

「そのあとで 身体を触れあわせるのは その何倍も 何十倍も気持ちがいいとも。」

「そのようなものか? ・・・、舞殿はそのように言ったか、・・・、想像ができぬな。」

「奈緒は 待ち遠しゅうございます。

 3年後に 磐音様にお会いするのが 待ち遠しゅうございます。」

「私もじゃ、今一度 よいか?」

「うれしい、・・・。」

二人は 再び 唇を吸い合った。

どちらからともなく 唇を離し しばらく見つめ合っていたが 奈緒が ふっと 微笑んで

「磐音様の お口の周りが 赤くなっております。」

と言いながら 懐から 小さな手拭いを出して 舌で軽く湿して 磐音の口の周りを 拭き始めた。

「おお 口の周りが 赤いままでは 母上や 伊代には すぐに気づかれるな。

 奈緒の唇も 紅が取れていることになるな。

 紅は持っているか?

 無ければ どこぞで 贖ってから家に帰ろうか。

 二人で ここに来た記念じゃ。」

奈緒は 磐音の口の周りを拭きながら いたずらっぽい眼をして

「紅ですか? 持ってきてはいません、・・・、ふふっ。」

「ははは そのようなウソはついても 閻魔様も舌を抜くことはなかろう。

 許して下さるぞ。」

磐音と 奈緒は 手をつないで ゆっくりと 城下への道を歩いて行った。

 

 

↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑ ここまでが挿入部分です

 

 

「浪人さん!起きてくんな」

夢がふいに破られた。

磐音が目を開けると障子に西日が射していた。

視線を巡らすと、上がりかまちに今にも泣き崩れそうな顔の幸吉が立っていた。

「浪人さんのせいでおみっちゃんが女郎に売られるんだよ」

おみつとはだれなのか。

「それがしのせいで・・・・・・ 」

磐音は夜具をはねのけて起きた。

「幸吉どの、子細が呑み込めぬ。ゆっくりと話してくれぬか」

「だからよ、おみっちゃんが女衒<ぜげん>に連れていかれるんだよ」

幸吉の後ろから母親のおしげが顔を覗かせ<のぞ>、

「いやさ、昔金のかたにさ、参ちゃん<さん>の姉のおみっちゃんが岡場所に

売られていくんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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