※この作品はR-18です。

「居眠り磐音艶記゛」   作:松友 清司

3 / 20
居眠り磐音艶記゛:第五巻 龍天ノ門 第三章 本所仇討模様 186ページ

おとくと史吉:居眠り磐音江戸双紙 第五巻 龍天ノ門 第三章 本所仇討模様 186ページに挿入

 

186p

おとくが霜夜の鯛蔵という押し込みの娘と知れ、鯛蔵を町方に売った一味がおとくを始末に来るのは、どうやらほんとうのことと分かった今、眠るわけにもいかない。

夜半過ぎ、忍びやかな足音がした。

戸の隙間から見る人影は、史吉だった。

 

 

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ここからが挿入部分です

 

 

家の中からは 食器が軽く触れあう音や 低い話し声がしばらく聞こえていた。

四半刻ほど そのような様子が続いた後 静かになった。

再び 話し声とも 呻き声ともつかない音が かすかに聞こえてきた。

磐音は

(そうか そういうことか やはり おとくは 若かったのだな)

と得心し 二人の置かれた境遇が より良い方へ向かうことに 力を貸したいと思った。 

磐音がいることを 意識してか 押し殺したような声が とぎれとぎれに 磐音の耳に届いた。

磐音は おとくを始末しに来る一味が 来るかもしれない以上 眠るわけにもいかず 

おとくが我慢をしながらも つい洩らす短い喘ぎ声が 聞こえてきて 

つい 身体が反応してしまうのを

「それがしも まだ 修行が足りぬな」

と 苦笑をしながら つぶやいた。 

 

 

↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑ ここまでが挿入部分です

 

 

史吉は一刻ほどいて再びおとくのもとから姿を消した。

何事もなく夜が過ぎゆき、磐音は、宮戸川に行く前に抜き差しの稽古を繰り返して眠気を吹き飛ばした。

宮戸川の鰻割きを終えた磐音は、今日こそはと六間湯に行った。

洗い場で二日分の汚れと臭いを洗い流すように丁寧に糠袋<ぬかぶくろ>で全身をこすり上げ、

石榴口<ざくろぐち>を潜る<くぐ>と、湯に大頭が浮かんでいた。

南町奉行所の切れ者与力の笹塚孫一だ。

「何事もなく一夜が明けたようだな」

「はい。史吉と申す若者が一刻ほど話し込んでいったきりです」

ああ、と頷いた笹塚は、

「野晒しのことが分かった」

 

187p

と言った。

「霜夜の鯛蔵と一緒に捕まった手下は、上総<かずさ>の伴吉<ともきち>ら一味の古手ばかり四人だ。

伴吉らも親分の鯛蔵と一緒に首を打ち落とされた」

と言うと笹塚は、湯の中に浸けていた手を出してつるりと顔を撫でた。

「霜夜一味は、引き込みの女を含めて十五、六人と目されていた。

引き込みとはな、目当ての店に女中なんぞに化けて入り込み、仕事の夜に内から引き込む役だ。

さて、親分以下、幹部四人を密告した者はたれか。

一味の中に野晒しの仲蔵<なかぞう>という役者崩れがいてな、

こやつが野晒しのしゃれこうべの彫り物を背に入れているところから、

仲間内で、しゃれこうべとか、野晒しの仲蔵と呼ばれていたらしい。

六年前が三十二だ。こいつが鯛蔵の押し込みのやり口に常々不満を抱いていたそうな。

忍び込んで半金も残してくる馬鹿がどこにいる。

盗人なら盗人らしく有り金全部をかっ攫ってくる<さら>のが筋だというのが仲蔵の考えだ。

鯛蔵に直言したこともあったらしいが、鯛蔵は、おれが頭分<かしら>のうちは、

絶対に許さないと撥ね付けたそうな。

こういうことはな、鯛蔵と一緒に捕まった錠前外しの虎三<とらぞう>が言い残したことだ」

「町方に親分のことを売ったのは、野晒しの仲蔵ですか」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。