※この作品はR-18です。

「居眠り磐音艶記゛」   作:松友 清司

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居眠り磐音艶記゛:第十三巻 残花ノ庭 第三章 夜半の待伏せ 148ページ

磐音とおそめ:居眠り磐音江戸双紙 第十三巻 残花ノ庭 第三章 夜半の待伏せ p148 7行目と8行目の間に挿入

 

磐音が背をおそめに回そうとすると、歩いていけますと気丈にも応じた。

「ならば急いで長屋に戻ろうか。皆も心配しておるでな」

 

 

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ここからが挿入部分です

 

 

「坂崎様。」

手をつないでいたおそめの歩みが幾分ゆっくりとなり おそめの小さな声が聞こえた。

「なんだな おそめちゃん。」

「今回のこと 忘れることはできましょうか。」

「大丈夫じゃ 忘れるというより 思い出さなくなる・・・大丈夫じゃ。」

「思い出してしまった時は どのようにすれば・・・私にはわかりません・・・思い出した時が 怖いです。」

「そうじゃな それがしも これまでに 忘れてしまいたいことを いろいろ経験してきた。

 そのことが 急に思い出されることがある。

 そのときは 別のことを考えるようにしておる。

 例えば おそめちゃんと幸吉どのと一緒に 浅草奥山に行ったときの 楽しかったこととかをな。」

「おこんさんのこととかもですか。」

「ははは そうじゃな そうかもしれぬな。」

横川の土手道を歩いていたおそめが 立ち止まり 磐音の手を握りしめた。

「どうした おそめちゃん。」

「坂崎様 私を そめを 抱きしめてくださいまし。」

「また 急にどうしたのじゃ もう二度と今回のようなことは起こらぬぞ。」

「今回のことが 思い出されたとき その後で 坂崎様に 抱きしめられたことで うれしいこと 幸せなことと思えます。

 そのようなことを思い出せると と思うのです。

 どうか しっかりと抱きしめてください。」

「幸吉どのが どのように思うか。」

磐音は おそめの気の昂ぶりを 鎮めようと わざと幸吉の名前を出した。

「幸吉さんは まだ子供です。

 こんな時には 役に立ちません。

 坂崎様のような 立派な大人の方に 抱きしめられたいのです。」

磐音は おそめが とても大人びて見え これからのことへの対処をしたいと考えていると思った。

「そうか そうかな。」

と言って 近くの石に腰を掛け 両手を広げた。

背の高い磐音が 立ったままでは おそめを抱きしめるのは無理だった。

おそめが にっこりとほほ笑んで 磐音の腕の中に入ってきた。

磐音は 優しく しっかりと おそめを抱きしめた。

「あぁ。」

と おそめは 小さな声を漏らし

「背中や・・・体中を擦ってください。

 今回のことを みんなこすり取ってください。」

と 哀願した。

磐音は 言われるがまま おそめの背中や腰・太ももを擦った。

おそめは 泣いていた。

「どうした おそめちゃん 悲しいことなど 何もないぞ。」

「そめは うれしくて 幸せで 泣いています。

 うれし泣きです。

 坂崎様・・・坂崎様の膝に座らせていただいていいですか。」

磐音は おそめに請われるままに おそめの向きを変え ひょいと膝の上に乗せて 磐音の身体に 背をもたれさせた。

「抱きしめて・・・。」

おそめの声は 甘えていた。

磐音を 信頼しきった声だった。

磐音は おそめを 抱きしめた。

おそめが 磐音の手を取って

「ここから手を入れて・・・じかに触ってください。」

と 握った磐音の手を 身八つ口(脇開け)に誘った。

磐音は 瞬間 力を入れて拒んだ。

力を入れている磐音の手は おそめには 動かせなかった。

「何を言っているのだ。

 言っていることが自分でわかっているのか。

 一時の気の昂ぶりででも するようなことではないぞ。」

磐音は 小さな声ながらも はっきりと おそめを戒めるように 言った。

「このようなお願いは 今でなければできません。

 坂崎様の手の感じを しっかり覚えておきたいのです。

 今度のことを 思い出したとき 坂崎様が優しくしてくださったことを思って 乗り切れると思うのです。

 お願い・・・。」

おそめの必死な願いに 磐音は逆らえなかった。

磐音は 手の力を緩めて おそめの動きに従った。

磐音は 成長を始めた わずかにふくらみかけたおそめの胸に 手のひらを当てて 動かせないでいた。

おそめも 擦ってとは 言わなかった。

「大きな手・・・暖かい・・・うれしい・・・。」

おそめの手が 着物の上から 磐音の手を押さえていた。

「もうよいか おそめちゃん。

 急いで帰ろうか 皆が待っているでな。

 川沿いに 小名木川まで 背負っていこう。

 その方が 速いでな。」

磐音は おそめの着物から手を抜いて おそめを膝からおろし 背を向けた。

おそめは 素直に 磐音の背中にすがった。

磐音は 立ち上がると おそめをひと揺すりして 足早に歩きだした。

おそめは 磐音の首に手を回し 磐音の身体に密着させていた。

おそめの尻を支えている磐音の手は 歩くのに合わせて ポンポンと叩いていた。

 

 

↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑ ここまでが挿入部分です

 

 

深川六間堀の唐傘長屋には明かりが点って、人の気配がしていた。

磐音とおそめが溝板を踏んでいくとその物音に気付いたか、小さな顔が覗いた。

「あっ、おそめちゃんが戻ってきた!」

叫んだのは幸吉だ。心配でたまらず宮戸川から唐傘長屋に戻っていたのだ。

 

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