秘密の花園 作:童貞侍
中等部1年
髪型:長さはセミロング。普段は三つ編みにしている。癖っ毛
体系:Aカップ(Bより)
身長は平均より低め(背の順でいうところの前から5番目くらい)
性格:内気・臆病(とある理由でいじめられたことから)
新しく袖を通すことになった白百合女学園中等部の制服は、初等部の制服から大きく様変わりしていた。
初等部時代、冬季は紺色、夏季は白のセーラー服に赤いリボンだった。今着ている制服はブラウスにグレーのブレザー、同色チェック柄のプリーツスカートだ。おろしたてであるため、パリッと糊がきいており、一歩ごとに膝に触れては離れを繰り返している。
ちなみに夏季は半そでブラウスとクリーム色のスクールベストだ。スカートは冬季と同様のデザインの薄手のものになる。そして、初等部と共通して赤いリボンを結んでいる。(夏季は免除される。暑いからか……。)
新品のブレザーの左胸には黒いプレートに白地で「上野 恵」と書かれた、これまた新品の名札が輝いている。
今、私が向かっている白百合女学園は、能力教育機関の中では“超”が付くほど有名だ。
能力が確認された時期に、国内で最初に設立された能力研究施設が前身であり、国民の中でも能力を持つものが少なくない状態になったとき、最も早く学校教育としての設備を整え、国に能力教育制度の確立の必要性を訴えることにより、能力の研究・教育の中核をなすようになった学校でもある。
当時は帝国主義が世界中にはびこり、大国同士の戦争が珍しくもない時代だった。しかし、御伽噺そのものであった能力者が世界中に現れるようになったことで、各々自国の統制に必死になった結果、外敵と戦うどころではなくなってしまったそうだ。その結果、ヨーロッパでの世界大戦以降、世界を巻き込んだ戦争こそ起きてはいないものの、混乱期の経験から世界中で「ある認識」が共通して持たれることになった。
ー--強力な能力者を保有することが大きな意味を持つ
それはなにも、戦力的な意味合いだけではない。
能力者がそれぞれの能力を磨き、非能力者が汎用性の高い「科学力」を磨く。その両輪を組み合わせることで、生産能力向上・国土開発・環境問題の解決等、能力発現以前よりも飛躍的に効率が増加したと、初等部の歴史科の先生が熱く語っていたことを思い出す。
白百合女学園は、早期に巨額の投資を行うことによって必要な機材をいち早く取り揃え、最先端の研究環境が整っていたからこそ、能力者たちに対して適切に研究・指導を行い、強力な能力者として輩出してくることができた歴史がある。だからこそ白百合学園は能力研究分野において権威的立場を保有している。
そんな学校なので、今私の目の前にある校門もそれはもう立派だ。門だけではない。校舎も半年前に新しく建てられたものであるため真新しく、学校というよりも高級ホテルのような雰囲気を醸し出している。奥に見える以前までの校舎ー-いわゆる旧校舎も古いというよりは歴史的な「重み」を感じるような気がする。
「確かにあなたからすれば分不相応に素晴らしいのかもしれないけど、入り口で突っ立っていられると、とっても邪魔なの」
ぼうっと校門を見上げていると、後ろから声がかけられた。
投げられた言葉を認識した瞬間、肩が震えた。自信に満ち、こちらを嘲笑う意図がセリフと声の両方ににじみ出ているこの声は……。
ゆっくり振り向くと、そこには予想通りの人物が立っていた。
金色に輝く長い髪をツインテールにし、若干の吊り目と吊り上がった口角からは、声の通りにこちらを見下していることがありありと読み取れた。スクールバックを左手に持ち、右手で腰をつかんでこちらを睨みつけている。
彼女は初等部時代のクラスメートであり、クラスのボスであり、私を陰でいじめていたグループのリーダーでもあった「高坂 彩音」。
彼女に突然声をかけられたこともあり、反射的に上目遣いで機嫌を伺うように見つめ返す。彩音から見れば自分に怯えきった哀れな子羊に見えるのだろう。フンッと鼻で笑うと当たり前のように持っているかばんを投げ渡してきた。お前が持て、と暗に言っているのだ。
そのまま門を通り過ぎ、校舎に向かう彩音に私はどもりながら待ったをかけた。
そうだ、今日から私は変わるんだ……! 不機嫌そうに振り向く彩音に、私は勇気を振り絞って言った。
「あ、あの!じ、自分のかばんは、自分で持ちなよ……!」
彩音は一瞬何を言われたのか理解できないように呆けた顔になると、次の瞬間にはニタリとサディスティックに笑った。その顔に足が震え、肩も小刻みに震えてしまうが、勇気を出して正面から彩音を睨んだ。
「中等部に上がったからって自分は強くなったとか勘違いしちゃったのかなぁ?あたしとあんたの間には絶対に越えられない壁があるんだけど。」
腰に当てていた右手をおもむろにこちらに向けながらゆっくりとこちらに歩いてくる。
一般的な学校では、スポーツができる男子や、いわゆるギャルのような女子がスクールカーストの上位に位置すると聞いたことがあるが、白百合女学園は「能力が強い者」がカースト上位に行きやすい傾向にある。もちろん、公に能力を行使してけんかやいじめを行えば、教師に鎮圧されて処分を受けることになる。
しかし、教師に見つからないところで格付けがなされ、下位に位置する者たちはいじめの標的になりやすいというわけだ。彩音の能力は「電気」。シンプルながら非常に脅威となる能力。そこらにいる静電気程度の能力者と違い、彩音は今の時点で電圧・電流ともに人を余裕で殺傷できるレベルであるのに加え、その真骨頂は精密性だ。人体に後遺症が残るような使用は一切しないで的確に痛みのみを与えることができる。
「とりあえず、お・し・お・き・ね」
彩音の指先からバチバチと放電するような音が発され、反射的に目を閉じて体をこわばらせてしまったその時、
「何やってるの!!」
鋭い声が割って入った。
さすがに入学式から騒ぎを起こすとまずいと思ったのか、彩音は声の主を恨みがましく睨みつけた後、自分のかばんを奪い取ると、フンッと不機嫌な様子で校舎に向かっていった。いまだに体の震えが止まらず、心臓が跳ねていたが、それは恐怖だけによるものではなかった。
私の心には小さな達成感が芽生えていた。誰かの介入があったとはいえ、初めて彩音に反抗し、言うことを聞かなかったのだ。先ほどまでの恐怖と湧き上がる達成感が混ざり、茫然としている自分に、先ほどの声の主が話しかけてきた。その声色は先ほどとは違い、私を気遣うやさしさで溢れていた。
「大丈夫だった?やっぱり中等部に上がった解放感か、能力を使いたくてしょうがない子はいるらしいけど、初日から人に向けようとするなんて……。」
足に力が入らなくなってしまい、しゃがみこんだ私を優しく支えながら、彼女は私にケガがないか確認をしている。
日に焼けたのだろうか、茶色がかかった黒いショートヘアをピンでとめ、着慣れた様子で制服を着こんでいる彼女はきっと先輩だろうか。
よく見れば、左手には「保安」と書かれた腕章がつけられており、胸元につけられた名札には「2-A」と書かれたバッジがつけられている。
「も、もう大丈夫です……。すみませんでした。」
何とか立てるようにまで回復した足に鞭を入れてよろよろと立ち上がる。
「いきなりあんなことになるなんて災難だったね。今日はせっかくの入学式なんだから、君も気を付けるんだよ。じゃ、ボクはこれで。」
そういってその先輩は快活な笑みを向けたあと、くるりと校舎のほうに歩きだした。2,3歩歩いたところで思い出したように振り返り、朗らかな笑顔とともにつづけた。
「ボクは中村 帆花。君の1年上の先輩で、保安委員長を務めてるよ!困ったことがあったら何でも相談してね。あと、入学おめでとう。ようこそ、白百合女学園中等部へ!」
中村 帆花(なかむら ほのか)
中等部2年
髪型:茶色に近い黒のショート。ストレートで、
前髪はピンで留めている。
体型:Aカップ。スレンダーなスポーツ体型。
(筋肉は適度についており、ガチガチではない。)
身長は平均的。
性格:明るく朗らか。正義感が強く、面倒見がいい。
少女趣味なところがある。
備考:ボ ク っ 子
本作のいじめられ役。
歴史設定とかはふーん程度に流して……。
次回から多分書きたいところが書けるようになる。