女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
2-26.らんまとアム姫
「ホント、そっくりだ……オレがいる」
「嘘……ホント、私にそっくり」
オレたちはベリーヌから連絡を受け、らんまに王女の影武者になってほしいと頼まれ、ベリーヌと共に海を渡り、このレムール王国へとやってきていた。影武者になるという事は王女とらんまがそっくりでなければ意味はない。らんまみたいに最高に可愛い娘が世の中に二人いるわけがないと危惧していたオレにベリーヌは「嘘だろ? というくらいにそっくりだから心配いらない」と言っていたが、まさか、これほどまでに似ているとは。
「ってか、髪の毛がおさげを結わいているか結わいていないのか違いしかないじゃないか。背丈も同じくらいだし」
「だから、言ったでしょ? ホントにそっくりだって」
「おぉー、これだけ似ていれば影武者も十分に務まる。アム姫の影武者となってくれ」
王の間でらんまそっくりのアム姫と対面したらんま。そこに居合わせた皆が驚くのも束の間、今回の影武者任務について、オレからレムール国王に早々に確かめた。
「それで、なぜにアム姫に影武者が必要になったのですか?自分としても必要な理由を明確に答えてもらわないと……」
らんま自身は姫の影武者として城で過ごせば、毎食、城の美味しい料理を食べれると望んで、ここまでやってきたのだが、危険がつきものであるわけで、オレはらんまの味方として確かめないといけなかった。
「それがだな……じつはワシは最近、夢占いにハマっておって、姫がなにものかに誘拐される夢を見たんじゃ」
「夢占い〜?!」
レムール国王の説明にオレとらんまが目を丸くして驚いた。そんな当たるわけもない夢占いに振り回されて、オレたちは、こんな遥々遠くの異国までやってきたのかと思うと、旅の疲れがどっと押し寄せてきた。
「それでは、皆にも紹介しよう、夢占い師のリムド。入ってきなさい」
青いベールに黒い服のいかにも占い師な風貌の女性が王の間に入ってきた。手には水晶を持ち、褐色の肌に紫の口紅が印象的な女性だ。年齢は20代後半〜30代前半くらいだろうか。オルレアン伯爵のところにシャドーを作り出した水晶を置いていったのはこいつか?
「私が行った夢占いの儀式は未来を予知する占い。姫がさらわれる夢を国王が見たのは5日前。もう、来たる未来がいつ訪れてもおかしくありません」
「というわけなんだ、ま、外れればなにも起きないわけだからさ、ぜひ、らんまちゃん頼むよ」
「ワシからもこのとおり、大事なひとり娘の姫なんじゃ」
ベリーヌとレムール国王が揃って、らんまに向けて、頭を下げて懇願している。
「べつにオレはかまわねーぜ、そのかわり、3食昼寝付きな?」
「おい、らんま…!」
しかし、もしも拐われる事態が起きたとしても、この箱入り姫様よりらんまのほうが、いざというときに誘拐犯の1人くらい、ボコボコにできるだろうとはオレも思った。
「そうか、そうか! それじゃ、ぜひ、姫と入れ代わってください。ささ、あちらの部屋へ」
着ているドレスと服を交換するためにらんまとアム姫は王の間から一旦、出ていった。
さすがに姫様にらんまのビキニアーマーを着せるわけにはいかないので、今日はらんまも、この世界じゃ、一番の庶民服である旅人の服を着させてきた。王の間に残ったオレは国王や褐色の占い師リムドと談笑をはじめたが、たしかめたい事があったんだ
「リムドさん……少し聞きたいことがあるんですが」
「はい……なんでしょう」
「数週間前にオルレアン伯爵の屋敷へ訪れたのはあなたですか?」
「…………」
「あなたが置いていった水晶からモンスターが作り出されてしまったんですよ」
「さて、なんの話でしょうか……人違いでは?」
この占い師じゃなかったのか。オルレアン伯爵のところで名前や特徴も聞いておけば良かったな。
「それじゃ、オレもなにかリムドさんに占ってもらおっかな」
「ふふ……べつにかまいませんが? 過去と未来、どちらを占ってあげましょう」
「そうだな……それじゃ過去を占ってみてください」
リムドは水晶を輝かせながら、占いをはじめた。夢占いだから、オレも寝ないといけないのかと思ったが、夢占い以外もいけるようだ。水晶の中にはなにも見えなかったが、リムドの目にはハッキリと見えたらしい。視線が水晶の中を動く。
「わかりました……指輪、女性の手、コーヒーが見えます」
えっ、オレがらんまに指輪をあげたのは、ここにいるベリーヌはおろか、店の常連客の一部の人しか知らないのに。占い師リムドの言葉に怖くなったオレが会話を切り上げようとした、そのとき、王の間の外から、らんまの悲鳴が聞こえた。
「うぎゃぁ〜~~~~~っ」
オレは急いで王の間から飛び出て、らんまの悲鳴が聞こえる部屋を探した。
扉を開けるとそこには鉄のコルセットを締められていたらんまがいた。白いガーターストッキングと女性モノのパンティも着けている。
「らんま! 大丈夫かって着替え中?! あ、すいません」
アム姫はすでに旅人の服への着替えを完了しており、らんまがこれからドレスを着る前だった。
「ノンノンノン! なんてお下品な悲鳴ざんしょ」
「なんでぃい、これはぁああっ?!」
「鉄のコルセットざんす」
金髪の教育係りのメガネのオバサンがらんまに鉄のコルセットを着替えさせ終われば、さっきまでアム姫が着ていたドレスを着せた。二人を連れて、王の間に戻り、最後にらんまがおさげ髪をほどき、アム姫がおさげを結わいた。
「入れ替わり完了っと」
「…………」
アム姫は身代わりを立てることに気が乗っていないのか、気まずそうに下を向いて口は閉じたままだった。
「それで、影武者になっている時期はどれくらいですか?」
「6日くらいを目処で良いかと……」
国王のかわりに占い師リムドが決めた。オマエが決めるなとでも言いたかったが、ひとまず6日間というのはオレも悪くない期間だと思った。
「それじゃ、らんま。6日後な?くれぐれも気つけろよ」
「アム姫も気をつけて。男は狼だからな」
「誰が狼だ!」
6日後に、また、この王の間に来るという事でオレはらんまに入れ替わったアム姫の護衛としてレムール国の隣町でアム姫と滞在する事となった。