女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
なにをするわけでもなく、レムール国の隣町の宿屋にじっと滞在して、入れ替わり初日の夜が過ぎようとしていた。
コンコンッ。
「あの……ちょっと良いですか? お話しさせても」
アム姫だ。オレは部屋のドアを開けてアム姫を招き入れた。
「どうぞ、お入りください、どうしました?」
しかし、見れば見るほど、らんまにそっくりだ。らんまが頭でも打って、性格が180度変わり、女らしくなった状態にしか見えなかった。他人の空似というより、一卵性の双子くらい似てる。
「少し眠れなくて……おしゃべりさせてもらってもよろしいですか?」
「べつに自分ならかまわないですよ」
「らんまさんが着替えているときにおっしゃっていました。達也に任せておけば大丈夫だって」
「えっ……?」
「アイツはスケベなところあるけど、いざというときには頼りになるから、安心して、オレになっててくれって」
らんまのやつ、着替えているときにそんな事を喋っていたのか。
「達也さんとらんまさんは、ご結婚なさってるんですよね。私と同じくらいの年なのにすごいですね、もう将来を決めた相手がいるんだから」
「あ……いや、それは、まぁ、その……」
なんて言えばいいのか、答えに困った。結婚は二人の意思だったが、たしかにオレたちはまだ、若い。未成年の16歳同土だし。
「自由な恋愛って羨ましいですね……私もらんまさんみたいに自由に生きてみたい」
誰もが羨むようなプリンセス定番の悩みに聞こえたが、オレはアム姫の声が泣いているようにも聞こえた。誰もが羨むようなプリンセスも、あの国王(父親)の様子じゃ、言葉どおり籠の中の鳥だろうし。
「あの……こんな時間ですけど、宿の外に連れていってくれませんか?」
「えっ……?今から」
「だって、窓の外だと、賑わっているようですよね。こういうところに泊まるのも初めてなので」
窓の外では酔っ払いの冒険者や街の人らが楽しく過ごしている。
付き添いの人らの許可を取れないから、オレに相談しに来たのだろう。
オレは考えたが、まぁ、街の外に出なければいいし。いざとなれば、全力で守るか。
「それじゃ、ちょっとだけ、夜遊びにでも行きますか?」
オレはアム姫の手を引っ張って、宿屋の外へ出た。オレンジ色のランプが照らす夜の街を歩く。どこの店も賑わっている。オレはあえて、一番賑わっている店に入っていった。もちろん、この街ははじめてなので、馴染みの店ではないが、まるで行きつけの常連客のように振る舞った。
チーズとぶどうジュースを頼み、アム姫が待つ丸テーブルへと運ぶ。
「チーズは食べたことあります?」
オレはチーズを口に放り込み、それをぶどうジュースで流し込んだ。はしたなく食べるオレを見てアム姫が子供のようにあどけなく笑った。オレは行儀悪いほうではなかったのだけど、いつもらんまといるから、らんまの行儀悪さがうつってしまったのかもしれない。
「チーズくらい食べたことありますよ、箱入り娘だと思わないでください」
姫もオレと同じようにチーズをぶどうジュースで流し込んだ。オレたちが、しばし夜の酒場で話こんでいると、定番の「よぉ、兄ちゃん、可愛い娘連れてるじゃないか、オレと遊ぼうぜ」が現れた。キっとオレが睨みかえすと酔っ払っているのか、つっかかってきた。