女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
退屈な1日が過ぎるのかなと思いきや、2日目はアム姫が森を散歩したいとか、乗馬がしたいとか言い出して、護衛のオレはそれに付き添っていた。夕食は料理をしたいと言いだすもんだから、宿屋のキッチンを借りて、ベリーヌも招いて、アム姫のディナーを開いた。
チキンを中心とした料理がズラっと宿屋一階ロビー横の長テーブルに並ぶ。宴用の大皿に迫力十分に乗っているのは、こんがり焼かれて焦げ目がついた、大きめの鳥腿肉が5本。その上からは肉汁を使った味付けのタレと黒胡椒がたんまりとかけられている。サイドメニューは海藻類のサラダ。パンも焼きたてで柔らかい。
絶妙の焼き加減のお陰で脂が程よく抜けて熱々の肉汁が溢れんばかりに含まれた、丸々と太った柔らかな肉。香ばしい匂いが鼻腔の奥をくすぐる。肉から零れた肉汁を使った味付けにピリ辛の胡椒。その3つが肉の上に美味さが舌から頭まで抜ける。
「姫って、こんなに料理がお上手なんですね、たまげた」
「毎日、城の中にいるので、料理くらいしか趣味はなくて。でも、城の執事やメイド、騎士団の人らに振る舞うのはよくしているので」
たしかに、これはお嬢様の趣味というよりも肉体労働の衛兵たちの腹を満たすほどにボリューミィな料理。当然、オレもご馳走になった。
デザートはオレが振る舞った。港町ソイツェストの人気?喫茶店PANDの特別出張サービスという事で、そこにいた全員分のチョコバナナパフェを宿屋の厨房を借りて作った。
チョコバナナパフェは、細長いタイプのパフェグラスに盛りつけた。てっぺんには白い生クリームを山のように波打たせ、上からチョコレートソースをかける。生クリーム横には斜めに輪切りにしたバナナが3つが刺さっている。まずはそのてっぺんを一口。アム姫がスプーンで口に運んだ。
「んぅ、美味しい。なんですか、この。生クリームは甘すぎずさっぱりしてて、チョコレートソースは甘い。それらがふわっと口の中で溶けます。このバナナは柔らかく、ほどよく熟しています」
見事なまでの食レポっぷりに恥ずかしがったがオレは照れを隠して、パフェを作った経緯を説明した。
「これ、らんまが元の世界…あ、いや、昔いた街で好きだったメニューなんです。それを食べたいと言ったものだから、各地から材料を取り寄せて作ってみたんです。あ、今日は材料はいつも使っている材料とはちょっと違ったけど。良かったら、港町ソイツェストで喫茶店をやっているので来てくださいって姫だと、そうそうに城は抜け出せないか」
「あ…いえ、こんな美味しいパフェが食べれるのでしたら、ぜひ、行かせてもらいます。ソイツェストには行ったことないのですが、船が毎日、何十隻も往来する港町なんですよね。私、海も見たことないので」
レムール国は地図上でも大陸の真ん中に位置し、山脈に囲まれた国だ。城の外をちょっと散歩にと海に行ける距離でもない。アム姫にとっては、今回の入れ替わりの期間はこれまで経験した事のない事や知る事のなかった知識に触れられて、けっこう有意義だったのかもしれないな。
その夜の宴は宿屋の店主や従業員、ベリーヌと、姫の付き人たちと多いに盛り上がった。ベリーヌは勇者の血なのか、かなりの酒豪だった。楽しく盛り上がった宴だったが、やっぱり、ここにらんまもいてほしいと思うオレだった。
(今ごろ、なにしてるかな……らんま)