※この作品はR-18です。

女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き   作:RNOVEL

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第二部・カップル対抗二人三脚レース編
2-35.太陽の街


 喫茶PANDの新メニューを作るにあたって、オレたちは太陽の街・チッタソラーレまで再び、足を運んでいた。チッタソラーレは祭り好きな街で元の世界でいえば、南ヨーロッパのような雰囲気の街だ。商業も盛んで果実の露天売りも賑わっていた事を思い出して、仕入先を探すためにやってきたというわけだ。

 

「この街はホント、いつ来ても祭りって感じだよな」

「だなー、美味そうなフルーツもいっぱいで、オレぇ……ヨダレでちまうよぉ」

 

 言う前からヨダレを垂らしながら歩くらんま。こういうところは元男の性格というか、食に恵まれなかった修行時代を引きずってしまっているせいなのだろうか。

 

 露天には赤や黄色、様々な果実や野菜がずらっと並んでいた。その色の発色具合から、この地域で取れる果実は甘くて美味しいという事は食べずにもわかるくらいだ。チェリーとかも実が大きい。

 

 この街に卸している農家から直接、仕入れられれば、言う事ないのだが、喫茶PANDのように二人で切り盛りしている規模の小さな店だと卸業者と契約したほうが船便とかも使えて、結果的に安く済みそうだなと算段した。

 

「んでさ、新メニューはどうするか決めたか?オレはさ、苺パフェがいいと思うんだよな〜、ここでいろんな種類の苺を仕入れてさ、ピンク色のスポンジケーキと合わせたら、絶対に美味いと思うんだよな〜」

 

 新メニューは最低1つを作る事にしていた。そのメニューは、この街に来てから果実の出来具合を見てから決める事になっていた。らんまは新メニューに苺パフェを望んだが、オレは果実屋や露天を見て回った結果、マンゴーパフェこそが、新メニューに相応しいと思った。

 

「いや、マンゴーパフェのほうがいいと思うぜ? 見ろよ、このマンゴー。まるで太陽のように黄色く輝く黄金のマンゴーだ。『太陽の街・チッタソラーレから直輸入のマンゴーを使った太陽パフェ』というキャチコピーも使えるし、大ヒット間違いなしだ。そうやって街の名前も入れれば、あえて、こっちから船でもうちの店にくるお客さんも増えるかもしれないぞ、だから、マンゴーを中心としたパフェを作るべきだ」

 

「はぁ〜? 達也、ホントわかってないなぁー、だいたい、うちの店は男ばかりだろ?」

「それはそうだけどさ……」

 

 いつもの喫茶PANDの様子を思い浮かべた。実際、うちの店はウェイトレスのらんま目当てで来る男性客がほとんどだ。女性は近所のオバチャンや小さい女の子とかで、たしかに若い娘はあまりこない。そりゃ、月に1度のバニーガール・デイとかいって、らんまにバニーガールのコスチュームで接客させてれば、男性客ばかりになるか。

 

「女性の客の心を使うためには味も甘くて美味しくて、見た目はそれ以上に可愛い美味しそうに見える苺パフェが新メニューに絶対するべき。その名も『美濃娘のプレミアムストロベリー贅沢パフェ』これで決まりな?意義は認めない。だいたい、達也は女心がわからねぇから、仕方ないか。はっははは♪」

 

「おいおい、らんま。オマエ、いつから女心がわかるようになったんだよ?つい一年前までは半分男だったくせに。そっかそっか、オレに何度も抱かれたから、完璧な女になっちまったんだな。でも、まだまだ、わかってない。女子こそ、マンゴーを使った太陽パフェで決まりだ。マンゴーにはコラーゲン繊維がたっぷり含まれてるから、弾力やツヤのある美肌を保つ効果が期待できるんだぜ?だから、マンゴーパフェで決まりだ」

 

「うるせー。苺パフェだって、ビタミンC含まれてて、美容にいいだろ!アホ」

「今までも言おうと思ってたけどさ、勉強が苦手ならんまにアホとかバカとか言われたくないんだよ、マンゴーパフェ食べれば、らんまももっと賢くなれると思うぜ?」

「黙れ、ど変態!バカ!アホ!苺パフェだ、ぜーーーったいに!」

「はぁ?変態はらんまもだろうが。マンゴーパフェ!」

「断然、苺パフェ!絶対に絶対に絶対に絶対に譲らねーぞ」

「いんや、マンゴーパフェ!」

 

 オレたちがチッタソラーレの路上で痴話喧嘩をしていると、周りのカップルたちからクスクスと笑われたはじめた。よく見ると、周りはカップルだらけだ。オレたちくらいの年齢のカップルもいれば、もうすこし上のカップルもいる。

 

「うふふふ、あの娘たち、あんなんで二人三脚レースに出場するつもりなのかしら? 喧嘩ばっかしちゃって」

「出場したら、びりっけつ間違いなしね、ふふふ♪」

「あーあ、彼氏のほうもあんな可愛い娘なら、もっと大事にしてあげなきゃ。まるで男友達同士みたいだよな。エスコートしてあげなきゃ」

「そうよ、そうよ。それに、女の子のほうもなに、あのおさげ髪、ダサイわねー、ふふふ」

 

 オレたちの痴話喧嘩がカップルたちの嘲笑の餌食となってしまっていた。こんなときに食ってかかるのはらんまのほうだった。

 

「なんだとぉ? オレたちがめちゃくちゃラブラブなのを知らないくせに」

 

 いざ、らんまにラブラブだと公然に言われるとホント恥ずかしい。そりゃ、毎晩、愛し合ってるけどさ。

 

「それに、なんだよ、二人三脚レースって」

「これよ、これこれ。あなたたち、カップルだから、てっきりレースに参加するためにチッタソラーレに来たと思ってたんだけど」

 

 カップルのひとりの女性からチラシを渡されると、そこには『カップル対抗!チキチキ・二人三脚障害レース』という文字とカップルが二人三脚で走るイラストが描かれていた。商品はというと『チッタソラーレの果実・1年分を自宅へお届け!』と記載されている。

 

「らんま、これ……」

 

「よっしゃ、これに出場するぞ。優勝して苺パフェを作るんだからな」

 

「まーだ、言ってるのかよ。マンゴーパフェだ」

 

 また、オレたちが痴話喧嘩を続けていると、周りのカップルたちの姿はすでになく、受付の行列へと並びだしていた。オレとらんまもその行列に並ぶ。すでに50組以上のカップルが並んでいて、オレたちは最後尾に並んだので、待つ事、数時間。ようやくエントリーの順番がまわってきた。

 

「それでは、次のカップル」

「あ、はい……港町ソイツェストから来ました達也とらんまです」

 

 オレが自己紹介をして、この世界での身分証としても使える『ソイツェストでの営業許可証』を見せ、エントリーシートに書き込みはじめる。

 

 エントリーシートには相手の好きなところや直してほしいところ、普段の二人の趣味など、様々な項目の欄があった。らんまの好きなところを「おっぱい」なんて書いたら、この受付の人らにも引かれるだろうから「元気で明るいところ」と書いておいた。

 

 エントリーシートを記入している間にらんまが、道ゆくカップルに話しかけられていた。

 

「ちょっと、そのおさげ髪を結わいているアクセサリを見せてくれる?」

「ん? べつにかまわねーけど」

 

【挿絵表示】

 

 らんまに話しかけてきたのは透き通るような白い肌の長身女性。緑色の洒落た服に、耳まで隠れるほどの大きな帽子から伸びた金髪からは良い匂いがしそうなほどの美人だ。切れ長の目が印象的だ。

 

 当然、ここにいるという事は彼氏持ちなわけで、後ろにいる彼氏は見るからに気難しそうな無口そうな男で、かしの杖を携えている。術使いだろうか。

 

【挿絵表示】

 

「このアクセサリを見てくれる?」

「…………」

 無口そうな男は無言でらんまのおさげ髪のアクセサリを見つめた。気安く触ってきたのでオレは、おさげ髪を持った男の手を払った。

 

「このアクセサリは、とても大事なものなので、あまり触らないでくれますか?」

「…………大事なもの……すまない」

 

 オレが気まずそうな空気を作ったのがまずかったのか。長身の美人彼女が明るい笑顔で場の空気を和らげた。

 

「ごめんね、この人はちょっと無骨なところあって。あなたたちも、このレースに参加するのね。じゃ、私たちもこのレースに参加しようかしら。ね?いいわよね」

 

「うむ……私はあまりこういうのは得意ではないが」

 

 うわ、こいつ、自分のことを私って言ってる。オレたちよりも、すこし年上くらいの風貌なのにずいぶんとおっさんくさいんだな。

 

 オレたちがそうやって話している間に受付のお姉さんがエントリーを急かした。

 

「あなたたち、エントリーするなら、はやくシートに記入してください。まもなくレースは始まってしまいますよ」

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