女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
「エルフ……?」
パラムの長く伸びたエルフ耳に一同がざわつき、試合が中断される。絶滅したはずと噂されたエルフがそこにいたからだ。顔を背けるパラムにカイが近寄る。
「パラム、どうする。だから私はこんな試合には出たくはなかったんだ、パラムを好奇の目に晒したくはない」
「……試合は続けるわ、この子たちの強さをもっと知りたい」
リングアナが余計な事というか、必要のない情報を話し始める。
『パラム選手、なんと、数十年前に絶滅したといわれるエルフでした。も、もちろん、この大会にはエルフや人間以外の種族が参加してはいけない規程はございませんが……』
「エルフって絶滅したはずの種族だったんだよな」
「あの耳に金髪に碧眼、言い伝えのエルフと同じだ」
「ってか、パラムさん、めちゃくちゃ美人!」
パラムの姿にざわついたギャラリーに対して声をあげたのは、らんまだった。
「おいおい、オマエたち、みんな、なんなんだよ!エルフで珍しいからってなんだよ。そんなことどーでもいいことだろ。せっかくの試合を中断させやがって。オレは試合がしたいんだ。この二人、めちゃくちゃ強かったろ?みんな、もっと試合見たいか?見たいなら、拍手してくれ」
「ら……らんま」
再び、会場がらんまの声に静まり返った後、拍手と大歓声が巻き起こった。
「そうだ!そうだ!らんまちゃんの言うとおり、すげえ試合を見せてくれてるんだ、もっと見せてくれ」
「絶滅した種族の生き残りがいたって不思議じゃない、こんな美人エルフさんを見れて、オレは幸せだ」
「後ろの彼氏の呪文もすげえぞ、もっとすごい試合見せてくれ」
らんま、すごい。たしかに好奇の目で見られてたのは元の世界で呪溺泉の呪いで女になったり男に戻ったりしたらんまもそうだったのかもしれないな。
「…………そう、私はなにを隠そうエルフの唯一の生き残り、パラム・ラ・トゥール・ドーヴェルニュだ」
「パラム・ラ・トゥール・ドーヴェルニュっていえば、言い伝えにある100年以上前に勇者と魔王を倒したっていう伝説の魔法剣士じゃないか、すっげえー!」
ギャラリーの初老の男が、そう叫べば、大盛り上がりのギャラリーたち。
「長ったらしい名前だけど、オレ、パラム、あんたの事嫌いじゃないぜ」
「ふふ、私もあなたみたいな元気な娘は大好きよ、らんま」
パラムとらんまが顔を見合わせ、ニカっと笑った。
『そ、それでは、思わぬアクシデント?いえ、伝説の魔法剣士の登場で中断してしまいましたが、試合再開します。』
リングアナの呼びかけで、再びゴングが鳴った。
試合が再開すると、オレたちに聞こえないように口元を手で隠し、パラムとカイが作戦の打ち合わせをしているようだった。
パラムが打ち合わせを終えるとオレたちの前で剣を構えた。
「オーラソードとか言ったわね、それに似たのは私もできるわ。はぁああ!」
オレのオーラソードによく似た色の長剣を左手から出し。実際の右手の長剣と二刀流となったパラム。攻撃を再開してきた。オレの剣を左手の剣で、らんまの棍を右手の剣でいなしていく。
一方、カイはなにやら、念じているようだった。詠唱に時間のかかる魔法かもしれない。
「でぇえやぁあ!」
「たぁああ!うおりゃぁああ」
オレたちは延々、力任せにパラムを攻撃するだけで剣技に長けたパラムにはなかなか、有効なダメージを与えられていない。むしろ、ヘルメットをしていたときよりも今のほうが反応速度があがっているようだ。
「ふふふ、修行が足りないわ。そんなんじゃ、まだまだ、伝説の勇者には及ばないわね」
「なんだとぉーー!」
「カイ、どう?」
「もう少しだ……もう、間もなく、よし、いける…インクレース…リメント…アディショ…リディンラ…リメント…アディショ…インクレース…リディンラ…魔法防御無効化範囲発動!」
カイの呪文発動後に四角いリングが光りはじめた。
「私も全盛期からずいぶんと落ちたものだ。そろそろ魔力が尽きそうだ……最後の攻撃だ、パラム!らんま、達也に見せてあげましょう、大賢者と魔法剣士の大技を!」
カイが両手を高く掲げると、快晴だった空に暗雲を呼び寄せた。黒い雲で会場が覆われた。街全体の気候が変わってしまったようだ。
「……この技も久しく使っていなかったが、人間相手にこの技を使う日がくるなんておもわなかった…ディアナ・スカイ・ボルティカ・サンドラ!雷鳴撃呪文ライトニング・サンダーストーム!」
カイが呪文を唱え終えるとパラムが振りかざした剣に無数の雷が落ちていく。パラムの剣を中心に光り輝く。
「この魔法剣は直撃だと、かなり危ないわ。避けるのよ…魔法剣士最大奥義!雷鳴剣・極!」
「魔法攻撃なら、オレのあぶない水着で無効化だー」
「らんま、ダメだ。おそらく、カイはこのリング上の魔法防御を無効化にしているはず、オレが受け止める」
こんな事なら、聖剣を持ってくるべきだったぜ。オレは鋼の剣をリングに捨て、右手からオーラソードを出した。
「オーラソード全開!」
オレのオーラソードと暗雲から雷鳴を受け取ったパラムの剣が打ち合った。エネルギーが打ち消しあうどころか共鳴して今にも爆発しそうなほどにぶつかり合った。空中に浮遊したパラムと巨大な剣同土で鍔迫り合いが起きている。
で、でも、これだけのエネルギーなら!
「らんまぁあ!!!」
「任せろぉおお!!!」
らんまが拳を腰にあて、オレの周りを円形に周りはじめた。しだいにその円は小さくなっていく。止まっている相手に螺旋のステップだ。失敗すれば命すら危険なカウンター技。
「いけるぞ!いくぞ!いくぞ!いくぞ!!いくぞ!達也、無差別格闘早乙女流奥義!」
「んおぉぉおーーぉおお!!達也奥義!」
オレは空いている左手で拳を作り、らんまと共に振り上げた。
「双竜昇天波ぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!」
雷鳴剣を打ち返して、パラムの身体が双竜昇天波で作られた竜巻によって上空に飛ばされていく。
「なんだ、この技は、見たことも聞いたこともない……!」
リング外に向かって、飛んでいったパラムの身体を、落ちる寸前でカイが呪文で静止した。
「…………まいった。私たちの負けだ」
『勝負は決まりました! 優勝者は達也&らんまチーム』
「へへへへ……やったな、達也……」
「やったぜ……でも、ほんと、ギリギリだったな」
「うはー!なんちゅう試合してくれたんだ、両カップルとも」
「今日、このチッタソラーレに来てよかった」
「あの子たち、すごいじゃない。あんな人間離れした決勝戦じゃ誰もでれないわよ」
「らんまちゃんもパラムさんも可愛かった、美人だったー、ファンクラブあったら入りたい!」
オレたちは倒れこんだ身体をお互いに起こしあい、拍手喝采の中、表彰された。試合が終わった後には、カイとパラムの姿はそこにはなかった。
そうして、『カップル対抗!二人三脚障害レースの決勝戦』は幕を閉じた。