※この作品はR-18です。

女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き   作:RNOVEL

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2-43.真実

 カイがゆっくりと話はじめる。まるで、これまで誰にも言ってこなかった事実を話すように。

 

「『年の数茸』を食べて、私は若返りを繰り返した。パラムのほうはエルフだ。エルフは寿命が長いから、100年経っても姿はそう変わらない」

 

 『年の数茸』それは食べた大きさによって年齢が変わるキノコ。5センチのサイズを食べれば5歳に、10センチのサイズを食べれば10歳の年齢の姿に変わる。元に戻るには本来の年齢のサイズを食べるしかないというキノコだ。

 

 カイの年齢は20歳程度だろうから、20センチ程度の年の数茸を食べて、若返りを繰り返していたという事だろうか。

 

 深い事情がありそうだと、オレたちは椅子に腰掛け、カイの言葉を聞き入った。

 

「勇者アレルと魔王を討伐した後、アレルはヤオと結ばれ、国を築いた。それはキミたちもご存知のとおり、ベリーヌが統治するところだ。ま、今は国という体制は取っていないがね。私とパラムは人間とエルフ。人間たちの噂だおおり、エルフはパラムが最後の生き残りだ。そんなエルフとの夫婦など認められない世界だからこそ、私たちはこうして、静かに暮らしてきた」

 

「…………認められない世界?」

 

「そうだ。人間は勝手だ。魔王がいなくなれば、その後は強大な力を持ったものを疎ましく思う。さっきの戦いでもよくわかっただろ。人智を超えた存在を嫌う、それが人間だ。だからこそ、アレルは早々と勇者の力を封印した、今、らんまが付けている光の宝玉にな」

 

 らんまのおさげ髪についた光の宝玉がカイの言葉に反応するように光った。

 

「そして、アレルとヤオは魔力も腕力も持たない人間と変わらなく過ごした。まぁ、独立した国を建国したからこそ、そういった軋轢も防げたのだろう。だが、今、ベリーヌのところが国ではないように世界の中では勇者の末裔の力を押さえつけられている」

「なるほど……」

「そして、最後の生き残りであるエルフも魔王討伐後には要らない存在になったのだろう。パラムは人間たちに命を狙われた、私は人間たちからパラムを守ったというわけだ」

 

 オレには遠い話のようだが、たしかに力を持った後、それが必要なくなった世界のとき、どうすればいいかは他人事ではない。

 

「でも…………私は長く生き過ぎた。元々長寿のエルフと違って人間で長年生きていると記憶の混濁が起きる。『年の数茸』で若返りを繰り返すには無理があった。そろそろ次の世代にバトンを渡していかなければいけない。私もパラムもキミたちが倒した魔王サキュバスの出現には関与しなかったのも事実なわけだし」

 

「そんなこと言わないでよ……カイ、あなたがいなかったら私はもう……」

 

【挿絵表示】

 

 パラムがカイの服を掴み、うなだれた。冷静な二人の間には誰にもわかりえない絆があるのだろう。そうだ、オレだってもしも、二人のようだったら年の数茸を食べて、若返りを繰り返すかもしれない。

 

「そうだったのか。じゃあ、達也がアマゾネスへ行ったときの『年の数茸』はカイがベリーヌに渡したものだったんだな」

 

 らんまと『年の数茸』を使って、アマゾネスの島に潜入したときの話をカイとパラムに話した。

 

「そうか、あのときベリーヌがしつこく『年の数茸』を欲しがったのはキミたちに使わせるためだったのだな」

 

 カイはそれ以上、年の数茸の使い道に聞いてこなくて、オレは胸を撫で下ろした。

 

「まぁ、ここまで話せば、お互いのこと、よくわかったわよね」

「えぇ、まぁ……」

「それじゃ、未来のことを話しましょう、暗くなってごめんね」

 

 オレはなにも隠さずにパラムとカイに魔道士ゼノリスのことを話した。占い師リムドに化けて、世界各地に現れて混乱させていたことも。カイがアム姫の魔法の師匠だという事も教えてくれた。なんでも、アム姫が2歳の頃から教えていたらしい。

 

「ゼノリス、山羊の仮面の魔道士か……心あたりはないな」

「そのさ、100年前の魔王ってどんなやつだったんだ?」

 

 たいして年は変わらない見た目だが、実年齢は100歳以上の偉大な賢者様にもタメ語で喋れるらんまっていったい。無礼じゃないかとこっちは少しヒヤヒヤする。

 

「全身が甲殻に覆われていて、ガイコツのような面よ」

「サキュバスが魔王の力を手に入れてもたいして、見た目は大きく変わらなかった。だとすると、ゼノリスはいったいなにものなんだろうか」

「まぁ……どういう相手だろうと、戦うことになれば倒さざるは得まい。そして、決戦は近いかもしれない」

 

 オレたちはカイの言葉に身を引き締めた。

 

「どっちにしろ、聖剣エクスカリバーは達也が持っていたほうがいいだろう」

 

 またしても、カイは魔法陣を描き、どこでもドアならぬ、どこでもゲートを開きはじめた。

 

「いっひゃぁー、便利な魔法だな、これでソイツェストにも帰らせてもらえるのかな」

「これは一度、行った場所なら、どこへでも行ける。事が済めば、どこへでも私が送ろう」

 

 カイがゲートを開くと、そこにパラムが入り、聖剣エクスカリバーを持ったベリーヌを連れてきた。

 

「あらあら、皆さん、お揃いで。なにも僕はこの剣を達也くんに渡さないわけではないんだよ、でも、この剣がないとベリーヌ家の威厳がね」

 

 ベリーヌから聖剣エクスカリバーを渡され、オレは腰に携えた。

 

「ベリーヌ。二人と知り合いなら、はやく紹介しておいてくださいよ」

 

「……まぁ、多少、事情があってね。魔王島への突入に失敗したら、二人には救援を要請しようとは思っていたんだよ」

 

「それから、ソイツェストのオレたちの家の地下にも神斧ラブリュスと神獣のツメ、ロンギヌスの槍、ゴッドロッドが保管してあります」

 

「んふふふふ♪」

 

 パラムがなぜか、笑いをこらえだした。オレ、なにか変な事言ったかなときょとんとしていると。

 

「ほらほら、はやく、ちゃんと話してよ、カイ」

 

「うむ……そのゴッドロッドはね、じつは偽物なんだ、本物はこちらなんだ……」

 

 カイが手に持ったかしの杖をトントンと地面にたたきつけた。

 

「えっ?!ゴッドロッドが偽物だってぇ?でも、八宝斎やアム姫は十分に魔力をあげていた」

「まぁ、偽物といっても、粗悪品ではない。しっかり私が作ったものだからね、ゴッドロッドほどではないが、かなり魔力の効果は高めるようには造ってある」

 

 た、たしかに、八宝斎のゴッドロッドをオレが割ったこともある。なんだよ、偽物だったのかよ。

 

「オレのロンギヌスの槍と神獣のツメは本物……だよな?」

 

 不安そうにらんまがマイ武器を心配はじめる。

 

「さぁ、どうかしらぁ?ふふ」

 

「こら、パラム……。安心したまえ本物だ。そして、神器はもうひとつある。パラムが持つダモクレスの長剣だ。神器は5つと世界では噂されていたはずだが、本当は6つだ」

 

「ひひゃぁー、騙すのがうまい二人だぜ」

 

 素直に神器の真実の種類を教えてくれて、オレは安堵した。

 

「それから、もしも、なにかあったときには、この山笛を吹いてくれたまえ。特殊な魔力を放ち、遠くにいても私が察知できる。すぐに、転移魔法で駆けつけるよ。これからは共に戦おう」

 

「もう、雲隠れは許さねーぜ♪」

「こら、らんま」

 

 その後、オレたちはソイツェストの自宅にどこでもドア(転移魔法)で送ってもらった。

 

 パラムとカイの二人には送ってもらった御礼にパフェを食べさせてあげたかったが、二人はソイツェストには足を運ばずにゲートを閉じた。

 

 パフェをご馳走するからと、この山笛を吹いて呼び出したら、さすがに怒られるよな。

 

◆◇◆カップル対抗二人三脚レース編—完—◆◇◆




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