女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
2-44☆.ダメージ測定
「「双竜昇天波ぁああああっ!」」
地下室に設置されたリングの上で裸のらんまと裸のオレが究極奥義・双竜昇天波の特訓を行なっていた。らんまが元の世界で会得した『飛龍昇天波』を応用したオレたちのコンビネーション技だ。
飛龍昇天波は元々、中国女傑族の奥義で、シャンプーの曾祖母コロンより伝授されたもので『熱くなっている相手』を螺旋のステップに誘導し、それによってできた熱い闘気の渦に自身の冷たい闘気を纏わせたスクリューアッパーを撃ちこむことで、相手の熱気と自分の冷気の温度差で上昇気流によって竜巻を巻き起こし相手を吹き飛ばす大技。威力は相手の強さ、即ち闘気によって変動し、相手が強ければ強い程に威力が上がる。すなわちカウンター技だ。
オレとらんまは砂漠のサンドワームとの戦いで、改良した飛龍昇天波を編み出した。
怒りの闘気も燃えるスケベ心も熱くなるのは同じという事でオレのスケベ心を高エネルギーとし、なおかつ、二人で飛龍昇天波を放つ事でその最大のエネルギーを2倍にして放つ超フィニッシュ技へとオレたちは完成させていた。それをオレたちは『双竜昇天波』と名付けた。
近いうちに訪れる魔道士ゼノリス率いる強力な魔王軍と対抗するために、オレとらんまはこの双竜昇天波の威力を底上げする特訓していたのであった。喫茶PANDの営業が終わる夕方頃から深夜にかけて、喫茶PANDの地下室、つまりは自宅の地下室で毎日、特訓を行なっていた。
しかし、思うように威力があがらない。
オレとらんまは焦りを感じていた。
「はぁはぁあぁ……はぁ…ダメだ、まだまだ、もう一回、いくぞ。達也」
「おう、わかった……」
今日だけでもう、何回、いや何十回、放っただろうか。あきらかにらんまとオレも集中力が落ち、疲労が蓄積していた。
地下室に設置したリングには特別な魔力で、双竜昇天波の凄まじい威力を吸収する的と地下室を破壊しないためのバリアを張っていた。的には双竜昇天波の威力を計算するダメージも浮かび上がるようになっている。簡単に言えば、ゲームで相手モンスターに与えたダメージが数字で出るのと同じ仕組みだ。その数値は9999が最大値としてある。オレとらんまは自分たちの技の威力を過信すぎていたのかもしれない。何十度行なっても、ダメージは良くて8000、エネルギーが少なかったり二人のタイミングが合わないと6000を下回ることも多かった。当然のようにオレたちは9999の数値を目標に特訓を行なっている。
「よっしゃ、いくぞ。うりゃ!」
らんまがバスローブを一度、羽織れば、それを脱ぎ捨てる。これはつまりは、戦闘時にらんまがビキニアーマーなり、そのとき着ている服を脱ぐことを想定している。らんまのおっぱいが剥き出しになれば、向かい合ったオレは右目をらんまの左乳首、左目をらんまの右乳首に注目する。
そして、乳に吸い付きたい、頬ずりしたい、ぱふぱふしたい、揉み回したい、飛び込みたいと煩悩とスケベ心を燃やす。
次にらんまが後ろ向きで螺旋のステップを開始。双竜昇天波も飛龍昇天波と同様に律儀に螺旋のステップで力を充満させなくても放つことはできるのだが、威力を絶大なものにするには螺旋のステップが必要である。後ろ向きに逃げるらんまを追いかけるオレ。
「らんまのオッパイ! らんまのオッパイ! らんまのオッパイ! らんまのオッパイ! らんまのオッパイ! らんまのオッパイ! らんまのオッパイ! らんまのオッパイ! らんまのオッパイ! らんまのオッパイ!」
もはやオレもプライドも羞恥心も捨て、変態おっぱい星人となり、追いかける。
らんまもらんまで、ギリギリに追いつかれない距離を保つ。なぜなら、途中で追いついてしまえば、燃えるスケベ心の闘気エネルギーがそこで発散されてしまうからだ。オレは舌を伸ばし、らんまの乳首との距離を縮める。その距離、数十センチ……数センチ……数ミリ。まさに寸止めの距離を保つ。少しでもらんまが逃げる速度が速ければ、燃えるスケベ心の熱気も下がってしまう。
「はぁはぁあぁ……はぁ……はぁはぁ、よし!いいぞ、今までで一番の距離感だ」
らんまのピンピンに固く突起した乳首にオレの伸ばした舌先が触れそうで触れない距離。本日最大の熱気がリング上に渦巻いていく。
そして、ここからが難しい。
このまま、らんまが昇天波を放ってしまうと、オレに当たってしまう。らんまの合図と共にオレが避けて、らんまに抱きついた後に、オレも一緒のタイミングで、熱い闘気の渦に自身の冷たい闘気を纏わせたスクリューアッパーを撃ちこまなければならないからだ。
「い、いいぞ、らんま!いまだ……!」
「おっし、らんま&達也、異世界ファンタジー愛の究極奥義ぃ!」
この後にオレがらんまに抱きつき、昇天波を放たねば、技は完遂できないのだが……。
「うっ……あ、まずい」
らんまの合図にオレの反応がワンテンポ遅れた。
「双竜昇天……、わ、達也!どけどけ!まずいぃーー 波ぁあああああああっ!」
反応が遅れ、避け損なったオレの顔面にらんまのスクリューアッパー(昇天波)がモロに入る。
―ドオグォオォオォオォオォオン!!!
「どわぁああーーっ!!?」
オレの身体が竜巻に巻き込まれ、リング上のバリアに打ち付けれた。全身の骨に折れそうなくらいに強力な打撃。瞬時にバーサクする暇もなく、オレの身体はドサッとリングに落ちた。
◆◇◆◇
「…………ふあっ!」
オレはリングの上で飛び起きるように目覚めた。らんまが心配そうな目をオレに向けていた。
「はぁ、良かった。一時はどうなることかとおもったぜ」
「らんま、ごめん……オレが避けるのが遅れたばかりに」
「な、なに言ってんだよ。こっちこそ、技を止められなくて……。その大丈夫か?モロに喰らわしちまったけどさ」
「あぁ、まぁ、なんとか大丈夫。急所は外れてみたいだしさ」
鍛えた身体であり、なおかつバリアにも多少のクッション効果があったおかげで全身に大ダメージは負わずに済んでいた。
「ホント、ごめんな。威力がなかなか上がらずに、何度も特訓に付き合わせちまってさ」
「なに言ってんだよ、らんま。この技はもう、らんまだけの技じゃないだろ?二人で編み出した技なんだ。オレだって、この技は手強い敵が現れたときのために必要だと思ったから特訓するって決めてんだからさ」
「…………達也」
互いに助け合いながら、どっちかが負けそうなときは、もう一方がポジティブに引っ張らないといけない。二人で下を向くわけにはいかないんだ。そう、今のオレとらんまは夫婦だから。
「しかし、この技はかなりの集中力と熱くなるスケベ心とタイミングが要されるな」
「なおかつ、戦闘中は相手も動くし……」
そう。サンドワームは動きが不規則だったが、なんとか螺旋のステップの最終到達ポイントにタイミングが合ったから放てた。もしくは、八宝斎と楽京斎のときは相手の動きを封じてから放った。
この双竜昇天波は動く相手にタイミングを合わせるか、もしくは、なんらかの方法で相手を止めなければならない。だからこそ、難易度SSランクであり、どれだけ威力も伸ばせる技でもあるのだ。
「あのさ、達也。オレと一緒に山籠りしないか?」
「らんまと一緒に山籠り?」
「あぁ、店を休んじまうのはしょうがないけどさ。いつものこの場所じゃなくて、場所も変えての特訓のほうが、なにかヒントが見つかるかもしれないとおもってさ」
「ま、店の臨時休業は喫茶PANDの代名詞みたいなもんだから、いいぜ。行こう」
◆◇◆◇
翌日から、オレたちは、グレス大陸の山奥へ特訓するために訪れていた。
ここはらんまの格闘新体操の特訓をしたところの場所でもある。ドワーフに作ってもらったリングと小屋を清掃し、リング上にバリアとダメージ測定を兼用する的を作り、そこで3日3晩、双竜昇天波の特訓だけを続けた。
「双竜昇天波ぁああああ!!」
最低限の食事だけで昼夜兼行の特訓を続けただけあって、4日目の夕方、ついにオレたちの双竜昇天波は最高スコアである9211ダメージを叩き出した。
的から浮かび上がった9211の数字にハイタッチで喜ぶオレとらんま。
「おぉ、ついに夢の9000台だ!やったな、達也」
「だな♪ 目標の9000ダメージにかなり近づいてきているな」
山籠りの成果がこうやって如実に現れると嬉しい。このダメージを測定する的や特訓用のフィールドバリアは勇者の特殊スキルであるから、先代の勇者たちもこの的とバリアを使って特訓していたのかもしれない。賢者カイが雷鳴撃呪文ライトニング・サンダーストームを放ち、魔法剣士パラムがその雷を剣に蓄え、繰り出すコンビネーション技『雷鳴剣・極』もどの程度のダメージが出ているのか気になるところだ。
「よっしゃ、この調子だ。9999ダメージ出すまでは、この山から帰れないぜ」
「その意気だ、らんま!どんどん行こうぜ」
山籠りする前の最大ダメージスコアは8000弱だったが、昨夜からは8500を下回ることはなくなっていた。
再び、バスローブを羽織り、双竜昇天波の前準備をはじめるらんま。
そのときだった。遠くから咆哮が聞こえた。
―グギャォオオオオオオン!
「なんだ、なんだ、今の雄叫びは?!」
「らんま!」
オレたちは急いで山小屋の屋根の上に飛び上がる。
小屋の上から山を見下ろすと、麓の村に火事が起きている。
慌てて、らんまはビキニアーマーを装着し、オレは旅人の服を着て、火事が起きている村のほうへと向かう。
「この鳴き声、イヤな予感するぜ……」
「……だな」
鳴き声の持ち主と火事が起きている村は同じ方向だった。