女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
「地底魔岩城だと……」
オレたちは、そのまま、ゆっくりとどんなトラップがあるのかと警戒しながら、岩溶けの洞窟を進んだ。八宝斎と戦った最深部には、前に来たときはなかった岩石でできた階段を降りていく。何十メートル降りただろうか。黒と紫の霧に覆われた道を通り抜け、階段を降りた先の大空洞には、魔王の城とそっくりの城が洞窟内にそびえ建っていた。
「これが、地底魔岩城か……」
「ゼノリスのやつ、こんな城を、こんなとこに作りやがって」
中が空洞の鎧兵2名に案内されて、オレたちは地底魔岩城の中に入っていく。そのまま、王の間まで通された。そこには憎っくき、魔道士ゼノリスが鎮座していた。
「へぇー、ゼノリス。ずいぶんと出世したじゃねーか。魔王の復活はやめて、オマエが魔王になったか」
「ふふふ……ようこそ、我が地底魔岩城へ。魔王の力を復活させずとも、私は強大な魔力とパワーを手に入れた。しかし、この世界を制圧するには、やはり勇者は邪魔だ。消えてもらおう」
「みんな……気をつけろ」
オレの合図でアムはゴッドロッドを手に持ち、パラムはダモクレスの長剣を鞘から抜いた。らんまはロンギヌスの槍を中国棒術の構えを取った。最後にオレも聖剣エクスカリバーをゼノリスへと向けた。
「達也とらんまが魔王サキュバスを倒してから、私は人間どもから恐怖エネルギーを集めてきた。人間だけではないモンスターからもだ。この世に生きるものは恐怖からは逃れられない。だが、私は下等生物とは違い、奪った恐怖を魔力とパワーに変えた。今こそ、見せよう……恐魔の力を」
ゼノリスの身体を包んでいたローブが剥がれ、山羊の仮面が黒く染まり、そこから黒い身体が生え変わり、白と黄金の装束が身を包んだ。背後には大きな黒翼が2対、生え、六芒星が山羊の仮面の額部分に浮かび上がった。
「四人同時にかかってくるが良い。100年前の魔王は4人のパーティに負けたらしいからな、私がその魔王よりも上である事を証明するためにも、まとめて殺してくれる」
余裕の素振りを見せるゼノリスに対して、オレたち4人は身動き取れなかった。これだけの口ぶりだ。相当な余裕があるのだろう。
らんまとパラムがアイコンタクトを取った。2人同時攻撃を仕掛けるつもりだ。オレとアムは後方から援護するように意思疎通した。
「魔法剣!フレイムソード」
「火中天津甘栗突きぃ!」
パラムがダモクレスの長剣に炎を宿した、その炎剣でゼノリスに斬りかかった。らんまは無差別格闘早乙女流槍術で多段攻撃を放っていく。
ゼノリスは片手でらんまの攻撃を受け止め、もう一方の手でパラムの魔法剣を受け止める。
「ふむふむ、この程度の魔法剣士か……まだまだ緩いな、ブリザードシグナル!」
指先で止められていたパラムの炎剣を一瞬で凍らせた。
「くっ……」
「先に言っておくが、私の魔法はすべて無詠唱だ」
「無詠唱なら、私だって……ウィンドウェーイブ!」
アムが風切りの刃を作り出し、それをゼノリスに放った。
「アム、挑発に乗るな」
「ほぉ、賢者カイの愛弟子はこれほどのものか」
ザギャンッ!
ゼノリスは避けずにアムが放った風切り刃を身体で受け止めた。
「そよ風の魔法か?はっはっはっは、私は最強……ほらほら、達也もかかってこい」
「アム、無詠唱なら威力が下がるのは当然……」
「はい……すいません」
「箱入りの王女が来るところではないぞ、ここは、ふふふ」
実力差が開きすぎている。どうりでゼノリスはオレだけではなく、3人もこの場に呼んだのだろう。
「それでは、こないなら、こちらから行かせてもらうぞ、私はオマエたちを殺したくてウズウズしているんだ。幻夢爆撃雷鳴放呪!」
ゼノリスが雷鳴呪文と爆撃呪文の2種類を同時に放ってきた。
オレたち4人は王の間の端に追いやられていく。
「はははは、雑魚雑魚雑魚。そうだな、勇者達也の技でも真似するか。オーラソード!」
ゼノリスは両腕に2本のオーラソードを作り出して、それでオレたちに斬りかかってきた。
「くっ……オーラシールド!」
オレは4人全員が隠れるほどのオーラシールドを作り出し、それを受け止める。
ゼノリスのオーラソードとオレのシールドがぶつかるたびにキャィン、キャインとレゾナンスの強い音が響いた。
不気味な笑い声をあげながら、何度もオーラシールドを破ろうとオーラソードを振ってくるゼノリス。
「アム!なにしてるの、はやくシールドに補助呪文を」
「はいっ!シールス・レイダ・グビ・トルクス……大盾強化補助魔法」
パラムの呼びかけの後に、アムが青白いバフ魔法を作り出した。オレのシールドを強化していった。
「軟弱な補助魔法だな、補助魔法だな。補助魔法はこうやるのだ、教えてやろう。双剣強化魔法」
ゼノリスのオーラソードの輝きが増し、オレのシールドに亀裂が入った。
「くっ……」
「らんまちゃん!ここにいても、時間の問題ね、もう一度、左右から攻撃しましょう」
「わかった、そうするしかねえ」
「二人とも、待って……!」
オレの制止も聞かずにパラムとらんまがシールドの中から飛び出していった。
「魔法剣士奥義・雷鳴剣!」
「飛竜降臨弾!」
パラムが剣を振るうと雷鳴の閃光がゼノリスに放たれた。らんまの両手から『気』が放たれる。
「小娘が……こざかしい小技を。己の技を喰らうが良い、リフレクション・反射呪文」
ゼノリスまで迫った雷鳴の閃光がパラムのほうへと、らんまの飛竜降臨弾がらんまのほうへと反射して、二人の身体を襲った。
「くぅっ……!」
パラムは咄嗟に雷鳴を剣で受け止めたが、数秒後にそこで被雷してしまった。
跳ね返された飛竜降臨弾はらんまの身体を吹き飛ばした。
被雷し、その場で崩れるパラム。壁に身体を打ち付けたらんま。
「脆い、脆いなぁ、人間は」
「くっそぉ……!」
オレはシールドを解除し、聖剣エクスカリバーでゼノリスに斬りかかった。ゼノリスのオーラソードと鍔迫り合いになる。
「これが、聖剣エクスカリバーか。銅の剣の間違いじゃないか。ふんぬ!」
力任せにゼノリスがオレの聖剣エクスカリバーに己のオーラソードをぶつけると、オレのエクスカリバーに亀裂が入った。
「な……なんで」
「だから、持ってくるものを間違えたのだろ? はははは、ふんっ」
聖剣エクスカリバーの刃は半分に折られ、王の間の床に突き刺さってしまった。
「くっそぉおー、ゼノリス、でも、まだまだ!」
オレはそれでも、オーラソードを作り出した。ゼノリスと同じように二本のオーラソードを作り出した。
二本のオーラソードがエネルギーの消費が速いのは知っている。だが、それはゼノリスだって同じはずだ。
「いいぞ、かかってこい。聖剣を失って、なにができる」
「覚悟だ!ゼノリス」
オレは二本のオーラソードでゼノリスと打ち合っていく。
カン!キャキン!!キャキン!!カキン!とオーラソード独特の音が響く
「私はこの世界の人間やモンスターに恐怖を与え、それが今、この私を形成する無限の魔力と無限のパワーを与えた。何人たりとも私に敵うわけがない、私が最強、私がこの世界の神となる」
「うるせぇ!ゼノリス、絶対にオマエの隙にはさせない」
「無駄だ、無駄だ。それと、私はオマエとらんまが嫌いだ。ただの繁殖行動に愛だの恋だの、大事だの大げさに。虫けらが……」
「くぅ…………そ、それがなんだって言うんだ」
オーラソードを打ち合いながら、オレはゼノリスと口論する。
「気に食わないと言っているのだ、この世界に必要なのは、この恐魔ゼノリスだけで良いのだ。愛と名付けられた繁殖行動も必要ない」
「くそおぉお…………ゼノリス……」
たしかにゼノリスの言う通り、今のゼノリスはオレたちの何倍もの強さを手にいれた。
そのとき、声が聞こえた。カイの声だ。
『達也……聞こえるか、私だ……カイだ。』