※この作品はR-18です。

女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き   作:RNOVEL

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2-52.アイノチカラ

「達也…………」

 

【挿絵表示】

 

「えっ…………」

 

 入り口のところにらんまがいた。

 

「どこにいたんだよ、ずっと探してたんだぞ」

 

「らんまこそ、どこにいたんだよ、天道あかねに聞いても、そんな奴しらないって」

「オレもだよ、誰も達也のこと知らなくて。それで、アマゾネスの島から帰ったときの話を思い出して、毎晩、ここへ来てたんだ」

 

「は?毎晩?」

 

 オレとらんまの話を遮るように店員が話かけてきた。

 

「そうそう、そこのお嬢ちゃん。1ヶ月くらいかね、毎晩、来てたんだよ。ラーメンも食べずにさ。ここに達也って高校生が来たら、らんまが来たって教えておいてくれって言ってたんだよ。あんたが達也かい」

 

「1ヶ月も……?」

 

 たしかに、オレがこっちの世界に戻ってきてから、1ヶ月くらいだ。それにさっき、らんま、アマゾネスの島って言ってたよな。

 

「なぁ、らんま、あっちの世界のことさ、覚えてるか?」

 

「ちょっと、お嬢ちゃん。今日はラーメン食べていくのかい?」

 

「あ……食べていきます、この達也のと同じのを」

 

 そして、らんまはオレに耳打ちをしてきた。

 

「悪ぃ、達也、金貸しておいてくれ。オレ、金持ってきてないんだよ」

「おっけ、おっけ。奢るって」

 

 オレは食券前で財布からお金を出す。

 

「あ、しまった……トッピングしたから、もう残り400円くらいしかない」

「はぁー?!ここのラーメン、達也と食べるのを楽しみにしてたのに」

「わかった。じゃあ、まだ、食べ終わってないから、残りのラーメンをらんまにあげるよ」

「へへへへ♪ そりゃ、悪いな」

 

 オレの席に座ったらんまに割り箸を渡した。らんまが勢いよくラーメンを口に運んだ。

 

「う、う、うめえぇえ……………」

「そりゃ、美味いだろ。嬢ちゃん、ここのラーメンは関東一のラーメン店だからね」

 

「はははは、世界一。いや、宇宙一ですよ」

 

 オレは大好きなラーメンをはじめて、店の人に褒めた。

 

 らんまはオレの残りラーメンを完食した後に、店を出た。

 

「ひゃぁー、腹一杯♪ でも、ないけど、ホント、美味かったな。また、来ようぜ」

「だな、らんま。話したい事あるんだけど、まだ、時間あるか?」

「もちろんだぜ、オレも達也に聞きたいことがあった」

 

 らんまとオレは風林館高校の横を通り、公園のベンチに腰かけて話した。らんまにあっちの世界の事は覚えているかと聞いてみたところ、ちゃんと覚えていた。冒険した事もゼノリスの事も、オレたちの家のことも。夜なのに、目の前の厚い壁が急に取り払われて、空が明るくなったようだった。

 

 らんまもオレと同じようにオレのいない世界で1ヶ月を過ごしていたようだった。

 

「なるほどな、じゃあ、どうにかして、また、元の世界に戻らないとだな……」

 

「んで、ここは、そもそも、どこなんだよ? 夢の世界なのか?」

 

「そこなんだけどさ、ゼノリスの奴。オレたちに二重の夢を見せてたかもしれないんだ」

 

「は? 二重の世界?」

 

「ずっと、ゼノリスと戦ったことを思い出してたんだけど、おかしな点がいっぱいあるんだ。らんまの飛竜降臨弾は魔法でないのに打ち返された」

 

「あっ……たしかに」

 

 オレはさらに推測を続ける。一粒の希望のタネを蒔くような話だ。

 

「他に聖剣エクスカリバーが、あんなに簡単に折られてしまった事。そして、最後に……洞窟の先の地底魔岩城に行く道の途中の黒霧」

 

「なるほどな、夢を見させられている可能性大ってわけか」

 

「おそらくは、あそこにオレたちが眠らされているんじゃないかと思うんだ」

「でも、どうやって、ここから元の世界、あ、いや、ゼノリスの夢の世界へ」

「鳥居だ!鳥居へ、行こう。オレたちが最初にあっちの世界へ行ったときの場所」

 

 そう決まれば、オレはらんまを自転車の後ろに乗せた。二人乗りで自転車を漕ぐ。

 

「よっし、急げ、急げーーー!ゼノリス待ってろよ」

「オレに、らんまのいない1ヶ月生活させやがって。めちゃくちゃ頭にきた!」

 

 鳥居に着くと、予想どおり、ここにゲートが開かれていた。カイやアムが作ったゲート同じだ。ここが異世界に戻れる場所。

 

 らんまと手を繋ぎ、そこを通ろうとする。

 

「よし、らんま。いくぞ……」

「あ、ちょっと待った……!」

「どうした?」

「そのさ、行く前にキスしたい、ここも今、夢の中かもしれないけどさ。こっちの世界じゃ、まだ、達也とキスしたことないから」

「い、いいけど……そういう事、言うなよ。なんか、緊張しちゃうだろ」

「ふひひ♪ 緊張させるのも楽しかったりして」

「からかうなよーっ、いっつもいつも…………んぅ」

 

 らんまが背伸びしてオレの唇に自らの唇を重ねてた。それだけじゃなく、舌もこっちの口の中に挿入してくる

 

「んぅう……んぅ、らんま……」

 

「ちゅっ、ちゅ、むちゅっ、れろぉっ、じゅる、ちゅぱ。はぁはぁっんちゅ、ちゅぱ、ちゅぅ、れろれるっ、ちゅ。1ヶ月、ずーっとキスしたかったんだ、我慢してたんだから、いっぱいチュウさせろ」

 

 そこで何分、キスしただろうか。いや、何十分、唇を重ねたのかわからないくらい、時間の流れがねじ曲がっていた。

 

 その場でセックスしたかったが、オレたちは我慢した。こっちの世界ではなく、あっちの世界でゼノリスを倒した後で、たっぷりするために。

 

 オレたちは鳥居をくぐった。

 

 景色は再び、魔王の間に。ゼノリスが苦しみ、うなされる。アムやパラムからエネルギーを吸い取っていた。

 

「やいやい!ゼノリス、よくもよくもよくもぉおー」

 

「この野郎、夢の中でも、なりた屋のラーメンは美味かったけど。絶対、許さないからな」

 

 

「バ、バカな………、私の最大魔術で悪夢を見せていたのに」

 

 アムとパラムも夢から覚めて起きあがる。

 

「ゼノリス、よくも私のカイを……」

「アム、私も……お父様やカイ様、達也さんを……」

「パラムもアムも……」

 

 オレは大声でアムに向かって、叫んだ。

 

「アム!ここも夢の世界だ、眠りから覚める呪文をオレたちにかけろ」

「ここも夢の世界?わかりました。メザ…イケ…ドケ…メハ…ザメ…」

「くぅうう、しかし、そんなことへの対策は簡単なこと、無詠唱!呪文封印」

 

 ゼノリスがアムの口に魔術でできた口輪を放つと、アムが声を失った。

 

「…………………んぐう、んぐぅう」

 

「ははっはは、これでオマエたちは永遠に夢から覚めることはない。唯一の呪文使いのアムの魔法を封じたからな。愚か!愚か!愚か!」

 

 高笑いするゼノリス。

 

「くっそぉおーーーー、ゼノリスめえ」

「だぁーー、これじゃ、夢から覚める事なんてできないじゃねえか」

「万事休す!」

「オレたちの負けかぁああああ?!」

 

 ゼノリスの高笑いは止まらない。

 

「再び、オマエたちに悪夢を見せて、恐怖エネルギーを吸い取ってくれるわ。それこそが、我が、幻夢の秘術を完成させる」

 

 

 

「なーんちゃって」

 

 

「達也も演技下手だな」

 

 

「らんまこそ……」

 

 

 オレとらんまが顔を見合わせて、ニカッと笑い、向かい合う。

 

 

「ゼノリス、オマエ。馬鹿だな♪ 夢から覚めるには定番の方法があるんだよ」

 

「そうそう、容赦なく、いくぞー。らんま! いっぱつで目覚めるように」

 

 オレたちは互いの頰に向かって、手を大きく振りかぶった。

 

「オマエら、ちょっと待てーーー!!」

 

 

「「遅い……!」」

 

 

 バッッチィイイーーーーンッ!!

 

 

 らんまとオレの頰が赤く腫れ上がり、オレたちは夢から覚めた。

 

 黒と紫の霧に覆われた階段で起きた。アムとパラムもオレたちに数秒後に起きた。

 

「さてさて、ゼノリス、本体はどこかな」

 

 そのとき、階段の上から、逃げる足音が聞こえる。

 

「逃すなぁあ!!」

 

 オレたちは大急ぎで、階段を登り、洞窟の外へと逃げていく。ゼノリスを追いかけた。

 

 変身前の山羊仮面の魔道士が逃げている。

 

「アム、あいつはすぐに逃げる!魔法で捕まえてくれ」

 

「はい、わかりました!!」

 

 アムがゴッドロッドを振りかざし、ゼノリスの動きを止めた。

 

「くぅっそお……助けてくれ、もう、モンスターらも引き返させる、だから、命だけは」

「ほぉー、命乞いか。ゼノリス、情けないな」

「私たちに夢の中とはいえ、苦痛を与えた罪は大きいわ」

「てめえ!!オレの大好きならんまに1ヶ月も会わせなくしやがって」

 

 まぁ、もっと早く、ラーメン屋に行けば、会えていたんだが……。

 

「さぁて、どんな技でオマエを倒してやろうか」

「だな……♪」

 

◆◇◆◇

 

「ぎえぇええええーーぎぃいええええええーー!!」

 

 夢を見させる魔道士。つまり、ゼノリスの正体は夢魔であると察したオレとらんまは。

 

 どこからともなく、牛乳と雑巾を用意してきた。小学校の思い出の定番の1つでもある給食の牛乳を誰かがこぼしてしまい、周囲の友人も一緒に雑巾で拭いたは良いが、後日、強烈なニオイを放つ物体。つまりは『牛乳雑巾』を先端につけた『この世で最も臭い武器』である聖剣牛乳雑巾モップを作り上げ、それをゼノリスの仮面になすりつけた。

 

「ぎええぇえええーー!!なんだ、この強烈な匂いはあああああ、魔力が弱まっていく」

 

 ゼノリスの断末魔の叫び声が響くと、仮面はパリーンと破れ、中からは馬顔のモンスターが現れた。予想どおり、ゼノリスの正体は夢魔ナイトメアであった。悲鳴と共に、その姿は消滅していって、最後に半分に割れた山羊の仮面だけが残った。

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