女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
「魔王軍との戦いは終わったよ、カイ……」
オレたち4人は、レムール王国にいるベリーヌにゼノリスを討伐の報告をした翌日、丘の上へとやってきていた。
墓には『偉大な賢者カイ、ここに眠る』と書かれている。
パラムが花を添えた。
その瞳に悲しみはもうない。あるのはカイとの暖かく幸せな思い出だけのようにオレには見えた。
「ゼノリスの悪夢にうなされたとき、何度もカイが私を助けにくれたわ」
「私もです。賢者カイ様が助けに来てくれました」
パラムとアムの二人がどんな夢をゼノリスに見させられていたかはわからない。でも、二人があのとき悪夢から覚めたという事はなにかしら、自分たちの強い意志で悪夢に打ち勝ったのだろう。
アムが、頭に装備していた「さとりの冠」を墓に返そうと外すと、パラムがそれを止めさせた。
「それは、アムが持っていて……」
「……パラムさん」
「でも、その冠を見て、ときどきカイを思い出してあげてほしいの」
ひゅうっと丘の上に風が吹いた。優しく清らかな風。とても心地よい風だ。
「なんか、カイっぽい風だな」
「……賢者カイ様は私に最初に教えてくれた呪文は風の魔法でした」
アムがカイとの思い出を話はじめた。幼少の頃から直々に教わっていたアムもパラムと同様にカイとの思い出がたくさんあるのだろう。
「ずっと、なぜ、風からなのか不思議でした。だって、初級魔法といえば、火ですから」
たしかに、魔法の初級といえば、火が定番だ。
「……でも、今日、わかりました。パラムさんが風の精霊エルフだからでしょうね」
「きっと、あの人はこういう日が訪れる事がわかってたのかもしれないわね」
しんみりとした空気に光を照らすようにらんまが未来のことを話しはじめた。
「なぁ、二人はこれからどうするんだ」
「私は父の後を継ぎ、レムール王国を治めようと思います。また、いつ、このような事が起きるかわかりません。世界の各地域や国を統治する必要があると思います」
「私はそうだな……」
パラムが一瞬だけ、目を閉じて、落ち着いた様子で考えはじめた。心の中のカイに相談したのだろうか。
「私はアム……。いえ、アム姫の護衛につかせてもらえないですか?」
「パラムさんがアムの護衛?」
「うむ……森での一人での生活もやはり寂しいしな。私も、この世界のためにできることをしようとおもう」
「それは、ぜひぜひ。こちらからもお願いしたいくらいです」
まるで賛成の意思を伝えるかのように、また、丘に風が吹いた。
ここにいる肉体は4人だが、心は5人いるようだ。
「ははは♪ カイのやつも賛成だってさ」
「オレとらんまはソイツェストの復興だな。あれだけボロボロになったのはカルデアだけではなくソイツェストもだし」
「そりゃ、忙しくなりそうだぜ」
オレは3人に向けて感謝を伝えようと思った。
「今回は本当にありがとう……みんな。みんなの力がなければ、ゼノリスは倒せなかったな」
「ふふふ、先代の勇者以上に強いパーティだったわ」
「良かったな♪ 勇者達也殿」
らんまがオレの身体を肘でついて、冷やかした。
「ぜひ、また、世界の危機が訪れたときに……いえ、復興したら、パフェを食べに行きますね、今度こそ」
「ふふ、もちろん。ぜひ、来てください。お待ちしてます」
「それじゃ、アム、パラム。またな」
「はい、ゲートだしますね」
「「ありがとう」」
らんまと二人でゲートの前へ立つ。パラムとアムが手を振っている。二人の肩に手を添えるようにして立つカイの姿が見えた気がした。
「カイ……」
「達也、どうした?」
「いや、見間違いみたいだった」
「はは、変なやつだな」
「らんま、帰るとするか、我が家に。あ、建て直さないといけないか」
「まぁ、いいじゃねーか。何度もやり直せばさ」
ひゅ〜っ。
らんまがロンギヌスの槍を持ちながら、そんな事を言ったものだから、風が吹いた。
「やっぱり、カイだな。カイはここにいるな」
「だぁー!? オレはダジャレを言ったつもりなんて、これっぽっちもねーーぞー!」
—女らんまと異世界冒険記・第二部 完結—
4月中旬から毎日投稿を開始してきました『第二部』もこのエピソードにて完結です。
ここまでお読み頂き、誠にありがとうございました!
楽しんでいただけましたでしょうか?
評価や感想も頂けましたら、大変、嬉しいです。ぜひ、お願いします。
評価付けはこちらをクリックで進みます。
感想はこちらをクリック後に記入できます。
{IMG96172}
シーンのリクエストなどは、メッセージにて受付中です。
ぜひ、気軽にお送りくださいませ。