※この作品はR-18です。

女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き   作:RNOVEL

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3-1.まるでガメラ?!

「うわ?! これじゃ、まるでガメラじゃないか」

 

 幻獣姫フレイヤ様から直々の任を受けたオレとらんまは四聖獣を討伐しに、この北の浜辺へと訪れていた。

 フレイヤ様から、借りた四聖獣レーダー。そのつまりは、ポケモンGOみたいなインターフェイスの探知機で、まずは『玄武』を探しだしたわけだ。なぜ、玄武からにしたかというと四聖獣のうちでも最弱の設定である事が多いからだ。

 

 浜辺で他の海亀と戯れていた玄武はオレたちが近くと、すぐに攻撃を開始してきた。頭や手足、そして、尾までも甲羅内へ引っ込め、そのまま、手足を引き込んだ位置から火炎を噴射し、その推進力を利用して、空中を回転しながら、オレたちに火炎を飛ばしてきた。

 

「だあぁあー?! あちぃ、あっち」

 

【挿絵表示】

 

 ビキニアーマーで防御されていないらんまの素肌に向けて、火炎が飛ぶ。

 

「大丈夫かー、らんま! おわっ」

 

 見境なく、といっても、この浜辺にはオレとらんましか、ガメラ、いや、玄武の敵はいないのだが。

 

「四聖獣といえば、最弱は亀だって話とぜんぜん違うじゃねーか。こいつ、めちゃくちゃ強いぞ」

 

「悪ぃ、悪いぃー!」

 

 オレはらんまに謝りながら必死にガメラの攻撃を避けた。

 

 動きは機敏で、オレが遠くから、オーラアローがうまい事当たったとしても、甲羅には虚しく当たるだけ。ダメージでいえば、一桁も出していないだろう。

 

 玄武は、さらに空中をグルグルと回転しながら炎を噴射し続けた。

 

 これでは埒が明かない。

 

「しゃぁない、撤退だ。らんま」

 

「無差別格闘早乙女流奥義・敵前大逆走っ!」

 

 早乙女流の真髄「走・考・攻」を顕著に表している敵前大逆走をらんまが繰り出した。簡単に言えば逃げながら反撃方法を考えると言うことだ。なにも難しい事はないので、オレもらんまと一緒になって、敵前大逆走で逃げた。

 

 昔に天道あかねが「そんなスチャラカな奥義がありますか!」と突っ込んでいたが、似たような奥義は現実の武術にも存在するらしい。

 

 例えば太極拳の場合、明らかに形勢が不利だと判断した時には「勢いよくその場で震脚を踏み、相手が驚いたところで全力で逃げる」という技が本当に存在している。

 

 

 というわけで、オレとらんまは敵前大逆走で浜辺の岩場に逃げ隠れた。

 

 そろりと、気配を消して、岩場の影から遠くの玄武の様子を見る。

 

 玄武は黄昏るように、海を遠く見つめるだけだ。

 

「うーん、ぜんぜん凶暴には見えないけど、フレイヤ様は討伐してこいって言ったよな」

 

「あぁ、たしかに言った。そう言ってた」

 

 どう見ても無害に見える。街や村を破壊したわけでもないし、図体が大きいだけと、ちょっと火炎を放射するだけで周りの海亀と違いはない。

 

 しかし、フレイヤ様は一刻も早く世界各地に出没した四聖獣を討伐してほしいと依頼してきた。

 フレイヤ様いわく、魔王の力よりも厄介だという事らしい。

 

 

 さっきまでの反撃と比べて、穏やかな様子の玄武。

 

 無理やりにでも討伐しようとイジメたら、浦島太郎でも現れそうな雰囲気だ。

 

「んー、どうすっかなぁ」

 

 玄武がここから遠く離れる様子もなさそうだとわかると、らんまが岩場に腰を下ろした。もう久しく、男の姿の乱馬となっていないが、元男なので、らんまは座るときに足を閉じたりしない。いつも肩幅程度に足を開いて座る。見慣れた光景だが、何度見ても、ドキッとしてしまう。

 

 いつまでもらんまに見惚れているわけにもいかないのでオレは作戦を提案してみた。

 

「水辺に入ったところでオレの勇者の呪文で電撃ショックを与えるとか?」

 

「そうするしかなさそうだな。あの甲羅じゃ、オレの槍や爪での攻撃も意味ないみたいだしな」

 

 らんまは久しぶりの強敵との戦闘を楽しみにしていた。しかし、自分のバトルスタイルが玄武に有効でないと分かり、大きくため息をついた。

 

 しかし、オレたちはパーティであり夫婦だ。どんな戦いも二人で力を合わせてこその勝利だからこそ、意味があるとオレは考えている。今回、四聖獣の討伐の任をフレイヤ様から受けたときに、オレは先代の勇者のパーティの一員でもあり経験も豊かな魔法剣士のパラムと、賢者カイの魔力を受け継いだレムール王国のアム姫も誘うつもりだった。

 

 しかし、らんまが二人で討伐するべきだと言い出したため、誘わないと決めたのだった。

 

 

 だからこそ、玄武はオレとらんま、二人で闘うべきだと思った。

 

 

「なにか、弱点はないか、探そうぜ?」

 

「そうするしかないよな」

 

 岩場から、再度、玄武の様子を観察する。緑色の勾玉のようなものが見えた。勾玉は玄武の額部分に位置している。さっきはすぐに甲羅の中に頭も入れてしまっていたので見えなかったのだ。

 

「脳天に勾玉があるな、アレが弱点だぜ、きっと!」

 

「定番っちゃ、定番だよな……」

 

 そう、あれは忘れもしない。オレとらんまがこの世界に来て初めて挑んだクエストで砦の塔へ行ったときのことだ。砦の塔のボスモンスターであったオークも額の赤い宝玉が弱点だった。

 

 あのとき、オレはまだ、一般高校生の身体能力しかなかったから、らんまの足を引っ張るまいと必死に戦ったんだったよな。

 

 それが今じゃ、オレが一人で戦っても勝てるかもと、らんまが不貞腐れてしまう始末か。

 

 オレも強くなったもんだと、感慨に浸った。

 

「なんだよ、ニヤニヤしちゃって、気色悪いやつだな。面白いことでもあったのかよ」

 

「あ、いや、別にそういうわけじゃないけどさ。ほら、らんまと、また、こうやって冒険に出れるのが嬉しくってさ」

 

「ふふ、それはオレも同じだよ。オレだって達也とこうやって冒険に出れて楽しいさ」

 

「よし、じゃぁ、玄武をさくっと討伐しちまうか!」

 

 あれだけの強力な火炎を吹き出しながら反撃してくる相手でも、なんだか、らんまと力を合わせれば、簡単に勝てそうな気がしてくるから不思議なもんだ。この世界じゃ勇者となったオレだけど、結局のところ、一番の強みは先代から受け継いだ勇者の力ではなく、らんまの笑顔なのかもしれない。

 

 作戦という程のものでもないが、らんまと打ち合わせた。

 

 その戦術は玄武の強力な火炎放射の猛攻に耐えながら、ひょっこりと顔を出したところをオレがオーラソードを突き刺す事だった。闘気のエネルギーを最大限に出力したオーラソードの一撃で仕留められる算段だ。

 

 勝負は一瞬のうちに決まるだろう。あんな平均以下の運動力の男子高校生だったときでもオークの脳天に短剣を直撃できたのだから、今回も楽勝だろう。

 

 

「やい! 玄武、オレたちが相手だ、かかってきやがれ」

 

 マントを翻し、露出度の高いビキニアーマー姿のらんまが玄武の前に立ちはだかった。

 

 らんまが槍で突っつくと、すぐさま、玄武は頭と手足を引っ込め、その甲羅の隙間から火炎を噴射しながら、飛び上がった。さっきと同じようにグルグルと回転しながら、らんまに向けて、火炎球を飛ばしてくる。

 

「よっ! はっ、あらよっと、ほりゃ! ほいさ!」

 

 槍を回転させながら、サーカスのファイヤーショーのように玄武から飛ばされた火炎球を次々と槍の穂に受け止めていくらんま。もしも、今が夜だったら、さずかし素晴らしいファイヤーパフォーマンスで大勢の客を楽しませているであろう。

 

「うっし、なら、オレも続くぜ」

 

 オレは斧を軽々と振り回せば、玄武の火炎球を弾いていく。

 

 これなら、楽勝だ。あとは、玄武が疲れて、顔を出すところを待てばいい。

 

 

 戦闘中だというのに、オレたちは二人きりのファイヤーパフォーマンスを繰り広げた。本当に見物客が、ここにいないのが勿体無いくらいだ。

 

 

 

 それから、待つこと。数十分。

 

 

 

「はぁはぁ、いい加減、顔を出しやがれよ。このドンガメ」

 

 元男という事を差し引いても口の悪さは随一のらんまが愚痴った。

 

「ホント、こいつ、ずっとグルグル回りぱなしでよく目が回らないよな」

 オレのファイヤーパフォーマンスの腕も、この数十分で巧みレベルまでスキルアップしたが、それでも、まだ、顔を出さなかった。

 

 そして、それから、待つ事、数分後。

 

 我慢比べは、オレたちが勝り、玄武がついに顔を出した。

 

「達也ぁ、今だぁああ!」

 

「任せろ、パラディアム! オーラダガー」

 

 勇者の力を解放したオレは斧を投げ捨て、短剣サイズのオーラソードを作り出した。空高く飛び上がり、逆手に持ったオーラソードで玄武の額目掛けて、一気に突き刺す。

 

 

 はずだった……。

 

 

 渾身のミス!

 

 

 勇者・達也のオーラダガーは、するっと玄武に避けられ、虚しく、浜辺の砂を突き刺した。

 

「「え、えぇえええーーー?!」」

 

 らんまと二人で目を丸くして驚いた。

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