女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
オレのオーラダガーが額の勾玉に突き刺さると、玄武は勾玉を残して消えていった。消えていったというよりも、勾玉に封印されていったというべきだろうか。
北の浜辺で緑色の勾玉を拾う。付着した砂をささっと手で払うと勾玉がキラリと光った。先ほど、たしかに出力を最大にしたオーラダガーを突き刺したはずなのに割れているどころか、勾玉は傷一つも付かずに綺麗に修復している。まるで新品のような輝きを放っている。
「さすがは、四聖獣ってとこか」
「へへ、まずは、1匹目討伐完了ってな♪」
ビキニアーマーを装着したらんまが上機嫌に笑っていた。白熱した戦闘というよりも我慢比べに近い戦闘だったが、素直に強敵の討伐完了に喜んでいた。
たしかに、らんまは喫茶PANDでウエイトレスとして働くよりも、こうやって冒険者として強敵とのバトルを繰り返しているほうが活き活きとしている。
この異世界での喫茶店開業は二人で決めた事だけれど、あの街にらんまを閉じ込めておいた事に少しだけ後ろめたくなった。
「次はっと……あと、3匹だよな。残りは青龍に白虎に朱雀と」
だいたい、どこのゲームでも朱雀がラスボスである事が多い。四聖獣は各種タイトルによって、呼ばれ方は四神であったり四獣と呼ばれる。この世界では四聖獣と呼ばれているようだった。
オレが知っているかぎりでは、9割方の作品で玄武が最弱で朱雀が最強。その実力差はかなり開いている。
しかし、玄武の次に討伐するべき四聖獣は青龍にするか白虎にするか、悩ましいところだ。どちらのほうが実力があるのか記憶も曖昧だ。あまり、どちらがという順番もないかもしれない。
「達也、ささ、次、行こうぜ♪」
「なぁ、らんま。次は青龍と白虎、どっちに向かう?」
「残りは朱雀もいるだろ? なんで、青龍と白虎の二択なんだ?」
質問に質問を聞きかえしてきたらんまに、オレは丁寧に詳説する。
「探知機の反応は3匹とも、たいして距離の差はないんだけどさ。朱雀はだいたい、どこの世界でも最強が常なんだ。だから、最後に戦うべきだと思う。でも、青龍と白虎はどちらを先に倒すかとかは世界によって様々だったと思うんだ」
「ふーん、ま、オレは、いきなり最強の朱雀でもいいけどな」
まるで戦闘民族サイヤ人風な思考を持つらんま。たしかに、いきなり最強を倒しに行っても、倒せれば問題はないのだが……。
オレも2番目に朱雀を倒しにいきたい気持ちも湧いてきた。
「らんま、ショートケーキのイチゴは最後に食べる派? 最初に食べる派?」
「えっと……」
口元に手を当てて、らんまが考え始めた。思い出しに苦労するほどのようだ。そういえば、コイツは早食いのらんまだった。
「えっと、一気に食べる派だな! にゃははっは♪」
「その回答でいくと、残り3匹と同時に戦うって事になっちまうよ」
さすがのらんま。斜め上の回答だった。しかし、それは方角的にも無理そうだ。
「ホント、どっちでもいいんだけど。よし、青龍にするか」
その場では、らんまには言わなかったが、虎は哺乳綱食肉目ネコ科ヒョウ属に分類される。虎は、大丈夫だろうけど、猫が大の苦手ならんまには不利な戦いになる可能性も少しはあるだろう。そんな予測を立て、オレは次の標的は『青龍』に決めた。