女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
キサラズを出発したオレたちは馬車を借り、レムール王国へと出発した。
レムール王国は領主の統治下におかれた城塞都市で、2重の城壁で守られており、アムの父である国王の城も都市の一部に組み込まれている。
山岳地帯にあるレムール王国に到着すると、そのまま、街には寄らずに城へと向かった。
城へと向かう石畳の道を歩きながら、らんまに忠告する。
「アムに転移ゲートをお願いすれば、絶対に旅に同行させてほしいと言い出してくるはずだ。そこまでは良いとして、四聖獣討伐のことは絶対に秘密だからな?」
「わかってるって♪」
いくら賢者の力を受け継いでいたとしても、やはり、これだけ立派な国の姫を連れ出して、危険な目には遭わせられない。それにあのパパのことだ。いくら、アムの希望でも、同行した旅で万が一が起きてしまったら、オレたちがどうされるかはわかったものじゃないからな。
街を抜けるとレムール城の門が見えてきた。
レムール城は民家と同じ灰白色の石材の石造りで屋根は淡い緑の上品な色をしている。アムの父である国王は娘想いの激甘パパではあるが、民衆からの支持も厚い。
「これ、旅の者。どんな用だ?王なら留守中だぞ」
「レムール王国の王女アムに会いに」
と、らんまが顔を見せると、門番係の兵がオレたちの到着に驚いた。
「は、これは武闘家らんま様に勇者達也様。どうぞ、お通りください」
なんせ、以前、らんまはアムの影武者として誘拐されたわけで、この国はオレたちに返せないほどの貸しがたくさんある。顔パスで城の中へと、すんなりと通してもらった。
中庭には待ち合わせたかのようにアム姫がいた。オレたちの来城を笑顔で迎える。
「お二人が私を訪ねてくるなんて、珍しいですね♪」
「らんまちゃん、達也くん。お久しぶり」
隣には護衛として、先代勇者のパーティの一員でもあった魔法剣士のパラムがいた。
二人は城のメイドや兵士と中庭でティータイム中だったようだ。
パラムは魔道士ゼノリス討伐後に、このレムール王国の騎士団に入団した。パラムの伴侶であった賢者カイはアムへと、その能力と魔力を受け継がせた。賢者カイが亡き後、パラムがレムール王国に移住するのは至極当然な流れだった。それにエルフの生き残りであるパラムは、なにかと人間の視線を集める。ひとりで森の中で暮らすよりも、こうして城の中で過ごすほうが都合も良いだろう。
「どんなご用ですか……? わたくしにできることなら、なんでも♪」
アムの目がキラキラと輝いている。オレたちのことに首を突っ込みたくてしょうがない好奇心の目だ。らんまが影武者となるくらいだから、髪型は違うものの見た目はそっくり。そして、おしとやかなお姫様のように見えて、じつはかなりのおてんばだ。
「……では、パラムさんも入れて4人で話させてください」
アムの目がさらにキラっと光る。もう、アムの中では首を突っ込むことは決定しているようだ……。
「うふふ、伝説のパーティ再びですわね♪」
客室へと4人だけで移動した。客室に入るなり、アムが身を乗り出した。オレへの顔が近い。らんまが心配そうに見守る。らんまはナルシストのくせにこういうところは心配性だ。
「それで、それで、それで、それで? わたくしにどんなご用がおありで?」
「女神フレイヤ様の元へ行きたいんです、なので、転移ゲートを出してもらいたくて」
「その女神フレイヤ様はどこにいらっしゃるんですか?」
「魔王の島近くの孤島。島の名前はたしか、ヴィヒル島」
「ふむふむ、そこの島なら行ったことあるので転移ゲートを出せますわ」
「おぉ、やっぱり♪ 良かったな! 達也」
らんまが会話に加わってきた。そして、ここからはオレの予想どおりの流れが続いた。
「ただし、私も同行させていただきます。そして、護衛としてパラムさんも」
魔法剣士パラムも頷いた。丁寧な口調だが、「させていただけますか?」ではなく「させていただく」だ。もう、この姫さんの中で同行することは揺るがない決定事項なのだ。
この様子だと、アムはパラムでこっそり世界各地を旅しているのかもしれない。パラムも人間嫌いではあるから、城での生活も窮屈かもしれないしな。パラムと初めて会ったのはリゾート地・太陽の街チッタソラーレだったから、パラムとカイも旅は好きだったのかもしれない。
「わかりました……では、ぜひ、アムもパラムさんも」
「アムとパラムがいれば、四聖獣討伐も100人力……」
「おいっ、らんま!」
そのことは秘密にしておこうと言ったのに、らんまが口を滑らせてしまった。
「ほほぉ、しせいじゅう? それはモンスターですかね。それは面白そうですわね。とても素敵な旅の予感がします」
アムの目がこの日、一番、輝いた。