女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
3-19.ヴィヒル島
これまでの出来事をアムとパラムに話した後に転移ゲートを出してもらい、ヴィヒル島へと移動した。
城の者には少しピクニックにでかけてくるとアムは伝えたようだった。国王が不在であるから、アムの行動を止めるものは誰もいなかった。まぁ、王以外には、弁当のひとつも持たない「ピクニック」がどういうものかは察しがついているとおもうが。
ヴィヒル島に着くなり、フレイヤが住む湖へと、らんまを先頭にして、4人で歩いていく。
湖へと向かう道で何度かパラムが後ろから振り返った。
「パラムさん、どうかしました?」
「あ、いえ……。なんだか、さっきから誰かに付けられている気がして」
オレも後ろを振り返るが、人の気配はまったくなかった。
「こんな孤島に用事がある人なんて、オレたちくらいでしょ。気のせいですよ」
「そうですね、先へ急ぎましょう」
らんまとアムはどんどん先へと進んでしまっている。
あの二人はけっこう気が合うようだ。ニコニコとなにか会話しながら楽しそうに歩いている。
「おーい、待ってくれよー!」
それに続くようにオレも足を早めた。
孤島であるヴィヒル島は岩山からなっている。石造りの建物がいくつかあるが、これはかつて、この土地に暮らしていた修道士が残した物だと、以前、訪れたときにフレイヤから聞いた。現在は人も滅多に寄りつかない孤島となっているのは魔王島からも近いからだろう。
湖につくと、フレイヤが優しく出迎えてくれた。
「今日はお友達もご一緒のようね、ふふ」
「えぇ、まぁ……。紹介します、こちらがレムール王国の王女アムです。側近のパラムです」
「お久しぶりです、フレイヤ様」
パラムが兜を脱ぎ、エルフの証である尖った長耳を露出させた。
「ふふ、パラムさん、お久しぶりね。もう80年ぶりになるかしらねぇ」
パラムとフレイヤは以前に会っていたようだ。先代の勇者時代に会っていたのかもしれない。
「はじめまして。レムール王国のアムです。賢者カイ様に魔法を指導してもらい、力を受け継がせてもらいました」
おてんばなところもあるが、さすがは王女、礼儀正しくフレイヤに挨拶をした。
挨拶も済んだところでオレから要件を伝えた。
「玄武と青龍を倒しまして、勾玉はここにあります」
布袋から緑と青の勾玉を取り出して、フレイヤに渡す。
続いて、反応のない探知機をフレイヤに見せた。
「それで、次は白虎と朱雀を倒しに向かおうとおもったのですが、反応がなくて」
探知機を受け取ったフレイヤはポンポンっと探知機を叩き、反応を確かめる。反応はないままだった。
「とくに壊れている様子もないわね、魔力充電も十分にできてるし。とすると、おそらくは朱雀と白虎は誰かに倒されたのかもしれないわね」
「ほらな、オレの予想が当たっただろ?」
らんまの予想が当たっていた。
「それは、残念ですわね……」
「ちぇっ、でも、戦ってみたかったな」
らんまとアムの2人は、朱雀と白虎がすでに討伐済みだったことが、よっぽど残念なようだ。戦闘狂な二人はある意味、魔王よりもこの世界で最も恐るべき存在なのかもしれない。
「それじゃ、この旅は終わりってことでいいのか?フレイヤさん」
「……いえ、勾玉を集めて封印しないと。むしろ、危険なのは、その勾玉のほうです」
オレの手の中の勾玉が強く光りだした。緊張感が走る。
「他にも来客のようね……。姿を現しなさい!」
フレイヤが杖をかざして、岩を破壊すると、その煙の中から小さな影が二つ現れた。
「ハッピー&ラッキー参上じゃぁ!」
「だぁ?! でやがったな。八宝斎、それに楽京斎」
オレがすぐにオーラソードを作り出し構えるとアムとパラム、そして、らんまもフレイヤを守るように武器を取り出し構えた。
「なんじゃ、なんじゃ、達也も久しぶりに会ったのに物騒なことをしおって」
「この方たちは……?」
「まーた、じじぃたち、企んでいるんだろ。何度も倒してもしぶとい奴らだぜ」
「らんまちゃんも久しぶりじゃのぉ! ワシらは幻獣姫のフレイヤ様に会いに来ただけじゃ。でも、もう用事は済んだ。勾玉を4つ集めればいいんじゃな」
くっくと小刻みに笑う八宝斎。八宝斎の手には赤い勾玉が、楽京斎の手には白い勾玉が握られている。こいつらが朱雀と玄武を倒したのか? きっと4つを揃えて災いを起こそうと企んでいるのであろう。どうせ、自分への喜び組やそんなロクでもないことを目指しているのであろう。このスケベじじぃたちの行動の源はそこしかないからな。
「いけません! 4つの勾玉が揃うとき、災いが起きます。達也さん、らんまさん。4つの勾玉を反応させてはいけません」
オレは瞬時に判断し、らんまに向かって玄武の勾玉を投げる、
「らんま! それを持って逃げろ」
「よっしゃ、わかった!」
らんまがオレが投げた勾玉を見事、キャッチした。
勾玉を揃えてはいけないならば、オレとらんまで別方向に逃げて、八宝斎と楽京斎らと戦えばいい。
「らんまさん、では、こちらへ!」
アムが転移ゲートを作り出し、そこにらんまが飛び込んでいった。
「姑息な手を使いおってぇー、待てい! らんまぁ、待つのじゃ」
八宝斎がらんまを追いかけるように転移ゲートに飛び込んでいった。最後にアムが飛び込むと転移ゲートが閉じた。
「ぐぬぬぬ……!」
自分が移動する前に転移ゲートが閉じれば、移動できなかった楽京斎が悔しがり、唇を噛んだ。
「楽京斎! オマエの相手は、このオレたちだ」