女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
「楽京斎! オマエの相手はオレたちだ」
パラムが剣に炎を宿し、炎の剣で楽京斎に斬りかかった。
「魔法剣・フレイムソード!」
「体は小さいですが、特殊な墨と筆を使用した雷神猛筆拳の使い手です、パラムさん。気をつけて」
忠告を聞き入れたパラムが攻防一体の構えで楽京斎と交戦していく。
オレもオーラソードでパラムを援護していった。
「4つの勾玉は必ずや、わが手に。邪魔をするな!」
体の倍以上の筆を振り回し、楽京斎がパラムの魔法剣と撃ち合いはじめた。
宙をちょこまかと飛びまわり、翻弄する動きにパラムも苦戦しているようだ。パラムの卓越した剣の動きでさえも、手玉に取るように楽京斎の筆は自在に打ち返していった。
「でやぁああったぁあ!」
パラムほどの剣さばきはないにしても、オレもオーラソードで楽京斎に追撃を試みた。
楽京斎の筆にひねり返されれ、オレとパラムにさらなる攻撃が襲いかかってきた。
「ふ、まだまだ、甘いわ! 雷神猛筆拳奥義・小筆爆裂弾!」
小さな爆弾を次々とオレとパラムに向けて落としていく。
どっかん、どっかんと地面に無数の穴ぼこが開いていった。
「なるほど、弱点は筆のようね。あの筆を折ってしまえば」
腕で爆炎から身を守りながら、パラムが魔法剣に宿した炎の火力を高め、楽京斎の筆に狙いを定めた。
「はたして、美人エルフさんの思うように行くかのぅ、はははは!雷神猛筆拳・ニカワ緊縛墨!」
楽京斎が筆を一振りすると、斬りかかっていくパラムの剣に墨の糸が巻かれてしまった。
「しまった、なによ、これ……?!」
「ちぃ、楽京斎め」
八宝斎と同様に楽京斎も戦闘経験は豊かだ。パラムが持つダモクレスの長剣を緊縛墨で封じてしまうとは。あの緊縛墨を剥がすには時間がかかる。
「仕方ない、楽京斎の相手はオレがします。パラムさんはフレイヤ様を」
「かたじけない、わかりました。お願いします!」
「逃げる気かぁ! 美人エルフさん」
パラムたちを追いかけようとする楽京斎をオレはオーラアローで足止めした。
「オレが相手するって言ったろ」
「ふんっ、貴様を倒し、勾玉を奪った後でも同じことだ」
腰に備えた布袋の青龍の勾玉が輝きはじめた。オレは取り出して、勾玉スキルを放つべくチャージを開始した。どんな効果があるかはわからないが、打つしかない。
「達也、いい事を教えてやろう。もう、直に胡蝶乱舞を超える技が完成する。その名も雷神猛筆拳究極奥義・超胡蝶乱舞……」
「超胡蝶乱舞だと?」
雷神猛筆拳究極奥義である胡蝶乱舞は『錦の蝶』という虹色の墨を蝶の形にして飛ばす。その実体は女の乳拓を取るためのエロ奥義。そのエロ奥義を超える技、いったいどんな技だというのだ。
「完成した際には、オマエの嫁。早乙女らんまを最初の獲物にしてやろう、ひっひっひひ」
「らんまを? そうはさせねえ」
「ふふふ、まだ、完成には時間を要する。それに超胡蝶乱舞にはオマエも必要だからな。鳴門海峡の渦潮から飛沫が天を翔けるとき、超胡蝶乱舞は完成する……」
「楽京斎、今日は珍しくよく喋るじゃないか」
「……少し喋り過ぎたな。おしゃべりはここまでだ!」
楽京斎が白い勾玉を掲げた。掲げられた勾玉は眩いほどの発光しはじめた。
互いに十分な時間で勾玉にエネルギーをチャージしていく。
「勾玉勝負、受けてやろう。こちらは白虎の勾玉で応戦だ。タイガーラッシュ!」
「なら、こっちもだ。でやぁああっ、いけぇえ! 四聖獣の力!」
オレの勾玉から放たれたドラゴンが、楽京斎の勾玉から放たれた虎とぶつかりあった。
こちらからは大きなドラゴンが1匹、楽京斎からは無数の白虎が放たれた。次々と、こちらのドラゴンに白虎が激しく激突していく。
目の前で炸裂する青と白の大閃光。目も開いてられないほどの眩しい閃光だ。
完全な互角の威力。
「ぐぬぬぬ、勾玉同士の勝負だと互角か」
「楽京斎! 超胡蝶乱舞だか、なんだか知らないけどさ。オマエの好きにはさせないからな!」
「この若造めぇえがぁ」
「喰らえぇ、雷鳴呪文!ライトニングボルトォオ!」
オレは空いた片手を空に翳し、雲から楽京斎めがけて、雷を落とした。
ガギャアアーンッ!
激しい音を立てて、楽京斎の身体に落雷した。
「くぅ、今のは痛かったなぁ、痛かったなぁ」
「ほらほら、命が惜しければ、おとなしく勾玉をこちらに渡せ。それはオマエらが持っていていいもんじゃないんだ」
「四つの勾玉が揃いしとき、魔王をも超える強大な力が復活する……。必ずや我が手に」
「そうはさせないぞ、楽京斎!」
「うるさぁあい、雷神猛筆拳・山葵爆煙墨!」
形勢不利とわかった楽京斎が山葵の爆煙を巻いた。技がくるとはわかっていながらも、目は涙で前が見えなくなってしまった。
「くうぅうーー、どこへ行った」
あっという間に楽京斎はオレの前から姿を消していた。
そこからしばらく、島内を探したが、楽京斎を発見することはできなかった。探す途中に遠くにパラムとフレイヤの姿が見えた。二人は無事なようだ。楽京斎と交戦した様子はない。
「お二人は大丈夫でしたか?」
「こちらは大丈夫です。達也さんは大丈夫ですか?」
「大丈夫ですが。すいません、楽京斎は逃がしてしまいました。でも、勾玉はまだ、ここに」
きらっと光る青い勾玉を二人に見せた。
「あと、それに楽京斎がなにか意味のある言葉を残していきました」
「どんな言葉かしら?」
「えっと……たしか、鳴門海峡の渦潮から飛沫が天を翔けるとき、超胡蝶乱舞は完成するだったかと」
「ふむぅ、私には心あたりはありませんね」
どうやら、幻獣姫であるフレイヤでもこの言葉の意味はわからない。しかし、それにしても気になる言葉だ。
「アム姫とらんまさんが心配ね。二人のところへ行きましょう」
「そうしましょう、でも、どこに移動したんだ?」
「魔王の島かと。あの詠唱時間では、そう遠くへは行っていないはずです」
「魔王の島への転移ゲートなら、わたしも開けます」
フレイヤがすぐさま、転移ゲートを開き、オレとパラムが飛び込んでいった。