女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
3-22.元の世界へ
転移ゲートに飛び込み、移動した先の魔王島ではらんまとアムが倒れていた。
周りを見渡すも八宝斎の姿がない。
「達也……悪ぃ。八宝斎のじじぃに勾玉を奪われた」
「すいません……魔法さえ封じ込めらなければ」
オレがらんまに駆け寄り、パラムがアムに駆け寄る。すぐにフレイヤが回復系呪文で二人の傷を癒していった。
「大丈夫、取り返せばいいさ。気にするな、らんま」
青龍の勾玉はまだ、このオレの手元にある。4つ揃うにはオレのが奪われなければ良い。
「こっちも楽京斎には逃げられてしまったんだ。でも、まだ、オレの青龍の勾玉はちゃんと残ってる。それで、八宝斎はどこへ逃げた?」
らんまが指差した方向には、オレたちが来た転移ゲートとは別のゲートだった。この世界を移動するゲートと色が違う。あのゲートは元の世界へ戻るためのゲートだ。
「八宝斎が元の世界に戻っただって?」
「あぁ、たしかにさっき入っていった」
「私も見ました。それに元の世界とは?あの老人、魔法とは違う技も使っていました」
素直にアムにはオレとらんまや八宝斎は別世界の人間だということを伝えるべきか?悩んでいる間にフレイヤが説明をはじめた。
「達也さんとらんまさんは、この世界の人間ではないのです」
「この世界の人間ではない?」
「遥か別次元のニホンという世界からやってきました。そして、帰るためのゲートはこのように強大な魔王が倒されたときに数週間だけ開きます」
「ごめんな、アム。隠していて……」
「あ、いえ。私はかまいません。それで八宝斎や楽京斎も同じようにニホンセカイの者なのですか?」
オレとらんまは頷いた。
「達也、戻ろう。ゲートもそろそろ閉じちまう」
オレはぐっと拳を握りしめた。元の世界に帰ったら、また、らんまは半分男になってしまうんじゃないのか? このオレの勇者の力はどうなる? また、ただの一般男子高校生に戻ってしまうのか? それに記憶は?
オレはすぐにらんまの意思に寄り添えなかった。
「…………らんま」
らんまの誘いに乗る前にオレはフレイヤに質問をした。
「勾玉。4つ揃わなければいいんですよね? それなら、今、一個はここにあるから」
フレイヤが首を振った。
「いえ、勾玉の状態が続くのも危険です。勾玉を早く揃え、封印をしないと」
「おい、フレイヤ様。封印の方法を教えろ」
らんまがそう、言うとフレイヤがらんまにだけしか聞こえないように耳打ちした。顔が赤くなるらんま。なにか封印は恥ずかしい方法なんだろうか。
「…………わかった。そのときが来たら、必ず」
「オレには秘密ですか?」
「封印のときには達也さんの力も必要になります」
「結局のところは、元の世界で八宝斎を倒して勾玉を4つ揃えて封印しないとか……」
オレはぎゅっと勾玉を握りしめた。この勾玉がどんな災いを起こすのかはわからないけど。自分にできることがあるなら、やってやる。もしも、ただの高校生に戻ったとしても、そのときに精一杯、頑張るのみだ。この世界でもそうしてきた、元の世界でも頑張れるさ。
「わかりました、行きます……」
らんまがあでやかに笑う。その笑顔はオレの重たい足を応援するかのようだった。
「大丈夫、オレたちならできるさ。八宝斎のじじいから勾玉を奪うくらい……って、奪われちまったオレが言うのも難だけどさ」
「よし、行こう」
オレとらんまはフレイヤに別れを告げて、ゲートへ飛び込もうとするとアムが引き留めた。
「待ってください。私も行きます。賢者カイの力、役に立たせてください」
「アム姫。私たちは達也たちの世界の人間ではないから、行けないのです」
「そんな……また、留守番ですか」
「アム。また帰ってくるからさ、帰ってきたらオークでもゴブリンでも討伐一緒に行くからさ?」
「……わかりました、仕方ありません。それではお気をつけて」
らんまはそう言ったが、元の世界に戻って、こっちの異世界に帰ってくることはできるのだろうか。でも、どうなるかわからないが、今は行くしかない。
オレはらんまの左手でらんまの手を握り、右手には勾玉を握りしめて、転移ゲートに飛び込んだ。