女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
遅刻しそうな他の生徒らを追い越し、余裕で登校したオレとらんま。オレの走る速度が速かったらしく、らんまは少し息切れしている。
「はぁはぁ、めちゃくちゃ足早くなったな」
逆にオレのほうはというと、ぜんぜん身体は疲れていない。むしろ、軽いくらいだ。
「ひとまずは登校しようぜ」
下駄箱に行くと、数名の男性生徒らから声をかけられた。
「オマエたち、どこへ行ってたんだ? ぜんぜん、学校こなかったし、行方不明だったんだぞ」
「ま、でも、元気そうでよかった、よかった」
たしかに1年半も行方をくらましていれば、そうなのかと思えば、そうでもないようだ。みんなの反応はオレたちがいなかったのは数日、もしくは数週間くらいのような言い方だ。下駄箱の位置も移動していない。らんまと同じ1年F組のままだ。
そのまま、教室へ向かって歩いていくと天道あかねが、らんまの元へ駆け寄ってきた。
「ちょっと、らんま! いったいどこへ行ってたのよ、なんの連絡もなしに」
「ん? あかね覚えてないのか? あっちの世界のこと」
「あっちって、どっちよ」
様子がおかしい。天道あかねとは『あっちの異世界』で会って、らんまとの許嫁を解消させてもらったばかり、オレとらんまの結婚式にも参列してもらったはずだけど。覚えていないのか、別のあかねのように見えた。
オレたちの久しぶりの登校に数名の生徒らが喜んでいる間に、担任の二宮ひな子先生が教室に入るなり、ホームルームがはじまった。
オレは隣の席の天道あかねに聞いてみた。
「あのさ、天道さん。オレとらんまが学校に来なくなったのって何日前くらい?」
「えっと、たしか、先週の火曜日からだから。10日前ってとこかしら? でも、なんでそんなこと聞くの?」
「あ、いえ、べつに。どうも、ありがとう」
もう1年半前の記憶だから曖昧だが、オレとらんまが異世界に転移したのは月曜日の夕方。帰ってきたのは、その10日後の金曜日の朝だったようだ。
異世界から帰ってきた日の午前の授業はまったく頭に入らなかった。
明日からどうやって八宝斎らを探すかとか、チートな運動能力を手に入れたことで頭がいっぱいだったからだ。
4時間目の授業が終わり、昼休み休憩の時間となった。
オレはらんまを誘って、購買で菓子パンを買い、屋上へと行った。
試したいことは何個もあった。
「らんま、ちょっと、誰も入ってこないか見張っておいてくれ」
「別にいいけど、なにする気だ?」
屋上につくなり、焼きそばパンを頬張るらんまに見張り役をお願いして、オレは異世界で得た能力を試すことにした。
まずは。
―パラディアム!
勇者の力を解放し、闘気エネルギーをオーラソードに変える。
いとも簡単に成功。
すぐにオーラソードを仕舞いこみ、続いては魔法だ。
火をイメージして念じる。あまり火力が高くてボヤ騒ぎを起こすとまずい。オレは火と雷の呪文は使えるが水や氷の呪文は使えないから。
ボッと指先に火が付いた。
その火を息で吹き消す。
あとは雷の呪文だ。ちょうど、屋上には避雷針がある。
そこを目標に雷鳴呪文を放ってみよう。威力はかなり抑えて。
「雷鳴呪文・ライトニングボルト」
威力を高めるよりも加減するほうが難しい。
雷が避雷針へと落ちる。
「しまった……!」
威力が加減できていない。グガギィイーン!っと強い光を放ちながら、雷を落としてしまった。突如、快晴の空から雷が屋上の避雷針に落ちたことで校庭にいた生徒らがざわつく。数秒後には屋上へとワラワラと人が訪れた。
「まずいな、逃げるか」
「そうしようぜ」
オレとらんまは屋上からプールのほうへと向けて、飛び降りていった。
そして、ある意味。オレのチート能力よりも確かめておきたいことがあった。それはらんまの『変身体質』だ。向こうの世界に行ったときは『女の姿のまま』で転移したから、戻ってきたら、やはり湯を被ったら『男』に戻ってしまうのだろうか? 男の乱馬と絡む趣味はないが、最優先で確かめておくべきことだ。
蛇口から水をバケツに流し、それをオレが魔法の火で熱くない程度の湯加減まで沸かせた。それをらんまが上から被る。
結果は湯を被っても男に戻ることはなく、らんまは女のままだった。
らんま曰く、もしも、こっちの世界で男に戻れるようになったとしても、オレの前では極力、女の姿で過ごすつもりだったそうだ。
もちろん、らんまの事は大好きだが男の乱馬を愛することがなくて、オレはホっと安心した。