女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
午後の授業は男女混合のサッカーだった。これが終われば、今日の学校は終わりだ。
オレは体操着に着替え、校庭へ向かう。らんまは男子更衣室でも女子更衣室でもない場所で体操着に着替えたらしい。体操服姿のらんまに寄っていく。下着をつけていないノーパンノーブラならんまに思わず、興奮してしまう。
「久しぶりの体育だな♪ 達也は中学のとき、サッカーやってたんだっけ?」
「いや、ほんのちょっとな……」
正直、体育は苦手だ。小さい頃から走るのも遅かったし、そもそも運動神経能力が低いから苦手だった。
準備運動やパス回しの後、いくつかのチームに分かれてのゲームが行われた。
オレとらんまはしばらく学校を休んでいたので、適当なチームに入れられた。
運動神経抜群のらんまはセンターフォワードのポジション。オレは左サイドバックを任された。
男子に混じり、ひとり体操着ブルマ姿のらんまが元気に走り回る。
しかし、さすがにサッカー部の生徒らのパス回しはうまく、ひとりの生徒がゴールに向けてドリブルを開始した。
中学のときから同じ学校だった。陽太くんだ。陽太くんは運動神経抜群で容姿もそこそこに良い。中1のときにちょっとサッカー部に入ったこともあるが、万年2軍だったオレは半年も続かないうちに退部した。そんなオレとは違って、陽太くんはレギュラーを1年の座を射止め、大活躍だった。風林館でもサッカーを続けている。オレが日陰の存在なら、陽太くんはその名のとおり、日向の陽の存在。オマケに性格も優しいから憎めない。しかし、ひとつ気に食わないことがあった。なんせ、陽太はオレが中学のときに好きだった森川さんと付き合っている。
どうせ、ドリブル突破されるくらいだったら、追いつけないふりをして、恥をかかないでいようと思った。
でも、ちょっと待てよ? 異世界でのモンスターの動きに比べたら陽太のドリブルなんて遅い。止まって見えるどころか、次の動きも予測できるほど、ノロイ。異世界のナイトフォックスに比べれば、こんなやつ。
失敗して恥も覚悟の上でオレは陽太についていった。
驚くほど、ノロイ。ちょいっと足を出せば、ボールを奪えそうだ。
案の定、簡単にボールを奪えた。
「おわ?! 達也……?! いつのまに」
陽太からボールを奪うと、一瞬、静まりかえった後に歓声が巻き起こった。男子は、あのエース陽太からボールを奪うなんて、すげえと叫び、女子からは黄色い歓声があがった。オレが中学のときに好きだった森川さんも手を叩いている。
ボールを奪うと、すぐに3名ほどの生徒らがボールを奪い返そうと向かってきた。
異世界で何度もゴブリンを相手にしてきたオレにとって見れば、動きは予想の範疇。
華麗にボールをさばき、いとも簡単に抜いた。
オレはそのまま、ドリブルを続けて、ゴールに向かっていった。
らんまが隣で声をあげる。
「ナイスドリブルだな♪ こっちにパス! パス!」
オレは思い出した。あれは中1のときの他校との練習試合。陽太が敵チームからボールをカットして、今日のようにゴールに向けてドリブルをしていった。敵のディフェンダーに囲まれた陽太を救おうとオレは懸命に走って、陽太からパスを受けようと叫んだ。
が、しかし、あの日。陽太はオレにパスを出すことはなかった。そのまま、陽太は敵のディフェンダーを抜き去り、シュートを決めた。
そうだ。あのとき、オレはサッカーを辞めようって思ったんだ。
「なに、ぼーっとしてんだよ、ほらほら、こっちにパス!パス!」
「あぁ、悪ぃ!らんま」
らんまの声にはっと気づいたオレはらんまにパスを出す。
パスを受け取ったらんまがゴールに向かってドリブルをしていった。
ペナルティエリア内まで進んだらんまは敵チームに囲まれた。陽太も戻ってきている。ゴール前で陽太を含めたディフェンダー3名に囲まれた。
どうする。ここで、らんまにパスを願うべきか。でも、また、あの日の陽太のように無視されたらどうしよう。
オレが迷っている間に、らんまが高く空中にボールを蹴り上げた。
「達也ぁ、頼む!あとは任せたぜ」
らんまが蹴り上げたボールが高く上がった後に落ちてくる。ボールのシルエットが太陽と重なった。
らんまのせっかくのパスを無駄にはできないと、オレはボールに向かってジャンプした。そして、キャプテン翼も真っ青な華麗なオーバーヘッドキックでシュートを放った。
ズシューーンッとボールはキーパーの身体を吹っ飛ばし、ゴールネットに突き刺さった。
審判役の生徒が笛を吹き、ゴールが決まると生徒らは大盛り上がり、いくつかの教室の窓からは何事かと顔をだしてくる始末だ。
その日のサッカーはオレとらんまの最高に息のあったコンビネーションプレイで、陽太率いるチームに圧勝だった。何点決めたかは覚えていない。オレがゴールを決めるたびに敵チームの顔色が真っ青になっていったことしか覚えていない。