女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
「おい、オマエたち、三浦さんから離れろ」
声をかけると三浦さんはすぐにオレの後ろへと隠れた。恐怖で怯えている。絶対に守らなければいけない。こいつら、制服着ているくせに鞄を持っていない、なにしに学校行くんだ?
「なんだ、オマエ? 風林館高校のもんか?」
「そうだけど?」
学生服を見ればわかることを聞いてくる。、不良は頭が悪い。
「リーダーは強いんだぞ、怖いんだぞ、わかってんのかぁ?」
「…………」
ダメだ。言葉が出ない。わかってはいないからな。
「ん? こいつ、同じ中学のときの達也じゃねえか」
どうやら、顔見知りだったらしい。まさか同じ中学だったとは。ということは三浦さんとも顔見知りか?
「そうだ、思い出した。こいつはサッカー部の補欠の達也だ」
思い出したくない過去を覚えているやつだったようだ。とても気に入らないな。
「ふーん、運動音痴野郎か。おい、達也。命が惜しければ、そこをどくんだな」
「……断ったら?」
「タダじゃおかねえんだよ! やっちまえ」
相手の実力もわからないうちに殴りかかってくる。やはり、不良は頭が悪い。
オレは左右から殴りかかってきた二人がかりの卑怯な子分不良に、まずは1発づつカウンターのパンチを食らわせた。
簡単にヒット。
異世界で戦ったゴブリンやオークに比べると動きが単調すぎる。こいつらじゃ、異世界の森では1日も足らずに狼や熊系のモンスターの餌になるだろう。
腹を痛がっている子分たちの間を割って、リーダーが現れた。たしか、名前は……忘れた。
「うらぁああ!」
なにが、うらぁあだ、振りかぶりすぎのパンチを避けて。オレは無詠唱で炎の魔法、いや、弱火の魔法でリーダーの頭を燃やしてやった。
「あち、あっち、あっちぃい」
慌てたリーダーが急いで服を脱ぎだし、上半身裸になった。背中には大きなタトゥーが彫られていた。
まったく、この現代日本でデメリットしかないタトゥーをこんなにも大きく彫っているとは、つくづく頭が悪い。
「三浦さん、ここは任せておいて。またね」
「達也くんだっけ? すごく強いのね、ありがとう……、今度、一緒にお茶でも」
「あ、ま、それはおいおいで」
さすがに三浦さんから名前も覚えておいてもらえていなかったのは悲しいが、しょうがない。陰キャだったのだから。
それとこれと話は別だ。今は、このチンピラ不良を警察沙汰にならない程度にボコらないと。
「うらぁああ!」
不良漫画の読みすぎか? ムキになって今度は3人が同時に殴りかかってきた。
見える、見える、見えるぞ。こいつらの動きが。異世界のモンスターに比べれば、こっちの世界のチンピラは動きが丸わかりだ。
しかも、スピードもノロい。
振りかぶってきたノロノロ攻撃をオレはしゃがんで避け、足元をめがけて、クルっと回し蹴りを放った。ドコドコドコっと音をたてて、崩れる不良ども。
そろそろ、異世界帰りのこのオレとの実力差が理解できたらしい。
「くそぉ、今度、会ったら、タダじゃおかねえぞ。覚えておきやがれぇえ~」
テンプレート的な捨てずリフを残して去っていった。
チンピラ不良軍団を倒して、オレは久しぶりに家に戻った。
10日ぶりに家に帰ると母さんからの質問攻めだった。質問内容は「10日もどこへ行ってた?!」という具合だった。オレは色々あるんだよ。とだけしか言わずに自室に篭った。
学生服を脱ぎ、パンツとTシャツ姿となり、ベッドに横になる。
天井を見上げると、こっちの世界に帰って1日も経っていないというのに異世界が恋しくなった。たぶん、オレは戸惑っているのだろう。こっちの世界で、サッカー部エースの陽太よりも運動神経が良くなって、おまけに中学のときに好きだった森川さんから誘われて。
それに四つの勾玉を八宝斎や楽京斎の手に渡らせてはいけない。
そして、楽京斎がオレに話した言葉。
―鳴門海峡の渦潮から飛沫が天を翔けるとき、超胡蝶乱舞は完成する
あれは、どういう意味だろうか……?
考えることが山積みの中、いつのまにかオレは眠っていった。
コンコンっと窓を叩く音で目が覚めた。時計の針は深夜1時を示している。カーテンを開けると、らんまが窓の外にいた。
「らんま、ちょっとなにしてんだよ?」
「寝れなくてさ? 入らせてもいいか?」
「べつにかまわないけど……」
オレが窓を開けると、らんまが靴を脱いで、オレの部屋へと入ってきた。