女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
埃かぶった歌本から番号を入力すると、印象的なピアノのイントロがスピーカーから流れ出した。
自信はないが、らんまに伝えたい気持ちを歌に乗せてみる。人前で歌う習慣のない、というか歌うという行為にすら馴染みのないオレにとって、仮にもらんまの前で歌うというのはそうとう勇気がいるものだった。
「心配ないからね~、君の想いが♪」
オレが歌い始めたのは昔のヒットソング、『愛は勝つ』だ。シンガーソングライターがストレートな歌詞でヒットした名曲だ。オレはこの歌詞がとても好きだった。
懸命に熱唱するオレの横で、らんまが手拍子をはじめた。ニコニコと笑っている。
画面に歌詞が流れ、それに合わせて歌っていく。らんまに伝えたい歌詞の箇所を力を込めて歌った。
「どんなに困難でくじけそうでも、信じることさ。必ず、最後に愛は勝つ!」
続いて、2番も歌い始める。こんな下手な歌でもらんまに向けて歌ってみた。
「Carry on, carry out 求めてうばわれて 与えて♪ うらぎられ♪ 愛は育つもの♪」
「信じることさ。必ず、最後に愛は勝つ!信じることさ。必ず、最後に愛は勝つ!」
歌い終えると、らんまが手を打ち鳴らすように大きな拍手を送ってくれた。
「はじめて聞いた曲だけど、めちゃくちゃいい曲じゃねぇか♪ 歌詞もすごくいいな」
「ふふふ、だろ? 必ず、最後に愛は勝つんだよ♪」
熱唱したことで息切れしたオレがソファに深く座ると、スピーカーから楽京斎の声が聞こえてきた。
オレとらんまの間に緊迫した空気が走る。
『呑気にカラオケなんか、しおって。ふふふ、しかし、お楽しみはそこまでだ、達也に早乙女らんま』
「この声は楽京斎! てめぇ、どこにいやがる!」
『ひっひっひっひ、錦のバイブは完成した。胡蝶乱舞を超える技。その名も雷神猛筆拳究極奥義・超胡蝶乱舞の餌食になるが良い。ひーーひっひっひっひ。鳴門海峡の渦潮から飛沫が天を翔けるとき、超胡蝶乱舞は完成する』
「超胡蝶乱舞だとぉ?」
「それは、どういう意味なんだ、はやく教えろ!楽京斎」
『もう、時期にわかる。その前に、二人には眠っておいてもらおう、ひっひっひひ。起きたときを楽しみにするが良い』
楽京斎の声が流れ終えると、部屋の中に薄ピンク色のガスが起きた。
「らんま、この匂い。催眠ガスだ。窓を開けるぞ」
「わ、わかった」
しかし、オレたちが窓に手をかける前に身体は力を失い、続いて、意識が遠くなっていった。
「らんま……らんま……らんま……らんま……らんま……」
「たつやぁ……たつやぁ……たつやぁ……たつやぁ……」
互いに呼びかける声だけが催眠ガスに溶けていった。
雷神猛筆拳究極奥義である胡蝶乱舞。その実体は女の乳拓を取るためのエロ奥義。そのエロ奥義を超える技、いったいどんな技だというのか、気になりながら、オレは眠りに落ちていった。