女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
体力も精力も全部らんまの中に注ぎ込んで、オレは星空を見上げながらうたた寝をしていた。そしてふと目を覚ました、セックスのあと隣で気を失っていたらんまがいない。
『ごとん』
どこかで音がした。船の、下の方からだ。
「なんだ?」
オレはぼんやりしたまま頭を起こす。まだいくつか灯っているランプの明かりで、船縁にウサギがいるのが見えた。なんで船にウサギがいるのか、オレは半分眠った頭で考えていた。
「らんま?」
ウサギじゃなくバニーらんまが伏せているのだと気がついた。声をかけると、らんまが手真似で『動くな』と指図している。
「え? 何かきた?」
小声で言うと、甲板に何かが投げ込まれきた。『がん』とそれが甲板で跳ねる。金属の、フックだ。
「あ……」
オレはやっと気がついた。誰かがこの船に乗り込もうとしているのだ。さっきのは、ボートか何かがぶつかった音に違いない。
「寝てるふりしてて」
らんまが囁く。頭だけ横向きにして薄目をあけて見ていると、船縁に手がかかって人の頭が現れた。オレの方を見て、下に向かって何か言っている。
そいつが船縁に上がって来た瞬間、らんまが伏せの姿勢から一瞬で逆立ちになった。逆立ち回し蹴り。
喰らったやつは船縁から消えて、下から大きな水音が聞こえる。
「はーいっ!」
らんまがそいつを追うように飛び降りた。
「らんま!」
オレは起き上がって船縁に走って、下を覗いた。もうそのときには男が4人、泳いで逃げていくところだった。らんまが一人で全員を海にたたき落としたらしい。
「達也ぁー。ボートが手に入ったぜー!」
らんまが乱れた髪をかき上げながら言う、ウサギ耳が外れるような格闘ではなかったらしい。
「ボートを、どうするんだ?」
「これがなかったら、泳がないと陸に上がれないじゃん」
「また……あの漁港に行けばいいんじゃないの?」
そう言うと、らんまがするするとロープを登ってきた。
「あいつらが船を取り返しに来たってことはさ、港には仲間が待ってるはずじゃんか」
らんまに言われて気がついた。真っ暗だった漁師町には火がいくつも見えている。この船に積まれている大量のお宝を奪われて、連中が黙っているはずがない。
「こんな船オレたちで操縦できるはずがないし、その辺の陸に上がるしかないだろ? だったら早いほうがいい……あ……」
らんまが突然しゃがみ込んだ。
「どうした?」
「いや……あの……達也の、出てきた……」
らんまがのろのろと立ち上がると、網タイツをはいた内腿に精液がヌルヌル流れ落ちている。
「お前、また3回とか出しただろ」
「いや……4回……」
らんまが口元をゆがめてオレを睨む。
「一晩、2回までだぞ。いいな!」
「……わかった」
「そのうち、マジでオレ妊娠するかも知れない……」
残念だったけど、らんまはウサギさんからビキニアーマーに着替えた。とりあえず必要最小限のアイテムを頂戴して、まだ暗い海を陸に向かう。
おさげを編む時間が惜しかったので、らんまは髪をロングにしたままだった。ロング髪だとらんまのイメージは凄く変わる。普通の女に見える。
「考えてみたら……」
らんまと二人でオールを漕ぎながら、オレは思いついたことを口にした。
「あの……誘拐された人たち、こっちでどうするんだろ?」
「警察……なんかないだろうから、やっぱ軍隊かな?」
ここが、元いた場所と繋がっているかどうかもわからない。繋がっていたら、また軍隊から逃げ回ることになるかも知れない。
「どっかさ。人の居ないところで、しばらく隠れていたらいいんじゃないか?」
「どーやって?」
らんまが聞き返したけど、具体的に何をどうしたらいいかなんてわからない。
「農家とかさ……」
「お前農業ナメてないか?」
らんまが言う。
「呪泉郷で修行やってたとき。あそこ何もないから半分くらい自給自足で、畑作って山で獣獲って……すっげー厳しかったんだぞ。半年ぐらい経たないと、菜っ葉もできねーんだから」
さすがに一年も隠れ住む気なんかなかったけど、自分の家で引きこもるのとはワケが違うことぐらいはわかっていた。どっちかと言えばサバイバルだ。
考えているうちにボートは海岸についた。ボートは引き上げて、林の中に木の枝なんかを被せて隠しておく。明るくならないと周りのことはわからないから、そこでらんまと寄り添って夜明けを待った。
「あの船、いっそ沈めちゃった方がよかったかも」
らんまがぼそりと言う。
「いくらなんでも、それマズくないか?」
「だって、またあれ奴隷を運んでくるのに使われるし。あそこにあったらまた取り返しに来るじゃん」
大量のアイテムが盗賊の手に戻ってしまう。そう考えると沈めた方が良いのは確かだ。
「あ……」
二人同時に声を上げた。ボートが2艘、船に向かって行く。撃退されたので仲間を連れて来たのだろうか。とくにもぬけの殻だとは知らないのだ。
空がかなり明るくなってきた。またボートが来る、今度は3艘。さっき来たボートと反対側の舷側につけて、ロープを投げ入れて人が乗り込んでいく。連中がどうするのか、そのまま見ていた。
しばらくして、甲板で人が走り回るのが見えた。人が甲板で倒れたり、海に落ちていくのも見える。
「何だろ?」
らんまが言った。
「もしかして……暗いうちに来たボート、別のやつらとか……」
遠目でも、甲板の上で剣を使って戦っているのがわかった。そのうちに船が黒い煙を吹き上げはじめた。戦いどころじゃなくなって、みんな海に飛び込んでいる。
ボートが分かれてどこかへ消えて、船はしだいに炎に包まれていく。オレは呆然としているらんまの手を引いて立ち上がり、海岸を歩き出した。できるだけ、人には会いたくないと思った。
らんまの手を引っ張り海岸沿いを歩いた。おさげ髪スタイルのときとは違って、らんまの長い髪が潮風に揺れる。ぎゅっと握ったらんまの手は白くて冷たい。この世界では、らんまとの繋がり、お互いをこうして繋ぐ絆が生きていく術なのだと強く実感する。